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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

コシールニー退場で舞台は暗転…最高だったアーセナルは、初戦と同じ道を辿りCL敗退!

「攻めてゴールを奪う。ほかに選択肢はない。バイエルンとは4回対戦しているが、常に欧州で1~2を争っているチームだ。彼らに勝つのはとても難しいことだが、プライドをかけて戦い、90分の間全力を尽くさなければならない」。チャンピオンズリーグのバイエルン・ミュンヘン戦に臨むヴェンゲル監督の言葉に半分納得、半分は疑問でした。プライドや自信が大事なのはそのとおりですが、4点に近づくために、あえてカウンターサッカーを選ぶ道もあるのではないか…。とはいえ、ボスの選んだ戦術が正しいかどうかよりも、明確であることのほうが重要でしょう。

ラウンド16セカンドレグ、プレミアリーグ勢で最初に雌雄を決するアーセナルは、いつもと違うフォーメーションです。GKオスピナ、DFベジェリン、コシールニー、ムスタフィ、モンレアル。アンカーにジャカ、インサイドMFにラムジーとチェンバレン。ウォルコット、ジルー、アレクシス・サンチェスが前線に入った4-3-3です。スタメン予定だったウェルベックは直前にリタイア。メスト・エジルはベンチに戻ってきています。相手が強いのは重々承知ですが、エミレーツで簡単に負けるわけにはいきません。立ち上がりから縦へのロングボールが多いバイエルンは、安全運転宣言でしょうか。中盤で互いにボールを奪い合う展開。6分にラフィーナの縦パスで右サイドを突破したロッベンは、もちろん要注意です。8分に右から持ち込み、切り返しを入れたロッベンのシュートは、モンレアルが足を出してCKに逃れました。

11分、そう、この形です。左サイドでラムジーが奪い、アレクシス・サンチェスのロングフィードでウォルコットがノイアーと1対1。トラップが大きく、ドイツ代表GKにクリアされますが、速い攻めがうまくはまれば勝機が生まれます。13分のCKは、クリアボールを拾ったジャカが逆サイドのアレクシス・サンチェスに展開。ラムジーのシュートがブロックされて浮いたボールにジルーが競り勝ちますが、ヘディングシュートは50センチほど右に逸れました。プレミアリーグでリヴァプールに完敗したチームは、今日はチャンスを創れています。16分に敵陣でウォルコットがインターセプトに成功すると、落としをもらったアレクシスが14番にリターン。フンメルスをかわせず先制はなりませんが、何度も狙いたいプレスからのショートカウンターでした。

来た、ウォルコット!20分にジルーと絡んでフンメルスとシャビ・アロンソを抜き去ったサイドアタッカーは、角度の厳しいところから迷わずシュート。ニアサイド、GKの肩口を狙ったセオリー通りの強烈なシュートは、さすがのノイアーも触るのが精一杯でした。24分にロッベンがラフィーニャを走らせ、右から上げたクロスは、ヘディングシュートを放ったビダルがベジェリンへのファールを取られます。31分、ビダルから奪った速攻はウォルコットのアーリークロスが通らず。34分、セットプレーの流れから後方にいたムスタフィにボールがまわると、CBが縦に走ったウォルコットに見事なスルーパス。先制点の再現を目論んだ14番のシュートは、今度はポストの外からサイドネットに刺さってしまいました。アレクシス・サンチェスの縦に長いフィードをモンレアルがヘッドで落とすと、ダイレクトで打ったジルーのシュートは浮いてしまいます。

37分にロッベンが浮かしたボールでフリーになったレヴァンドフスキのボレーはミートせず。カウンターの応酬は、両者とも戻りが速く決定機にはなりません。45分のアレクシス・サンチェスのFKはノイアーの正面。前半は1-0のまま終わりますが、アーセナルが今季プレミアリーグ前半戦で強かった理由を思い出させる45分でした。あの頃の彼らは、アグレッシブなプレスを繰り出し、前でボールを奪えたのです。今日は、ラムジーが前線の守備のリズムを作り、ジャカが左右に散らし、チェンバレンがウォルコットをうまく使うなど、中盤の3人の持ち味がよく出ています。前半のうちにもう1点獲っておきたかった展開でしたが、まだ45分あります。後半もアーセナルのプレスが効いており、奪われたボールをことごとく奪い返しています。

48分、ラムジーのクロスをフリーで叩いたジルーのヘッドは決めてほしかった!ここまでは押していたアーセナルでしたが、53分にリベリーのドリブルに対するチェックが甘くなったところから、命運は一気に暗転します。裏に入ったレヴァンドフスキにパスが通ると、モンレアルがかわされ、後ろからチェックにいったコシールニーが引っかけてしまいPK。どうやらこれに副審からレッドではないかと進言が入り、コシールニーはPK・レッドカード・サスペンデッドという「三重罰」となったようです。レヴァンドフスキが右隅に決めて1-1、しかも10人。プレミアリーグで不振にあえいでいたチームは、最近のいくつかのゲームのように心折れてしまうのでしょうか。62分、左サイドから仕掛けたバイエルンは、ティアゴの浮き球をハビ・マルティネスがヘディングで狙いますが、強さをコントロールできずにオスピナの手の先を越えていきます。

ビダルとのワンツーでレヴァンドフスキがラインの裏を取ったのは64分。シュートはオスピナがセーブしますが、どうやらイニシアティブは完全に相手に渡ってしまったようです。アーセナルのチャンピオンズリーグは、残り20分を待たずに終わりを告げました。68分のオスピナのキックはミスといっていいでしょう。拾われたボールがすかさずレヴァンドフスキに通り、ヒールで落としたボールはアレクシス・サンチェスがカットしたものの、つついたロッベンが奪取、そのままGKと1対1、ゴール。72分にラムジー、アレクシス・サンチェス、ジルーを下げる3枚代えに出たヴェンゲル監督は、この先のFAカップやプレミアリーグを考えているのでしょう。ルーカス・ぺレス、コクランと同時にピッチに入ったエジルは、真っ向から勝負することなく欧州の舞台から去ることになりそうです。

チームが戦いを終えたのを見たグーナーが家路を急ぎ、エミレーツはずいぶん空席が目立つようになりました。76分、ロッベンに代わったドゥグラス・コスタのグラウンダーをレヴァンドフスキがプッシュすると、ポストにヒット。78分にジャカをかわしたドゥグラス・コスタが左隅に決めて1-3。80分にはムスタフィのミスパスをシャビ・アロンソが奪い、ビダルが足元に滑ってきたオスピナの手前で浮かして1-4。残り5分には、レナト・サンチェスのスルーパスでGKと2対1という形になり、ドゥグラス・コスタがビダルに折り返し、無人のゴールに流し込んで1-5。引くことにも攻めることにも意味を失ったチームがこうなるのは、仕方がありません。アーセナルは、7年連続のラウンド16敗退。ヴェンゲル監督に対する厳しいトーンのバナーが並んだエミレーツのスタンドをカメラが捉えたとき、20年愛され続けた指揮官のアーセナルをこの大会で見るのは今日が最後だったのかもしれないと、ぼんやり思いました。

極限の戦いの最中に見せる選手の表情は、思いのほか正直なもの。過ちを犯した自覚があり、あわよくばなかったことにしたいと願う選手の顔には悪人の相が浮き出るものです。足はかかっておらず、肩を入れにいった瞬間にストライカーが倒れたのを見たコシールニーが即座に両手を広げたのは、やっていないと本気で思っていたからでしょう。実質的に一発レッドだったのか、コシールニーの発言が2枚めを呼んだのかは断片的な映像からはわかりません。今、思うことを列挙すれば、「サッカーにおいてはレフェリーのジャッジは絶対である」「50分までのアーセナルは最高の出来だった」「前半にもう1点獲っていれば、勝負はわからなかった」、そして「11人同士の試合を最後まで観たかった」…。PKを取られた時点でベスト8進出の可能性は限りなくゼロになったのだと思われますが、何ともやりきれない幕切れでした。

ラムジー、ウォルコット、チェンバレン、ジャカ、アレクシス・サンチェス…あのシーンまでのあなたたちは素晴らしかった。それだけを添えて、初戦の後半の過ごし方を失敗した無念の大会について語るのを終えたいと思います。

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“コシールニー退場で舞台は暗転…最高だったアーセナルは、初戦と同じ道を辿りCL敗退!” への4件のフィードバック

  1. デリック より:

    1stで負けて、2ndで勝って惜しかったな、が多かったですが、今季はボロボロでした。
    最近試合を楽しみに待てないのが辛いです。
    好転する気配なく、監督解任ばかり話題になるのは辛いですね。ボスの場合選手からは支持されてるでしょうから解任されるとチームが分解するのが恐いです。
    今シーズン頑張って乗り切って辞任がいいのかなあと思います。

  2. アナーズ より:

    前半の戦い方を今後に活かしてほしい。
    選手もボスも必死さに溢れていた。報われろ。
    そう願いながら観ていました。追加点が取れない
    歯がゆさもありましたが、それでも希望がありました。
    後半はもはや怒りと悲しみです。

    ボスのアーセナルでの、あるいは人生最後のCLだとしたら、
    あまりにも酷いエンディングです。
    これまでで一番苦しい時期だからこそ、
    最後まで応援したいです。どうか報われてほしい。

    —–
    1stレグでハンドPKを2回も見逃してもらって、「審判ガー」はないでしょう笑

  3. makoto より:

    デリックさん>
    途中で切れてしまっての1-5なので、スコアを気にしすぎなくてもいいと思います。前半の戦い方に、次につながる手応えはあったのではないでしょうか。

    ミハルさん>
    全く同感です。ひと花咲かせてほしいです。

    アナーズさん>
    審判ガー、とはどなたがおっしゃっているのですか?レフェリーが絶対だと思っており、ジャッジに批判的なことは書いていないので、そういうことをおっしゃっている方がいるのであれば、そこで書かれてはいかがでしょうか。

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    53分までは最高の試合でしたね!あの感じをプレミアリーグでもだせたらなーと思って見てました。長いシーズンあのテンションを維持するのも難しいんでしょうけどね。

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