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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

チェフのビッグセーブが呼び込んだ終盤の2発!狙い通りの展開でガナーズがバイエルンに完勝!

最近5戦という切り取り方をすると、2勝1分け2敗というイーブンの戦績。アーセナルにとって、バイエルン・ミュンヘンは決して分が悪い相手ではありません。とはいえ、あちらはブンデスリーガで9連勝のぶっちぎり首位。こちらはプレミアリーグ2位で、勢い、クオリティとも差があるように感じられます。エミレーツでのチャンピオンズリーグ・グループステージ第3節。ガナーズは底力を見せられるのでしょうか。ガブリエウが戻ってきていないチームは、先週末、0-3で快勝したプレミアリーグのワトフォード戦とまったく同じメンバーです。

開始3分、ベジェリンの突破はオフサイド。チケットの値段の高さに抗議して、最初の5分をボイコットしていたアウェイサポーターが入場するまでは静かな試合でしたが、7分にアレクシス・サンチェスのパスからエジルが右足のシュートを放ち、ノイアーがぎりぎりでセーブします。11分、レヴァンドフスキとのワンツーからチアゴ・アルカンタラが狙った一撃はやや中に入り、チェフがビッグセーブ。両GKの素晴らしいプレイで、0-0の均衡は崩れません。バイエルンの攻撃は、左のドゥグラス・コスタのドリブルと、シャビ・アロンソやビダルから入る縦への速いパスが要注意です。アーセナルは、トップのウォルコットまでが自陣にこもってカウンター狙い。19分、アレクシス・サンチェスが仕掛けたカウンターは、バイエルン守備陣の戻りが速く、ウォルコットにつながりません。

28分、アーセナルのマークが緩くなった隙を突いたビダルのミドルシュートはチェフがセーブ。直後にワンツーからDFの間をすり抜けたウォルコットのシュートはコントロールを失いました。ノイアーのミスで得たCKから、アレクシス・サンチェスが振り抜いた右足は、バーのはるか上に打ち上げてしまいます。ここまでは形勢はまったくの互角といっていいでしょう。

32分、アーセナルにビッグチャンスが到来しました。アレクシス・サンチェスとのコンビで左を上がったモンレアルのクロス。ボールは中でノーマークだったウォルコットにぴったりでしたが、ノイアーの信じられない反応でゴールならず、こぼれ球を次々と狙ったラムジー、アレクシスも決められません。最後の15分は、バイエルンの勝負のパスをことごとくさらい、速攻でいい形が創れていたアーセナルの時間帯が続きましたが、フィニッシュがどうしても決まらず。41分にアレクシス・サンチェスの危険なパスミスを拾ったドゥグラス・コスタも枠に収められず、前半は0-0で折り返します。アーセナルのポゼッションは、何と31%でした。

セカンドハーフ開始直後のバイエルンの攻勢は実らず、前半同様にバイエルンがパスをまわしながら隙をうかがい、アーセナルは直線的な攻撃で対抗する展開です。56分、ガナーズにアクシデント。相手の左サイドを抑えていたラムジーがハムストリングをやってしまい、代わって入るのはプレミアリーグでもマークを外すシーンが多いチェンバレンです。58分、エジルのグラウンダーをコクランが狙うもわずかに右。ガナーズの最終ラインは読みがよく、シュートにしっかり対応できているものの、アレクシス・サンチェスが自陣でドリブルを狙われるシーンが多いのが気になります。

残り20分、グアルディオラ監督が2枚代え。ビダルとシャビ・アロンソを下げてキリッチとラフィーニャ。アーセナルのサイドをいじめようという用兵でしょう。ガナーズは、ウォルコットを諦めジルーを投入。エジルやベジェリン、チェンバレンから長いボールが真ん中に入るシーンが見られるかもしれません。73分、バイエルンのカウンターが発動し、レヴァンドフスキの絶望的なシュートがゴールを襲いますが、チェフが左手に当てる素晴らしいセーブ。直後のトマス・ミュラーのシュートはポストすれすれ、わずかに左です。アウェイチームが均衡を破るかと思いきや、先制はアーセナルでした。右からのFKに飛び出したノイアーが触れず、ボールを見ずに体当たりで突っ込んだジルーがヘッドに当てる泥くさい一発!エミレーツのグーナーのチャントは、ひときわボリュームアップしています。

83分のCKで、一瞬空いたジルーのヘッドはノイアーの正面。残り5分、プレミアリーグ2位が、欧州最強奪還をめざすチームをリードしています。バイエルンは、速い縦パスがつながらなくなりました。チアゴのシュートはチェフが難なくさばきます。92分、レヴァンドフスキが抜け出しかけるピンチも、コシールニーが追いついてつぶしました。残り1分、ガナーズの勝利は目前です。

このゲームには、最後にもうひとつ、ドラマが待っていました。殊勲者は快速を飛ばしてインターセプトに成功したベジェリン。右からペナルティエリアに侵入した右SBは、中央に入ったエジルにラストパス。エジルの左足はノイアーが弾き出しましたが、ボールはゴールラインを越えていました。2-0、クリーンシート!無敵を誇るバイエルン相手に、アーセナルがポゼッション32%で狙い通りの勝利を収めました。

エジル、コシールニー、コクラン、ベジェリン。そしてもうひとり、ヘディングシュートは叩きつけるものだとウォルコットに教えてくれたジルー。軸となるキーマンが期待に応えるプレイを見せてくれましたが、最高だったのはチェフです。ノイアーもいいプレイをしておりましたが、勝負を分けたのはGKの判断の差と、采配でした。2枚代え以降、バイエルンの攻撃は精度を欠き、レヴァンドフスキの突破力以外に攻め手を失ってしまいましたが、ヴェンゲル監督の「ペップ対策」ともいうべき守備網は、最後まで崩れませんでした。

プレミアリーグ勢の不振が目立っていた今季のチャンピオンズリーグで、やっと胸のすく勝利に出会えました。チェフが完封した相手は、コミュニティシールドのチェルシー、プレミアリーグのリヴァプールとマンチェスター・ユナイテッド、そして今回のバイエルンと錚々たる顔ぶれ。百戦錬磨の守護神が、今季のガナーズを今まで見られなかった世界へ連れていってくれるかもしれません。(ペトル・チェフ 写真著作者/lawrence woolf)

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“チェフのビッグセーブが呼び込んだ終盤の2発!狙い通りの展開でガナーズがバイエルンに完勝!” への9件のフィードバック

  1. ぐーなー より:

    アーセナルやってくれましたね。

    守備をしっかり固めてボールを奪ったら直線的な攻撃をする。ペップバイエルンに対して考えられる一番効果的な戦い方をできたのではないかと思います。

    ジルーは素晴らしいですね、途中出場でもふてくされずに結果を残しボールを収めチェイスもサボらず。

    キーパーの重要さを感じた試合でした。優れたGKは一流のFW、いやそれ以上にチームへ貢献してくれるのですね。
    主さんのおっしゃる通りチェフはアーセナルを1つ上のステージに連れて行ってくれそうです。

  2. 実はグーナー より:

    いまだに興奮してます
    最高に面白い試合で最後のベジェリンのあれには感動しました
    現地のグーナーは今ごろ最高の酒を飲んでるんでしょうね
    うらやましいw

  3. ぐなきち より:

    更新お疲れ様です。
     
    前半ベジェリンがDコスタに躱されてしまうことが多く、ヒヤヒヤしていたのですが、何故再度を入れ替えたのでしょう?スピードで振り切れないと考えモンレアルを狙ったのでしょうか。アレのお蔭でベジェリンは快速をカウンターに使うことが出来たのだと思います。正確なフィードで効いていたアロンソを下げたのも采配ミスなのかなと思います。

    何はともあれ、まさか2-0のクリーンシートとは・・・何度も叫んでしまいましたw
    正確なパスに重点を置いたコクランに感動し、後半からのジルーのフィジカルとキープ力に脱帽し、盛りだくさんでした。あとはラムジーの怪我が軽度な事を祈っています。
    BPLではラムジー抜きだとかなり心配ですし・・・

  4. デリック より:

    曲者ミュラーをモンレアルが消せたってのも素晴らしかったですね!ベップバルサと対戦した時もポゼッションはこんな感じでしたが、チャンスの数は相当増えましたね!エジルの存在がデカイと思います。
    ノイアーのセーブも凄かったですがおっしゃるとおり叩きつけず一番取りやすいとこにヘディングしたウォルコットは大反省ですね。

  5. グローリーグローリー より:

    アーセナルおめでとうごさいます!先日エミレーツでボコボコにされたチームのサポーターとしては、あれだけ強かったアーセナルがそう簡単に負けるはずはないと思ってました。アリアンツアレーナでも今日のような試合期待しています

  6. 新参 より:

    ぐーなーさん>
    ゲームプランの勝利でしたね。地味ながら、モンレアルも素晴らしかったと思います。チェフには感動しました。GKが欧州トップクラスというのは、それだけでも大きな武器です。

    実はグーナーさん>
    明け方なのに、奪った瞬間からゴールまで叫びとおしてしまいました。防音完備の家にしてよかったです。

    ぐなきちさん>
    ペップの采配がことごとく外れた試合でしたね。モンレアルのサイドのほうが崩しやすいとふんだのでしょうが、おっしゃるとおり、ベジェリンの攻撃を手伝ってしまう結果となりました。ジルーのポストプレーは名人芸、プレミアリーグ屈指ですね。

    デリックさん>
    そうなんです。ウォルコット…。待って合わせたヘディングだったのでなおさら、ジルーとアレクシス・サンチェスなら間違いなく足元に叩いていたと思います。

    グローリーグローリーさん>
    同じ気持ちです!こんなときぐらいは、調子に乗って軽いことをいわせてもらえればと思います。「アウェイでも食っちゃえ!」と。

    —–
    どこにでも負けるが、どこにでも勝てるチームとアーセナルを評していた人が掲示板にいらっしゃったのですが、その通りだなと思いました。

    自分たちのサッカーを過信して無策で臨むと負け、明確なプランを持って戦うと勝つ。過信することなく、アウェイでは謙虚にプランを持って勝ち点3をもぎ取ってほしいです。

  7. パチ より:

    サイドを入れ替えたりアロンソを下げるという采配ミスが勝負を分けたとはいえ、そこまで集中力を切らさなかったアーセナルは素晴らしかったですね。
    何度も言ってしまいますけどチェフはさすが!思っていたとおりアーセナルを一段上に上げてくれそうですね。

  8. カズベイ より:

    93分のチェンバレン外したときはなにやってんだー思ったけどみんな集まってきて泣いてしまった
    昨シーズンのシティバイエルン戦同様、戸田さんの歓声もきけたし64ポンド以上の試合内容でした

  9. モンプチ より:

    追い込まれた時のアーセナルは強いですね。チェフだけでなくチーム全体が集中していたと思います。今後もこういう戦い方をして欲しいですね。
    少し気になったのですが主さんの言われる今まで見られなかった世界とはどういった意味なんでしょうか。チャンピオンズは厳しいかもしれませんがプレミアは取れるって意味なら嬉しいです(*^_^*)

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