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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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コクランの助言でラカゼットが決断、メルテザッカーは指導者へ…アーセナルのちょっといい話

「メルテザッカーとはまだ話してないけれど、エジルとは話した。彼は僕が知りたいことを全部話してくれた。クラブのヴィジョンを聞いてポジティブだと感じ、すぐに移籍を決断した」。昨夏、シュコドラン・ムスタフィが、アーセナル入団を決めるに際してドイツ代表でともに戦うプレーメイカーのアドバイスが大きかったと語っておりましたが、ラカゼット獲得の舞台裏にも素晴らしい「キャリアカウンセラー」が存在していたようです。

イギリスメディア「デイリー・メール」が陰のMVPとして紹介したのは、フランシス・コクラン。プレミアリーグで5年プレイした26歳のセントラルMFは、ラカゼットとは数年来の友人で、このたびの移籍についても相談に乗っていたそうです。誕生日が2週間しか違わない同い年のストライカーは、「ロンドンは素晴らしい街で、アーセナルは偉大なクラブ。絶対に後悔しない」というコクランの言葉に背中を押されたと語っています。スムーズに決まって何よりです!

この話を聞いて、1年前、「アーセナル最優先で考えよう」と代表の同僚ムサ・シソコを口説いたオリヴィエ・ジルーが、よりによってトッテナムを選ばれてしまい「信じられない。彼は自分が何をしようとしているのかわかっていない」と嘆いていたのを思い出しました。獲り逃したのがジルーだけに、足をすくわれて転倒したときの大げさなジェスチャーが頭に浮かんで笑ってしまったのですが、コクランは同じ轍を踏みませんでした。アトレティコ・マドリードからも誘われていたストライカーを、ノースロンドンに進路変更させたセントラルMFのインターセプトは素晴らしい切れ味でした。来季のプレミアリーグで、コクランからの縦パスが最前線に通るたびに、心温まる交流のエピソードが脳裏をよぎりそうです。

心温まる話といえば、メルテザッカーの指導者転身のニュースにも感動しました。2017-18シーズン終了とともに引退する「ビッグ・ファッキン・ジャーマン」は、アカデミーの指導者としてクラブに残ることになったそうです。ヴェルダー・ブレーメンにいたメルテザッカーがプレミアリーグにやってきたのは、2011年8月31日でした。マンチェスター・ユナイテッドに8-2で敗れる衝撃の一戦の後、ヴェンゲル監督は急遽大量補強を決断。パク・チュヨン、アンドレ・サントス、ミケル・アルテタ、ヨッシ・ベナユンとオトナ買いを敢行したなかに、ドイツ代表CBの姿もありました。パニックバイと非難されながらも、アルテタとメルテザッカーは大当たり。統率力を備えた2人はいずれも主将を務め、チームの主軸として活躍しました。

6年の長きにわたり、グーナーに愛され続けたメルテザッカーは、プレミアリーグ150試合出場5ゴールという数字以上に貢献度が高い選手です。サポーターに挨拶をせずに引き上げていこうとするエジルを叱りつけ、FKの壁に入ったヤヤ・サノゴが体をカバーしようとする手をつかんで下げさせるなど、常に集中して戦う姿勢とモラルの高さは若い選手たちの手本となりました。昨季は負傷で長期離脱を強いられ、公式戦出場はプレミアリーグ最終節とFAカップ決勝の2試合のみ。それでもひとたびピッチに立てば、初めて3バックに加わった選手とは思えない落ち着いた守備を披露し、ウェンブリーに集まったサポーターの心を捉えました。

アルテタが引退したとき、なぜアーセナルは彼を指導者として残さなかったのだろうと思った者として、メルテザッカーのセカンドキャリアプランには諸手を挙げて賛成です。ヴェンゲル監督がクラブを去った後を継ぐのは…いやいや、それはちょっと気の早い話ですね。まずは、最後のシーズンをしっかり見届けましょう。そしてその後は、「エキサイティングなチャレンジだ。これからもアーセナルの一部であり続けられることがうれしい」と語ったキャプテンが、精神的にたくましい選手を次々とファーストチームに送り出すのを楽しみにしたいと思います。

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“コクランの助言でラカゼットが決断、メルテザッカーは指導者へ…アーセナルのちょっといい話” への4件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    W杯優勝後、モチベーションの低下もあって苦労してましたが、ここぞという時のキャプテンシーは流石だと思います。私はレッズファンですが、ライバルチームと言えども功労者にチームとして報いる姿勢は素晴らしいと思いますし、メルテザッカーなら良い指導者になれると思ってます。まだ終わっておらず新シーズンはこれからですから、最後のシーズン悔いなきようプレーしてほしいですね。

  2. ひろと より:

    アルテタはアーセナルもアカデミーの指導者オファーしたんですが本人がペップのコーチオファーを優先した経緯があります。

    —–
    昨シーズンのアーセナルが、シーズン中盤以降耐えきれなかったのはメルティの不在も大きかったと思っています。
    全盛期のバルサが、どうにも不器用なプジョルを使い続けたのは、そこにいるだけでチームが引き締まるからと聞いたことがあるのですが、メルティもそのタイプだと思っています。
    来期何試合メルティを観れるかは分かりませんが、きっと重要な局面で必要になってくると思います。
    あと一年、そしてこれからもアーセナルにとって最高の人材であっていただきたいです。

  3. makoto より:

    Mackiさん>
    昨季の終盤、あらためていいCBだなと思いました。おっしゃるとおり、悔いのないシーズンを送っていただきたいです。

    赤さん>
    そうでしたね。トッテナムからも話があったようですね。

    ひろとさん>
    速いFWとの駆けっこは不安ですが、クロスを放り込んでくるようなチームや、ポゼッションをとって押してくるチームが相手だと集中力の高さと冷静さが際立ちます。最後のシーズンをしっかり観ようと思います。

  4. ルニキ より:

    移籍の噂が出ると、代表チームで一緒の選手が、自分のチームの来るよう誘ってるという話をよく耳にします。どこまで本当なのかはわかりませんが、選手同士の繋がりや説得も、移籍に与える影響は大きいのかもしれませんね。
    自分の贔屓にしているチームでも、エージェントPなる人物が仕事をしたようですし笑

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