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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

必然の敗戦…プレスに呑まれたマンチェスター・シティが、モナコの獰猛なアタックに屈す!

1月15日のプレミアリーグ21節でエヴァートンに大敗してから、8勝3分と強さが戻ってきたマンチェスター・シティ。ガブリエウ・ジェズスの鮮烈なデビューとライバル登場に刺激されたかのようなアグエロの爆発、レロイ・サネの完全フィットに加えて、コラロフ、ジョン・ストーンズ、ヤヤ・トゥレを中心とした守備陣の安定も見逃せません。チャンピオンズリーグラウンド16、モナコの本拠地スタッド・ルイ・ドゥで開催されるセカンドレグは、先制点を奪ってリーグアン首位クラブの焦りを誘う形に持ち込みたいところです。

5-3と撃ち合いになった初戦を落としたモナコは、直近4試合で10ゴールと相変わらずの爆発力を披露。2月に入ってからブレイクした18歳FWムバッペのスピードには要注意です。週末にはプレミアリーグのリヴァプール戦が控えているものの、ペップにメンバーを落とす余裕はありません。GKカバジェロ、DFはサニャ、ジョン・ストーンズ、コラロフ、クリシーの4枚。アンカーにフェルナンジーニョ、左右にデブライネとダヴィド・シルヴァ。前線はもちろんスターリング、アグエロ、サネの3トップです。ファルカオを欠くホームチームは、開始30秒にGKスバシッチのキックでムバッペが前線に走ります。欧州屈指の得点力を誇るモナコに対してマン・シティが気をつけるべきは、こういったシンプルなアタックなのかもしれません。

ホームチームが繰り出すサイド攻撃に、水色のシャツは防戦一方。6分、フェルナンジーニョが縦パスを拾われ、素早いフィードを受けたムバッペがデブライネをかわすと前にはGKだけ。右足インサイドのシュートはカバジェロが左手で弾き出すビッグセーブでしのぎますが、早くも不穏な空気が漂っています。このショートコーナーから、モナコがあっさり先制しました。メンディがサネを抜いて入れたグラウンダーはジョン・ストーンズがスライディングでブロックしますが、フォローしたベルナルド・シウヴァがニアに速いボールを通すと、ムバッペをケアするマーカーはいませんでした。イージーなボレーがネットを揺らし、1-0。マンチェスター・シティのアドバンテージは早くも1点となりました。

プレミアリーグではボールをキープできるペップのチームは、自陣で奪ったボールを前につなぐ前に取り返され、いい形でハーフラインを超えられません。ジェルマン、メンディ、ベルナルド・シルヴァにSBの前のスペースを使われている今日の展開なら、アンカー1枚ではなくフェルナンジーニョとヤヤ・トゥレを並べたくなります。最終ラインに強烈なプレスをかけられ、まったく攻めに出られないマン・シティ。これほど一方的に押されている彼らを見るのは初めてです。29分、レマルの仕掛けからメンデスが左サイドをえぐると、速いグラウンダーをボレーで叩き込んだのはファビーニョ。ただ引いていたコラロフは無力でした。このままのスコアならモナコが勝ち抜け。次のゴールを奪われれば絶望的です。

38分、レマルがボックス左に出したパスでジェルマンがラインの裏に抜け、カバジェロが釣り出されますが、クロスが中に合わず助かりました。ゴールが必要なマン・シティはシュートすらありません。最終ラインのビルドアップを執拗に追いかけまわされ、フェルナンジーニョは明らかに狙われています。アウェイチームは、シュートゼロのまま前半を終えました。ペップ・グアルディオラは、早い時間に動いてくるでしょう。後半開始から攻勢に出ているのはマンチェスター・シティのほうです。流れるようなとはいきませんが、サイドで勝負できるボールが出るようになってきました。51分にクリシーが軽く浮かしたパスでラインの裏に出たダヴィド・シルヴァは、1歩及びません。57分、デブライネの素晴らしいスルーパスで右からGKに迫ったスターリングは、アグエロへの折り返しを読まれてメンディにカットされました。モナコが引き気味になったこの時間帯で、マン・シティはゴールを奪いたいところです。

60分を過ぎても、マンチェスター・シティにシュートはありません。ようやくつかんだ決定機は62分。左サイドをドリブルで崩したサネがニアのアグエロに折り返すと、ボレーはうまく当たらず左に逸れてしまいます。65分、フェルナンジーニョの縦パスが前線に出たダヴィド・シルヴァに通り、右に流したパスでアグエロが一瞬フリー。決まったかと多くのサポーターが立ち上がったシーンは、エースのトラップが大きくなり、コースを塞ぎにきたGKスバシッチにブロックされます。モナコがアグエロやサネにラインの裏を許すようになってきました。足りないのは、ラストパスとトラップの精度だけです。

ジャルディム監督がラッジをトゥーレに代え、守備を修正した直後でした。71分、右から持ち込んだスターリングが中に切り返して左足を振り抜くと、スバシッチが弾いたボールが左サイドに転がります。先に追いついたのはレロイ・サネ。無人のゴールに叩き込んだ一発で、マンチェスター・シティがトータル6-5と再びリードします。しかし、アウェイチームがつかみかけた8強のチケットは、たった6分でモナコの目の前に戻されます。77分、レマルの右からのFKにバカヨコが飛び込み、完璧なヘッドが右のサイドネットに吸い込まれます。

79分、ムバッペが下がりモウチーニョ。トップを1枚にして中盤の守備力を上げる狙いでしょう。ペップの最初のカードは、84分にクリシーをイヘアナチョ。時間帯も代え方も、試合前に練ったプランのなかにあったのではないかと思われます。ゴールに迫れないマン・シティ。ジェルマンがディラルに後を譲ったのは、追加タイムに入ってからです。デブライネのFKは、いつもの彼のクオリティではありませんでした。3-1、モナコがベスト8進出!プレミアリーグではまずまずだった守備も、欧州主要リーグで最多ゴールの獰猛なアタッカー陣を止められませんでした。

完全に研究された。そしてそれを覆すほどの引き出しはなかった。ペップが創った初年度のチームは、完成形には遠いことが明らかになったゲームだったのではないでしょうか。アレクシス・サンチェスのゼロトップを試みたアーセナルをはじめ、TOP6の大半がモデルチェンジした今季のプレミアリーグのなかで、欧州で戦えるレベルの完成度に漕ぎ付けたのは、欧州がなかったチェルシーだけだったということなのかもしれません。ヤヤ・トゥレがいれば、あるいは前線に飛び出した選手たちにいつもの落ち着きがあればといくつかの「たら・れば」は浮かぶものの、リーグアン首位チームのプレスに呑まれてしまったことも含めて実力なのだと思います。今のモナコは、ファイナルに進出しても驚かない極上のチームです。素晴らしいプレイでミッションを完遂したベルナルド・シウヴァ、レマル、ジェルマン、メンディに心からの拍手を送りたいと思います。

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“必然の敗戦…プレスに呑まれたマンチェスター・シティが、モナコの獰猛なアタックに屈す!” への9件のフィードバック

  1. シティふぁん より:

    先制される時の時間帯が早過ぎます
    まだまだ欧州で戦うには力も安定感も足りません
    誰を放出するか決まったはず
    次はリバプール戦ですが嫌な予感しかしないです

  2. ぐら より:

    とはいえ修正力は流石と思いました。
    前半の無力な感じから後半は戦えるくらいにまでなってましたから
    選手交代を早めにしていれば…と思いました

  3. おはむ より:

    噂では聞いていましたが、モナコの破壊力は凄ごい、ホームとアウェイで3点を勝ち取る!
    数年後にドーッと流行りそうなサッカーで、近未来を見てるみたいでワクワクしました。

  4. プレミア より:

    1stレグでも守備に問題はあったけどセットプレーの連続得点で流れを変えられたんですが、モナコも二度も同じようなやられ方はしなかったですね
    それにしても最後の砦がレスターになるとは・・・こうなったらプレミア覇者の力を見せつけてほしいですね

    —–
    残留争いをしてるレスターのみが生き残るとは‥
    来季のCLではチェルシーや強豪相手に強いリヴァプールを見たいですね
    アーセナルもシティも情けないです

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    近年のヨーロッパでの大会におけるイングランドのクラブの成績から、情けないとか揶揄する人は多いですけど、結果的に見ても実際弱いんだから仕方なくないですか?
    勿論、弱いというのはヨーロッパにおける相対的な話ですけど、そもそも分相応の結果というか、実力がその程度だと思うし、過大評価しすぎだと思うんですが、、、

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    攻撃的に行くと言っていたペップがヤヤを外してきたのは意外でした。
    彼ならプレスをかわしてビルドアップ出来たのではと思ってしまいます。

    —–
    弱くて結果出せないことに対して情けないという意味であって過大評価してる風には読み取れませんが‥

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    ユナイテッドもモナコのようにアタックするチームになってほしいですが、歯切れの悪い攻撃ばかりですよね

  8. makoto より:

    シティふぁんさん>
    SBの迫力のなさが気になりました。サイドが空きましたね。

    ぐらさん>
    ダヴィド・シルヴァを意図的に上げてからよくなりましたね。イヘアナチョはもっと早く入れてもよかったのではないかと思いました。

    おはむさん>
    グループリーグでトッテナムと当たったときにはさほど感じなかったのですが、素晴らしかったですね。モナコの完成度が上がったのか、それなりにトッテナムがよかったのか。

    かーどさん>
    グリクがいなくてもあれだけやれるのは強いです。レスター、がんばってほしいですが、どこと当たってもムムムですね…

    プレミアさん>
    そうなんです。リーグで強さを見せている2チームが欧州にいないのは、非常に残念です。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    どなたかが「プレミアリーグは欧州最高水準」などとおっしゃってるんですかね?過大評価というのはそういうことかと。モウリーニョとペップという名将が新しいチームを率いているので、注目はされているとは思いますが、スペイン3強とバイエルンにはかなわなくて、パリとユーヴェにもやられそうというフラットな評価だったという認識です。直近3年でベスト4に2チーム入っており、ユーヴェしか上がってこないイタリアよりは実績的に上ながら、パリとモナコが強くなったフランスに押され気味というポジションで、「弱い」とまでいってものでもないかと思います。

    バートンさん>
    そうですね。セントラルに2枚いたほうが、守りやすかったのではないかとも思いました。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    同感です。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    連動性とパスの精度が今ひとつですね。よくはなってますが。

  9. おはむ より:

    噂では聞いていましたが、モナコの破壊力は凄ごい、ホームとアウェイで3点を勝ち取る!
    数年後にドーッと流行りそうなサッカーで、近未来を見てるみたいでワクワクしました。

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