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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ゴシップ再燃のチェルシーに何が起こっているのか?…あくまでも推測ではありますが。

どうも解せません。チャンピオンズリーグでは折り返しの4節から3連勝、うち2つがクリーンシートと問題なく首位通過を果たしたチームが、その間のプレミアリーグを1勝1分3敗。しかも、負けた相手に昨季のTOP5はおらず、ストーク、ボーンマスには完封負け。勝ったノリッジ戦も1-0の僅差で、5試合で2ゴールの貧攻は深刻です。プレミアリーグ恐怖症ともいうべきチェルシーの低迷は、結局何が原因なのでしょうか。「守備が崩壊している」「ストライカーが悪い」「中盤からいいパスが出ない」などなど、メディアや解説者の指摘もさまざまで、これらを集めてシャッフルすれば「全部ダメ」というお話になってしまいます。

11月のインターナショナルマッチウィーク前に過熱していた「モウリーニョ解任論」「選手と監督の確執ゴシップ」も、ノリッジ戦の勝利やチャンピオンズリーグでの安定感をみて下火になっていたのですが、ボーンマス戦とレスター戦に敗れたことを受けて、再燃しています。火をつけたのは、半ばはモウリーニョ監督自身で、レスター戦の後の「私の仕事が裏切られたと感じる」「アザールは深刻な負傷のはずだ。自分で戻らないことを決めたのだから」といったコメントは、選手批判と取られるのは避けられず、複数のイギリスメディアが「裏切ったのはジエゴ・コスタとアザール」と報道。16日に緊急理事会を開いてモウリーニョ監督の処遇について議論がなされると伝えた「デイリー・メール」は、ジエゴ・コスタ、セスク、ペドロ、オスカルを放出すべき選手としています。このメディアは、今や「日刊チェルシー状態」。さまざまな角度からチェルシーの停滞理由と今後について分析的に報じているのですが、選手の入れ替えがなければ浮上は難しいのではないか、というのが総論のようです。

私は以前より、チェルシーはいずれ復活すると考えているのですが、これにはひとつだけ条件があります。それは、「監督と多くの選手の間に確執がないこと」。実際に人間関係に問題があっても、選手もモウリーニョさんも表には出さないので、真相はわからないのですが、アザールの握手拒否やジエゴ・コスタの度重なる不満の表明は危険信号でしょう。ここからは、事実に基づく私の推測ですが、今のチェルシーには「前の選手がモウリーニョ監督の手法に反発しており、相手が弱いチームになるとそれが顕在化する」という問題が起こっているのではないでしょうか。

「負けたら終わり」のポルト戦は、とにかくゴールを奪われてはいけないという意志統一がなされており、チェルシーは、昨季プレミアリーグ王者らしい堂々としたサッカーをしていました。しかし、これがボーンマスやレスターといった「勝てそうな相手」「昨季なら問題にならなかった格下」となると、攻めたい選手たちが守備を軽視してしまうシーンが増え、前後が分断し、練習と違う形に混乱したDF陣がマークミスをしてしまうのではないかと思います。

ジエゴ・コスタはボールが出てこない状況に苛立ち、もらうためにサイドに流れ、「トップ下をやりたい、守備に忙殺されるサイドから解放されたい」という気持ちが強いアザールは左にいるとストレスをためる。後ろの選手は下がってこない攻撃陣に不満を募らせ、前の選手はちゃんと守れ、早く出せと後ろをなじる。モウリーニョ監督は、守備の約束事ができていないことを問題視して攻撃の改善が後回しになりがちで、攻めたい選手たちはこれに反発する…。

以上はあくまでも想像ではありますが、多くの事実がこれに符合します。ジエゴ・コスタが最終ラインに向かって「眠っているんじゃないのか?」と煽ったこと、交代時に不満を隠さないアザール、守備に戻らないシーンが増えたセスク、マフレズに単独対応を強いられて左を破られたアスピリクエタ、ヴァーディを見失ったズマ、「マフレズには2対1で対応するべきだった」などと守備に関するネガティブな発言が圧倒的に多い指揮官…。もし、これが「当たらずとも遠からず」で、モウリーニョ監督が複数の選手をコントロールできない状況に陥っていたとしたら、チェルシーの復活は望めず、選手を大量に売るか監督を代えるかの大手術が必要ということになるでしょう。

昨シーズン20ゴールのジエゴ・コスタも、プレミアリーグ歴代2位の18アシストを決めたセスクも、今は見る影もありません。14ゴールを叩き込んで、プレミアリーグMVPに輝いたアザールは、1381分のフェルナンド・トーレスを大きく上回る2249分の間、ノーゴールを続けています。16試合で26失点の守備陣も含め、これだけ多くの選手がパフォーマンスを落としているのは、構造的あるいは複合的な原因があるはずで、特定の選手を戦犯扱いしても状況は変わらないのではないかと思われます。チェルシーにとって今、大事なことは、モウリーニョ監督に状況を改善できる可能性があるのかどうかを見極めることと、早まって冬に選手を売らないことではないでしょうか。かくいう私も、ストライカーだけは、冬に補強したうえで必要ない選手を放出してもいいのではないかと思いますが…。(エデン・アザール 写真著作者/Aleksandr Osipov)

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“ゴシップ再燃のチェルシーに何が起こっているのか?…あくまでも推測ではありますが。” への10件のフィードバック

  1. アスピ(ry より:

    今年のチェルシーの低迷をわかりやすく分析されていてとても興味深かったです

    CLは内容はともかく、首位突破したのにプレミアでは下位にもとりこぼしが多く攻守に連動性を欠く事が多いので気になっていたのですがメンタルの部分も関係あるのかも知れないですね

    —–
    とても納得の行く記事でした、確かにとうなずける部分が多数あります。
    モウリーニョ以上の監督はいないので続投のほうがいいと考えていましたが、仰るとおり監督又は戦術を変えるか大幅に選手を入れ替えない限り低迷するままですね。
    アスピリクエタを前にあげて後ろをババなど試せそうな戦術は今の選手でもありそうなので冬の移籍前に試せる事は試してほしいです

  2. レミー より:

    モウリーニョがよりチームの状態を悪化させてるようにしか思えないです。なぜまだ多くのチェルシーファンがモウリーニョを支持しているのか理解できません

  3. chelさぽ より:

    アザールの握手拒否って動画見ても私は全然そうは思いませんでした。
    まず監督は握手でなくアザールの頬をさわってねぎらおうとするしぐさをしてて、それを見てなくて急に目の前にきた手をはらったというもので、それを邪推するかどうか以前に「握手」拒否ではないだろう、と。
    またコスタはビブスを投げたあと監督と二人でミーティングをし、その後あれは間違いだった。監督との関係はむしろいいと話してます。
    2つともいい加減なゴシップレベルでしかないなと思います。

    とはいえ成績的にさすがにいつ解任されてもおかしくないのは間違いありません。私は結局は自信の問題であり、それはチェルシーが自分達に自信を持つことでは半分で、プレミアリーグのクラブが今のチェルシーなら倒せると皆自信を持ってしまったことが-あまり指摘されないけれど-かなり大きな要素だと思っています。なので普段通りの実力を100%出しても相手は自信もってブーストかかっているので普通の時より難しくなる、その難しい試合を何とか勝っていくしかないと思います。

    —–
    なるほど。可能性は十分ありますね。

    私も最近までモウリーニョを支持していましたが、それは仰るとおり、選手との関係に問題がないことが前提でした。まだ確定ではありませんが、戦術的に選手と相違がある、そもそも信頼関係において問題があるならこの問題を解決できない以上続けるのは困難だと考えます。散々言われている3年目ですからここを乗り越えて長期政権に期待していましたが限界が近いのかもしれませんね。

    後任にはシメオネが希望ですかね。リーガではアトレティコが1番好きなので今までの事を振り返っても奪うのは心苦しいですが、シメオネなら人格的にも戦術的にも明るい未来を望めるような気がします。下部組織から有能な人材も見つけてくれそうですしね。

  4. ミハ より:

    アブラはモウの解任を選んだようです。
    ガナーズファンですが少し寂しい。良くも悪くも
    強烈な個性を持ち、楽しませてくれた。
    今季は悪い方向にそれが大きく傾いてしまった。

  5. VOO より:

    そうこう言っているうちに解任。残念ですがただ感謝とお疲れ様でした、と。
    モウリーニョがある集団に熱狂的に愛される理由は「薄っぺらい正しさ」を背景に物を言わないところだと思っています。
    ハイロウズというバンドの曲に「心のない優しさは敗北に似てる」という歌詞がありますが、いかにも良識的だったり心配げな顔をしつつ、実はそのことで優位を得て満足するような人達に唾を吐きかける、そういう痛快さがモウリーニョにはありそういう所に共感する人には熱狂的な支持を得ていたと思います。

  6. セオ より:

    この去り方だと、次のチームはないのでは、と心配になるくらいの解任デス。盛者必衰。さみしいです。

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    次のチームはないって、引く手あまたでしょうどう考えても(笑)

  8. ガナユ より:

    グーナーとしては最後まで勝てなかったのが悔しいですね

  9. queen より:

    ガナユさん>
    ありがとうございます。メンタルが大きいのではないかと思いました。前と後ろがかみ合ってないですね。

    アスピ(ryさん>
    ありがとうございます。おっしゃるとおり、今の選手の動かし方で解決できることもいろいろあると思います。

    レミーさん>
    優勝3回、タイトル8回ですからね…。4年前にサー・アレックスが同じような状況に立っていたら…と考えると、支持する気持ちも理解できる気がします。

    VOOさん>
    それはまた、無理筋なことをおっしゃいますね。見てなくて振り払っただけで…なら、モウリーニョさんのねぎらいだとわかったときに謝るなり自分からも手を差し伸べるなりのリアクションをするものだと思います。「モウリーニョ監督が差し出した手を払った」のを、多くのマスコミが短く表現しようと「握手拒否」としたことに違和感はなく、私も同じように端的に表現するほうを選びました。また、選手がいったからそんな話はない、というのは、短絡的でしょう。「オレ、監督と揉めてるから」などという選手がいるわけはありませんので。

    握手か頬かという細かいことにこだわりがあるのでしたら、私のような影響力の小さい者にいうのではなく、大々的に「握手拒否」と書いたメディアに対していったほうが生産的ではないかと思います。あちらにはYahoo!コメントがあり、自説を主張されたらこちらよりもたくさんのご意見が集まると思われます。私の文意、趣旨をご理解いただければ、そこにはいかないのではないかと思います。つっこむ相手をお間違えになっているのではないでしょうか。

    chelさぽさん>
    やはり、限界だったようですね。確かにシメオネさんはぴったりはまりそうです。

    ミハさん>
    ロジャース、ペジェグリーニと仔馬だジャガーだとやり合っていた時はおもしろかったですよね。いちばん懐かしいのはこのエピソードで、思い出すと泣けてきます。

    セオさん>
    そう、さみしいです。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    「次のチームはないのでは、と心配になる”くらいの”」と形容しているだけですので、セオさんはわかってらっしゃると思います。

    ガナユさん>
    コミュニティシールドだけで終わってしまいましたね。いつかまた、プレミアリーグに戻ってくれば…といっている間にヴェンゲル監督もお年ですから、うーん…。残念ですね。

    —–
    どんな監督でも歯車がかみ合わなければ信じられない結果を招くということを再確認しました。
    例えばかつてのフェリポンやヒディンクやカペッロを知っている者としては、それぞれブラジル、オランダ、ロシアでのあそこまでの失敗はにわかに信じられなかったのですが、そこが人間の関わる社会の厳しさでもあり(ある意味)面白さでもあるということでしょうか。

  10. makoto より:

    queenさん>
    そうですね。ラニエリさんのレスターに代表されるような躍進もありますし。戦力通りにいかないから、毎試合観てしまうわけでもありますね。

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