イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

リアリズムと徹底の欠如、守れないプレミアリーグ勢~チャンピオンズリーグ初戦総括

52分、左サイドでボールを奪われ、イニエスタがボールをキープしたとき、ヤヤ・トゥレはピッチを歩き、コンパニは完全なるボールウォッチャー。背後を縦に走るメッシから完全に目を離していました。最初に気づいたデミチェリスが走り始めたときには、既にイニエスタの右足からスルーパスが放たれており、メッシはフリー、デミチェリスはたまらずファール!このシーンでは「相手ボールになったときにはいち早くメッシをチェックしなければならない」という、バルセロナと戦ううえでの鉄則をマンチェスター・シティは徹底できていなかったのです。必然の失点に、レッドカードというおみやげがついて、今季エティハドで猛威を奮い続けてきたマンチェスター・シティは撃沈しました。

マンチェスター・シティ 0-2 バルセロナ
アーセナル 0-2 バイエルン・ミュンヘン
オリンピアコス 2-0 マンチェスター・ユナイテッド
ガラタサライ 1-1 チェルシー

ホームではクリーンシートで勝ち、点をやってはいけない。アウェイでは得点を奪ってドロー以上に持ち込む」。これがホーム&アウェイの戦いにおいて、最も重要なことです。どんなことがあっても、チャンピオンズリーグでは2点獲られてはいけないのです。ミスによる失点は当然、ゼロ。トラブルがあっても1点まで。それが実現できなかったチームは、言い訳無用で欧州の舞台から退場を言い渡されます。

プレミアリーグ勢で合格点は、チェルシーだけでした。メッシにスペースを与えてしまったマンチェスター・シティ。ギブス負傷の後、60分も時間があったにもかかわらず、ついぞ左サイドに鍵をかけられなかったアーセナル。いたずらに引いてしまい、中央でフリーのミドルを打たせ続けたマンチェスター・ユナイテッド。チャンピオンズリーグ決勝トーナメントのファーストレグ、プレミアリーグ勢の苦戦をみるにつけ、各チームとも、90分のなかで「やられてはいけないこと」を修正・集中・徹底できなかったのが気になりました。特に大事なのは、守備の約束事の徹底です。守れないプレミアリーグ勢。レッドカード是非論争以前に、ロッベンやトマス・ミュラー、メッシを見失った時点で、アーセナルやマンチェスター・シティは、棺桶に片足を突っ込んでいたのだと思います。

私は、プレミアリーグのクラブには、総じて大きな課題が2つあると考えています。「守備戦術の緩さ」と「対戦相手の研究不足」。前者は、「ボールをどこで獲るかが曖昧」「スペースを埋めたり切ったりする守備ができない」ということ。今季のマンチェスター・ユナイテッドはむやみに自陣に引きすぎ、ミドルシュートに対して誰もいかないシーンが目立ちます。アーセナルでは、読みがよくてカバーリングができるのはフラミニとコシールニーのみ。以前はボールカット力を発揮していたアルテタは、今季は後手を踏むシーンが多く、スケールダウンしている印象。ウィルシャーは、チェイシングは一所懸命やりますが、ムラがあり、スぺースを消すクレバーな動きができません。

マンチェスター・シティのディフェンスは完全に個人力担保。前線のコンビネーションはあれだけシャープなのに、後ろはなぜ囲い込みや狙ったインターセプトができないのでしょうか。ペジェグリーニ監督の限界とは思いたくないので、DFラインのタレント不足と捉えておきましょう。元々ポテンシャルはあるはずのプレミアリーグ勢が、バイエルン・ミュンヘンやドルトムントのような「ハーフライン付近でのボール奪取&サイドを使った手数の少ない攻撃」、あるいは今季元気なセリエAのクラブのような「徹底的なスペースのつぶし込みとサイドでの囲い込み」ができれば、間違いなく欧州の上位にいけるはずです(もちろん今季、ここから巻き返す可能性はありますが)。

そしてもうひとつ、「対戦相手の研究不足」については、以前に「プレミアリーグの監督のなかで、相手に合わせて戦術を変えてくるのはモウリーニョ監督だけ」と書かせていただいたことがあります。プレミアリーグでは、それぞれのチームが自らの長所を前面に出して勝負してくることが圧倒的に多く、相手の弱みを突くことにも、自分のウィークポイントを攻められることにも慣れていません。ここは監督のポリシーやスキルによるところが大きいので、解決策が難しいのですが、ベップ・グアルディオラやユルゲン・クロップのドイツ勢や、スペインでもアトレティコ・マドリードのディエゴ・シメオネは相当いやらしいサッカーをしてきます。欧州を勝つことを本気で考えるならば、ベスト8以上では、昨季ドイツ勢がスペインの2強に自分たちのサッカーをさせなかったような「相手の強み消去」の戦術が必要になってくるはずです。

まだセカンドレグがあるので悲観するのは早いですが、チェルシーを除く3チームは崖っぷちに立たされました。そうはいっても、ヴェンゲル監督は百戦錬磨。ペジェグリーニ監督も稀代の戦略家で、マンチェスター・ユナイテッドには当たり出したら手がつけられないファン・ペルシとルーニーがいます。ファーストレグで曝された綻びを、どう改善して次戦に挑むのか。それぞれの監督の手綱さばきと、主力選手のチャンピオンズリーグに賭ける思いの強さに期待しましょう。(ディエゴ・シメオネ 写真著作者/Carlos Delgado)

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“リアリズムと徹底の欠如、守れないプレミアリーグ勢~チャンピオンズリーグ初戦総括” への2件のフィードバック

  1. ウィルシェア より:

    更新お疲れさまです

    ユナイテッドの監督にだけコメントすらないことが泣けてきますね……笑

  2. makoto より:

    ウィルシェアさん>
    ああ、バレちゃいました?(涙)

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