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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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決定力と組織力の差…リヴァプール久しぶりの欧州トップへの挑戦は、容赦なき0-3完敗!

昨季のプレミアリーグで優勝争いを演じていた頃から、こういう試合を観たいと思っておりました。ロジャース監督のリヴァプールが、欧州でどこまで戦えるのか、と。チャンピオンズリーグ・グループステージ第3節。欧州王者のレアル・マドリードをアンフィールドに迎えるという晴れ舞台に、ダニエル・スタリッジがいないのは残念ですが、アウェイチームもガレス・ベイルを欠いており、このふたり以外はともにベストメンバーといっていいでしょう。ゲームは、静かな立ち上がり。7分にクリスティアーノ・ロナウドが左から中にドリブルで入ってミドルシュートを放つと、リヴァプールも10分にジェラードが中央からロングシュート。両者ともシュートが少なく、ここからしばらくは中盤でのせめぎ合いが続きます。

20分までは、リヴァプールはうまくゲームを進めていたと思います。守りに入った時の選手間の距離が適切で、誰かが抜かれてもすぐカバーに入れる状態。クリスティアーノ・ロナウドとマルセロの強力な左サイドに突破を許さず、左目の上を切って絆創膏を貼っていたハメス・ロドリゲスは消えていました。攻撃では、スターリングが前線に張り出し、バロテッリとの2トップともいえる布陣。前のふたりがDFとDFの間に入ってパスを受けるシーンが何度かあり、ラストパスさえ正確であれば、シュートを打つ場面は創れそうでした。

しかし23分、舞台は突然暗転します。この試合で初めて、クリスティアーノ・ロナウドが中に入ったシーン。背番号7がハメス・ロドリゲスにはたいて裏に走ると、リヴァプールの選手はハメス・ロドリゲスに当たるか下がるかの判断が曖昧になり、縦への浮き球一発で3人が無力化されます。デヤン・ロブレンがいるべきスペースに入り込んだクリスティアーノ・ロナウドは、シュクルテルの寄せより一瞬早く右足にボールを引っかけ、パスのようなシュートがミニョレの右手の先を抜けていきます。0-1となると、レアル・マドリードの中盤と最終ラインにより隙がなくなり、リヴァプールは完全に攻めの糸口を失いました。30分、CKから組み立て直したレアル・マドリードは、左サイドからのトニ・クロースのクロスに、ファーサイドで2人フリー。頭上を越されたグレン・ジョンソンの裏から、ふわっと浮かせたシュートを左のサイドネットに沈めたのはベンゼマでした。

前半のうちに差を詰めておきたいリヴァプールでしたが、中盤ではボールをつなげるものの、最終ラインに入ったボールが必ずつかまり、遠めからのシュートにしか活路を見出せません。バロテッリのミドルが外れた後の41分、アンフィールドのサポーターを絶望させる3点めが入ります。CKからペペが粘って放ったシュートがミニョレに当たると、こぼれ球をプッシュしたのは、またもベンゼマ。前半終了間際にコウチーニョのシュートがポストを叩いたのが、リヴァプールのこの試合における最大のチャンスでした。0-3でハーフタイム。せめて2点差なら、次の1点次第で勝負はわからなくなりますが、この日のレアル・マドリードから3点は無理でしょう。

後半、ロジャース監督はバロテッリを諦め、ララナを投入。パスの出し手を増員して、攻撃の活性化を図ります。キックオフからしばらくは、左サイドで数的優位となり、何度かゴールに迫るシーンを創りますが、やはりラストパスはことごとくレアル・マドリードの守備網に引っかかります。49分のハメス・ロドリゲス、56分と61分にはクリスティアーノ・ロナウドと、ミドルシュートを放ったときのボールの乾いた音がするのは、リヴァプール陣内のみ。63分にはゴール前でDFと入れ替わったクリスティアーノ・ロナウドがミニョレと1対1になりますが、バロンドールが珍しく至近距離からのシュートをGKにぶつけてしまい、4点めはなりません。

65分、ロジャース監督はエムレ・カンとマルコヴィッチをピッチへ送り出しますが、この交代は同点をめざしたというより、今後のプレミアリーグやバーゼルとの決戦のために、新加入の若手に場数を踏ませたという色が濃いでしょう。クリスティアーノ・ロナウド、ハメス・ロドリゲス、ベンゼマといったワールドクラスにボールを預ければ、2~3人でシュートまで持ち込めるスペインの強豪は、守備の人数を確保しながらセーフティーに時間をつぶします。71分にララナ、スターリング、マルコヴィッチが絡んでゴール前に迫った攻撃が、リヴァプールにゴールの匂いがした最後のシーン。マルコヴィッチに当たったシュートが弱々しくポスト左に外れ、オフサイドを告げる副審の旗が上がると、ホームチームは万事休す。レアル・マドリードはこれで充分とばかりに試合をたたみ、0-3でフィニッシュです。リヴァプールにとって久しぶりの欧州トップレベルへの挑戦は、クリーンシートでの完敗という無残な結果に終わってしまいました。

スコアほどの差は感じられない試合展開でしたが、前線の個人技とDFラインの安定感に代表される圧倒的なチーム力の差を数字で表現すれば、0-3は妥当だったようにも思います。次戦、サンチャゴ・ベルナベウでのリターンマッチは、スタリッジは間に合わずベイルは復帰という、より苦しいメンバリングになる見通し。リヴァプールはアウェイとなれば、今日以上に後ろに引かされそうですが、彼らは敵陣にスペースがあるゲームのほうが、存外戦えるかもしれません。

試合が終わってみて、「スカイスポーツ」でジェイミー・キャラガー氏が語っていたレアル・マドリード対策は的確な分析だったなと思いました。「私ならラヒム・スターリングを最前線の真ん中に置く。彼は前からプレスをかけることができるし、カウンターを狙う状況になれば適任だ。その際はバロテッリは外すだろう。彼の代わりにフェリペ・コウチーニョを使いたい」。直近のプレミアリーグでQPRに競り勝ったときの後半終了間際の攻撃のように、スターリングやコウチーニョが裏のスペースに走ったところにロングボールを合わせられれば、むしろ敵地での次戦はおもしろい勝負になりそうです。

バーゼルがルドゴレツに負けたため、グループBはレアル・マドリード以外の3クラブが1勝2敗で並ぶ混戦となりました。リヴァプールは、欧州王者に連敗しても、ルドゴレツとのアウェイ戦をドローで切り抜け、ホームでバーゼルに勝てばグループステージを突破できるでしょう。とはいえ、次戦はレアル・マドリードから何とか勝ち点をもぎ取ってほしいですね。キャラガー先生ご推奨の、スターリング、コウチーニョを中心としたカウンターに期待したいと思います。

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“決定力と組織力の差…リヴァプール久しぶりの欧州トップへの挑戦は、容赦なき0-3完敗!” への5件のフィードバック

  1. リバサポ より:

    ここ最近の試合では一番パフォーマンスは良かったように思えます。リーグでもこれぐらいできれば下位チームにとりこぼしがなくて良いのですが。久々にロナウドやモドリッチ、アルベロアが見れて懐かしかったです。

  2. MILKY より:

    更新お疲れ様です。いや、完敗でしたね。コウチーニョがいい日でこの差となるとやはり連携も含めた実力にかなり差があるのだと思います。スタリッジに依存せざる負えないですが彼が帰ってきた時にアウェイでどのくらい通用するのかも改めて楽しみになりました。

  3. 廿いマスク より:

    完成度が違いすぎる…
    レアルの選手たちは判断スピードがものすごく速かったです。
    とりあえず今年はグループリーグ突破が目標ですね。

  4. Macki より:

    今回は完敗でしたが、パフォーマンスはここ最近では一番良かったと思います。
    この結果はある意味妥当かと思います。
    管理人ご指摘の通り組織力、決定力の差が出たゲームかと思います。
    2位争いは混沌として来たので、これかの折り返しのゲームで
    どれだけ勝ち点を拾えるかですね。サンチャゴベルナベウでドローであれはVery Goodだと思います。

  5. makoto より:

    リバサポさん Mackiさん>
    そうですね。チームとしての出来は、最近のなかではいちばんでしたね。完全に崩されたのは前後半1回ずつぐらいで、マークの受け渡しや選手同士の距離感、カバーリングもスムーズだったのではないでしょうか。

    MILKYさん 廿いマスクさん>
    レアル・マドリードはとにかくプレイが早かったですね。とはいえ、バーゼルが負けてくれたので、ルドゴレツに負けなければ、グループステージ突破はいけそうな雲行きですが、マドリードからアウェイで勝ち点を獲れれば盛り上がりますね!

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