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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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アルベルト・モレノ、なぜ…残り2分の痛恨の失点で、リヴァプールがEL初の敗戦!

舞台はエスタディオ・エル・マドリガル。リヴァプールが欧州のタイトルと来季のチャンピオンズリーグ出場権獲得をめざして、ビジャレアルと戦います。ヨーロッパリーグ準決勝ファーストレグ。プレミアリーグを休んでいたベンテケはともかく、クロップ監督がスタリッジをベンチとしたのは、どういう意図なのでしょうか。トップにフィルミーノ、中盤にはララナ、ミルナー、コウチーニョ、ルーカス、ジョー・アレン、最終ラインはナサニエル・クライン、コロ・トゥレ、デヤン・ロブレン、アルベルト・モレノ。前線にはオリギがおらず、エムレ・ジャンとサコも不在。要所のタレントを欠いたリヴァプールは、アウェイゴールを奪ってアンフィールドに戻ってきたいものです。プレミアリーグでは、もうCLに届きません。勝負は、この試合です。

ビジャレアルは、今季ELのホームゲームで得点11、失点1と無類の強さを誇っています。キックオフから積極的にプレスをかけるリヴァプール。3分にデニス・スアレスがバカウにクロスを上げたシーンは、ミニョレの対応にヒヤリとさせられました。5分、レッズに決定機。右サイドを攻略してララナが速いグラウンダーを入れると、DFに当たったボールをジョー・アレンがダイレクトでシュート。しっかり抑えた強い球足でしたが、コースはGKのすぐ脇でした。11分、ブルーノのパスをペナルティエリアの右でもらったのは、プレミアリーグではうまくいかなかったソルダード。右足で叩きつけたシュートは、ミニョレの前を横切り左に外れます。14分のショートコーナーは、中央に戻ったボールをルーカスが直接シュート。直後、カウンターからララナが左足。いずれも枠を捉えられなかったものの、貪欲に狙う姿勢は買えます。

21分のビジャレアルの波状攻撃は、ミニョレとレッズDF陣がよく耐えました。トマス・ピナの決定的な一撃は難しいバウンドでしたが、ミニョレが左手を伸ばしてセーブ。こぼれ球がことごとく相手の前にいくピンチの連続を、集中力高く足元に入ってストップしました。レッズの攻撃は、パスがスピーディにまわるのはいいのですが、足元へのボールが多く、最後は苦しまぎれのクロスをGKセルヒオに処理されます。29分、アルベルト・モレノのパスを受けたコウチーニョは、得意のミドルを大きく浮かしてしまいます。36分、アルベルト・モレノがマリオ・ガスパールに裏を取られて一気にピンチ。クロスはコロ・トゥレが、ルーズボールを拾われたシュートはモレノがスライディングで止め、ゴールは許さなかったものの、明らかにサイドの裏を狙っているビジャレアルに縦パスを通されてはいけません。42分、ブルーノの縦パスをワントラップで打ったソルダードの一撃は、コロ・トゥレがよくコースを切りました。前半は0-0。ビジャレアルが優勢といっていいでしょう。

後半の興味は、「クロップ監督がどこでストライカーを投入してくるか」です。おお、ハーフタイムにコウチーニョを下げてジョーダン・アイブとは!46分、最初のCKでニアのバカンブが放ったヘッドは、ポストの外側に当たりました。ビジャレアルのマルセリーノ・ガルシア・トラル監督は、ここでラッシュをかけて先制して逃げ切ろうと考えているでしょう。レッズは押し戻しましたが、崩しの糸口がつかめず、55分にはアルベルト・モレノがかわされて入れられたクロスから、マリオ・ガスパールのきわどいシュートを喰らいます。

レッズの攻撃は、サイドで持つところまではいいのですが、そこからどうしても進めません。65分、ようやくミルナーから素晴らしい縦パスが入り、フィルミーノの渾身の一撃はポスト!残り時間は20分。クロップ監督は0-0でいいのか、1-0とされることを怖れているのか。動いたのはマルセリーノ・ガルシア・トラル監督のほうで、72分からドス・サントスをカスティリェホ、ソルダードをアドリアン・ロペス。76分にはベイリーが足を痛めたのをみて、ムザッキオを投入です。レッズの攻勢が続いていた87分、ジョーダン・アイブのボールを奪ったデニス・スアレスがすぐさまバカンブにつなぎ、フリーで放った一撃はミニョレ2度めのビッグセーブ!直後、デニス・スアレスのクリアをインターセプトしたアルベルト・モレノが自陣からドリブルで独走したチャンスは、追いついてきたデニス・スアレスのプレッシャーを受けてシュートは左に外れます。90分のフィルミーノをベンテケは、ゴールを奪うためというよりは、「前からチェイスし、ボールをおさめてくれ」というオーダーでしょう。ところが…。

クロップ監督の目論見は、残り2分に崩れました。91分に敵陣でララナが競り負けた後、アルベルト・モレノが2回も判断を間違えてしまいました。中途半端にデニス・スアレスに寄っていき、自分の持ち場を離れてコロ・トゥレと1対1にさせたのが最初のミス。ブルーノからデニス・スアレスにボールが出てコロ・トゥレが寄せたとき、無理にシュートを打てばGKにぶつけると判断した18番は、左のアドリアン・ロペスにラストパスを送ります。アルベルト・モレノは、なぜ彼をちゃんとチェックしなかったのでしょうか。周囲にほかの選手はおらず、マーカーは自分だとわかっていたはず。パスは出てこないと高をくくったとしか思えません。激痛の1-0、ビジャレアルは思惑通りの勝利。相手が凄かったのなら諦めもつきますが、自ら最後に気を抜いてしまった痛恨の敗戦です。PK戦という運試しに勝負を委ねたくなければ、リヴァプールは、セカンドレグのアンフィールドで2点が必要となりました。

クロップ監督が、簡単にはゴールを許してもらえない相手だからドローなら上等と考えていたとすれば、90分までの0-0は、0-1、1-1に次ぐ3番めにいい結果だったのではないでしょうか。これは、もったいない。プレミアリーグでも2点リードを追いつかれる試合を繰り返していたチームは、大事な場面での甘さをまたも露呈してしまいました。次戦は、クロップレッズのもうひとつの顔、すなわち「最後まで諦めないチーム」であるところを見せてもらえればと思います。ラストプレーでララナが決めたノリッジ戦や、ミルナーとデヤン・ロブレンが冷静に決勝ゴールをもぎ取ったドルトムント戦のように。

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“アルベルト・モレノ、なぜ…残り2分の痛恨の失点で、リヴァプールがEL初の敗戦!” への4件のフィードバック

  1. リバサポ より:

    モレノには大いに反省してもらい、アンフィールドで挽回してもらいましょう。
    もっとボコボコにされるのではと思っていたので案外やれるのは好材料でした。
    欧州トップレベルに上がるにはもっと全体の精度を上げなければと思う試合でした。

  2. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    終了間際の痛い失点でしたが、アンフィールド巻き返すことのできる点差です。モレノには猛省してもらい、先発するであろうスタリッジには思いっきりプレーして欲しいです。このチームなら勝てるはずです。

  3. K より:

    ミドルシュート打てる選手が居ないので引かれると崩しにくかったですね。流石に世界のトップを争う攻撃力を持つリーグで失点数3位は伊達じゃないです。ただスペインは中盤の上手さは他のリーグより明らかに高いですが、前線の選手の質は3強除けばプレミアのトップクラブより確実に劣りますので全然諦める点差じゃないですね。
    むしろこれだけの故障者を抱える中でも戦える事から来季への期待は膨らみました。
    GK>>>>CB=ウィングストライカーまたはSH>CHに本当の戦力を上から順に3〜4人取れれば久々にリーグタイトル狙えると思います。EL集中でプレミアは若手の来季への最終試験にしてくれることを願っています。

  4. ELに集中して大丈夫? ファーストレグ負けたしこのままではELも出れないよ

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    レポありがとうございます。
    コウチの交代は体調不良によるものだったそうですが、公式の発表は無いのでスワンズ戦まで分らずじまいです。

    モレノの守備の判断ミスのうち、2つ目の方は私もすぐに「もう少し戻ってくれていたら」と思ったのですが、1つ目の「中途半端な寄せ」には気づきませんでした。勉強になりましたm(__)m
    「90分走ってたんだから、最後のミスくらい・・・。」なんていう甘い考えでは、やはりELやCLの舞台では勝てないということかと思います。

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