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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

オーバメヤンの決定的な2発は、いずれもポスト!ゴールが遠かったアーセナル、無念のEL敗退。

初戦は2-1でビジャレアル。アーセナルは、アウェイゴールを許すと苦しくなります。ヨーロッパリーグ準決勝セカンドレグ。アルテタ監督のスタメンは、トーマス・パーティーをアンカーに置く4-1-4-1か、あるいはウーデゴーアを1列下げる4-2-3-1か。レノ、ベジェリン、ホールディング、パブロ・マリ、ティアニー、トーマス・パーティー、ウーデゴーア、サカ、スミス・ロウ、ニコラ・ペペ、オーバメヤン。プレミアリーグのニューカッスル戦でゴールを決めたエースと、ヨーロッパリーグで6ゴール4アシストのニコラ・ペペに注目です。

サイドを見ると、ニコラ・ペペが左でサカが右。ウーデゴーアとスミス・ロウはオーバメヤンの後ろにいます。5分のチュクウェゼのミドルは、レノが上に弾き出すビッグセーブ。アーセナルのアタックはパススピードが遅く、時折左サイドから上がる縦のロングフィードが狙いのひとつのようです。15分に敵陣でウーデゴーアが奪ったチャンスも、テンポを上げられずに終わりました。両者ともに前からプレスをかけ、出しどころを限定していますが、トーマス・パーティーの脇にいるトリゲロスとパレホが空くシーンが多いのが気になります。

20分を過ぎてもシュートがないアーセナルは、ニコラ・ペペとサカが左右をスイッチ。23分、右足でドライブをかけたパレホのFKは、クロスバーをかすめてゴール裏に消えていきました。26分、CKからの二次攻撃でティアニーがクロスを入れると、ダイレクトで中央に入れたボールをクリアされたオーバメヤンがボレーを放ち、左のポストにぶつけました。29分、プレー続行不可能になったチュクウェゼが担架で運ばれ、代役は19歳のジェレミ・ピノ。サカとニコラ・ペペは元のサイドに戻り、2トップをケアするべくティアニーがCBに入る3-4-3にシフトしています。

39分、カウンターを仕掛けたスミス・ロウが左のオーバメヤンに展開。カットインして放った右足のコントロールショットをGKルジがファンブルしますが、ゴールに転がるボールに追いついて事なきをえました。前半は0-0。両チームともシュート4本、オンターゲット1本と互角の展開です。47分、ティアニーの浮き球のスルーパスでボックス左に出たニコラ・ペペは、強烈なシュートをファーポストすれすれに放ちました。49分、ベジェリンのクロスをルジが弾き切れず、トラップしたスミス・ロウが無人のゴールに収めれば決まりでしたが、右足で浮かしたボールは右に切れていきました。

自陣でトーマスが失った53分のピンチは、縦パスを受けて左にまわり込んだジェラール・モレノのシュートをレノがキャッチ。58分に左から飛び出したスミス・ロウがボールを追って中央で競り合い、こぼれ球を拾ったウーデゴーアが遠めから狙うと、パレホが果敢にスライディングでブロックしました。66分、ウーデゴーアが下がってマルティネッリ。71分にサカのFKに競り勝ったホールディングのヘッドは浮いてしまいました。

76分、CKのクリアを叩いたマルティネッリのシュートは左にアウト。79分にベジェリンのクロスがオーバメヤンに合うも、渾身のヘッドは左のポストに阻まれ、ゴールライン上でルジにクリアされました。残り10分、オーバメヤンとティアニーが下がり、ラカゼットとウィリアン。87分、ウィリアンのクロスをニアでラカゼットが収め、落としを受けたベジェリンが右足を振り抜くも、黄色い壁にヒット。直後にニコラ・ペペがボックス右を崩したチャンスも、折り返しを受けたベジェリンのシュートがブロックされました。

91分にベジェリンと代わったエンケティアは、ファールを繰り返すのみ。追加タイムを無為に過ごしたアーセナルが、最大のチャンスを手離しました。ホーム&アウェイの180分を通じて、オープンプレーからのオンターゲットが3本しかなかったのが、今季の不振の象徴に思えました。ファーストレグの94分、フリーになったオーバメヤンの一撃はルジが体を張ってセーブ。今日のオーバメヤンのコントロールショットはルジの正面にいってしまい、ベジェリンのクロスを叩いたヘッドは、ポストに当たってラインを越えようとしたボールをGKに掻き出されてしまいました。

ウーデゴーアの交代はやむなしとしても、ティアニー、オーバメヤン、ベジェリンと期待値が高い順に下げていくような策はよかったのか。彼らは限界だったのか。あるいは、1点がほしい展開になったときのために用意していたオプションが空回りしただけだったのか。終盤にトップ下を担う時間帯があったサカが中央から打つシーンはなく、左からアグレッシブに仕掛けたマルティネッリも決定的なチャンスを得られませんでした。プレミアリーグにおけるトップ下のゴールは1発のみ。ウィークポイントは、ついぞ改善せずに終わりました。

ヨーロッパリーグ2020-21シーズンのファイナルは、ELマイスターのウナイ・エメリ率いるビジャレアルと、初戴冠をめざすスールシャールが指揮を執るマンチェスター・ユナイテッドの一戦となりました。残り4試合となったアルテタの仕事は、来季につながるフットボールで勝ち続けるだけです。


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“オーバメヤンの決定的な2発は、いずれもポスト!ゴールが遠かったアーセナル、無念のEL敗退。” への2件のフィードバック

  1. トマシュ より:

    だから言ったでしょ。EL舐めすぎ。
    方々で見聞きしたが、リーグ折り返してすぐ(あるいはそれ以前から)に湧いてた「ELに絞るべき」って論調は一体なんだったのだろう。結果3.5位。not even close..

    EL狙って取れる実力があれば今頃国内で4位争ってます。

    ジャカがいれば、とは一ミリも思いませんでした。同じスコアだったんじゃないかしら。彼が出てても。外す決断をしたのかとオッと思ったら怪我でしょうがなく、という。試合前から少し苦笑。

    エメリとコクランにやられるという屈辱付きか。そういうとこだけは外さないね。(コクランよかったよ。お前のことは好きだった)

    ロウを抜擢して勝ったチェルシー戦の後、しょうもないミスと退場(とマスターベーションVAR)でドブに捨てた勝ち点どんだけ?国内でのチャンス、いくらでもあったのにねぇ。
    早々にELメイン、とか言ってるマインドセットで得られるものなんかないだろうと思いますよ。選手もワンフーも。

    決勝でMan.Utd. に蹂躙されるところを見なくてすんでよかったです。エメリのEL力は気持ち悪いが、まぁMan.Utd でしょうね。

    自分はアルテタ続投派ですが、理由は単にその辺のチームみたいな監督コロコロを見たくない、ということのみ。この成績なら解任は当然なんだろうけど。グーナーの皆さん、お疲れ様でした。来シーズンも頑張って応援しましょう。

    Shohei Ohtani と NBA に集中できるからいいや。

    • makoto より:

      おっしゃっていることは、結果論でしょう。
      私も含め、「ELを勝ちにいったほうがいい」といっていた人は、
      「過去3年でベスト4とファイナリストになった実績がある大会だから充分めざせる」といっていただけで、
      必ず勝てるとはいっていないと思います。なめすぎということはないでしょう。
      プレミアリーグ2位のマンチェスター・ユナイテッドファンですら「勝てる」とはいっていません。
      優勝できなければ「それ見たことか」という論調には疑問を感じます。

      以前のCLのバイエルン戦のように惨敗したのであれば、ELをめざすのは厳しかったといえるかもしれませんが、
      「準決勝は惜敗で、決勝に進んでいればリーグで1勝1分の相手と戦えた」のなら、
      勝てる可能性は充分にあったが届かなかったという評価だと思います。

      ましてや、アーセナルがELシフトしたのはリーグが厳しくなってからのEL準決勝のみです。
      直前のゲームのメンバーを見れば、プレミアリーグを勝ちにいっていたのは一目瞭然です。
      チームは、「ELメイン」などといっていなかったので、
      ELシフトで国内でのチャンスを失ったのではなく、単純に足りなかったのでしょう。
      「ELメイン、とか言ってるマインドセット」というのは、監督か選手か、誰を指していますか?
      チームの話とファンや評論家の意見を混同されているのではないかと思いました。

      「リーグで分が悪かったアーセナルとの決勝が実現したら盛り上がる」と楽しみにしていたので、
      この結果はとても残念です。惜しかった。今もなお、オーバメヤンやスミス・ロウの「たられば」が
      頭を巡っています。

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