イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「いいサッカーより、勝利を!」…どうなるプレミアリーグ勢!? チャンピオンズリーグ準々決勝プレビュー

本日深夜がマンチェスター・ユナイテッド。翌日、チェルシーがチャンピオンズリーグの準々決勝を戦います。対戦相手は、バイエルン・ミュンヘンとパリ・サンジェルマン。言わずと知れた、欧州のトップクラブです。プレミアリーグの2チームは、4強に残ることができるのか、それとも昨季同様にベスト4に誰もいないという惨敗にまみれるのか。もちろん私は、マンチェスター・ユナイテッドのみならず、両者のベスト4入りを祈って万力込めて応援します。欧州最先端をいくサッカーなど、要らない。絶対に勝ってほしい、と。

今季の国内リーグで、バイエルンは無敗どころかドローすらわずか3つ。パリSGもひとつしか落としていません。両チームとも、ベースになっているのは堅いディフェンス。ブンデスリーガで28試合16失点のバイエルンは、主力のバトシュトゥバーが長期欠場中。穴を埋めるダンテ、ボアテングらは個の力はさほど高くないものの、SBやセンターMFとの連携度が高く、組織的な守備においては世界一でしょう。世界一といえば、GKノイアーの存在を忘れてはいけませんね。マンチェスター・ユナイテッドがいつものサイド攻撃を繰り返している限り、ゴールはおろか、シュートすらろくに打たせてもらえないのは間違いありません。

パリSGのディフェンスは、個人として世界一の呼び声高いCBチアゴ・シウヴァを中心とした「ブラジル代表のDF陣」。こちらも今季のリーグアンでは、31試合で18失点と鉄壁です。堅い守りから、一気に縦に攻め込み、イヴラヒモヴィッチ、カバーニ、ラベッシのうちの誰かが決める、という軸がはっきりしたチーム。DFラインを高く保つチームの裏をとるのがうまいチェルシーとしては、あまり戦いやすい相手ではないかもしれません。

マンチェスター・ユナイテッドもチェルシーも、中盤で圧力をかけられて自陣で攻防するシーンが多く、観るほうにとってはストレスがたまるゲームになりそうです。まともに正面からぶつかれば、守備力に長け、FWにワールドクラスを揃える敵の思うツボでしょう。となるとそれぞれ、どこに勝機を見出せばいいのでしょうか?

マンチェスター・ユナイテッドは、「ペナルティ脇のスペースに、香川真司やウェルベック(あるいはヤヌザイ)がどれだけ飛び出せるか」がカギになると思います。マタはチャンピオンズリーグには出られませんが、最近の彼らの勝ちゲームは、香川やマタが裏に飛び出し、そこにタイミングのいいパスが出た時が最大のチャンスです。外から長いクロスを出してもバイエルンのDFラインには怖がってもらえませんが、中盤でシンプルにつなぎながら、裏に入った香川真司、ウェルベックにフェライニ、フレッチャー、ルーニーからパスが出れば、バイエルンが混乱する可能性が上がります。「香川、ウェルベックの2トップにルーニーのトップ下」に見えるくらいまでの状況をいかに創れるか、でしょう。

守備に不安があるマンチェスター・ユナイテッドが、フィジカル重視・守備力重視のメンバー選択をしたところで、バイエルンとの守り合いを制するイメージはありません。ならば、攻めましょう。緒戦は本拠地、オールド・トラフォードです。先に点を獲れさえすれば、バイエルンのDFラインの裏にスペースができることは間違いありません。私としては「香川、ウェルベック、ヤヌザイがスタメンなら期待が高まって前のめり、バレンシアやヤングが入っていたら今季100何回めかのモイーズ幻滅」といったところです。

アウェイで戦うチェルシーは、モウリーニョ得意の「ペナルティエリア周辺埋め立て作戦」ですね。ラミレス、ダヴィド・ルイスらが中盤でイヴラヒモヴィッチに当ててくるボールをチェックし、スウェーデン代表のエースやカバーニとテリー、ケーヒルが1対1になるシーンを創らせないことが重要だと思います。相手の守備が堅いので、トップ下にはオスカルよりも、ミドルがあるウィリアンやランパードが入るほうがいいのではないでしょうか。パリで0-0、1-1、2-1までなら御の字。ホームで完封勝ちすれば勝ち抜けるスコアで、ロンドンに帰ってきたいものです。

冒頭にも書きましたが、最新のいいサッカーなど要りません。そもそもイングランドは、1970~80年代のリヴァプール、アストン・ヴィラ、ノッティンガム・フォレストや、2000年代のマンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、チェルシー、リヴァプールなど、チャンピオンズリーグ(古くはチャンピオンズカップ)でファイナリスト常連の時代でも、一度も時代の最先端をいくサッカーなどしていないんですよね。80年代前半はカテナチオとプラティニ、ボニエクのユヴェントス。後半は、オランダトリオやゾーンプレスのACミラン。90年代はクライフスタイルのバルサと、ギャラクティカ全盛のレアル・マドリード。2000年代からはポゼッションサッカーのバルサと、時代の先っぽは、いつもスペインやイタリアが握っていました

そんななかでも私がプレミアリーグを愛しているのは、シンプルでスピードがあってスリリングで、リーグ戦がいつもコンペティティブでとにかくおもしろいから(バルサのゲームは、2試合に1試合は間違いなく退屈なんです、なぜか)。そして、どんな時代でも、最先端のサッカーに振り回されながらも、勝負強いところを見せてきたからです。その意味では、番狂わせといわれた2004-05のリヴァプールも、ベタ引きで守っただけのラッキーな優勝といわれた2011-12のチェルシーも、素晴らしい勝利だったと思います(素晴らしいサッカーだった、とはいえないですね)。今回もぜひ、勝ってほしい。バイエルン・ミュンヘン戦では、今季ここまで苦しんできた香川真司のゴールとガッツポーズが観られれば最高です。モイーズ監督、バレンシアとヤングとウェルベック、などというチョイスはやめてくださいね。サイドから放り込むだけでは、今やプレミアリーグ最下位のフラムにすら勝てないわけですから。(ズラタン・イヴラヒモヴィッチ 写真著作者/Илья Хохлов)

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“「いいサッカーより、勝利を!」…どうなるプレミアリーグ勢!? チャンピオンズリーグ準々決勝プレビュー” への12件のフィードバック

  1. ACOLE より:

    チェルシーは2stレグがホームというのが大きいですよね、仰るとおり1点以上あげての1点差だったら負けでもなんとかなる気がします
    あとclだとマティッチは出れないのでたぶんルイス、ラミレスのコンビだと思います

    ただ、やっぱり一番の問題はエトーが欠場予定のCFだと思います、トーレスに期待するしかないのですが…そこはモウリーニョさんの策に期待です!

  2. スパーズ推し より:

    トーレスが伝説となったあの試合
    恐らく多くの人間がバルサ勝ち抜けを予想したはずです
    番狂わせがおこるのがCLの醍醐味でもあり、希望はあります

    チェルシーはレギュラーを固めつつあるマティッチを使えないのは痛いですね
    ラミレスにマティッチと同じレベルの守備を求めるのは厳しい気がします
    何よりも重要なのは、まさかの敗北からの切り替えです
    モチベーションは心配していませんが、先制されると一気に飲み込まれる可能性も否定できません

    再三、僕はパリサン優位と言っているものの、実はチェルシー側を応援しています(笑)
    プレミアが負けるのは悔しいし、
    何より僕が見たい試合はチェルシーのようなカウンターサッカーが
    バイヤンやバルサのようなパスサッカーをぶっ壊す試合
    パリサンに負けて敗退となってもらっては困ります

  3. londres nord より:

    ガナの戦い方を参考にすれば、ユナイテッドもいい線行けるかもです。リバプールとチェルシーみたいにPL5位以下でも、CLに優勝し、次のCLに出場するという3匹目の泥鰌が狙えるか!

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    OTに血の雨が降ることになるでしょう…

  5. makoto より:

    ACOLEさん>
    おお、マティッチ、そうでしたね。失礼しました。訂正させていただきます。CFはトーレスでしょう。まさかのアザール…いや、モウリーニョ氏がそれをやるイメージはないですね。

  6. パック より:

    スパーズ推しさん>
    同感です。チェルシーは、大量失点はないチームなので、初戦でお手上げ、という結果にだけはならなそうですが。

    londres nordさん> 
    マン・ユナイテッドは、まさしくリヴァプール、チェルシーに続け、ですね。

    プレミアリーグ大好き!>
    バイエルン血だらけ、ですよね?(笑)

    —–
    パリはカウンターも強力ですが基本的にはポゼッション志向の強いチーム。
    まあプレミアでいえばシティのようなスタイルですね。
    モウリーニョにとっては相性の良いタイプと言えるでしょう。
    ファンデルヴィール、マクスウェルの両サイドバックがどちらも守備に難があるのでそこを上手く突けるか。
    まあ非常に手強い相手ですから厳しい試合になるのは確かですね。

    ユナイテッドに関してはさすがにノーチャンスでしょう。
    守り抜くしか勝ち抜く術はないと思いますがユナイテッドの守備力ではちょっと難しいと思いますね。

  7. いっぱ より:

    確かに最先端でないチームの勝利は過去にもありましたが、今のユナイテッド程弱くなかったですよ。
    それに指揮官が有能でしたから…
    OTで簡単に負けてしまう今のユナイテッドに勝てる可能性はほぼ0でしょうね。

  8. makoto より:

    パックさん>
    パリSGは速攻、遅効と器用なチームという印象で、モウリーニョ監督が戦いやすいというイメージはなかったですね。「プレミアリーグでいえばマン・シティ」というのは同感ですが、彼らの特徴の捉え方が、パックさんと私で異なるのかもしれません。

    いっぱさん>
    マンチェスター・ユナイテッドの勝ち抜けに関しては、ほぼ願望オンリーです。「リヴァプールやチェルシー同様に」などというつもりもなく、「あやかりたい」ぐらいの神頼みですので、冷静に突っ込まれれば返す言葉がありません(苦笑)。

  9. 通りすがりのレッズサポ(1) より:

    サーの元で安定した強さを見せるユナイテッド
    鉄壁・高速カウンターで勝ち上がるチェルシー
    ベンゲルの元で魅力あるパスサッカーのアーセナル
    なぜかわからんが土壇場で強い(笑)トーナメントの鬼リバプール

    2000年代のCLはプレミア好きとして本当に面白かったです。
    2000年くらいからみ始めた者としてはCLでは常にプレミア勢が優勝して欲しいです(たとえそれがユナイテッドでもw

    スペシャルワンは相手の長所を消すことに関しては天下一品ですし、PSGには五分以上の戦いをすると踏んでいます。
    ユナイテッドはホームで夢を見せてくれると信じています。本当に頑張って欲しい。

  10. トマトソース次郎 より:

    チェルシーファンですが、トーレスは使ってほしくないです。本当にダメダメなんで…私はずっーとバを推してるんですが、なぜかモウさんは使わないので、どうせトーレスでしょうね…早く売ってほしい

  11. makoto より:

    通りすがりのレッズサポ(1)さん>
    非常に共感します。先ほど、ドローで終わりましたが、期待をつなげるいい試合でした。

  12. makoto より:

    トマトソース次郎さん>
    彼は終わってしまったようですね。寂しいです。

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