イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

イタリア発イングランド料理の「コンテ監督辞任報道」は火種ありか、メディアの作文か!?

3季連続で、プレミアリーグ優勝監督が次のシーズンの終わりまで持たないなどという事態は回避してもらいたいものです。先週、イタリアメディアが一斉に報じたアントニオ・コンテ辞任説。アブラモヴィッチオーナーに近いマリナ・グラノフスカイア氏が大型補強に待ったをかけ、コンテ監督と亀裂が生じたというのがあらすじのようですが、メディアのテンションがむやみに上がったのは、オーナーと指揮官がそれぞれ「前科者」だったからでしょう。2007年にジョゼ・モウリーニョ監督と袂を分かった後、呼び戻すまでの6年弱で8人の監督を使いまわしたアブラモヴィッチさんと、2014年に7月中旬という微妙な時期に突如ユヴェントス辞任を発表したコンテ監督なら、さもありなんというわけです。

煙がくすぶる程度だったこの話に火をつけたのは、イギリスメディアの補強不調報道と、フットボール解説者のスティーブ・ニコル氏の無邪気なコメントでした。タブロイド紙が、ユーヴェのアレックス・サンドロやナポリのカリドゥ・クリバリ獲得が実現しなかったことを不安視すると、解説者は指揮官の頑固さとオーナーのドライな経営方針が最悪の結末を引き起こす可能性があると指摘。「コンテ監督が理想の補強を追求し、うるさく注文をつければ、アブラモヴィッチさんは”私は他の監督を選ぶよ。そうしてタイトルを獲ってきたのだから”と解任に踏み切るはず」と話を膨らませました。「デイリー・ミラー」は、後任はドルトムントを離れたトーマス・トゥヘルだろうとフライング。これに対して「スカイスポーツ」が「Chelsea insist Antonio Conte is happy despite exit reports(辞任報道があるが、チェルシーはコンテは幸せだと主張)」と反論し、当事者から言葉がないまま議論が白熱しました。

獲得できる見込みが元々低かったイタリアでのチャレンジが進まないだけで、「補強が遅れている」とは焦りすぎでしょう。一方ではバカヨコ獲得交渉は順調と報じられ、ロメウ・ルカクの古巣復帰も実現するのではないかといわれています。まだ6月。移籍市場締め切りまで2ヵ月以上を残しています。コンテ監督が求めているであろう最終ラインの強化に見通しが立っていないなかで、「クリスティアーノ・ロナウド争奪戦に参入」などという見出しがメディアの紙面を飾るのをみると、経営陣とのズレはあるのかもしれないとは思います。しかし、初年度でプレミアリーグを制覇した有能な指揮官を、アブラモヴィッチさんが簡単に手離すわけはないでしょう。現状はクラブ関係者が語ったとされる「次のシーズンもコンテ監督が指揮を執ることに疑いの余地はない」という言葉を素直に受け取っていいのではないでしょうか。

「ユヴェントスのレオナルド・ボヌッチに5000万ポンド(約71億円)」「ドルトムントDFソクラティス・パパスタソプロスに興味」「ウィリー・カバジェロと合意」「パリ・サンジェルマンのイタリア代表MFマルコ・ヴェラッティを狙う」…。2億5000万ポンド(約355億円)と伝えられた大型予算が動くのは、これからです。私は、それぞれの国のレベルは優勝チームが引き上げるものと考えておりますので、コンテ監督には前年王者の苦戦が続くプレミアリーグの戦術的停滞感を払拭するようなチームづくりを期待しています。4-2-3-1のリーグに3バックを流行らせた戦略家は、チャンピオンズリーグを戦える体制を整えるべく、中盤と最終ラインの強化を図ってくると思われます。辞任報道については、メディアの想像力の豊かさをリスペクトしつつ軽やかにスルーして、今季第1号の新戦力獲得の知らせを待ちたいと思います。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“イタリア発イングランド料理の「コンテ監督辞任報道」は火種ありか、メディアの作文か!?” への4件のフィードバック

  1. sini より:

    資金力で優秀な指揮官や選手をかき集めることのできたアンチェロッティ監督解任の頃(2011年)とは異なり、
    いまのチェルシーは、コンテさんが来るまで指揮官がハマらずにトップ10がやっとという悪夢のような時期を過ごした後ですからね。
    さすがに第一次ジョゼやアンチェロッティの頃のように、優勝監督をそうやすやすと手放すフロントではなくなっていると思います。
    むしろ、交替があるとしたらコンテが望んだ時なのでは、という気がします。
    いずれにせよそれはもう少し先の話になるのでしょうが。

  2. Joe より:

    トップ10がやっとって、それは一昨年だけのような… ( ‘ω’ 三 ‘ω’ )

  3. おはむ より:

    チェルシーのシーズン終盤の戦いを見ていると、どうなんですかね… コンテが補強が上手くいかないなら辞めるというのも納得できます。
    チェルシーの天井が見えた感がありましたし

  4. makoto より:

    siniさん>
    そう思います。4~5年前はつらかったですよね。

    Joeさん>
    表現はともかく、2011-12の6位を念頭においておっしゃっているのだろうなと思って読んでました。

    おはむさん>
    問題は、コンテ監督がどう考えるかよりも、フロントがこの状況でも緊縮財政を唱えるのか、ではないでしょうか。モウリーニョさんの3年めのようにならないようにしないといけませんね。

おはむ へ返信するコメントをキャンセル