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マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

策に溺れた⁉ 攻め手を失ったファン・ハール、必然の敗退!~FAカップ準々決勝速報・後篇

「前半はイーブン、スリリングな攻防はまさにプレミアリーグ上位対決!~FAカップ準々決勝速報・前篇」より続きます。

これはびっくりファン・ハール監督、後半頭から2枚代え。エレーラとルーク・ショーが下がり、キャリックとフィル・ジョーンズです。開始から5分もせずに、ハムストリングを痛めたチェンバレンがアウト。代わったラムジーがセンター、エジルがサイドとなれば、マン・ユナイテッドにとっては前半ほどの怖さはありません。53分、敵陣でのボール奪取からシュートに持ち込んだアレクシス・サンチェスの右足はデ・ヘアがキャッチ。60分、相手のゴールキックのクリアをフェライニが受け、ディ・マリアに預けた速攻は、気負ったシュートがポスト右に流れます。61分、アーセナル、ついに勝ち越しゴール。マンチェスター・ユナイテッドは、後半から入ったCBフィル・ジョーンズのはっきりしないパスに、追い込まれたバレンシアがバックパスをミス。短いボールをウェルベックに拾われ、かわされたデ・ヘアがいない無人のゴールに流し込まれます。

反撃できるか、マンチェスター・ユナイテッド。67分、ヤングのクロスに合わせたフェライニのヘッドはGKの正面。サイド攻撃をサポートしていたエレーラがいなくなり、バレンシアやディ・マリアがサイドから自由にロングボールを入れる機会が減っています。チェンバレンがいなくなってサイドで勝てると思ったところが、エレーラ不在で攻撃が中に偏ってしまい、そこにはラムジーという後から加わった厚みがあります。ヴェンゲル監督の交代に加勢するような悪い流れにルーニーのボールタッチが減り、ホームチームはチャンスよりピンチが多くなります。

74分、アレクシス・サンチェスの左からのクロスにカソルラが素晴らしい左足ボレー。デ・ヘアのビッグセーブがなければ、ここで決着がついていたでしょう。しかし、事実上の終戦は、その3分後でした。シミュレーションと抗議で一気にイエロー2枚をもらったディ・マリアが退場。危険なパスの配給元を失ったマンチェスター・ユナイテッドの攻撃は完全に止まりました。ファールをもらうプレイを繰り返すヤヌザイの姿は、まごうことなき敗者の姿。94分にもアーセナルは、エジルのラストパスを左で受けたアレクシス・サンチェスが決定的なシュートを放ちますが、指先で触ったデ・ヘア2度めの超絶セーブが3点めを許しません。負けている試合のラスト20分でいちばん目立ったのが、ワールドクラスのGKでは勝てません。ファーガソン時代には、1点差なら必ずあった祭囃子が鳴り響くような猛攻も今は昔。マンチェスター・ユナイテッドのFAカップは、準決勝を前に終わりました。

病み上がりのルーク・ショーはともかく、エレーラはなぜ下がったのでしょうか。負傷ならやむなしですが、そうでないなら残したほうがよかったでしょう。代えるにしても、勝ちにいくならキャリックではなく、攻めのボールを出せるマタだったと思います。前半は、ペナルティエリア内でフェライニがベジェリンに勝てば即、大チャンスだったのが、後半に入ってフェライニが競るエリアが中の低い位置に変わったため、世界有数のタワーがいくらヘッドで勝っても危険なシーンにはならなくなっていました。守備的な選手を入れたのに守備のミスで負けたとなれば、自滅といわれても仕方ありません。アーセナルのMVPを選べといわれれば、私は迷わずエジルです。前線からのチェイス、ボールを持ったときの判断力とも素晴らしく、前半のように最前線に出ていくシーンが後半も続けば、もっと早く勝負を決められていたかもしれません。最後に、悔しさを一句に託して、この稿を締めさせていただきます。

策を当て 策に溺れた ファン・ハール

無念です。

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“策に溺れた⁉ 攻め手を失ったファン・ハール、必然の敗退!~FAカップ準々決勝速報・後篇” への10件のフィードバック

  1. a より:

    記事待ってました。お疲れ様です。
    同感です。なぜエレーラを下げたのか……。
    そしてバレンシアのパスミス。
    無念ですね。

    こうなったら、開き直るしかないです。
    リーグ戦じゃなくてよかったですね。カップ戦は1戦目で負けようが決勝で負けようが変わりませんから。リーグ戦で勝てばいいのです。変に引き分け再試合にならなかったと思えば……!(自暴自棄

    ガナサポのみなさんおめでとうございます。これで日程が過密になって勝ち点落としてくださると大変うれしゅうございます←

  2. a より:

    追記です。
    エレーラは前半にイエローもらっていたので、交代の意図はそこにあった……のかもしれません。ベンゲルもベジェリン?を、イエローもらってすぐに下げていましたし。

  3. グナ より:

    管理人さんには悪いですが、僕は嬉しくて堪らないです(T-T)
    オートラルフォードで勝ったのは9年ぶりだそうですね。
    決めたウェルベックに駆け寄るカソルラ、エジル、サンチェスを見て凄いチームになってきたと実感しました。もちろん、守備陣も凄い頑張ってましたね。モンレアルもカッコいいな~
    ラムジーが良かったのが凄い嬉しいです!

  4. makoto より:

    aさん>
    中盤が厳しい攻撃にさらされてぎりぎりで体を張っていたならともかく、前半のイエローに過敏になる必要はなかったですよね。最初の45分、作戦がはまっていただけに、よけいに悔しい敗戦でした。いや、ほんとうに、プレミアリーグじゃなくてよかった…。

  5. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    前半が良かっただけに悔やまれるゲームでしたね。
    ガナーズは9年ぶりなんですね。オールドトラッフォードでの勝利は、、、。
    おめでとうございます。
    ユナイテッド後半はデ・ヘアのスーパープレーが連発してましたが、ディ・マリアを失ってから勢いが落ちてしまいましたね、、、。ポジティブに考えれば、リーグ戦でCL圏内目標というゴールに絞られましたね。

  6. デリック より:

    いつも楽しく見させてもらってます。
    私はガナサポです。ですが、今日のデヘアのビッグセーブ二本は入らず残念でしたが、思わず凄えと言ってしまいました、、、
    エジルの気持ちの入り具合は見てて明らかでしたね! ガナサポにとっては、マンU、チェルシーに勝つというのはめちゃ嬉しいです。私は敵地で勝つのを見たのは初めてなので。この調子で頑張って欲しいです。

  7. ASAP より:

    (前科1)W杯にて、PK戦突入直前にGK交代の奇策。交代GKが見事PKストップ → 次の試合もまさかのPK突入、GK交代のカード切れず敗退(これは奇策が効きすぎて、味方をも欺いてしまったケース)。

    (前科2)W杯で3-5-2に手応え → なぜか無関係のクラブチームに持ち込み前半戦つまづく。

    自信の裏返しといわれればそれまでですが、Louis van Gaal は策に溺れるタイプですよね(笑)

    今シーズンのManchester Unitedで長らく引っかかっているのは、その策士を持ってしても、チーム編成の落とし所が、「王者を率いるには格が足りない」と蔑まれた前任者(ただいまスペインで奮闘中)と大差ないのではないか? と、外野に感じさせてしまうところです。しかも、ラインナップだけ見ると、ことにオフェンスのカードは、昨シーズンよりも確実に充実している(※)わけで…

    (※)「機能してねーんだから、充実してねーよ!」というご意見もあるかと思いますが、ウィンドウショッピング的には目を見張るラインナップだと思われます。

    また、これはディティールですが、Januzajのダイブは、彼のようなプレイスタイルでアレが癖になるとモノにならないので、少し気になりました(無論「危険なタックルを避けるな」という意味ではありません)。

    長々と乱文失礼いたしました。

  8. 新参 より:

    管理人さんには申し訳ないのですが、めちゃめちゃ嬉しいです。

    プレミアで残る強豪アウェイはユナイテッド戦だけであり、いいイメージでOTに乗り込めるのは大きいです。プレミア3位フィニッシュが現実味を帯びてきました。ストレートインでCLに臨む重要性を知っているのはどこよりもアーセナルですから頑張って欲しいです。

  9. サッカー小僧! より:

    試合終了早々の更新、お疲れ様です。

    自分は、勝った喜びはもちろんありますが、それより正直、安堵のほうが大きいですね。
    ほんと、アーセナルが、さらに上を目指すならば、いい加減上位チームに勝たないといけませんから。
    昨シーズンの混乱のさなかにいるマンUにさえ勝てなかった、今シーズンを逃せばまた勝つチャンスが
    減っていく一方だと思っていたので、とりあえずマンU戦引き分け敗戦の流れをストップできた
    ことに安堵です、もちろん、アウェーで勝った、というのは選手の自信という点において
    大きな意味を持つと思いますし、望み薄ではありますが、モナコ戦への弾みも付いた、と思います。
    この流れを、リーグ戦の試合にもつなげてほしいですね、今シーズンはCL争い、非常に熾烈なので。

    それにしても、デ・ヘアは、ものすごいですね、かつてのスタムやブランがいた頃から見ている
    自分としては、ぶっちゃけ、今のマンUのDF陣は過去最低と思っているのですが(DFラインは
    アーセナルもどっこいどっこいなのでえらそーには言えないんですが)、GKがあれだけ決定機を
    防いでくれると、本当にありがたい、と思います、おそらくレアルが狙っているとは思いますが、
    デ・ヘア放出断固阻止すべきですね、まぁそんなことはマンUサポの方々はわかりきっているでしょうが。
    一方、シュチェスニーは相変わらずなので、放出まっしぐらだな、と思いました(苦笑い)。
    ですが、いっそうのこと、夏にチェフ獲得とかしてくれたら、アーセナルの本気度が感じれて嬉しいのですが。

  10. makoto より:

    Mackiさん>
    前半はどちらが勝ってもおかしくない展開だっただけに、変ないじり方をしてしまった後半が悔やまれます。直前までケガをしていたルーク・ショーをキャリックに代え、ブリントSB&キャリックアンカーで後半を始め、点が獲れなければアシュリー・ヤングをマタ、さらに攻めるなら最後にエレーラをファルカオもしくはヤヌザイ、がいいのではないかと思っておりました。

    デリックさん>
    エジル、気迫が伝わってきました。1点めのチェンバレンへのパスは彼らしい意外性に富んだパスでしたね。素晴らしい!

    ASAPさん>
    溺れましたね。昨今のファン・ハールさんを見ていると、ビビッてしまっている感じがします。昨日もキャリックを投入したのをみて、「もしかしてエミレーツのリマッチに勝負を先送りして、PK戦で勝とうとしているのか!?」と思ってしまいました(笑)。PK戦なら、アーセナルに勝てそうですよね。PK戦直前にGKをリンデゴーアに!などという奇策に走らなければ。

    新参さん>
    新参さんには申し訳ないのですが、めちゃめちゃ悲しいです。4位以内からの脱落が現実味を帯びてきてしまいました。CL常連から滑り落ちて臨めなくなる苦しみをどこよりも知っているはずですから頑張って欲しいのですが。

    サッカー小僧!さん>
    確かに今のDF陣は過去最低ですが、ロホの相棒を確立させて戦術をしっかり浸透させれば、改善はすると思うのですが…。デ・ヘアは唯一、ワールドクラスのプレイをキープしており素晴らしいです。

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