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ラシュフォードのFK炸裂!マンチェスター・ユナイテッドがアウェイ勝利でELファイナルに前進!

「マンチェスター・ユナイテッドがまだ獲っていないタイトルだ。優勝すれば、すべてを手に入れたクラブだといえる。ヨーロッパリーグは、今となっては重要な大会だ。ファーストレグの結果次第では、週末のプレミアリーグで選手を休ませることになるかもしれない」。チェルシー時代にはEL優勝は落胆でしかないといい放ち、昨年9月にもマンチェスター・ユナイテッドにはふさわしくないタイトルと語っていたモウリーニョ監督は、明確にこの大会が最優先と宣言しました。いいメッセージだと思います。「こちらからチャンピオンズリーグ出場権をつかもう」。トップに立つ人間に最も必要なのは、ミッション達成へのこだわりと明快さです。ヨーロッパリーグ準決勝、敵地エスタディオ・バライドスで開催されるセルタ・デ・ヴィーゴとの最初の試合で、指揮官は考えうる最高のメンバーを揃えてきました。GKロメロ、DFバレンシア、バイリー、ブリント、ダルミアン。中盤にはエレーラ、フェライニ、ポグバ。ムヒタリアンとリンガードがサイドに入り、最前線はラシュフォードです。

プレミアリーグ5位は微妙なポジションですが、リーガ・エスパニョーラ11位のチームには負けないのではないかと淡い期待を抱きつつ、2011-12シーズンのELでビエルサ監督のアスレティック・ビルバオに完膚なきまでに叩かれた苦い思い出が脳裏をよぎります。キックオフからポゼッションはマンチェスター・ユナイテッド、セルタはひたすらプレス。5分に左でリンガードのパスを受けたラシュフォードは、ムヒタリアンに落としてシュートを打たせるものの、DFの壁につかまります。中盤を活性化しているのは、やはりポグバ。8分に左に出たエレーラは、きれいなスルーパスをラシュフォードに通すもラストパスはマジョがカット。11分、セルタが先に決定機をつかみました。右からラドヤがゴールに向かうクロスを上げると、フリーでロメロの前に躍り出たパブロ・エルナンデスがヘディングシュート。少し焦ったかコントロールが効かず、ボールはポストの右に逸れていきます。

16分、グイデッティが左サイドを突破し、プレミアリーグでは苦戦したエースのイアゴ・アスパスにパスを入れると、エレーラとフェライニが必死にブロック。20分、マジョのマークを軽いタッチでほどいたラシュフォードのシュートがゴール右隅を襲いますが、GKセルヒオがビッグセーブでCKに逃れます。30分に左から中に持ち込んで放ったシストのミドルは、ロメロが正面でキャッチ。その直後、フェライニからパスをもらって左サイドを上がったのはムヒタリアン。アウトにかけた絶妙なクロスは、スライディングしたリンガードのつま先に触れただけで、GKの前に転がります。

35分、ラドヤをトラップでかわしたポグバがカウンターを開始。ドリブルで上がった6番は、前線に走ったムヒタリアンに文句なしのスルーパスを通しますが、左足のシュートはアルバレスが足に当てて何とかクリア。39分にラシュフォードとリンガードが中央突破を図ると、ラストパスでフリーになったリンガードのコントロールショットは、またしてもセルヒオがセーブしました。前半は0-0。ゴールこそなかったものの、マンチェスター・ユナイテッドが少人数で仕掛ける速攻には可能性が感じられます。問題は、プレミアリーグでも課題になっているフィニッシュの精度。次の45分で、ズラタンのいないチームでどこまでやれるのか、その底力が問われます。

後半も、よりボールに触っているのはマンチェスター・ユナイテッド。49分、ブリントのロングフィードが最前線のリンガードに一発で届き、落としをインサイドで叩いたポグバのシュートは、GKの頭越しという意図通りにいかず、クロスバーを越えていきます。52分にヴァスが軽く浮かしたボールに飛び込んだイアゴ・アスパスは、頭をひねって左隅を狙うも枠の外。59分にボックスの角でバレンシアをかわしたシストは、右足で巻いた一撃をロメロに指先で弾かれます。徐々にセルタが押し始め、虎視眈々とカウンターのチャンスを狙っていたアウェイチームは、62分にラシュフォードがカブラルからボールをさらって突進。右から3人が上がっていたにも関わらず、自ら決めようと焦った強引なシュートは大きく右に外れてしまいます。

ところが67分、ついに均衡が破れました。ラシュフォードがマジョに倒されて得た右からのFK。ブリントが蹴ると見たセルヒオがニアに重心を移した瞬間、左のサイドネットめがけて曲げたラシュフォードの素晴らしいシュートが狙い通りに突き刺さりました。勝負強い19歳のストライカーは、ヨーロッパリーグで2試合連続のゴール。セルタは、このままのスコアでオールド・トラフォードに向かうわけにはいきません。72分、右にいたイアゴ・アスパスがグイデッティをポストに使って中央に侵入し、左からボックスに入ったジョニーにつなげますが、ロメロと向き合った19番は打てなかったか。リターンをボレーしたイアゴ・アスパスには余裕がなく、左に外れたボールをロメロは落ち着いて見送ります。ヴァスがホサベに代わった直後の75分、ムヒタリアンが左から放ったミドルのこぼれ球は、リンガードに決めてほしかった!腰が入りきらなかったボレーは、左のポストすれすれに逃げていきました。

モウリーニョ監督は、78分にムヒタリアンを下げてアシュリー・ヤングを投入。足を痛めたラシュフォードが1分以上かけてピッチを離れ、マルシアルと代わる姿にホームのサポーターから容赦ないブーイングが浴びせられます。88分、入って10分もしないうちにアシュリー・ヤングがハムストリングを痛めてしまい、急遽スモーリングが呼ばれます。今日のマンチェスター・ユナイテッドの守備ラインは、とにかくきれいでした。ハーフライン付近でプレスをかけて、奪えなければ中盤の選手は最終ラインの手前まで下がって待ち受け、サイドに出たボールはSBとMFが2人でケア。ロメロが安定しているのは、ELは自分がレギュラーという意識があるからでしょう。モウリーニョ監督が構築してきた守備戦術が結実し、プレミアリーグで25試合連続無敗のチームは危なげなく試合を畳みました。

ボールをしっかりキープして相手の嫌がるところに出せるポグバと、マンマークに長けたバイリーの存在はやはり大きいと実感したゲーム。エレーラ、フェライニとポグバという布陣が、今のこのチームのベストでしょう。前半の決定機を活かしてくれれば、もっと楽な展開に持ち込めたとは思うものの、アウェイ勝利という結果には満足です。オールド・トラフォードでは、得意のドローでOK。今日の守備を次戦も継続していただいて、おそらくアヤックスとぶつかるであろうストックホルムへのチケットを手に入れていただければと思います。ラシュフォードの足の具合が心配ではありますが、ファイナルで彼のゴールシーンが見られるものと信じております。(アントニオ・バレンシア 写真著作者/Ardfern)

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“ラシュフォードのFK炸裂!マンチェスター・ユナイテッドがアウェイ勝利でELファイナルに前進!” への3件のフィードバック

  1. mufc より:

    これぞユナイテッドではないでしょうか。危機の時に若手が救ってくれるシーンはユナイテッドを長く応援してきた人達には見慣れたシーンだと思います。モウリーニョさん……金で獲った者達だけでなく、もっと下部組織の選手達を信じてあげて下さい……。ところでCL逃した場合、モウリーニョ解任はありえるでしょうか?私はアレグッリが来てくれたらと思うのですが。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    信じたからこそのラッシュフォード起用でありこの結果でしょう。

  3. yuto より:

    試合前からラッシュフォードは軽い負傷をしていたみたいですが、フレッシュなマルシャルよりも優先してスタメンだったことは強い信頼の表れでしょう。
    早朝でしたが目の覚めるすばらしいフリーキックでした。
    ELを見るたびに何度も繰り返しますが、ロメロが非常に安定していることがうれしいです。
    仮に決勝に進んだ場合、スタメンがロメロであっても異論はない活躍を今シーズンはしていると思います。

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