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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ジルー、完璧バイシクル!若手主体のアーセナルがセルビアの古豪にクリーンシートで完勝!

ドビュッシー、ウィルシャー、メートランド=ナイルズ、ウィロック、ネルソン。プレミアリーグではなかなか出番がない顔ぶれが、レッドスター・ベオグラード戦のピッチに揃いました。ヨーロッパリーググループステージ第3節。ケルンとボリゾフに連勝したアーセナルにとっては、ライコ・ミティッチ・スタジアムでのゲームは落としても問題ない一戦。ホールディング、コクラン、ウォルコット、ジルーといった面々もプレミアリーグではファーストチョイスとはいえず、チェフとエルネニーを除けば若手とサブの選手オンリー。ベンチを見てもアクポムやヌケティア、ベン・シーフなど全員若手で、リードされたときに状況を変えるような戦術的交代は望めない顔ぶれです。

旧チャンピオンズカップを制覇したこともあるセルビアの古豪相手に、アーセナルはこのメンバーでどんなフットボールを見せてくれるのでしょうか。エルネニーがセンター、左右にドビュッシーとホールディングを配した急造3バックは、連携を確かめるように丁寧にビルドアップしています。私の最注目ポイントは、プレミアリーグではなかなか機能していないジャック・ウィルシャーとジルーがどんなプレイを見せてくれるか。そしてもう1点は、メイトランド・ナイルズとネルソンがWBとしてファーストチーム入りをアピールできるかです。5分にウィルシャーがウォルコットに出したラストパスは、14番がDFをかわせず。9分のカウンターは、ウィルシャーの縦パスをジルーが足元に収められません。

ラインの裏を執拗に狙うレッドスターのアタックは、ラストパスがことごとくつながらず。15分にウィルシャーが中に入れたFKは、こぼれ球がまわってきたウォルコットのフリーの一撃をGKボージャンが足に当ててブロック。25分のホームチームのCKは、ボアキェが叩きつけたヘディングがポストに直撃し、惜しくも先制はなりません。31分のレッドスターの速攻は、ロディッチが速いクロスを中に通すと、フリーのロドニッチがワントラップして右足でシュート。最初の一撃はチェフがセーブし、こぼれ球を叩いた2発めはネルソンがブロックしました。逆襲に転じたいアーセナルは、メートランド・ナイルズが再三左から仕掛けるものの、クロスが中につながりません。

後半開始直後、縦パスで抜け出しかけたシルニッチはエルネニーがスライディングでカットし、ウィルシャーが仕掛けた逆襲はボックス右でパスを受けたウィロックが打ち切れず。メイトランド・ナイルズが左サイドに出たウィルシャーを使い、クロスを中央で受けたウォルコットがファーにいたネルソンにつなぐと、17歳はひとりかわしてニアにシュート。狙いは悪くなかったものの、コースを読んだGKボージャンがCKに逃れます。51分、ストイコヴィッチのクロスを叩いたクルスティチッチのヘッドはチェフがキャッチ。カウンターからのジルーのミドルは枠を越え、バックパスをスルニッチにさらわれたエルネニーは、チェフの冷静なセービングに助けられました。

55分に中央突破を図ったウィルシャーのラストパスは、右から走ったウォルコットがGKボージャンの目前で触るもコースがなくCK。ウィルシャーが倒されたFKを蹴ったネルソンは、壁にぶつけてしまいます。65分、サヴィッチが下がりバビッチ。時折見せるホームチームの速攻は、ガナーズ守備陣の落ち着いた対応でフィニッシュに辿り着けません。80分、コクランの頭を肘で打ってしまったロディッチが2枚めのイエローでレッドカード。ミロイェヴィッチ監督は、ボラキェをベシッチにチェンジします。ヴェンゲル監督は1枚もカードを使わず、残り時間は10分を切りました。85分、アーセナルが前線の3人の見事なコンビネーションでついに先制します。

中盤で一気に2人を抜いたウィルシャーがボックスの角にいたウォルコットに預けると、リターンをもらった10番は左足アウトで絶妙な浮き球をラインの裏に出します。これをウォルコットがヘッドで中に落とすと、ゴールに背を向けて受けたオリヴィエ・ジルーが素晴らしいバイシクルでゴール左隅にコントロール。ヴェンゲル監督はベン・シーフとマクギュエインを投入し、ガナーズの若い選手たちは追加タイムを無難にやり過ごしました。0-1、この大会のグループステージでは実力が違うということでしょうか。アーセナルは3連勝で、次戦に勝てばグループリーグ突破が決まります。

少し前までは、欧州中堅国のクラブ相手にCLでもELでも苦戦していたプレミアリーグ勢ですが、今季は彼らとのレベル差を感じる試合が多く、今日もジルーやウィルシャーのクオリティの高さを実感させられるゲームでした。バックパスミスはありましたが、エルネニーのCB起用はカップ戦などにおけるオプションとして計算できそうです。メートランド・ナイルズは何度か左サイドを突破し、ネルソンはフィニッシュのシーンに絡むなど見せ場は創っており、及第点だったのではないでしょうか。

アレクシス・サンチェス、エジル、ジャカ、ラカゼットらのパスワークを堪能できるベストメンバーのガナーズだけでなく、若手の躍動を満喫できる今日のような試合もまた楽しいものだとあらためて思った一戦。プレミアリーグでは苦戦気味ではあるものの、ヨーロッパリーグが若手の貴重な経験の場として機能し、レギュラーの選手たちの負担になっていないのは好材料です。日曜日のエヴァートン戦は、主力がよりフレッシュなアーセナルが有利でしょう。こちらも、楽しみです。

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“ジルー、完璧バイシクル!若手主体のアーセナルがセルビアの古豪にクリーンシートで完勝!” への4件のフィードバック

  1. しん より:

    更新お疲れ様です。
    個人的には、ドゥビュシーが結構頑張ってくれてたのが嬉しかったですね。本人の移籍云々の話もありますけど、ペジェリンが伸び悩みを見せる今、試しに使ってみてほしいと思うんですけどね、、、
    あとは、ウィロック。なかなか酷いというか、何もできなかった印象です。去年よく試合出てたアデレードの方が仕事してくれる気がするのですが、、、

  2. ミハル より:

    ウィルシャーの輝き、記憶に残るゴールを
    毎年決めてくれるジルー。リーグでも二人には
    輝いてほしいです><

  3. 名無し より:

    ジャックにボールが入らないと、得点の匂いすらなく苦しい試合でした。
    フェアな見方をすれば完全にレッドスターが勝者にふさわしかったはずですが、
    あそこで華麗なターンで抜き去るジャックが結果を分けたのでしょうね。
    主力温存を徹底して3連勝は素晴らしいです。
    あくまでプライオリティはリーグで4位に入ることですから。

  4. makoto より:

    しんさん>
    ドビュッシーは攻守のバランスをとるのがうまい選手ですよね。ウィロックはおっしゃるとおり、アピールできなかったですね。

    ミハルさん>
    ジルーは華がありますね。素晴らしいシュートでした。

    名無しさん>
    方針が明確なのは好感が持てます。プレミアリーグ優先なのは承知しておりますが、ELでは優勝を狙えると思いますので、決勝トーナメントにいった後は捨てずに戦ってほしいなと思います。

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