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【リーグ杯速報・前篇】マンチェスター・ユナイテッド、信じられない自滅で準決勝敗退!

選手交代は裏目。延長戦ではフリーのシュートを外しまくり、GKデ・ヘアが目を覆うようなキャッチミス。PK戦で決めたのはダレン・フレッチャーだけ。90分を終えてから後は、チーム全体が精神的におかしくなっていました。サー・アレックス・ファーガソン監督なら絶対にありえない負け方で、マンチェスター・ユナイテッドがプレミアリーグ19位のサンダーランドを相手に敗退です。一発勝負ならまだしも、ホーム&アウェイで勝てなかったのは、力負けとしかいいようがありません。まだ信じたくありませんが、ここは本拠地オールド・トラフォードです。

ファーストレグを1-2で落としていたマンチェスター・ユナイテッドは、前半から積極的に攻撃を仕掛けます。この日の攻撃陣は、チチャリートがトップで、少し下がり目にウェルベック。左に香川真司、右にヤヌザイ。中央をキャリックとフレッチャーが固めます。これが、ファン・ペルシとルーニーを欠いた今のこのチームのベストメンバーでしょう。

5分にヤヌザイのFKからチチャリートがヘディングシュート。サンダーランドも、9分にオシェイがヘッドでトータル3点めを狙います。軽いジャブを打ち合い、10分を過ぎると、ここからはマンチェスター・ユナイテッドペース。香川真司は、相変わらず周囲とペースが合わず、速いパスワークによる突破は見るべくもありませんが、それでも「チャンスメーカーは26番だけ」といっていいくらい、効果的なパスを前線にフィードして攻撃に貢献します。

11分のチチャリートへの縦パスから、先制点が入るまでの25分間、マンチェスター・ユナイテッドの7回のチャンスは、すべて香川真司絡みでした。25分にスコールズを思わせるような完璧なサイドチェンジから、ヤヌザイ、ラファエルとつながったシュートシーンを演出し、35分には右サイドで切り返しを入れ、左足で完璧なクロス。これをファーサイドで受けたフレッチャーのシュートはポスト!こぼれ球をフリーで打ったウェルベックのシュートはGKマンノーネがブロック。ゴールにはなりませんでしたが、決定的な攻撃でした。

そしてその1分後、CKからついにマンチェスター・ユナイテッドが先制します。ヤヌザイのCKをウェルベックが右足でシュート。これがうまく当たらず、ワンバウンドでゴール左に浮いたところに飛び込んだのは、CBジョニー・エヴァンス。ヘッドで軽く合わせるだけのシュートを確実に叩き込み、これでトータル2-2となりました。キャピタルワンカップは、90分終了時点ではアウェイゴール2倍換算ルールがないので、勝ち抜くにはあと1点必要です。この後、ウェズ・ブラウンにCKからヘディングシュートを打たれ、ヒヤリとさせられるシーンはありましたが、最初の45分は1-0。ボールを支配できている前半の出来で、残り45分で1点決めればOKなら、全く問題ないでしょう。

後半、モイーズ監督はフォーメーションをいじってきました。香川真司トップ下、ウェルベック左サイド。開始直後にヤヌザイがFKを直接狙い、48分には香川真司が右サイドを走るチチャリートにロングパスを決め、クロスが入らずCKに逃れられたものの、中央が2対2となるいいシーンを創ります。このままいけば2~3点は獲れるはず、と思っていたのですが…。

60分、香川真司out、バレンシアin。この采配には、唖然としました。点を獲りにいくなら、下げるべきはウェルベックだったと思います。おそらくモイーズ監督は、この直前に相手のボールポゼッションが増えたのをみて、守備を気にしたに違いありません。しかし、チームで唯一、前線にチャンスボールを送っていた香川真司がいなくなれば、前と後ろがつながらなくなって当然です。案の定、ここからのマンチェスター・ユナイテッドの攻撃は、お得意の「ヤヌザイドリブル、ヤヌザイシュート、ヤヌザイドリブル、ヤヌザイミドル、以上後半終了」でした。ウェルベックはまるで機能せず、延長前半にシュートを打つまでの40分以上の時間を、ゲームに関与しない選手として過ごすことになりました。

どちらかといえば、勝ち越すチャンスよりも敗退の危機のほうが多かった45分を過ごし、スコアは2-2のまま変わらず、延長戦へ突入。94分、キャリックが負傷退場し、P.ジョーンズがピッチに入ると、軸を失った昨季プレミアリーグ王者は、日本の高校サッカーでもなかなか見られないような精神的に脆いチームへとモデルチェンジします。延長戦だけで、カウンターからフリーでシュートを打ったシーンが何回あったでしょうか。101分、チチャリートはGKと1対1で完全なシュートミス。102分のウェルベックはGKの正面。111分には、ヤヌザイがフリーの味方が2人もいたのにパスを出さずに強引にミドルを放ち、これもGKマンノーネが楽にキャッチ。延長戦終了後にはアウェイゴールルールが適用となるので、このままいけば勝ちなのに、彼らは何を焦ってしまったのでしょうか。

それでも「マンチェスター・ユナイテッド勝ち」の状態でラスト3分まできました。しかし、ここから数枚の「悪夢への招待状」がホームチームに届きます、予告編は、117分の決定的なバーズリーのシュート。これはDF陣が必死に逃れますが、2枚めの招待状には耐えられませんでした。118分のバーズリーのミドルは、デヘアのほぼ正面。左右のボールに滅法強いエースGKが、難なくこれを獲るだろうと思った瞬間…痛恨の後逸!サンダーランドが勝ち越しです!

しかし、マンチェスター・ユナイテッドは、サッカーの神様から「もう一度だけチャンスをやるから落ち着け」と諭されたかのように、直後の波状攻撃で追いつきます。ラファエルのクロスがクリアされ、これを拾ってワンツーからヤヌザイが左へ抜け出し、グラウンダーに合わせたのはチチャリート!完全に足をつってリタイア寸前だったストライカーが、120分のなかで唯一輝いた瞬間でした。サンダーランドが必要以上に下がってしまい、3-3に追いつけたのはラッキーでしたが、最後に1点づつゴールが決まってしまったがために、1-2と2-1で2試合同スコアとなり、ゲームはPK戦にもつれ込みます。

PK戦となれば、7万を超えるホームのサポーターの罵声が背中につきささるアウェイチームは辛いだろう、と思いきや、えてしてこういう試合は「失うものが多いチーム」が気持ちで負けてしまうものです。最後に悪夢の招待状を突きつけたのは、サンダーランドGKマンノーネです。最初の2発をガードナーとスティーブン・フレッチャーが外すという極上のプレゼントをもらったにも関わらず、ウェルベック、ヤヌザイ、P.ジョーンズ、ラファエウが次々と外すという失態を演じたマンチェスター・ユナイテッド。いちばん手にいれやすかったはずの来季ヨーロッパへのチケットを、自ら放棄する結果となりました。

この稿、長くなりますが、「【リーグ杯速報・後篇】何度も繰り返されるマンチェスター・ユナイテッドの負けパターン」で、敗退の理由について、少し掘り下げたいと思います。(ダヴィド・デ・ヘア 写真著作者/henrikalexandersen)

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“【リーグ杯速報・前篇】マンチェスター・ユナイテッド、信じられない自滅で準決勝敗退!” への2件のフィードバック

  1. トーレス下さい。あ、赤い方ね より:

    この試合70分くらいから視聴した私はユナイテッドの悪いとこばかり見てしまったようですね笑。
    端的にいえば「質は並、展開は神」といういかにもリーグカップらしい熱戦でした。グダグダなんだけど無駄にすごいという意味では、2シーズン前の決勝リバプールvsカーディフと共通するものがありました。延長終了間際のゴール、テリブルなPK戦というとこも同じですね。

    ユナイテッドはもろさを見せましたが、そこに付け込む姿勢・技術・プランなくして勝利はないわけで、その点でポジェ監督には最大の賛辞を贈りたいですね。彼の面白イントネーションの英語を選手がどれほど聞いているかは分かりませんが笑、イレブンを鼓舞する背中バチーンやチームトークを見て、黒猫にぴったりの監督だなと思いました。不思議と応援したくなる魅力を持ってます。

    そして触れずにはいられないのがアウェイサポーター。9000人がいたようですが、彼らのバックアップと声量は素晴らしかった。今季ここまでのベストサポーターズです。
    QUE SARA SARA
    WHEREVER WE’LL BE WE’LL BE
    WE’RE GOING TO WEMBLEY
    QUE SARA SARA

  2. makoto より:

    トーレス下さい。あ、赤い方ね さん>
    いっそ、90分でドローのほうが、さばさばと諦めもついたのですが…。延長残り3分までリード、PKを2本めまでリードと、何度も勝ちモードに入り、何度も絶望からの復活もあったので、疲れ果てました。何しろ「ひどいミス博覧会」だったので、今は「おもしろいゲームでしたね!」とお返しする気力がありません(苦笑)。

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