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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

完璧な優勝か、よもやの崩壊か…まったく読めない「プレミアリーグ優勝候補チェルシー」の未来

「マンチェスター・ユナイテッドは再建途上」「昨季のリヴァプールは奇跡」「アーセナルやリヴァプールはマンチェスター・シティとチェルシーを上回れない」。スカイスポーツでの歯切れのいい解説にファンが多いガリー・ネビル氏が、今週頭に超コンサバで身もふたもないプレミアリーグ優勝クラブ予想をされておりました。おっしゃるとおり、ロジカルに優勝チームを予測すれば、青い2強という判断になるのだと思われます。プレミアリーグ上位クラブにおいて、弱点をきっちり補強したのは、チェルシーとマンチェスター・シティだけなのですから。

マンチェスター・ユナイテッドは、脆弱な中盤の真ん中と人手不足の3バックが未解決。アーセナルも、同じポジションに問題を抱えています。リヴァプールは、スタリッジとランバートだけではスアレスの穴は埋まらないでしょう。実際は、弱点を他の強みで補完するという解決策もあるわけですが、サッカーゲームのカードのように考えれば、彼らが必要な枚数を揃えていないのは明白です。一方、前線の得点力不足にジエゴ・コスタを持ってきたチェルシーと、安定感が今ひとつだったCBにマンガラを据えたマンチェスター・シティの補強は的を得ています。昨季のプレミアリーグ王者と、最後まで優勝を争ったモウリーニョ軍団が優勝候補であるということに、異論をはさむ方は少ないと思われます。

私は、昨季プレミアリーグの優勝予想で、モウリーニョ監督1年めだったチェルシーを指名したぐらいですので、稀代の名将が指揮を執るチェルシーについては、元より高く評価しています。しかし、「だったら今季も本命チェルシーですよね!?」といわれると、とたんに歯切れが悪くなってしまうのです。チェルシーは、戦力が充実した一方で、火種も抱えているのではないか、と。

いちばん気になるのは、昨季終盤、アザールやエトーからチーム批判や監督批判があり、モウリーニョ監督が応戦モードで名指しで選手を非難したことです。こういうことは、モウリーニョ第一次政権にはなかったと記憶しています。2004年当時は、トップリーグで49年優勝がなかったチェルシーは発展途上で、アーセナルやマンチェスター・ユナイテッドに追いつけ追い越せという純粋さと勢いがありました。そんななかで、就任初年度にプレミアリーグ優勝という喜びをもたらしてくれた監督と選手が、非常に良好な関係を創れていたのは、ここ数年のランパードとモウリーニョの「友人関係」をみてもわかります。

しかし、今は「チャンピオンズリーグを勝ったチェルシー」であり、勝って当たり前というマインドを持った選手たちです。レアル・マドリード時代、信頼関係を築いた選手はしっかり守る一方で、反旗を翻す兆しのある選手には容赦なく牙をむいたモウリーニョ監督は、ランパードという最高の相棒がいなくなったチームで、内紛なくシーズンを終えられるのでしょうか。「考え過ぎだ」といわれるかもしれませんが、チェルシーには既に「チェフVSクルトワ」という、すぐにでも火が着きかねないやっかいな問題が顕在化しているわけです。順調に勝ち点を積み重ねられれば、心配は杞憂に終わるでしょうが、ひとたび調子を落とせば、ロジャース監督やヴェンゲル監督のチームより、踏ん張りが効かない集団であるように思えます。

そしてもうひとつは、「ジエゴ・コスタがフルシーズン、無事に働けるのか」です。プレシーズンマッチで4ゴールを挙げたストライカーは、プレミアリーグの得点王候補だと思います。彼が元気なら、昨季ドローで終わったようなゲームのいくつかを、勝ち点3にひっくり返してくれるはずです。ところが、絶対的エースが負傷やスランプに見舞われれば、セカンドチョイスはこの夏、266分間でノーゴールのF.トーレス。ルカクが残っていれば、私はチェルシーを本命に推したでしょう。しかし、現状のメンバーでは、「特定の選手がいなくてもクオリティが落ちにくい」という観点で、アーセナルがCB補強とケディラ獲得に成功した場合はノースロンドンを上に置くと思います。昨季、あれだけケガ人を出しながら、ヴェンゲル監督のチームは、2月まではプレミアリーグ優勝争いに何とか喰らいついていたのですから。

昨季プレミアリーグの着地をみてもわかるように、最終的な勝負の差は、紙一重。2~3試合、勝ち点を落とすかどうかで天国と地獄に分かれるでしょう。私がみる今季のチェルシーは「1位か5位か」です。どちらとみるかは…他クラブの今後の補強や、プレミアリーグ開幕後の真剣勝負をみれば、より鮮明になるような気がします。

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“完璧な優勝か、よもやの崩壊か…まったく読めない「プレミアリーグ優勝候補チェルシー」の未来” への9件のフィードバック

  1. リバプール大好き より:

    初めてコメントします!
    いつもブログを読むのを楽しみにしてます。
    今年もワクワクし、心動かされるプレミアリーグが始まるんだなとすごく楽しみです。
    僕はリバプールファンなので、どうしてもリバプールよりになってしまいますが、プレミアリーグが大好きです。

    今年も確かに青の軍団が強いと僕も思います。でも、リバプールがトップクラスのストライカーを獲れたらおもしろいと思いますよ!
    後、マンUはルーニーがキャプテンに任命されたのでリバプールファンとしてはそれだけで脅威ですね。それだけ重要な選手ですし、リバプールには絶対的なキャプテンジェラードがいますが、キャプテンの存在だけでチームがガラッと変わるんでね。
    代表でもジェラードの次を継ぐのはルーニーしかいないと思ってます!
    話しがそれましたが、今年も最後まで優勝争い、TOP4争いが楽しみで仕方ありません(^ ^)

  2. 爪楊枝 より:

    的は得るものではなく射るものです。もしくは正鵠を得るではないでしょうか?という無粋なコメントはともかくとして、私も賛成な部分が多い記事でした。
    青の2チームは確かに強力で厚い選手層がありますが、一概に盤石とは言えません。マンシティに関しては、失点が減る代わりにヨヴェティッチのフィット具合で得点が減りそうな気がします。イメージですが去年ほどの伸び代がない気がします。
    チェルシーは仰る通りFWの層の薄さが気になります。そしてコスタは個人技での打開というより、抜群の裏抜けからの決定機を外さないFWだと思います。かつてのトーレスのように。チェルシーにはアトレティコほどのインテンシティに期待できないため、フィットするか微妙な気がします。また、モウリーニョのチームの欠点である、裏のスペースを消されボールを持たされた時のアイデアの乏しさは健在です。ここが改善しなければ下位からの取りこぼしが繰り返されるように思います。
    その点、赤い3チームは欠点こそあれど、雰囲気も良く伸び代が多く、シーズン中の成長によってカバーできる部分が多いと思いました。そのため、青い1位集団と赤い2位集団という構図は変わらずとも、その差は思ったよりない気がしました。とにかく、楽しいシーズンになりそうです。

  3. ゆうま より:

    2年目のジョゼ
    エトー&バ→コスタ&ドログバ
    セスク&フィリペ加入など
    これだけで十分飴ファンならポジティブになれる要素満載な気はしますけどね

    —–
    私はチェルシー&シティの二強にアーセナルが続き、リバプール&ユナイテッド&スパーズ&
    エバートンが3位以上を狙うと予想しています。
    ドロクバの(大?)怪我やGK問題を抱えるチェルシー、アタッカー陣にスペが多いシティと
    二強も決して万全ではないので、去年同様優勝争いが終盤までもつれるじゃないでしょうか。
    個人的には去年移籍で大失敗したスパーズが、去年活躍出来なかった選手達を再生して今年の
    台風の目になってくれることを期待しています。

  4. ぐーなーん より:

    なんだかんだで他の上位クラブに比べて楽な日程の赤いビッククラブが優勝しちゃうんじゃないですか?(笑)

  5. パックン より:

    マドリー時代の内部崩壊はモウリーニョと選手の対立という単純な構造ではなかったんでね。
    メディアやウルトラスとの軋轢が背景にあり状況が複雑化していた中でのカシージャス事件ですから。
    英メディアはモウリーニョに好意的ですしサポーターとも良好な関係なのであんな酷い事にはならないと思いますよ。
    ランパードは退団しましたがテリーという絶対的な存在が健在ですしね。

    コスタが怪我したら…というのは同意です。
    ドログバは衰えてますしトーレスはもう…ですから。
    まあそれでもCL圏外まで落ちる事はないんじゃないですかね?
    やはり戦力的には近年で最も充実しているように思いますよ。

  6. londres nord より:

    現在の補強の進捗で判断するならば、優勝はシティのチェルシーでは?
    CL圏内争いは、上記2クラブ➕レッズ、ユナイテッド、ガナーズ、エバートンだと思います。

  7. Joe より:

    なら、1位ですね ( ´ ▽ ` )ノ
    モウリーニョがCL出場権を逃す事は、あり得ないと思いますよ。

  8. 本城 より:

    確かにコスタの控えは心配ですね。まぁ、下手に大物獲って出場機会で揉めるのはやめてもらいたいですしトーレス、ドログバに期待してます。2人で10点ほど取ってくれれば十分勝負できると思ってます。

    優勝予想は本命シティ、対抗チェルシー、大穴アーセナルですかね。上記の3つに加えて残りの枠はリバプールとユナイテッドの一騎打ちですかね。

  9. makoto より:

    みなさま>
    さまざまな角度からの熱いご意見、ほんとうにありがとうございます!
    それぞれの「プレミアリーグ優勝クラブ大予想」がありそうで、
    おもしろいですね!

    爪楊枝さんがおっしゃるとおり、正しくは「的は射るもの」ですね。お恥ずかしい。最近は誤用ではないという主張もある「的を得る」ですが、なしくずしに流通した言い回しであるのは間違いありません。ご意見は、私の見立てに限りなく近いです。

    リバプール大好きさんや、ぐーなーんさんのように、マンチェスター・ユナイテッドを評価していただける方がいると、心強いです。優勝までは難しいかもしれませんが、プレシーズンマッチ全勝という勢いとムードのよさに期待しています。

    明日エコトさん、わかります。サポーターにとっては納得の補強でしょうし、私も「弱点が埋まった、優勝に近づいた」と思ってます。londres nordさんやJoeさん、ゆうまさん、本城さんがおっしゃるとおり、チェルシーはCL出場権当確、マン・シティとの一騎打ちというのがフラットな評価だと思います。私が、天邪鬼なことを考えてしまうだけですね。

    パックンさん、おっしゃるとおり、スペインでのひどい状態の再現はないと思います。ただし、特定の選手と折り合いが悪くなったりする可能性はなきにしもあらず、ですね。

    いやあ、おもしろい。開幕直前は、テンション上がりますね!

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