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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

何もさせない美しい守備ブロック!マンチェスター・ユナイテッドが「圧勝」でEL初優勝!

ストックホルムのフレンズ・アリーナで開催されるヨーロッパリーグ2016-17ファイナル。マンチェスター・ユナイテッドのスターティングメンバーにズラタン・イブラヒモヴィッチの名前がないのは残念ですが、この日に照準を合わせてきた最高の11人が揃いました。GKはELレギュラーのロメロ、最終ラインはバレンシア、スモーリング、ブリント、ダルミアン。ポグバ、フェライニ、エレーラの中盤は盤石。前線にはマタ、ラシュフォード、ムヒタリアンです。プレミアリーグでは6位と難しい初年度を終えたモウリーニョ監督は、ここで勝てば狙いどおりチャンピオンズリーグ出場権を手に入れることができます。立ち上がりから、ムヒタリアンとラシュフォードが左サイドを崩そうとするマンチェスター・ユナイテッド。10分、左からのスローインがゴールライン際に出ると、走り込んだマタが速いクロスをフェライニに合わせようとしまずが、わずかにずれてボールは逆サイドに転がります。

15分、アヤックスに最初のチャンス。左からユネスがドリブルで仕掛け、ニアのベルトラン・トラオレに速いグラウンダーを通すと、振りの速い左足シュートはロメロがキャッチ。すると18分、アヤックスのスローインミスを拾ったマタからフェライニ、ポグバとパスが回ると、左足で狙ったポグバのシュートはダビソン・サンチェスの足に当たり、GKオナナの逆を突きました。マンチェスター・ユナイテッド、1-0!プレミアリーグではゴール数よりもバーやポストに当てた数のほうが多かった6番が、大一番で貴重なゴールを決めてくれました。22分、CKからのベルトラン・トラオレのミドルはムヒタリアンがブロック。自陣に引いてパスコースを切り続けるマン・ユナイテッドの守備は安定しており、バイタルエリアでシュートコースが空くシーンはありません。

24分、右サイドのバレンシアが縦に大きく出してリーデヴァルトを抜き去り、強烈なシュートを放つもオナナがセーブ。ポゼッションは圧倒的にアヤックスですが、ボックスの手前が厚いマン・ユナイテッドに楔のパスがつかまり、なかなかフィニッシュに持ち込めません。45分にワンツーで抜け出しかけたトラオレは、ダルミアンが体を入れてフィニッシュを許しませんでした。前半は1-0。ポグバ、フェライニ、エレーラが互いの距離感を保ち、侵入してきた相手に対して複数で囲んで奪うマンチェスター・ユナイテッドは、ポゼッション33%と完全にカウンター狙いです。

後半開始直後のシェーネのミドルは守備網がブロック。48分、マタのCKからマンチェスター・ユナイテッドが待望の2点めをゲットします。スモーリングが競り合ったボールがゴール前に落ちると、フェルトマンの前にいたムヒタリアンが倒れ込みながら右足アウトでプッシュ!プレミアリーグでは4ゴールに終わったアタッカーは、ヨーロッパリーグでは6発めです。直後のラシュフォードの突破は、ダビソン・サンチェスが体を投げ出してカット。56分、ユネスが初めてラインの裏でフリーになるも、バレンシアがカバーしてフィニッシュに持ち込ませません。残り30分、「Boring, boring,United」。ボス監督は、何もできなかった19歳のエース、カスパー・ドルベアを諦め、ダヴィド・ネレスで勝負です。

65分、右サイドに出たポグバがフェライニの頭にぴたりと合わせますが、コースが甘くオナナがキャッチ。72分、アヤックスがボックス手前でFKを得ると、ツィエクのキックは工夫がなく壁に阻まれます。74分、モウリーニョ監督はイエローをもらっていたムヒタリアンをリンガードにチェンジ。CBのデ・リフトがオーバーラップして放ったロングシュートは、大きく左に外れました。デ・ヨングが入ったアヤックスは3-4-3にシフト。マン・ユナイテッドの9枚の守備ブロックは崩れません。守備の要であるダビソン・サンチェスがロングシュートを打たされているあたりに、アヤックスがいかに攻め手を失っているかが窺えます。84分、ラシュフォードが下がってマルシアル。プレミアリーグでは4ゴールで終わった11番は、いい形でシーズンを締められるでしょうか。

マルシアルがハーフラインで落としたボールをリンガードが持ち込み、ひとり旅に入ったのは87分。オナナと1対1となり、3点めかと思われたフィニッシュの瞬間、ダビソン・サンチェスが追いつきリンガードはピッチに転がります。90分、マタに代わってウェイン・ルーニーが登場すると、サポーターがヒートアップ。ストックホルムに勝利を確信したチャントが鳴り響きます。ピッチ脇では松葉杖のロホがラシュフォードと戦況を見守り、追加タイムが残り1分となると、ズラタンがベンチの選手と握手を交わしています。ツィエクのスルーパスでロメロと1対1になったダヴィド・ネレスはキックミスしてしまい、裏をカバーしたバレンシアにクリアされて唯一のチャンスを逃します。ここで笛!モウリーニョ監督のマンチェスター・ユナイテッドがヨーロッパリーグ初優勝を果たし、来季のチャンピオンズリーグ出場権を手に入れました。

退屈な勝利、しかし完璧な勝利。ポゼッションはわずか33%、シュート数は17対6と圧倒されながら、オンターゲットは3対4。後ろの7枚が築いた美しい守備ブロックは最後まで崩れず、ロメロに1度もダイビングさせませんでした。とりわけバレンシアとエレーラのポジショニングはパーフェクト。ちょっとしたピンチはすべて彼らのカバーリングで止まり、オランダの名門は希望のないミドルシュートに終始しました。マタとムヒタリアンの前線起用も大正解。ラシュフォードのチャレンジがダビソン・サンチェスに抑えられるなか、欧州で難しい試合を戦ってきた2人のアタッカーが少ないチャンスで正確な判断を下し、ゴールを生み出してくれました。ありがとう、ジョゼ・モウリーニョ。プレミアリーグを半ば捨てて、この試合に向けて周到な準備を重ねてきた指揮官とスタッフをリスペクトしたいと思います。ドローに終わるたびにかみしめてきた悔しい思いは、これで完全に晴れました。

感動的なセレモニー。胸にメダルを戴いたデ・ヘアは、オールド・トラフォードに戻ってきてくれるのでしょうか。ルーニーが高々とトロフィーを掲げると、「カンピオーネ!カンピオーネ!オーレ、オーレ」の絶叫がフレンズ・アリーナにこだまします。モウリーニョ監督も、満面の笑みで選手と一緒にジャンプ。扇の中央にバレンシアとエレーラがいるのが、今季のこのチームです。神は自分のスマホを取り出し、「ズラタン、残ってくれ!」と書かれたバナーをバックに撮影をオーダー。ポグバはトロフィーをピッチに置いてポーズを取っています。ヨーロッパリーグといえども、やはり欧州の戴冠は格別です。マンチェスター・ユナイテッドは最高の形で長いシーズンを終え、来季は2年ぶりに欧州の最高峰の大会に挑みます。

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“何もさせない美しい守備ブロック!マンチェスター・ユナイテッドが「圧勝」でEL初優勝!” への14件のフィードバック

  1. runrun より:

    ユナイテッドやりましたね!
    今季ユナイテッドの引き分けの多さと点の決まらなさに悲しみを覚えていましたが今日の勝利で帳消しにしてくれました!

    clに出れるのでオフシーズンの補強の噂も楽しみにしています!

  2. ユナイテッド より:

    いやあ流石モウリーニョでした
    安心して見てられました笑
    やはり相当のプレッシャーがあったのか勝利が決まった瞬間モウリーニョも大はしゃぎしてましたね笑
    来季はプレミアリーグであの姿が見たいです。

  3. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    優勝おめでとうございます。
    アヤックス相手に完璧な対応でした。
    強かったですね。しかし、しっかり結果を出すモウリーニョ流石ですね。

  4. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    優勝おめでとうございます。
    昨年のレッズの無念をライバルチームに晴らされるという少しばかりの嫉妬はございますが(笑)、イングランドのチームのヨーロッパでの載冠はいつ以来ででしょうか?(12-13のチェルシーでしたか?)
    流石モウリーニョ、天晴れでした。
    これで来季は7チームがヨーロッパの舞台に立つことになります。
    PLが盛り上がることは間違いなく、CL、ELでの活躍も期待したいですね。
    マンチェスター・ユナイテッドのファンの皆様、おめでとうございました。

  5. ガナキチ より:

    おめでとうございます!さすがモウリーニョですね。最高の締めくくりですね!タイトル獲得、CL出場権羨ましいです。来年はアーセナルが優勝できるように応援します。

  6. yuto より:

    モウリーニョ監督の周到な準備によって素晴らしい結果をもたらしてくれました。
    この試合でも今シーズンのユナイテッドを支えてくれた選手たちの活躍が目立ちましたね。
    何といっても今シーズンのバレンシアには称賛しかありません。
    ロメロはカップ戦での起用と決められた中、デヘアを忘れさせる素晴らしいパフォーマンスを継続してくれました。
    至上命題でもあったCL復帰にはとてもうれしく思います。いよいよ16-17シーズンも終わり、誰が加わり去るのかモウリーニョ監督の新しいスカッドに注視していきたいです。

  7. 不知火 より:

    最後ルーニーが交代で入ってくる時、感動が止まりませんでした。
    最高のフィナーレです

  8. グッチ より:

    経験の差がモロに出ましたね。流石のモウリーニョです。来季は納得のCBを取り、デヘア(未定?)とキャリックの後を継げる選手が入ればしぶとくタイトルを攫うでしょう。

  9. プレミアリーグ大好き! より:

    Yes.yes,Hello CL!
    補強気になりますね、
    デ・ヘア→オブラク。グリーズマン加入なんでしょうか?

    —–
    終わって正直な感想は、「首がつながったぁ」です。よかった。
    来季への課題は山積み、しかし選手たちはなんだかんだタイトル3つとったという自信と、なんだかんだモウリーニョの指示にしたがえばタイトルとれるのかという納得感は持てたと思うので、その上でこそ成り立つ「二年目」へ頑張ってほしいと思います。

  10. えじ より:

    ユナイテッド優勝おめでとうございます。
    決めるところで決めきれるモウリーニョはやはり名将だなと感じます。

    来季は実力チームがこぞってヨーロッパで戦うのでどこまでプレミアリーグ旋風巻き起こせるか楽しみです!

    とりあえずリヴァプールはなんとしてもプレーオフを突破しないとです。

  11. プレミアリーグ大好き! より:

    クロップとはやはりまだ格が違うんだなと実感しました。

  12. makoto より:

    runrunさん>
    やりましたね!私もすっきりしました。最前線、アンカー、最終ラインの整備をお願いできればと思ってます。

    ユナイテッドさん>
    うれしそうでしたね。彼のチームらしい最高の試合運びでした。

    Mackiさん>
    ありがとうございます。ルタ戦の最後で負けを覚悟したのですが、決勝は完璧でした。

    nyonsukeさん>
    ありがとうございます。チェルシー以来ですね。CLのベスト4あたりで直接対決といきたいですね(はしゃぎすぎでしょうか)

    ガナキチさん>
    ありがとうございます。最高です。ゲームプラン通りだったのではないでしょうか。

    yutoさん>
    バレンシア、最高でしたね。ロメロも監督の信頼を受けてずっと集中してプレイできていたと思います。

    不知火さん>
    粋でしたね。キャプテンマークの受け渡しも忘れずに。

    グッチさん>
    デ・ヘアとキャリック、最重要ですよね。シャビ・アロンソのように早く攻撃に切り替えられるタイプがいいと思います。

  13. makoto より:

    京都1のMUFCloverさん>
    オブラク、来てくれたらいいのですが。伝統と信頼のアトレティコブランド踏襲ということで。

    えじさん>
    全クラブがグループステージ突破したら盛り上がりますね。ラウンド16で2つは残っていただいて(現実的なラインで)

    プレミアリーグ大好き!さん>
    いえ、昨季のファイナルの相手はヨーロッパリーグ界最強のチームでしたので。あのチームによくレスターは勝てたなと思います。

  14. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    俄然空気が良くなりそうですね。今季は自信なさげにプレイしている選手が目立っていたのですが、それがなくなるだけでもさらに強くなれるのではないかと思います。

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