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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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これが最後か…大歓声に応え続けたジョー・ハート。守護神が存在感を示した最高の1-0!

おお、GKジョー・ハートにMFヤヤ・トゥレ!チャンピオンズリーグ予選プレーオフセカンドレグ、マンチェスター・シティVSステアウア・ブカレストのピッチに、クラブに2回のプレミアリーグ優勝をもたらした功労者たちが帰ってきました。トップにイヘアナチョ、CBコラロフは、今後を見据えた布陣でしょうか。今や最終ラインの中心となったジョン・ストーンズは、プレミアリーグもCLもすべて先発。SBにはクリシーとマフェオ、中盤の底にはフェルナンドが入り、デルフ、ヤヤが左右のインサイド。ウイングにノリートとヘスス・ナバスが構える4-3-3の布陣です。

アウェイのファーストレグを0-5で勝っているペップ・グアルディオラ監督の目的は、勝利よりも選手とフォーメーションのチェックでしょう。選手たちがコンセプトを体現し、誰が出ても狙い通りの攻撃を仕掛けられるようにすること。今日も、マン・シティのプレスは高い位置からスタートです。10分、CBのコラロフがトップ下のポジションまで攻め上がり、縦パスを受けたイヘアナチョが間髪入れずに左足でミドルを狙います。

ヤヤ・トゥレが蹴った12分の直接FKは左にアウト。25分に左のノリートかがデルフにつなぎ、逆サイドに流れたボールをヘスス・ナバスが再度中へ。最後はノリートがバイシクルで狙いますが、丁寧に当てただけのシュートはGKコヨカルが余裕をもってクリアします。ホームチームでは、デルフの動きのよさが目立っています。「ペップと過ごした数週間で、今までのキャリアをすべて合わせた以上のことを学んだ」と、名将のアプローチに感銘を受けていたデルフは、結果を出してプレミアリーグでも出番を増やしたいでしょう。中にスペースがあると見るや自ら持ち込み、ノリートが中に入ると空いたサイドにすかさず走るイングランド代表MFは、フェルナンジーニョとともに中盤の軸になりえるかもしれません。

前半終了間際に、ノリートが前線に浮かしたボールをヤヤ・トゥレがヘッドで落としたチャンスは、走り込んだイヘアナチョより先にGKコヨカルがボールに触り、先制ならず。プレミアリーグのトップクラブのなかでは比較的おとなしいシティ・オブ・マンチェスターは、穏やかな雰囲気に支配されています。ハーフタイムは0-0。後半もボールを支配するマン・シティの守備陣は、全員敵陣に入ってきています。49分にはコラロフが攻め上がって強烈なミドル。ペップは、CBにここまでアグレッシブなプレイを要求しているのでしょうか。直後のCKから、ノリート、デルフとつないでクロスが上がると、ヘッドで叩いたのはジョン・ストーンズ。54分には、ヤヤ・トゥレからのパスをもらったイヘアナチョが、最終ラインの裏に通す股抜きラストパス。GKの前に躍り出たのはデルフです。このシュートはコヨカルが体に当てたものの、2分後には文句なしの一撃をデルフに喰らうことになります。

プレミアリーグ2節でベタ引きのバーンリーを崩せなかったリヴァプールは、同じく全員守備のステアウアを攻略したマン・シティのこの攻撃を手本にすればいいのではないでしょうか。中央のフェルナンドから右にいたヤヤへ。ペナルティエリア内で右に流れたイヘアナチョに縦パスが通り、72番がすぐ外にいたヘスス・ナバスに落とすと、高速クロスに飛び込んでヘディングシュートを叩き込んだのがデルフでした。ダイレクトパスでサイドの選手がフリーになる状況を創り、遠めからのロングクロスではなくボックスのすぐ脇からの速いボール。デルフが入り込むタイミングもぴったりです。1-0、2試合トータルは6-0。60分には、ジョン・ストーンズとノリートが週末のプレミアリーグに向けてお役御免となり、長身の18歳DFアダラビオヨと19歳のサイドアタッカー、タセンデがピッチに入ります。タセンデは、SBからウィングまでこなす切れ味鋭い有望株で、ジョルディ・アラバやキングスレイ・コマンのような役割を期待されているのではないでしょうか。

残り20分から、ジョー・ハートショーが開幕しました。70分に裏を取られたDFをフォローし、直接FKは迷わず上にパンチ。左からのクロスを一瞬フリーになったトゥドリエがプッシュしたピンチも、守護神が落ち着いて体でブロックし、同点を許しません。76分、イヘアナチョが痛めたのはハムストリングでしょうか。フェルナンジーニョに後を譲った若いストライカーを欠くのは、ぺップにとって大きな痛手でしょう。

1-0のままタイムアップの笛が鳴ると、サポーターが大きな拍手で選手を称えています。無数のボードに「1」という数字が描かれ、彼らの視線はスタンドに手を振る守護神に向けられています。ブラボの到着とともにクラブを去るのか。今、「ありがとう」といわなければならないのか、ジョー・ハート。マンチェスター・シティのゴールマウスを9年守り通したGKは、今日も彼らしいセービングでチームを勝利に導いてくれました。ファビアン・デルフの獅子奮迅の活躍でホームチームがリードしたゲームは、背番号1が存在感を発揮し始めた終盤からは、「プレミアリーグ屈指の守護神が最後の勇姿をファンに披露したゲーム」に様変わりしました。私が今日、何よりも観たかったのは、この晴れやかな笑顔だったのかもしれない…別れを惜しむかのように、何度もスタンドの歓声に応える彼を見て、いつしかそんなふうに思うようになりました。マンチェスター・シティは、2016-17シーズンもチャンピオンズリーグの本大会に出場します。いつも通りに。

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“これが最後か…大歓声に応え続けたジョー・ハート。守護神が存在感を示した最高の1-0!” への3件のフィードバック

  1. シティ より:

    今日の試合は、ペップ体制になってからの公式戦で一番悪い出来だったと思います。シルバ、KDB、フェルジーニョの3人がデルフ、ヤヤ、フェルナンドになっただけでこうもボールの回る加減が違うのかと思いました。特に前半はただポセッションをしているだけで効果的な攻撃は作れず、打開策はコラロフとストーンズの一発の縦パスのみ…ヤヤやフェルナンド、デルフがベンチ要因の理由がよくわかりました。もっと中盤の3人は、パスコースを作るなりポジションチェンジを繰り返す等、気の効いたプレーをして欲しかったです。後半少しは改善されましたが、相手が相手なのでせめてもう1点欲しかったです

  2. おはむ より:

    これまで、超ビッククラブを率いてきた経験が活きた試合だと思います。
    ドン引き相手に対しての攻撃の仕方や褒められない内容でもきっちり勝つ、強いですね、シティ

  3. ヤンガナ大好き! より:

    今日はメンバーを落としましたしすでに5点取ってましたし
    アグエロ、シルバ等の休みと若手のチャンスがもらえましたからね
    コラロフが何度も裏を狙ってたと思いますが
    今後1つの攻撃のオプションになる良い練習だったのでは?
    ハートはファンからとても愛されてますが
    今日が最後の試合になるでしょう

    —–
    デルフはPSMでも気合の入ったプレーを見せてましたし、レギュラーメンバーと一緒にプレーする所をもっと見たいなと思いました。
    イヘアナチョの負傷は本当に残念でたまりません。軽傷だといいのですが…

    —–
    ハート、もしこれがシティでの最後の試合となるのであれば心から拍手を贈りたいです!GKが攻撃の最初の起点と考える超攻撃的なペップのフットボールには守備的キーパー ハートにチャンスはあまりないと思います。

    プレミア屈指の守備力をもつハートにはチャンスがあれば是非、国外ビッククラブへ移籍して更に自らを高めて欲しいです。彼はまだまだ伸びしろがあり、イングランドを代表するワールドクラスのGKになるポテンシャルがあると信じています!

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