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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【現地レポート】アウェイで初のCL観戦…アーセナルサポーター、雨のカンプノウに沈む!

グーナーである本ブログ特派員が世界を駆け巡る「プレミアリーグ現地観戦記」、今回はチャンピオンズリーグ・ラウンド16、バルセロナVSアーセナルのスタジアムレポートです。チケット獲得から現地へのアクセス、プレミアリーグファンには信じられないカンプノウのしきたりまで、迫真のレポートであります。さっそく、どうぞ。

チャンピオンズリーグが開催されている期間にイングランドに滞在しながら、まだ一度も観戦のチャンスに恵まれていなかった筆者。昨年の渡英時にはアウェイのモナコ戦がありましたが、スタッド・ルイ・ドゥ(Stade Louis II)の全部で18000というキャパシティではアウェイ席のチケットなど瞬殺です(ただしサッカーがあまり人気のないモナコのこと、ホームのほうはそれでも余裕があったようで、アウェイ寄りのホーム席を狙って取った友人もいました)。

 しかし今回の在英中に組まれた予定は、アウェイとはいえバルセロナ戦。カンプノウはキャパシティ10万という世界最大級のスタジアムです。「前回の対バルセロナアウェイ戦の感触では、レッドメンバー(アーセナルの有料サポートメンバー。所定の年会費さえ払えば誰でもなれる)でも取れるかも?」という情報を聞き付け、試合のチケットが発売されるよりも前に、ロンドンからバルセロナへの航空券を押さえました。試合日程が決まると、チケット以前に航空券の値上がりが激しいという話を聞いていたからです。

ところが、試合のチケットが発売されたのは2月中旬。アーセナルはまだまだ強く、サポーターも大いに希望を持っている時期でした。こうなるとチケット争奪はたちまち激戦。発売後すぐ完売し、レッドメンバーはおろか、その前にチケット購入ができるゴールド、シルバーという上位メンバーの資格でも取れなかった人が数多くいたとのことです。

しかし、どこにもチケットがなかったかというとそういうわけでもありません。今回、”ticketbis“というチケット売買サイトを教えてもらい、そこでバルセロナVSアーセナルのアウェイ席を見てみると、最低価格33000円ほどでチケットが出品されていて、今回はこれを利用することにしました。ホーム席ならその半額程度でしたが、筆者としてはこれを買うわけにはいきません!(ticketbisは日本語でも閲覧できます。画像は5月に開催されるプレミアリーグ37節、マンチェスター・シティ戦のものですが、アウェイ席はやはり割高です)

聞くところによると、最近はメンバーの資格を使ってアウェイチケットを取り、こうしたチケットサイトに転売する人も多いとのこと。もちろん、人気カードでは正規の値段より高く売れるからです。ちなみに今回のバルセロナ戦のチケットは、額面金額が84ユーロ(購入時のレートは128円程度。日本円で約11000円)に対して日本円で約33000円。これはかなり安いほうで、その上は40000円台、50000円台という相場でした。こうしたサイトのせいで正規のアウェイチケットが取りにくくなっているという事情もあるようで、善し悪しは難しいところなのですが、今回はやむを得ずこちらを利用。チケットはバルセロナの宿泊先であるホテルに届けてもらうという形を取りました。

ちなみに飛行機は、ロンドンのスタンステッド空港発着のライアンエアー。航空券を確保したときの値段は往復185ポンド、バルセロナまでは2時間半ほどで、新幹線で東京から大阪に移動するような感覚です。多少は観光もできるようにと、試合日を真ん中に2泊3日のスケジュールを取りました。

さて試合前日。陽光まぶしいバルセロナを期待してエル・プラット空港に到着すると……そこにはまるでロンドンかと見まごうばかりの曇り空。飛行機のドアを開けた男性CAさんは、「こんな天気で何かすみません」と客に謝っています。

筆者が着いたのはバルセロナ・エル・プラット空港のターミナル2。日本から直接行くと新しい方のターミナル1に着くようで、こちらからは市内へのシャトルバスなども出ているようですが、今回のターミナル2からは出ていないのでRenfeという特急で市内中心部まで移動しました。ところが、駅でもらった路線図と車内の駅名表示が違っていて大混乱。あとから聞いた話では、スペイン語とカタルーニャ語が混在していたようで、ただでも頭に入りにくいスペイン語の地名がさらなる混乱を招いてしまったようです。移動経路についてはしっかり予習をしてから臨むべきでした。

 と、多少の混乱はありつつも何とかホテルにチェックイン、無事チケットを受け取り、その日は同じ現地観戦組の友人と落ち合って”Cerveceria Catalana” というタパスレストランへ。人気店で日本人客も多く、待たされましたが、バルセロナお得意の魚介はもちろん、肉料理、野菜料理も手が込んでいて、何を食べてもおいしいレストランでした。ロンドンと比べるとおいしいものに当たる確率の高いバルセロナですが、ひとつだけアドバイスをするなら、レストランにはある程度の人数で行くのが正解。小皿料理といわれるタパスも1人で頼めば品数に限界がありますが、数人でシェアすればいろいろオーダーできますし、そもそもパエリアなどは1人ではなかなか頼みにくいものがあります。 

バルセロナ2日目はいよいよマッチデイ。イギリスならチャンピオンズリーグのキックオフは19時45分ですが、バルセロナはイングランドと1時間の時差があることもあり、20時45分と遅いスタートです。

日中は、中世のような街並みが続く「ゴシック地区」や、バルセロナ市民の台所と呼ばれるフードマーケット「ボケリア市場」を歩いて、アーセナルサポーターが集結するという「ランブラス通り」へ。するとさっそく“Red Army! Red Army!”という歌声が聞こえてきます。見るとホテルだかバーだかの2階の窓から横断幕のようなものを垂らし、すでにビールでいい感じになっているアーセナルサポーターの姿が!通りを歩く人々の中にもひと目でアーセナルファンと分かるいでたちの人がたくさんいて、件の窓に向かって大声で歌い返して気勢を上げています。これもチャンピオンズリーグのひとコマということなのでしょうか。プレミアリーグでは、アウェイサポーターはもっとおとなしくしているもの。ニューカッスルのパブの入り口で、ひっそりと赤白のマフラーをはずすように指示されていたアーセナルサポーターの姿と比べると大違いです。バルセロナが世界的観光地だからなのかもしれませんが……!

こうして市内を歩き回っていた日中は、曇り空とはいえ何とか天気はもっていたのですが、いざ試合に向かう頃になると、ついに雨が降ってきました。しかもかなりの本降り。折り畳み傘は持っていましたが、試合中にさすわけにいかないので、フード付きのコートだけが頼りです。そう!カンプノウには、メインスタンドの一部を除いて屋根がないのです!天下のカンプノウがその状態とは……思想の違い、そもそもめったに雨が降らないなど理由はあるのでしょうが、どのスタンドにも屋根があって当たり前のプレミアリーグとは大きな違いがあると感じました。

カンプノウへ向かうには、地下鉄L5線でBadalという駅を利用。市内中心部からは約15分といったところです。Badal駅からは歩いて10分弱でスタジアムが見えてきました。

しかし暗いのと雨が降っているのとで残念ながら全貌はよく分からないまま。とりあえず、目に入ったゲートから中に入ろうとすると、なぜかスチュワードに止められます。どうやら「荷物がダメだ」といっているようなのですが、では預ければよいのか?と聞き返すと、”No!”の一点張りでちゃんと説明してくれのせん。では、と隣のゲートに行ってみると、今度は「アウェイはこのゲートじゃない」とのこと。たしかに、チケットの券面をよく見ると、違うゲートナンバーが書いてあります。それなら最初からそう言ってくれればいいのに……!意外と英語が話せない人が多いせいもあるのでしょうが、係員の熟達度は、プレミアリーグほどではないようです。

あとで友人に聞いたところ、ヨーロッパのアウェイ観戦ではこうしたことはよくあることなのだとか。荷物についても、チケットが送られてきたときの同封書類に「小さなもののみ」と書かれていたそうで(筆者のチケットにはその書類が同封されていなかったのもトラブルのもとでした)、過去にはドルトムントなどでは「手ぶらのみ可」という指示があったとのこと。同じヨーロッパのスタジアムとひとくくりにしてはいけないということがよくわかりました。

さて、アウェイゲートではいつもの荷物も何とか無事通過でき、ようやくスタジアム内へ。ここから「10階」のアウェイ席まで長い長い道のりが続きます。車も通れるような坂道を往復して5階分、階段で5階分くらい行ったころ、ようやく座席への入り口が出てきました。中に入ってみるとさすがに視界が高い!そしてよく語られるように客席は急勾配で、確かに高さの割には距離が遠いと感じません。とはいえ、やはり選手は豆粒サイズ。アーセナルの選手はかろうじてわかりますが、背番号が見えないのでバルセロナの選手については誰が誰だか全くわからないレベルです。

しかも何だか客席の入りが悪い……雨だからキックオフまでみんな着席しないのかと思っていましたが、試合が始まっても目で見てわかるほどの空席があります。途中、入場者数の発表があり、7万人は超えているとのことでしたが、本当かな?という印象。これは「どうせ勝つ」と思って見に来ていないんじゃないか?…思い出すのは、直前のFAカップのワトフォード戦のこと。ワトフォード戦ではヴェンゲル監督への不満等から試合をボイコットしていたグループがあったそうで、それも「どうせ勝てると思っているからだ」と現地在住の先輩サポさんが言っていました。む!今回バルセロナ側にそういう気の緩みがあるとすれば、今回はわれわれがワトフォードになれるのでは!

…なんてことも思いましたが、結果はすでにみなさんご存じの通り。アグリゲート・スコアの関係で、最初の1点は取られても取られなくても一緒と大きな気持ちでいることができ(大雨と寒さでちょっと頭のネジが外れてたのかもしれませんけどね)、さらに追加点を入れられる前に追いついた!しかもエルネニーさんの気持ちいい初得点!と案外ウキウキ見ていたんですが、そこまででしたね。MSNにキッチリ1点ずつ取られて、アーセナルのチャンピオンズリーグは今年も「予定通り」ラウンド16で終了いたしました。

それにしても、あれが「強い」ということなのかもしれませんが、バルセロナのサッカーはあんまりおもしろくなかったなあというのが正直な感想です。ブスケツが拾ってイニエスタがさばき、前の3人の誰かにつながって得点。これを「一撃必殺力が違う」と表現した友人がいて、その力があることは本当に素晴らしいと思うのですが、数年前に当たったときと比べると全然違うと感じました。対してアーセナルですが、現地で見ている印象ではそんなに悪いサッカーだったとも思えないんです。惜しいシーンはたくさんあったし、少なくとも現地のアウェイサポーターはそれなりに熱く試合を楽しんでいたと思います。スチュワードの少年が「こんな天気、ここで働き始めてから今まで一度もなかった!」と語る大雨の中であっても。

カンプノウといえば、試合後、アウェイサポーターを「閉じ込める」ことでも有名です。ホームサポが全部外に出るのを待って、その後にアウェイサポーターを帰らせることになっているようなんですね。経験者によると、チャンピオンズリーグの試合後、2時間閉じ込められ(ということは余裕で日付が変わっている)、地下鉄の終電がなくなることもザラにあるんだそう。ところがこの日はやはりホーム席の人が少なかったのか、席からコンコースにはすぐに出してもらうことができました。とりあえず雨がしのげる!しかし、その先はなかなか進まず、立ちっぱなしで30分ほど待たされたでしょうか。サポーターは退屈しのぎに、ありとあらゆるチャントを歌います。

今大流行のエジルのチャントや、“We all follow the Arsenal””Hate tottenham”などの定番はもちろん、アンリ、リュングベリ、ソル・キャンベルといったレジェンドのチャントまで。中でもここならではのチャントが、“I wanna go home, I wanna go home, F**k off Barcelona, I wanna go home”というもの。「帰りたいよー♪早く帰りたいよー♪バルセロナのバカヤロー!早く帰らせろ♪」と元気に(?)歌うわれらがアウェイサポーターの一団は、エミレーツスタジアムでスウォンジーやワトフォードに負けたときと比べるとずっとすがすがしいようにも感じられました。

こうしてギリギリ地下鉄の終電に間に合い、ホテルの最寄駅までは無理だったものの市内中心部までは戻れた筆者と友人たち。結局、ホテルに戻るまで雨は降り続け、最終日に飛行機に乗り込むまで太陽の顔を見ることはできませんでしたが、初のヨーロッパ遠征はそれなりに思い出深いものになったのでした。

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“【現地レポート】アウェイで初のCL観戦…アーセナルサポーター、雨のカンプノウに沈む!” への3件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    カンプノウ遠征記楽しく拝読しました。バルセロナの食事は美味しそうなものが多そうですね。朝読んでいるのですが、食べたくなりました(笑)
    バルサのサッカーはペップ時代とは変わったと言われてますよね。CLの時くらいしかバルサは観ませんが、つまらないサッカーでもまあ強いですよね。
    いつの日かプレミア勢がバルサを破るのを観たいものです。ちなみにスペインでもチャントってあるんですか?
    次回のレポ楽しみにしております。

  2. makoto より:

    Mackiさん>
    ありがとうございます。「バルサ イムノ」で検索すると、応援歌の記事が出たりします。レポートは4回ぐらい載る予定ですので、ご期待ください。

  3. とくはいん より:

    Mackiさん、チャントは聞こえないことはなかったのですが、この日は一部ゴール裏のサポーターが盛り上がっているだけという感じでちょっと寂しい雰囲気でした。ゴール裏には太鼓も持ちこまれていて、イングランド式の歌だけのチャントとは趣が違うようです。

    「寂しかった」と言いましたが、同行の先輩グーナーによると、満席のときはやはりすごい迫力だそうです。そういう日にも行ってみたいものですね!

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