イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

チームメイトを鼓舞する素晴らしいゴールを見せてください~アレクシス・サンチェスに思うこと。

プレミアリーグで10勝4分1敗、開幕戦でリヴァプールに敗れてから、EFLカップのサウサンプトン戦で敗れるまで3ヵ月半に渡って公式戦無敗。当時、チェルシーがプレミアリーグ9連勝(最終的にはクラブレコードタイの13連勝)という派手な爆走を見せていたために、あまり話題にはならなかったものの、15節に2位につけていたアーセナルはここ数年で最強レベルだったと思います。「年間20ゴールクラスのストライカーを獲らなければ優勝できない」というティエリ・アンリの指摘には、ゼロトップという新布陣で最前線にコンバートされたアレクシス・サンチェスが答えを出そうとしていました。期待のムスタフィは、9月の合流直後より何年も前からいた選手のようにフィットし、20歳のイオビもスタメンに定着。10月19日のルドゴレツ戦で足を痛めたカソルラの離脱は痛かったものの、コクラン、ジャカ、エルネニー、ラムジーと層が厚くなったセントラルMFは、戦えない布陣ではありません。チェルシーを抜けるとまではいえませんでしたが、私は、アーセナルは優勝争いの中心にいながら春を迎えると想像していました。

期待が膨らんでいただけに、1月末からの2勝4敗という失速とバイエルン戦の惨敗、そして今回の「アレクシス・サンチェスがチームメイトと揉めてリヴァプール戦ベンチスタート」という報道はとにかく残念です。多少のケガがあっても、本人のやる気を優先して起用し続けたヴェンゲル監督が、戦術を理由にプレミアリーグ17ゴールの絶対的エースを温存するなどということは考えられません。体調不良か、軽い負傷か、あるいは…。胸騒ぎを抑えられずに観ていたゲームがハーフタイムを迎え、後半の頭から出てきた7番を見て、少なくともメスト・エジルと同じ理由ではないと確信しました。キックオフから彼がいれば、互角で前半を折り返していたかもしれません。あるいは、最近の4敗がいずれも開始10分前後に喫した失点を取り返せずに終わっていたことを考えれば、やはり2-0だったかもしれません。実際に起こらなかった世界がどうだったかはともかく、ヴェンゲル監督のチームを10年以上リスペクトしてきたひとりのプレミアリーグファンとしては、負傷以外の理由でエースがシックスポインターのピッチにいない時間があったとすれば、それは最も悲しい出来事だとしかいえません。

ヴェンゲル監督は、戦術的理由だとしかいえないでしょう。しかし、「BBC」「ガーディアン」「テレグラフ」「デイリー・メール」など現地メディアが一斉に「チーム内のトラブルが原因」と報じているのを見ると、指揮官の言葉を鵜呑みにはできません。練習を早々に切り上げたアレクシスをチームメイトが咎め、その後のロッカールームにも波及したといわれるトラブルは、マンマネジメントに長けたヴェンゲル監督をもってしても、試合結果に影響を及ぼす形でしか交通整理できないほどのインパクトだったようです。足を気にしながらプレイしていたジルーがゴールを決めるなどで、何とかドローで終われれば、悪い空気を払拭するきっかけにできたかもしれません。しかし、エース投入前に2点差をつけられていた3-1の完敗は、直後にバイエルンをエミレーツに迎えるチームにとっては、厳しい結果だったといわざるをえません。

以前に、「アーセナルがうまく開き直り、底力を発揮できればバイエルンを破る可能性がないとはいえない」という趣旨の記事を書かせていただきましたが、その前提は「チームが一丸となること」「プライドをもってプレイすること」です。アレクシス・サンチェスは、勝ちたくて勝ちたくてしょうがないのでしょう。自分は結果を出しているだけに、2度の連敗でプレミアリーグ優勝から遠ざかったチームに対して歯がゆくて仕方がないのでしょう。しかし、ここはこらえてくれ!と思います。どんなにいいプレイをしていても、チーム内で揉めたら終わりです。

大スランプに陥り、まるまる1年不遇な時間を過ごしながらも今季復活したエデン・アザールを「素晴らしい選手だ!」というファンはいても、理由はどうあれクラブと揉めてフランスに帰ったディミトリ・パイェについては、手離しでは称賛できないものです。マンチェスター・ユナイテッドサポーターとして、エリック・カントナやポール・スコールズ、ライアン・ギグス、ファン・デル・サールについては無心に褒めちぎれるのですが、ロイ・キーン、ヤープ・スタム、リオ・ファーディナンドを思い出すとき、一抹の苦さが胸に去来します。ノースロンドンにも、トマシュ・ロシツキやデニス・ベルカンプを絶賛しつつ、サミル・ナスリやアシュリー・コールについて問われると顔を曇らせるサポーターがいるでしょう。今季プレミアリーグ前半戦で最高のプレイを見せてくれたアタッカーには、苛立ちを自らの素晴らしいゴールで払拭していただき、「彼は、アーセナルのために手を抜かずに戦ってくれた最高の選手だ」といわれる存在になってほしいと願っています。

すみません。プレミアリーグにまつわるさまざまな情報を伝えたいと続けているブログなのですが、今日は思い先行の檄文めいた記事になってしまいました。最近、心が痛む話が増えているグーナーのみなさんには、多分にいいにくくなっているのですが、私は変わらずチャンピオンズリーグのバイエルン戦でアーセナルらしいサッカーを見せてくれることを期待しており、あわよくば奇跡が起こらないかという気持ちを捨てきれないでいるのです。リヴァプール戦の後、彼らはどんなコミュニケーションをとったのでしょうか。今も、願っています。どうか、アレクシスとチームメイトがともに戦う気持ちを思い起こすことができますように。そして、戦いに集中できるいい状態でエミレーツの芝に立ってくれますように

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“チームメイトを鼓舞する素晴らしいゴールを見せてください~アレクシス・サンチェスに思うこと。” への4件のフィードバック

  1. M より:

    待遇面の話も出てはいましたが、やはり本人の勝ちたいという気持ちとチームの温度差が不満の主だったものというならば、とにかく悲しいです。
    本人がこれだけ結果を出して、万年2〜4位から抜け出そうとしているのに周りはそれほど危機感なく『安定』に甘んじてるイメージがあります。
    勝手な推測でしかないので真実は分かりませんが、こういう形でのゴタゴタは他サポながら悲しくなるものですね。

  2. ひろと より:

    毎日読ませていただいておりますが、今までで一番グッとくる文章でした。
    11月くらいまであんなに楽しかったプレミアですが、今は毎試合を応援することが苦痛でもあります。
    選手がチームを離れるのは仕方ありません。
    監督もいずれはこのチームを去るのでしょう。
    ですが、どんな形でもいいというわけでもありません。

    少なくとも、希望を持って出ていってほしいし、希望を残して出ていってほしいです。
    いなくなるまではファンです。
    がんばれサンチェス、がんばれボス。

  3. B より:

    米2さん
    あなたのコメントにもグッときました
    グーナーの皆さんが気持ちよく応援できる日が早く来ることを祈っています

  4. makoto より:

    Mさん>
    ですね。レッズ戦はアタマから出てほしかったです。

    ひろとさん>
    ありがとうございます。しっかり手打ちをすれば、元より手を抜かない選手と志の高いボスですので、最後まで戦ってくれるでしょう。

    Bさん>
    そうですね。勝利を、次への自信につなげていただいて。

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