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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

2-1なら納得だったチェルシー…パリの刺客に決められた痛恨の追加タイムゴール!

チャンピオンズリーグ準々決勝ファーストレグ、プレミアリーグ勢2チームめはチェルシーです。エトー不在のなか、この日トップに入ったのは、F.トーレスでもなくデンバ・バでもなく、シュールレでした。中盤センターにはダヴィド・ルイスとラミレス。イヴラヒモヴィッチやカバーニに自由にさせず、前線でオスカル、アザール、ウィリアンが絡んでアウェイゴールをもぎ取ろうとするモウリーニョ監督の目論見は、試合が始まってすぐに崩れます。4分、パリ・サンジェルマン早くも先制!決めたのは、「第3の男」好調ラベッシです。開始早々から中盤で優位を築いたパリが攻め立て、マテュイディが上げた左からのクロスに対するテリーのクリアが短くなったところを、中央で受けて胸トラップからボレーで決めたスーパーゴール!左隅ぎりぎり、バーの内側を叩くようなシュートを打たれては、GKチェフでもどうしようもありません。

チャンピオンズリーグ準々決勝4試合のなかで、いちばん実力が拮抗しておりスリリングといわれたこのゲーム。私は、両者とも縦への速さで勝負するべく、引き気味の中盤で相手を待ち受け、獲ったら少ない手数でゴールを狙っていくようなゲームをイメージしていたのですが、ホームチームがリードしたことで、チェルシーが一方的に攻め込む展開になります。それにしても、パリ・サンジェルマンは引きすぎましたね。カバーニがゴールライン際まで戻ってくるような守備を見せ、完全なるハーフコートマッチです。

8人で壁を作るような守備にチェルシーは手を焼き、19分にドリブルで持ち込んだダヴィド・ルイスの左足ミドルもGKシリグの正面。パリの攻撃はカウンターしかないものの、24分、イヴラヒモヴィッチの完璧なスルーパスをもらったラベッシが左から持ち込み、シュートがサイドネットを襲ったシーンは迫力充分。早すぎるビハインドにゲームプランの変更を余儀なくされたモウリーニョ監督のチームは、ボールを持たされて攻めあぐみ、このまま苦戦が続きそうな雲行きです。

ところが25分、パリ・サンジェルマンに痛恨のミス。右からペナルティエリアに侵入してきたオスカルをチェックしたのは大黒柱のCBチアゴ・シウバ。彼が出した足は明らかに遅く、縦に出ようとしたオスカルの足元に深く入ってしまいます。チェルシーにPK!この願ってもないチャンスを、アザールがGKの動きの逆をついてゴール左に冷静に決め、1-1。プレミアリーグでは、本拠地スタンフォード・ブリッジで無敵を誇るチェルシーにとって、貴重なアウェイゴール。幸先のいいスタートを切ったパリでしたが、これで一気に厳しい状況に追い込まれました。

同点となって、いま一度ラインを上げてきたホームチームは、ラベッシがひとり好調です。31分、ジャルのクロスを受けて振り向きざまに放ったシュートは惜しくもチェフの正面。一方のチェルシーはやはりアザール。39分、ウィリアンの右からの浮き球を、ファーサイドで捉えた左足ボレーは右ポスト直撃!両者チャンスを創るものの追加点には至らず、前半は1-1のまま。予想通り、拮抗したゲームは後半勝負となります。

後半に入り、ゲームの主導権を握るのはパリ・サンジェルマンですが、崩し方にバリエーションがなく、チャンスになるのは遠めからのクロスのみ。51分、マテュイディのクロスをラベッシがヘッドでピタリと合わせますが、これはわずかにゴールの上。イヴラヒモヴィッチとカバーニは影が薄く、チェルシーは攻め込まれているものの、1対1で間合いを詰め、クロスの出所にしっかりプレッシャーをかけられれば失点することもなさそうです。ゲームは一進一退の攻防。両者ともシュートチャンスを創れないまま、時計は60分を回ります。

こういう試合は、一発のセットプレイで決着がつくことがよくあります。パリ・サンジェルマンの勝ち越しゴールは、絶妙なFKから生まれました。蹴ったのは、またもやラベッシです。左サイドからカーブをかけて、GKチェフとFWの間に落ちていくボールにチェルシーの守護神は触れず。そのまま見送ってもゴールに入っていたと思われる弾道に、無理とわかりながらもダヴィド・ルイスは足を出さざるをえませんでした。結果はオウンゴールですが、これもまた背番号22のアルゼンチン人FWのお手柄。2-1となって、さらに攻め込もうとするホームチームでしたが、63分に痛いアクシデント。センターサークル付近で突然倒れ、太腿の裏を押さえて動けなくなったのは、ズラタン・イヴラヒモヴィッチでした。

大黒柱を失ったルーカス投入後のパリ・サンジェルマンは、カバーニが中に入って得意の切り返しからのシュートでチェルシーを脅かします。対するチェルシーは、シュールレに代わって入ったF.トーレスが大ブレーキ。チャンスの芽はことごとく彼のところでつぶれてしまいます。攻撃で目立つのは、再三にわたって右サイドを突破するSBイヴァノヴィッチとウィリアンぐらい。もう1点、どちらかに入るとすれば、シュートまで持ち込めているパリのほうでしょう。

戦略家同士の対決でしたが、この日は采配でもパリ・サンジェルマンのローラン・ブラン監督の勝ちでした。85分、元フランス代表キャプテンの知将がラベッシに代えてさりげなく忍び込ませた刺客は、これもアルゼンチン人のハビエル・パストーレ。2-1なら納得であっただろうモウリーニョ監督の表情を硬くさせたのは、追加タイムで見せた彼の単独ドリブルでした。アスピリクエタをあっさりかわし、ランパードを抑えてゴールライン際から中に入ったパストーレは、テリーも足元に飛び込ませずに、ニアを狙って強烈な左足シュート。パリ・サンジェルマン、大きな大きな3点め!これでアウェイでは、2点獲られなければOKです。

「1-0でならいつでも勝てる」とうそぶくモウリーニョ監督は、このところプレミアリーグの中位以下を相手に2度も0-1を喰らっていますが、果たして2点のノルマを達成できるのでしょうか。トッテナムから4点、アーセナルからは6点を奪っている攻撃陣ではあるので、着火剤をどうするのかが最大の悩みどころです。それにしても、最後の1点は痛かった!3-1、微妙なスコアですね。イヴラヒモヴィッチが間に合いそうにないのは悪くないニュースではありますが、チェルシーもラミレスが累積警告でアウトです。モウリーニョとブランは、どんな手を打ってくるのでしょうね。次戦のスタメンに注目です。

アウェイで勝利か2点ゲット以上のドローが必要となったマンチェスター・ユナイテッドともども、プレミアリーグ勢にとって、来週のセカンドレグは厳しいステージとなってしまったようです。ここは両者ともに4強進出していただいて、スペイン勢との一騎打ちを観たいのですが…。(エセキエル・ラベッシ 写真著作者/Steindy)

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“2-1なら納得だったチェルシー…パリの刺客に決められた痛恨の追加タイムゴール!” への6件のフィードバック

  1. チェルシー より:

    更新お疲れさまです

    ほんとに最後の失点はいりませんでしたね(^^;
    一点目はクリアミス、二点目も不用意なファールからとちょっともったいなかったですね
    攻撃陣も少しクオリティ不足でしたが

    マティッチが使えない中ラミレスが累積なのは痛いですがスタンフォードブリッジで2-0は不可能ではないので期待ですね

    夏にカバーニ辺り来ないかな…

  2. スパーズ推し より:

    プレミア勢、苦しいですね^^;

    スタンフォードで2-0は、不可能なミッションではないと思いますが
    パリサン相手では、難易度は高いと言わざるを得ません

    次戦に臨む状況ですが、イブラ離脱が実はそれほど大きく響かないのではないかと見ます
    カバーニをトップに据えて、ルーカスを先発させればほぼ問題なし
    イブラがいなくなることで失われる創造性はボランチのメンツをいじったりして調整してくると思われます
    (そこら辺の調整が上手いのがイタリア人監督)

    逆にラミレス不在がかなり痛いorz
    ランプスを使うのがベストだと思いますが
    90分フル稼働は不可能
    よってミケルを使うしかありませんが……
    ミケルを使って上手くいくイメージが湧かないorzorz

    状況だけを見れば、ユナイテッドより苦しいですね
    モウマジックかアザール無双のどっちかが無いと詰みますね
    いや、こういう時こそ王子の出番か‼︎(笑)

  3. makoto より:

    チェルシーさん>
    1点めが痛かったですね。それでもおっしゃるとおり、2-0は、守備のミスさえなければ普通にいける範囲なので、来週に期待しましょう。カバーニは、出たがってるみたいですので、ぜひ。

  4. londres nord より:

    CLとリーグ1合わせて2敗しかしていないPSGに、3-1は辛いとこです。CLで唯一負けたベンフィカ戦、マティッチが出てましたね。
    2-0で勝てば、勝ち抜けですが、モウさんの戦略が見物です。
    ブランはフランス人ですよ~ ユナイテッドに彼の選択肢はなかったのか? そういえばユナイテッドにUK出身者以外の監督いませんね。

  5. makoto より:

    スパーズ推しさん>
    チェルシーの真ん中は、ランパードとダヴィド・ルイスじゃないでしょうか。パリのイヴラヒモヴィッチ不在は、相当痛いんじゃないですかね?彼が調子が今ひとつの試合は辛勝ばかりで、欠場していたベンフィカ戦でも負けてますし。中盤から一発で彼にぶつけてこないとわかってるだけでも、チェルシーの中盤の負担は軽くなると思います。

  6. makoto より:

    ブランはOBではありますが、リーグアンとフランス代表でしか監督経験がありません。国外の大規模クラブで多くの関係者を仕切ったり、一線級の外国人選手だらけのチームを束ねたりしたことがないので、マンチェスター・ユナイテッドの監督は厳しかったでしょうね。昨夏の判断ということでいえば、プレミアリーグを知っているという1点で、まだモイーズの方が一日の長あり、となっていたと思います。

    マン・ユナイテッドに英国系の監督しかいないのは、前任者の任期があり得ないくらい長く、外国人監督がプレミアリーグに大勢入ってくる前からいたから、だけの理由かと思われます。

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