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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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2016.07.08 ユーロ2016

【ユーロ2016】ドイツ、痛恨のミス!グリーズマンの2発でフランスがファイナル進出!

両チーム合わせて10人と、実に半数近くがプレミアリーグでプレイする選手です。ユーロ2016準決勝、フランスVSドイツ。開催国のフランスは、メジャー大会でのドイツ戦では3連敗中で、最後の勝利は1958年まで遡ります。カンテはベンチスタート、ラミは欠場。シソコとウムティティがスタメンに入ったフランスは、得点王のグリーズマン、ジルー・パイェのプレミアリーグ勢、ポグバとマチュイディのセントラルコンビがいずれも好調です。対するドイツは、マリオ・ゴメスが負傷離脱したトップにトマス・ミュラー。エジル、トニ・クロース、ドラクスラーが2列め、セントラルにはシュヴァインシュタイガーと今大会初スタメンとなるエムレ・ジャンです。フンメルスが出られない最終ラインは、ムスタファを入れて3バック継続かと思いきや、レーヴ監督はヘヴェデス、ボアテング、キミッヒ、ヘクターの4バックに変えてきました。4-2-3-1の布陣を取った世界王者の指揮官が、サニャとエヴラの両SBを弱点だと考えているのは明らかです。注目の一戦は、フランスがゆっくりボールをまわして始まり、ほどなく中盤での激しいボールの奪い合いとなりました。

7分、最初のチャンスはフランスでした。マチィディの左からの折り返しを受けたグリーズマンが軽やかに中に持ち込み、右足を振り抜くと、右隅を襲ったシュートはノイアーがセーブ。ドイツの反撃は5分後、こちらは右からのグラウンダーをトマス・ミュラーがダイレクトで狙いますが、うまく当たらず左に逸れていきます。14分にフリーで放ったエムレ・ジャンの左足ボレーは、一瞬ブラインドになった難しいボールをロリスがよく触りました。後方から長いボールをサイドにフィードし、コーナー付近から速いクロスを入れてくるドイツの攻撃にフランスが手こずっています。

25分、パイェの直接FKはドライブがかかった美しいボールでしたが、コースを読んでいたノイアーが余裕をもって懐に収めます。直後、エジルの高速クロスのクリアを拾ったシュヴァインシュタイガーのミドルは、ロリスが上にセーブ。エムレ・ジャンとシュヴァインシュタイガーが効果的な攻め上がりを見せるドイツに対して、マチュイディは受けに回り、ポグバはカウンターでしか前線に顔を出せません。

32分、キミッヒのロングクロスはトマス・ミュラーの頭をかすめ、ドラグスラーへ。11番がトマス・ミュラーに落とすと、今大会フィニッシュが決まらないワントップは打ちきれません。ポグバのFKはノイアーが楽にキャッチ、エヴラの短い折り返しをニアでもらったグリーズマンの左足は、わずかに外。カウンターで2対1の形になった42分のジルーは、ヘヴェデスの必死の戻りにシュートをブロックされてしまいます。じわじわとペースを手繰り寄せたフランスは、47分に思わぬ形で先制点を奪いました。右からのCKで、シュヴァインシュタイガーがエヴラと交錯。主審は、右手にボールを当てたドイツのキャプテンにイエローカードを示し、PKスポットを指差しました。キッカーのグリーズマンは、イタリアの選手たちのようにノイアーを怖れず、読みと逆に完璧なシュートを叩き込みます。ドイツの作戦勝ちに見えた前半は、終盤に巻き返したホームチームのリードで折り返しました。

46分、ジルーが持ち込んで放ったシュートはヘヴェデスがブロック。直後にジルーとのワンツーから左足で狙ったグリーズマンの一撃もDFに当たって決まりません。この大会のジルーは、プレミアリーグで3ヵ月半も沈黙したストライカーとはまるで別人。グリーズマンとのコンビは、欧州最高の破壊力です。50分を過ぎて、自分たちのペースを取り戻したドイツはサイドから執拗に仕掛けますが、フランスの中央は堅く、トマス・ミュラーやドラクスラーにシュートコースは空きません。

59分、レーヴ監督に痛いアクシデント。要のボアテングが負傷し、ムスタファに後を譲ります。66分、エムレ・ジャンが下がってゲッツェ登場。1分後にフランスが仕掛けたカウンターは、パイェのシュートが力なく転がり、ノイアーに抑えられます。70分、ドイツのFK。エジルの正確なフィードは、さすがプレミアリーグアシスト王。左から巻いてファーのムスタフィに合わせた弾道は完璧でしたが、ヘディングはミートせず、同点はなりません。押していたドイツは72分、再び痛恨のミスを犯し、フランスに決定的な追加点を奪われました。キミッヒが自陣ペナルティエリア内でマチュイディとポグバに囲まれ、ボールをロスト。ポグバの左からのクロスは、飛び出したノイアーがパンチを遠くに飛ばせず。落下点にいたグリーズマンがスパイクの裏で巧みに押し込んだ瞬間、マルセイユが歓喜に包まれます。直前にパイェをカンテに代えたデシャン監督にしてみれば、より前でプレイできるようになったポグバとマチュイディのアグレッシブなプレスは狙い通りだったのではないでしょうか。気持ちが守りに入らなければ、今日のフランスにとって2-0はセーフティでしょう。

キミッヒのミドルがバーを叩いたのは75分。ここからの時間は、ドイツの猛攻よりもフランスのカウンターのほうに可能性が感じられました。プレミアリーグデビューが噂されるシャルケのリロイ・サネは、シュヴァインシュタイガーと代わった直後にきわどいシュートを1発放って、沈黙。追加タイムのキミッヒのヘッドはロリスがビッグセーブ、ムスタフィのクロスを頭で合わせたゲッツェの一撃は、ポストの右に逸れていきます。2-0、フランス完勝!守備でミスをしたチームと、しなかったチームの明暗。決められる選手が、決められる場所にいたかどうかのわずかな差です。おもしろい試合でした。勝ったフランスを称賛しつつ、アウェイゲームを支配したドイツにも惜しみない拍手を送りたいと思います。最後までチャンスを創り続け、静かにピッチを去った世界王者は、今大会最高のグッドルーザーでした。

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“【ユーロ2016】ドイツ、痛恨のミス!グリーズマンの2発でフランスがファイナル進出!” への5件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    ひじうちのファールではなくハンデでのPKでは?

  2. おハム より:

    ホームが勝ちましたか

  3. queen より:

    ドイツはブラジルでの神がかった強さがなかったですね。
    フランスはポルトガルとの相性が良いので(公式戦で最後に負けたのはいつでしょうか、分かりません)、一番きつい試合を乗り越えましたね。
    ユーロもあと一試合で終わりかぁ・・・。

  4. Gööner より:

    GriezmannとGiroudは二人ともBenzemaみたいな万能タイプではないですが、相性がいいのかもしれませんね。
    しかし、こうなるとプレミアが開幕してもしばらくはフランス代表の面々には会えないのでしょうね・・・。

  5. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    ハンドでしたね。ご指摘ありがとうございます。訂正させていただきました。

    おハムさん>
    そうですね。

    queenさん>
    トマス・ミュラーが元気がなかったですね。彼が機能しないと、エジルやトニ・クロースの素晴らしさも割引になってしまう感があります。

    Göönerさん>
    ジルーがポストプレーがうまいので、両者の距離が近いととてもいいですね。プレミアリーグ開幕に、ジルーとコシールニーがいないのは不安ですね。来季は日程がきついので。

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