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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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悔やまれる最後のノーマーク…マンチェスター・シティの執念は実らず、バイエルンが劇的勝利!

マンチェスター・シティは、チェルシーと並んで「プレミアリーグ2強」だと思います。2強がそのままワンツー着地に終わらないのが、サッカー、ひいてはスポーツのおもしろさですが、プレミアリーグの各クラブのレーダーチャートを作ったら、面積の大きいのは青いクラブでしょう。しかし、この試合の前半戦のMVPをマン・シティから選ぶとすれば、GKジョー・ハート。もうひとり入れるとしても、前の選手ではなくバカリ・サニャ。会場がバイエルン・ミュンヘンのホーム、アリアンツ・アレナであることを考慮しても、明らかにドイツチャンピオンとプレミアリーグ王者の間には差がありました。開始わずか40秒で、完全に裏に抜け出したトマス・ミュラーがGKジョー・ハートまでかわし、わずかにシュートをそらしてサイドネットに当てた瞬間、「大変な試合が始まった」と身震いしました。他会場ではローマが前半だけで4-0とCSKAモスクワを圧倒している「死のグループ」の初戦です。

バイエルン・ミュンヘンがボールを持つと、自陣中央より後ろに8人が完全に引いているマンチェスター・シティ。12分にはダヴィド・シルヴァの縦パスから、左サイドをジェコが突破しクロスをGKノイアーにセーブされるチャンスはありましたが、バイエルンの厚みのある攻撃に、ここから80分は守備に忙殺され、攻撃は少人数になることを覚悟しないといけません。13分のレヴァンドフスキの抜け出しはサニャがかろうじてカット。18分には左から上がったSBベルナトのクロスがトマス・ミュラーの頭にぴったり合い、GKジョー・ハートがビッグセーブで先制を阻止します。そして直後の21分、右のラフィーニャからのパスをサイドで受けたトマス・ミュラーが、今度はチャンスメーカーとなってラストパス。中でボレーを放ったのはゲッツェでしたが、GKハートが右にダイブしてこれを止めます。

30分にはアラバの左足ミドル。31分にはゲッツェがまたも強烈なシュートを枠に打ち込み、ジョー・ハートはひと息つくひまがありません。35分にはアラバのスルーパスからレヴァンドフスキーがGKと1対1になりますが、イングランド代表GKがうまくコースをつぶすと、シュートはミュラーと同様にサイドネット。バイエルンの攻撃のポイントは、中央のぶ厚さと選手同士の絶妙な距離感にあります。

サイドアタッカーとSB、ときにセントラルMFで数的優位を創りながらサイド攻略を仕掛けるプレミアリーグ勢と違い、ドイツチャンピオンのサイド攻撃は、左右のベルナト、ラフィーニャが1枚ずつのケースが目立ちます。中央で崩せなかったらサイド、あるいは中央に敵のDFを寄せて、空いたらサイド。ラーム、アラバ、ゲッツェ、トマス・ミュラー、レヴァンドフスキーがポジションを変えながら適度な距離を取り、パスを動かしてスペースが空いたら一気に裏をつく中央からの攻撃は、昨日ガナーズに快勝したドルトムントでも手を焼くでしょう。この日のマン・シティのSBは、サバレタ・コラロフの「攻撃セット」ではなく、クリシー・サニャの「堅実セット」。サイドのケアを彼らにまかせて、中の守備に人数をかけたことで前半を0-0で終われたと考えれば、プレミアリーグ王者の選手起用は成功だったといっていいでしょう。

後半に入ると、大きな変化が2つありました。ひとつは、バイエルン・ミュンヘンの運動量が目に見えて落ち、中央から裏を狙う攻撃が減ったこと。そしてもうひとつは、前半は完璧だったジョー・ハートが、クロスかぶりとファンブルの大安売りとなり、コンパニとデミチェリスのフォローを仰ぐようになったことです。51分のラームのミドル、54分のゲッツェのシュートまでは前半と同じペース。しかし57分、マンチェスター・シティがナスリを諦め、ミルナーをセントラルMFに据えてヤヤ・トゥレを2列目に上げると、ここからバイエルンがペースダウンします

ピンチは59分と60分にジョー・ハートが立て続けにクロスにバンザイした2回のみ。逆に62分、ヘスス・ナバスのクロスにダヴィド・シルヴァがダイビングヘッドを狙ったシーンは、惜しくも届かなかったものの、アウェイチームが最高にゴールに近づいた瞬間でした。70分にラフィーニャのミドルをハートがファンブルするも、詰めたトマス・ミュラーのシュートはGKに当たります。残り20分、0-0。そろそろ両チームのベンチがドローを意識し始め、切り札の使い方を考える時間です。

マンチェスター・シティはジェコをアグエロ。ホームで勝たないといけないバイエルンはトマス・ミュラーをロッベン、ラフィーニャをピサーロの攻撃モード。そういえば、この試合には、ロッベンもリベリーもいなかったのですね。ドリブルからファールを誘ってFKのチャンスを創るロッベンに対し、アグエロはノーチャンス。時間は88分、ボアテングのシュートはハートがCKに逃れ、バイエルン・ミュンヘンは総攻撃にギアチェンジします。

CK、クリア、拾ったロッベンからラーム、再度クロス、ピサーロが拾って混戦とボールが動いている間、ゴール左にいたボアテングはずっとフリーで、シュートを打ちやすいポジションを探していました。ピサーロからペナルティエリア角にボールが落とされた瞬間、はなからシュートを狙っていたボアテングは迷わず右足アウトにかけたミドル!1-0、ついに均衡が破れました。マンチェスター・シティに反撃の手立てはありません。あと数分我慢すれば、勝ち点1という期待通りの結果を手に入れられたプレミアリーグ王者は、最後にミドルシュートレンジでマークを外し、90分の奮闘を無にしてしまいました。

負けはしたものの、マンチェスター・シティの健闘を称えたいと思います。エティハドでは、裏に入ってくる選手のケアさえできれば、逆の結果でゲームを終えることも充分可能でしょう。しかし、その前に大事なのは、次戦、ホームのローマ戦で勝ち切ることです。ブンデスリーガ勢に勝てないのは、プレミアリーグファンとして悔しい限りですが、上ばかり見ていると、セリエAの試合巧者に寝首をかかれる結果になりかねません。しかし、強いですね。バイエルンも、ドルトムントも。(ジェローム・ボアテング 写真著作者/Michael Kranewitter)

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“悔やまれる最後のノーマーク…マンチェスター・シティの執念は実らず、バイエルンが劇的勝利!” への2件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    ヤヤトゥレを諦めてシルバをトップ下に残せば
    シティは防戦一方にならずに済んだのでは?
    と感じました。
    とはいえバイエルン強かったですね(笑)( ̄▽ ̄;)

  2. makoto より:

    ヤヤは元気なかったですねー。
    自分もヤヤは早めに諦めたらいいのにと思いました。
    まー、プレミアでの活躍とか見てたら、そう簡単にはいかないでしょうけど。

    絶好調ヨヴェティッチが怪我せずそのままの勢いで出て欲しかったです。

    —–
    プレミアリーグ大好き!さん ご さん>
    ヤヤ・トゥレは、昨季の迫力がありませんね。これから上がってくるのかもしれませんが。

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