イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

素晴らしきリヴァプール!オリギの完璧な一撃で、優勝候補を相手に納得のドロー!

「You’ll Never Walk Alone」が鳴り響くヴェストファーレン・シュタディオン。黄色と赤のスカーフがストライプカラーとなって目に飛び込んでくるスタンドでは、どうやら両チームのサポーターが一緒に歌っているようです。ヨーロッパリーグ準々決勝ファーストレグ、ドルトムントとリヴァプールのゲームは、ユルゲン・クロップ監督が久しぶりに古巣の本拠地に顔を出す因縁のゲーム。プレミアリーグ4位に食い込む可能性があるリヴァプールが、ベストメンバーで戦うのかどうかにまずは注目です。GKミニョレ、DFナサニエル・クライン、デヤン・ロブレン、サコ、アルベルト・モレノ。ヘンダーソンとエムレ・ジャンが中盤の底に入り、コウチーニョ、ミルナー、ララナが2列め。注目のトップはディボック・オリギです。なるほど、これは本気です。キックオフ直後のレッズは、プレミアリーグ同様によく走っています。

10分、レッズのアグレッシブなプレスをかいくぐったドルトムントは、フンメルスが左からオーバーラップ。マルコ・ロイスへのラストパスはトラップが大きくなり、ミニョレがキャッチします。15分には、FKのクリアを拾ったマルコ・ロイスがミドルシュート。ドルトムント守備陣が敷く網の目がきつく、リヴァプールはラストパスを通す局面さえも創れません。16分、さらにドルトムントに決定機。左サイドのシュメルツァーがスルーパスで抜け出し、ミニョレと向き合った瞬間、中にラストパス。ムヒタリアンのシュートはサコが右足を伸ばしてクリアし、ヴァイグルのミドルもレッズ守備陣が体を張って防ぎます。21分、ミルナーの素晴らしいFKをデヤン・ロブレンがヘッドで叩くと、リバウンドを競ったドルトムントGKヴァイデンフェラーとデヤン・ロブレンが激突。フンメルスらが心配そうに見つめるなか、勇敢な守護神は治療を受けてゲームに戻ってきました。28分のCKは、ヴァイデンフェラーのパンチをワントラップで狙ったアルベルト・モレノのミドルがバーの上。ドルトムントの前線からのプレスがきつく、ビルドアップ時のサコは明らかに狙われています。

34分、カウンターから中央に持ち込んで左足を振り抜いたムヒタリアンの左足は、わずかに右にアウト。圧倒的なドルトムントペースのなか、しかし先制はリヴァプールでした。アルベルト・モレノが浮かしたボールをミルナーがヘッドで逸らすと、オフサイドラインの手前にいたオリギへ。ピシュチェクを引き連れ右に持ち込んで放った一撃は、完璧なタイミングでした。39分には、コウチーニョが右に展開したボールをナサニエル・クラインが持ち込み、ララナと絡んでゴール前で一瞬フリーになるもののDFがブロック。前半終了間際のCKは、マルコ・ロイスのアタックにミニョレが冷静に対応して同点を許しません。ムヒタリアンの縦パスに抜け出しかけたオーバメヤンは、デヤン・ロブレンがしっかりカット。レッズは、最高に近いハーフタイムを迎えました。後半、ラッシュをかけてくるであろうホームチームの裏を突ければ、プレミアリーグ勢にとって久しぶりのベスト4が見えてきます。

セカンドハーフのピッチにヘンダーソンがいません。ジョー・アレンは、レッズの中盤に安定をもたらすことができるでしょうか。トゥヘル監督もドゥルムをシャヒンに代え、攻撃を活性化しようとしています。48分、ドルトムントの同点ゴールはショートコーナーからのクロスでした。ゴールの真ん前でララナを抑え、文句なしのヘディングシュートを左に決めたのはマッツ・フンメルス。アウェイチームは落ち着かなければなりません。51分のレッズの波状攻撃は見応えがありました。オリギが左から持ち込みニアのジョー・アレンに通すと、すぐ横にいたララナのヒールをコウチーニョが強烈な右足。決定的な一撃はヴァイデンフェラーがビッグセーブで防いだものの、これを拾ったレッズはさらにナサニエル・クラインとコウチーニョが次々とシュート。いずれも枠に届く危険な弾道でしたが、ドルトムントの守護神が的確に弾いて勝ち越しはなりませんでした。

59分、ドルトムントにペナルティエリアのすぐ外からのFK。マルコ・ロイスの右足はコースが甘く、ミニョレの懐におさまります。レッズはエムレ・ジャンが効いており、ドルトムントは効果的な楔を打ち込めません。ムヒタリアンが積極的にミドルレンジから狙ってくれば怖かったのですが、ドルトムントの10番はより決定的な形を創ろうとして強引に縦のボールを入れようとすることが多く、レッズの最終ラインはこれによく対応しています。緊迫したゲームは残り20分となりました。プレミアリーグ2位のトッテナムが完全にやられた欧州屈指のチームに対して、走りまくるレッズは望み通りの展開に持ち込めています。77分にはララナに代わってフィルミーノが登場。81分、ムヒタリアンがドリブルで上がり、右のカストロに流したチャンスは反転して放ったシュートをミニョレがセーブします。オリギをスタリッジに代えたクロップ監督は、ドローに満足せず勝利を狙っているようです。

最後まで勝利にこだわったのはアウェイチームのほうでしたが、フィニッシュには至らずタイムアップ。1-1なら充分でしょう。勝者の資格があったのは、ドルトムントの攻撃にひるむことなく、コウチーニョやナサニエル・クラインがあと一歩まで迫ったレッズのほうだったと思います。アンフィールドでのセカンドレグが楽しみになりました。プレミアリーグNo.1のスタジアムが醸し出すあの雰囲気には、ドルトムントの選手たちは気圧されるでしょう。一発で相手をかわせるオリギ、正確なシュートで相手を追い詰めたコウチーニョ、連携のクオリティが高いララナ、疲れを知らない中盤のつぶし役エムレ・ジャン、オーバメヤンに仕事をさせなかったデヤン・ロブレンと、主軸は期待どおりの活躍をしてくれたのではないでしょうか。ナイスゲームでした!

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“素晴らしきリヴァプール!オリギの完璧な一撃で、優勝候補を相手に納得のドロー!” への9件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    両チームともナイスゲームでした。開始前のYNWAの合唱はレッズサポとしては感無量でした。
    しかし、ドルトムントは強かったです。ブンデスを観ることはあまりないのですが、フンメルス、ムヒタリアン、ロイス素晴らしいです。フンメルスは最高ですね。さてレッズですが相手の攻撃に苦しみましたが、両CBが踏ん張りましたね。特に大きく崩されたシーンがあまり無かったと思います。
    コウチーニョやララーナが封じられてましたが、ジャンや交代したアレンが効いてました。そしてオリギいいですね。これでスタリッジのコンディションが戻ってくるとCFは強力になります。
    両チームとも攻撃的布陣で戦うと思われる、アンフィールドでの2ndレグ大変楽しみになってきました!

  2. グッチ より:

    早起きの価値ある試合でした。特に前半は間違いなくCL上位勢とタメを張れる内容の濃さで両チームの居場所はやはりELでは無いのだと確信しました。
    この試合を通じてレッズはバイタルエリアで前を向かせてしまうシーンが目立ち、チャンの潰しが外れるとバックスが無防備に下がるしかなかったので、DFから一人飛び出して潰すなりCHの相方をルーカスにするなりで次は対応して欲しいです。

  3. より:

    面白い試合でした!
    コウチのスルーで裏へ抜けだして1対1になったオリギが決めてくれてたら・・・
    コウチのシュートが決まってたら・・・
    とか思う所はありますが、それを言ったらドルトムントも決定的な場面はいくつもあったので、やっぱりドローが最適解だったと思います。

    アウェイゴール付きドローで次はホーム。なんか少し期待しています。

    >プレミアリーグ4位に食い込む可能性があるリヴァプールが
    とあって驚きました。みんなもうレッズのトップ4は無いなと思われてるだろうと思っていましたので(笑

  4. えじ より:

    更新お疲れ様です。
    期待していた通りの面白いゲームでした。

    それにしてもドルトムントは強かったですね。
    フンメルスがなぜあんなに人気銘柄なのかもよく分かる試合でした。リヴァプールとドルトムントの守備陣のパス回しには差を感じたもののうまく運動量で補えてたと思います。

    アンフィールドでも最高の雰囲気の試合を期待します。

  5. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    まさにガチンコのいいゲームでした。
    前半はドルトムントに圧倒されましたが、オリジのゴールが大きかったですね。
    あそこからレッズは落ち着くことができました。
    この試合はいつもよりオリジを狙ったロングパスが多く、またボールを持たずに徹底的に早い攻めをしていたのが印象的でした。
    ハイプレスから細かくつなぐドルトムントを意識した納得の形で、まさにプランどおり、そして前半で先制できたのが大きかったですね。
    今日はロブレンとサコーがよくがんばって、ジャンは言うまでもなくミルナーとアレンも中盤で効いていたと思います。

    しかし、ドルトムントはやはり強いですね。
    前半の形はまさにレッズがお手本にしたいプレーだったのではないでしょうか。
    しかし、アウェーでこれだけのパフォーマンスができたリヴァプール、来週のアンフィールドは期待できます。
    管理人様のおっしゃるとおり、ドルトムントの選手はかなりのプレッシャーを受けることになるでしょう。
    楽しみです。

  6. K より:

    ここ2試合で来年の可能性と今年の限界を見たように思います。前任者から見ると本当にみんなよく走ります、見違えました。また、コウチーニョ、フィルミーノ、スタリッジ、ララナは上手いですね。ただ、コウチーニョ以外はボール保持時はショートパスを好むので遅攻が中心ですよね。対して3列目以降の選手はカウンターに適した人材ばかりに思います。カウンター時にスピードのある両SB、フリーでのロングパスは上手いヘンダーソンとカン、1対1には強いサコ、いい選手とは思います。

    が、前のメンツと噛み合ってません。前線の上手さを活かして遅攻するには中盤とサコのトラップ、パス、ドリブルの基礎技術、モレノ、クラインのインテリジェンスに限界を感じてしまいました。3-5-2でカウンター気味に戦えば4位の可能性あったと思いますし、ロジャースなら多分今のように下位に負けて上位に勝つチームとは真逆のチームで順位は上でしょう。が、来年への希望もなかったでしょう。目先の結果も大事ですが、改革は前に進んでいることが何より嬉しいです。ヘンダーソンの怪我は残念ですが、個人的には休んで来季に備えて欲しかったのとブラナガンに経験積んで欲しかったのでポジティブに捉えたいです。

  7. K より:

    カンは成長してるのと守備にも効くので来季の3列目として期待してますが、問題はドリブル勝利の少ないミルナー、パス成功率の低いヘンダーソンと裏を取られやすい両SB、CBの展開力とGKと思います。両SBは現メンバーで熟成し、マティプのCBの他に打開力のあるサイドアタッカーとヘンダーソンを休ませるための中盤の選手層とGKの3つは絶対に補強が必要だと思います。

  8. makoto より:

    Mackiさん>
    オーバメヤンを抑えたのが大きかったですね。ヘンダーソンがケガしてしまったので、セカンドレグは守備重視でショートカウンター狙い、でもいいかもしれません。

    グッチさん>
    ゲームプランをどうするかか、ですね。ルーカスとエムレ・ジャンにしたときに、全体的に後ろに引っ張られないようにできればいいのですが。相手はミドルが打てる選手が揃っているので、ゴール前にバスを止める的な守り方にならないようにしたいものです。

    ごさん>
    今のマンチェスター勢は、両方とも信用できませんので。アーセナルの優勝よりは可能性は高いのではないでしょうか。

    えじさん>
    アンフィールドでは、さらにがんばれそうですよね。前から追いかけるか、受けて一気に縦にいくか悩ましいところではあります。

    nyonsukeさん>
    オリギ、よかったですね。彼もスタリッジも速攻がうまいので、2人並べてもおもしろいです。

    Kさん>
    ドルトムント戦に関しては、速くシンプルにという意識が高かったように思います。ヘンダーソンは、プレミアリーグ準優勝時のフォームに戻ればパスワークのクオリティは上がり、ナサニエル・クラインはまだまだよくなるでしょう。サイドとGK、セカンドストライカーもトップ下もできるようなタイプはほしいところです。

  9. K より:

    彼が準優勝時のパフォーマンスに戻るなら彼がキャプテンなんですけど。今年のプレシーズンは期待出来るパフォーマンスだっただけに本当早く怪我を治して欲しいです。アレンだと空中戦が弱すぎる選手が多すぎてCKで枚数不足するし、試合勘薄いためか集中力不足な下らないミスが多いので休ませられずにこの怪我、痛いです。来季は休ませられるように彼と同格の選手を最低1人とりたいですね。アレンも抜けそうですし。ヘンダーソンは来季の鍵の1人なんで申し訳ないけどユーロは休んで来季に備えて欲しいです。
    あと関係ないけどオリギの成長は凄いですね。もう決定力以外は全てベンテケ上回ってますよ。ドリブルもパスもトラップも上手いフィジカルモンスター、ゴール前での落ち着きもあるし課題のシュート精度が改善出来れば凄い選手になりそうです。

えじ へ返信するコメントをキャンセル