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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「アーセナルは3バックを終える時では?」…現地紙が提言する「強みを活かす戦術」!

プレミアリーグ切れの症状を自覚するようになり、週末が待ち遠しいミッドウィークでございますが、みなさまはお元気でお過ごしでしょうか。一昨日、移籍ニュースとなると「ザ・サン」と双璧の怪しさを誇るフリーペーパー「メトロ」が、わが意を得たり!の記事を掲載しておりましたので、ぜひ紹介させていただければと思います。「Why Arsenal should consider ending 3-4-3 experiment, with Alex Oxlade-Chamberlain and Mesut Ozil roles key(なぜ、アーセナルはチェンバレンとエジルが重要な役割を果たす3-4-3の実験を終えなければならないか)」。グーナーならずとも、プレミアリーグファンなら気になっる方が一定層いるテーマではないでしょうか。マーク・ブラス記者は、冒頭でこう問いかけています。「昨季シーズンの終わりに、大胆にシフトした3-4-3を見直すべきではないか?この戦術は、悪夢のような新シーズンが始まった後、目新しさを失ったように見える」。

3-4-3を終える理由として、記事は4つの理由を挙げています。ひとつは、アレックス・オックスレード=チェンバレンが今夏に退団したこと。2つめは、CBのクオリティが足りていないこと。さらに、エジルが不必要にワイドにポジションを取らされていることと、冷静に見れば決して芳しい戦績ではないことも指摘しています。ここが、最近私が断片的に書いてきたこととぴったりだったので、思わずテンションが上がってしまったのです。右WBとして理想的な存在で、左サイドでも機能していたチェンバレンに対して、いかにもWBをこなせそうなベジェリンは苦戦しています。左に入ったときのモンレアルはコンスタントに攻撃のクオリティを担保しているとはいえず、適任のコラシナツはプレミアリーグに慣れる時間が必要です。右はゼロ、左にひとりでは、ヴェンゲル監督のチームは「WBにうってつけの選手」が足りないのは明白です。

コシールニー、ムスタフィ、メルテザッカー、モンレアル、チャンバース、コラシナツ、ホールディング、エルネニー。記者は、CBに入れる8人をピックアップしつつ、「コシールニーの次からレベルが下がる。彼以外に、常に2人を使い続けるのか?」と問うています。スペシャリストは4人だけ、しかもひとりは引退に近づいている選手だ、と。スポーツは自らの強みを活かしてプレイするものなのに、最も弱いポジションに3枚重ねるのは逆行しているのではないかといわれると、プレミアリーグ開幕からの3試合で8失点を喫している最終ラインは返す言葉がないでしょう。

メスト・エジルは、イングランドに来たばかりの頃についてこんなふうに語っています。「私は当初、左ウイングでプレイしたが、正直にいえば自分としてはそのポジションをよしとしていなかった。ナンバー10のほうがいいと思う。センターでプレイすれば、ゲームをコントロールしてチャンスを生み出せる」。現在、3-4-2-1の右サイドを担っているエジルは、プレミアリーグデビューの頃とオーバーラップしているのかもしれません。2015-16シーズンにプレミアリーグ19アシストという数字を残したプレーメイカーは、WBに縦パスを出してクロスを上げさせるだけでなく、ボックスの両サイドにフィニッシュに直結するキラーパスを通せるほうが輝くでしょう。

14試合10勝1分3敗、得点25失点16。マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシーに勝ったと主張していたヴェンゲル監督の3バックの戦績は、一見悪くはありません。ただし、昨季は終盤戦で目標を失った中位と降格決定クラブとの対戦が多く、スパーズと先日のレッズには完敗。今季プレミアリーグの4ゴール8失点という数字も気になります。チェルシーのコンテ監督は3-4-3をやりたかったわけではなく、適材適所を追求した結果、あのシステムに辿り着いたのでしょう。マルコス・アロンソとヴィクター・モーゼスの抜擢は秀逸。守備の負担が減ったアザールとペドロは、縦にも中にも進めるフォーメーションで突破力を存分に発揮しました。

ただし、新シーズンのチェルシーが、このまま3-4-3を続けるかどうかはわかりません。モラタは横に相棒がいたほうが輝くとみればアザールやペドロと並べ、バカヨコをより攻撃で機能させようと考えれば、アンカーにカンテを置いて右のインサイドにセスクかドリンクウォーター(あるいはウィリアン!?)を配する3センターに切り替えるかもしれません。選手が変われば、適材適所の考え方も変わります。

アーセナルも、チェンバレンを失った今、いま一度自らのストロングポイントを考えるべき時を迎えているのだと思います。コシールニーとムスタフィの前のスペースを埋めたいなら、ジャカをアンカーに据えてエジルをインサイドMFに置く4-3-3。エジルが中央で活きることを優先するなら、ジャカとエルネニーを並べる4-2-3-1、すなわち従来のシステムが妥当でしょう。トップにラカゼット、左にアレクシス・サンチェスで右にはウェル…ウォル…いやー、チェンバレンを抜かれてトマ…もとい、誰か代役を獲れなかったのは、想像以上に痛かったかもしれません。

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“「アーセナルは3バックを終える時では?」…現地紙が提言する「強みを活かす戦術」!” への12件のフィードバック

  1. stotina より:

    更新おつかれさまです。

    怒涛の最終日が終わってクールダウンして虚心坦懐にスカッドを見ると、錯覚かもしれませんがそこまで酷くはないと思えてきました。
    従来の4-2-3-1の場合、そこまでチェンバレンが活きていたわけではないと思います。
    むしろ、サンチェス1トップでは右のウォルコットも機能していたので、7番同様にモビリティの高いラカゼットがトップならば、右ウォルコットはチームにとっても彼にとっては復調の好機にもなると期待しています。期待したい。
    ジルーをトップに置くなら、かつて中盤カソルラ-コクラン時代に消去法的に選択した「右ラムジー」もありではないでしょうか。実際、けっこう良かったと思うんですけどね…。中央がやりたい!とか言って出ていったしまう危惧はありますが。

    ネガティヴなムードを振り払うには結果が何よりも必要で、それは本文中にもあるような「適材適所の追求」と、コンディションの管理によって決して不可能なミッションではないと思います。
    あとは7番のモチベーション・アップでしょうか。
    いずれにしろ、今こそベンチのアクションが重要で、変革に期待したい、そう強く願います。(まだヴェンゲルに期待しているのかと揶揄される向きもあるかもしれませんが…汗)

    うーん、なんか願望ばかりのコメですみません(苦笑)。

  2. だしまる より:

    いろいろ条件は付きますが、元々、エジル・コシールニー・ムスタフィ・サンチェスはプレミア屈指。成長しつつあるベジェリンを本職に戻し、新戦力のラカゼット・コラシナツがフィットすれば、昨季以上の陣容が完成します。コミュニティシールドの後は、結構、評価高かったはずで、そこから二つ負けただけ!
    (はい強がりです)

    コクラン・ウォルコットが復活し、サンチェス・ムスタフィのモチベーションが高く、コシールニーが怪我せず、25歳のジャックが大器ぶりを見せてくれれば、ジルー&エジルもいますし大丈夫でしょう。

    希望的観測ですが、ピンチの後にチャンスありです。ユナイテッドに食いつく粘りを見せてくれると期待しています。奇跡は信じ努力しないと起こりませんからね!

  3. グーナーです より:

    3バックをやめて4バックに戻す、というプランは皆様がおっしゃるとおり、そうすべきだと思っています。
    思っているのですが、「それで強くなるのか?」と言われると、あまり強く肯定できない気持ちもあります。
    今までのアーセナルに戻るというだけならば、CL圏争いに加わるくらいが限度な気がして、ラカゼッットとサンチェスで合計50発くらいの大爆発してくれてようやく優勝争いの権利を得るくらいのイメージです。

    「うちの頑固じいさん」ヴェンゲルが今後どのように考えているかは分からないのですが、まずは選手達に「この戦い方で行け!そしたら絶対勝てるから!」と明確なプランを示す必要があるのではないでしょうか?

    どうにも選手達がピッチ上で迷いながらバタバタしているように見えてしまいます。

    希望を語るなら、去年のコンテもこの時期は「こんなんじゃ優勝なんか出来ない」と言われていました。

    シーズンは始まったばかりなので、暗くならずに応援しようと思います。

  4. グッチ より:

    ふとヴェンゲル監督の強みを考えた時に、彼は選手を信じて送り出せる人間だと思いました。だからこそ若手が育ちかつて多くの名選手が生まれたのだと思います。策を講じる部分では他の一流監督に一歩及ばないながらもそういった地力の部分を伸ばしてきたからこそ安定してチームを回せたのだと考えます。
    やれ3-4-3が良いの悪いのと自分を含め言いたくなりますが、システムは結果として合わせられれば良いと思います。今1番良い選手(調子も実力も含めて)を1番やりやすい場所に並べて、その上でバランスを見て脇を固めるぐらいで良いのではないかと。相手の長所を消すのが得意な監督ではないからこそ今のスカッドのポテンシャルを最大限引き出して欲しいですね。きっとその中でエジルやサンチェスが他の選手を一つ上へ引っ張り上げてくれると思います。

  5. ユナイテッド より:

    そもそもなぜ3バックにしたかと言えばそもそも4バックで勝てなくなっていたからですよね…
    4バックにしたところで根本的な問題解決になっていない気がします…
    ただ戦力バランス、メンバーを見ると明らかに4バックの方が良いチームになると思いますが、ボランチ、そしてチームで戦うメンタリティが改善されないと再び勝てなくなるのではないでしょうか。
    ボランチの影響力が想像以上に攻撃面でも守備面でも大きく関わっていることがポグバ、マティッチが来てから変貌したユナイテッドを僕は見ているので…

  6. kk より:

    ツートップで下にエジルなら前線機能するのではないでしょか
    守備は4バック、3バックどちらでもあまり変わらないような気がします

  7. D より:

    更新お疲れ様です

    チェンバレンが居なくなったのに3バックを継続しても現状を打開するのは難しいですよね。
    4バックでジャカとコクランの2ボランチかコクランアンカーで4-1-4-1を今一度試して欲しいです。
    4バックなら去年を思い出すとウォルコットも活きるかもですし
    今のスカッドで3バックは流石に断念してもらわないと。。。

  8. ボアス より:

    管理人さんのおっしゃる通り、コンテは適材適所を見抜いた結果3-4-3を選びました。元々コンテは4-2-4を導入しましたが上手くいかずに4-3-3から3-4-3に辿り着きました。
    さて、アーセナルですが私は4バックでは無くアンカーを置く3-5-2を使うと面白いかなと思います。2トップは万能のラカゼットに運動量のあるウェルベック。中盤はインサイドにパスを捌けるジャカ、攻撃力のあるラムジーを並べてエジルをピルロポジションに!結構面白そうに移ります。エジルにゲームメーカーが務まり、最低限パスコースを防ぐだけの守備力があるかは疑問ですが(笑)。

  9. D より:

    更新お疲れ様です

    チェンバレンが居なくなったのに3バックを継続しても現状を打開するのは難しいですよね。
    4バックでジャカとコクランの2ボランチかコクランアンカーで4-1-4-1を今一度試して欲しいです。
    4バックなら去年を思い出すとウォルコットも活きるかもですし
    今のスカッドで3バックは流石に断念してもらわないと。。。

  10. D より:

    間違えてコメントが再送信されてしまいました。失礼しました。

  11. makoto より:

    stotinaさん>
    昨季の偽トップの時期はよかったので、4-2-3-1でも十分戦えると思います。獲った2人はいい補強ですよね。

    だしまるさん>
    コシールニーが負傷せず、は重要な条件ですね。混戦にならないように逃げ切ってくれとモウリーニョさんには伝えたのですが(笑)

    グーナーです さん>
    「明確なプランが必要」は同意です。イオビ、ウェルベック、チャンバース、エルネニーあたりから、大ブレイクする選手が出てくれるといいんですけどね。

    グッチさん>
    ワールドクラスの数人が気持ちよくプレイできるフォーメーションにすることが大事だなと思います。昨季のチェルシーのように。

    ユナイテッドさん>
    4バックで勝てなくなったというより、「フォーメーション以外の理由で勝てなくなっていたチームに、フォーメーション変更というわかりやすい変化をもたらしたことで活性化した」という認識です。今季になって、このチームの3バックの完成度は高くなかったことと、3バックで戦うような補強ができてなかったことが露呈したのではないでしょうか。

    kkさん>
    アーセナルの3バックは、「WBの後ろのスペースをケアするのがうまくない」という問題があると思います。4枚ならそこは解決するのではないでしょうか。

    Dさん>
    そうですね。ウォルコットが活かせるというプラスがありますよね。

  12. makoto より:

    ボアスさん>
    おもしろいですね。3バックをまわせるぐらいのCBの層の厚さが必要ですが。

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