イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

フィルミーノのラストパス3発!完全なるリヴァプールがスペインの一角を崩して決勝進出!

プレミアリーグ、いや、欧州最後の砦となるリヴァプールがビジャレアルとの決戦に臨みます。ヨーロッパリーグ準決勝セカンドレグ、アンフィールド。ビジャレアルとセビージャの決勝となると、今季のCLとELに出場したスペインの7クラブから4つがファイナル進出。負けた3チームはすべてスペイン勢同士の対戦で大会を去っており、「欧州の有力チームがスペインに勝てずに終わったシーズン」になるわけです。敵地で0-1で敗れたホームのリヴァプールのスタメンは、GKミニョレ、DFナサニエル・クライン、コロ・トゥレ、デヤン・ロブレン、アルベルト・モレノ。中盤にはエムレ・ジャンが復帰し、ミルナーとセントラルでコンビを組みます。2列めにコウチーニョ、フィルミーノ、ララナ、トップにスタリッジ。サコとヘンダーソンはいないものの、申し分のないメンバーといっていいのではないでしょうか。

5分、ビジャレアルの右からの攻撃。ソルダードの落としをダイレクトで打ったガスパールの一撃はミニョレがナイスセーブ。直後に中央でバカンブが粘ったこぼれをドス・サントスに狙われ、早くもビジャレアルがペースをつかんだかに思われました。しかし先制は7分のリヴァプール。中央のエムレ・ジャンが右のナサニエル・クラインに展開すると、アーリークロスはGKアレオラが弾いて逆サイドに流れますが、拾ったフィルミーノがすかさず中に折り返します。先に触ったのはスタリッジ、ブルーノ・サリアーノに当たったボールはそのままゴールイン。1-0、ビジャレアルは初戦のリードを吐き出し、早くもトータルイーブンとなりました。

13分、これぞクロップ監督のサッカーです。レッズの攻撃を止めたビジャレアルがカウンターに入ろうとしたところをデヤン・ロブレンがカットしてミルナーへ。背番号7が一発でゴール前に出した見事なグラウンダーに、フリーで入り込んだララナがコースを変えて左隅を狙うものの、わずかにコントロールがずれてしまいます。エムレ・ジャンが中央で舵を取るレッズの攻撃は、若手主体で完敗したプレミアリーグのスウォンジー戦とは打って変わって迫力がありますが、ビジャレアルの速攻には要注意。右のドス・サントスに縦への突破を許せば、リヴァプールの決勝進出は苦しくなります。

24分にミルナーが蹴ったCKは、ファーに流れたボールをエムレ・ジャンが触れば1点でしたが、ピナが間に合いゴールならず。リヴァプールの攻撃陣は、奪われたボールに対して寄せが早く、フィルミーノやエムレ・ジャンのカットからのショートカウンターでビジャレアルの守備陣を脅かします。37分のミルナーのミドルはDFがブロック。前半終了間際にビジャレアルがつかんだ久しぶりのチャンスは、バカンブのフィニッシュをミニョレが冷静にキャッチします。レッズのアグレッシブなプレッシングが冴えた前半。右サイドが崩せている今日のレッズなら、勝負どころでベンテケの投入が効果的でしょう。

後半開始から攻勢はビジャレアル。しかしレッズはすかさず反撃。47分、コウチーニョの縦パスを受けたスタリッジのシュートは、ムサッキオが冷静にブロックします。50分、ミルナーが走った中央にフィルミーノからぴったりの楔。DFをかわしたキャプテンが左足を振り抜くも、GKアレオラの正面です。ピッチ脇では、ベンテケがウォーミングアップ開始。今季プレミアリーグ8ゴールながら、FWの3番手に甘んじているベルギー代表ストライカーは、大事なゲームで結果を出すことができるでしょうか。

60分、マルセリーノ・ガルシア・トラル監督は、ピナに代えてトリゲロスを投入。劣勢を跳ね返したいものの、62分にはララナとスタリッジのカウンターで一気にシュートまで持っていかれます。この直後でした。仕掛けは右サイドのララナ。クロスのこぼれ球がフィルミーノの前に落ちると、11番の絶妙なスルーパスでスタリッジが完全にフリーです。左足のインサイドにアレオラの必死のブロックは及ばず、足に当たったボールは右のポストを叩いてゴールに吸い込まれます。2試合通算2-1、リヴァプールがリード。この勢いのまま、次の1点を奪えば勝負は決まるはずです。

試合は完全なるレッズのペース。ビジャレアルの指揮官がソルダードを下げてアドリアン・ロペスで反撃を図ろうとしたのもつかの間、71分にララナを踏んだビクトル・ロペスがイエロー2枚めで退場!スペインで4番めのチームは完全に追い込まれました。74分には右のミルナーが横に流したパスを、フィルミーノが強烈なボレー。コースが少しでも左右にずれていれば、アレオラは対応できなかったでしょう。81分、勝負を決めたのは、左サイドからムサッキオを完全に抜き去ったフィルミーノでした。マイナスのグラウンダーにフリーのスタリッジはミートできなかったものの、GKの前にいたララナがアウトで押し込んで3-0。今日のリヴァプールは完璧です。

元気なジョー・アレンが入った後、エムレ・ジャンが強烈なミドルを放ち、ナサニエル・クラインの超絶スルーパスからスタリッジがGKと1対1になるなど、一方的な展開。この試合で最も感動的だったのは、ベンテケに代わったフィルミーノの去り際です。アンフィールドのサポーターは全員立ち上がり、殊勲のゲームメーカーに厳かな拍手を送ります。そしてそのまま「You’ll never walk alone」の大合唱。リヴァプールはトータル3-1で、ミランと戦ったチャンピオンズリーグ以来、9年ぶりの欧州ファイナル進出を決めました。

今日は、文句なしでしょう。ミルナーとエムレ・ジャンが中盤を締め、フィルミーノがすべてのゴールに絡む活躍で勝負を決めてくれました。特に右サイドが攻撃も守備も素晴らしく、ナサニエル・クラインの奮闘も忘れてはいけません。ファイナルの相手はセビージャに決まりましたが、チャンピオンズリーグでマンチェスター・シティがダブルを決めた相手です。今日のサッカーができれば、バーゼルでも勝てると思います。レッズサポーターのみなさん、おめでとうございます。5月18日は、勝ってチャンピオンズリーグに行きましょう!

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“フィルミーノのラストパス3発!完全なるリヴァプールがスペインの一角を崩して決勝進出!” への4件のフィードバック

  1. K より:

    更新ご苦労様です。
    開始早々のガスパールとバカンブのシュートで肝を冷やしましたが、今日は守備陣が集中してました。ミニョレもハイボールの処理は良かったです。攻撃陣は文句なしです。全てにおいて素晴らしかったです。特にジャンの復帰は大きかったと思います。負傷明けだったのでゲームに入れるか気になりましたが、全く問題なかったですね。シーズン当初はELでも勝ち切れない試合が続いていたので、まさかファイナルへ行けるとは思ってませんでした。相手はセビージャと不足はないです。この勢いでバーゼルでも勝ちあがりたいですね。

    —–
    チャンの復帰が全てでした。彼が居ないと2センターで戦えないのでフィルミーノとスタリッジを同時に先発で使えない分、リスクを取ってでも先発させる必要がありました。本当によく戻ってきてくれました!
    ロジャース時代のチャンは背が高いのに空中戦で競り合わなかったり、簡単にボール捌ける位置で貰いたがるなど自分のフィジカルの強さを発揮せずに無気力プレーを繰り返して存在価値が分からなかった選手でしたが、今では3列目の中で1番なくてはならない存在になりました。彼の成長がチームを成長させてくれたと思ってます。
    フィルミーノはパフォーマンスのムラが無ければ凄い選手ですね。そして彼のアシストを受けてスタリッジが決めてくれた事がチームにとって大事な事でした。あと1勝。今日出たメンバーが今年のベストメンバーだと思うので怪我なくプレーしてくれる事を願います。特にスタリッジくんはWBA戦だけは休んでくれないですかね? 前半戦の戦いでも1人削られた記憶が…

  2. ペニーレイン より:

    更新お疲れ様です。
    願わくは、スタリッジがもう少し周りを使えるようになってくれたら…と思ってます。

  3. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    皆様の仰るとおり、チャンの復帰が大きかったですね。
    よく戻ってきてくれたし、復帰後の試合でこのパフォーマンス、大器の期待が膨らみます。
    これで決勝にオリジが間に合えば文句なしですね。
    またアンフィールドの雰囲気がよかった!
    クロップ監督を含め、レッズは13人で戦っているようでした。
    管理人様が別記事で仰るとおり、ELに集中する方向へ舵をきり完璧なマネージメントをしたクロップ監督とそれを具現化したチームを讃えたいです。
    ここまできたら優勝しかありません。
    イスタンブール以来のヨーロッパでの載冠に向けて応援あるのみです。

  4. makoto より:

    Mackiさん>
    エムレ・ジャンはめちゃめちゃ大きかったですね。セビージャには勝てると信じてます。

    Kさん>
    スタリッジは、いつもなら決めているシュートを1回空振り、1回はGKに止められ、決めた一発もGKに当てているので、「彼の日ではない」出来だったのですが、それでも3-0ですから完勝だったなと思います。

    ペニーレインさん>
    決めたかったんでしょうね。スアレスとのコンビでは、パスセンスを発揮していたので、えきないわけではないと思います。

    nyonsukeさん>
    アンフィールドは感動的でした。うらやましかったです。3-0のうち、1点はサポーターに差し上げたいですね。クロップ監督の意志が明確だったことが、高いパフォーマンスにつながったと思います。

K へ返信するコメントをキャンセル