偏愛的プレミアリーグ見聞録

FAカップ3回戦再試合、本拠地キングパワー・スタジアムにトッテナムを迎えるレスター…おお、出ました！ラニエリ監督の大胆ターンオーバー。最終ラインにはヴァシリェフスキ、ベナルアン、チルウィル。中盤にネイサン・ダイアーとインレルを起用し、新戦力のデマライ・グレイをウジョアの近くに置くという、プレミアリーグとは別のチームです。アウェイのトッテナムは、トップにソン・フンミン、2列めにエリクセン、シャドリ、ラメラ。キャロルとベンタレブをセントラルに配し、エリック・ダイアーはヴィマーとともにCBに入るようです。アルデルヴァイレルトもフェルトンゲンもいない最終ラインは、プレミアリーグ最少失点のクオリティをキープできるでしょうか。ハリー・ケイン、岡崎慎司、ヴァーディ、マフレズらに出番があるとすれば、それはチームが劣勢を強いられている証拠でしょう。

私は、両者のカウンターを楽しみにしています。ロングボール一発で2対2の状況を創るレスターに対して、トッテナムのカウンターは、フルスロットルとショートパスで一気に4～5人がゴール前に殺到する迫力満点のアタックです。開始からしばらくは、レスターが積極的に仕掛けていたものの、10分を過ぎると主導権はトッテナムへ。13分にはソン・フンミンが左に流れて折り返し、エリクセンがボレーを狙いますが、うまく当たらずGKシュマイケルは余裕を持って見送ります。

テンポよく短いパスをつなぐトッテナムと、中盤の寄せが速いレスター。エリクセンやシャドリがサイドからラストパスを狙うシーンはあるものの、レスターの構えは完璧で、シュートに持ち込める雰囲気はありません。23分、エリクセンがCKをペナルティエリアの後ろに出すと、ベン・デイヴィスがミドルを大きく打ち上げてしまい、セットプレーも打開策にはならないようです。27分、初めて左サイドから裏に抜けたレスターのチルウェルが中に持ち込みFKをもらうも、インレルの直接FKはGKフォルムの正面。35分、ベン・デイヴィスのアーリークロスに、初めて高さで競り勝ったラメラのヘッドはバーの上です。

相手のミス待ちの神経戦が続くなか、均衡を破ったのはトッテナムのストライカーでした。右に流れてパスを呼び込んだソン・フンミンは、フェイントでチルウェルを翻弄すると右足を振り抜き、ニアを破る強烈なシュート。シュマイケルの左手は届かず、アウェイチームが先制です。ハーフタイムは0-1。プレミアリーグの2位と4位の対決らしく、両者とも組織的でスピーディないい試合です。

ラニエリ監督は、後半頭からドリンクウォーターを下げて岡崎慎司を投入します。53分、岡崎が中央で粘り、左にこぼれたボールを捉えたデマライ・グレイのコントロールショットは、フォルムがファインセーブ。56分、お待ちかねのトッテナムのカウンターは、ラメラのラストパスがエリクセンに通りません。60分、使うんですね、ハリー・ケイン。ラメラがピッチを去り、プレミアリーグ12ゴールのエースが登場すると、キングパワーは大ブーイングです。入ってからたったの2分で、エリクセン、ソン・フンミンとつながったボールを右でもらったハリー・ケインがニアに強烈なシュート。これはシュマイケルが何とかCKに逃げて事なきをえますが、66分、ついにトッテナムに追加点が入ります。

このゴールは、ヴァシリェフスキの背後を突いたソン・フンミンの完璧なスルーパスに尽きます。シャドリがいちばん好きなエリアでフリーとなれば、シュマイケルは脇を抜けるボールを諦めるしかありません。70分、右からのグラウンダーのコースを変えた岡崎慎司のラボーナは枠にいかず。73分、スパーズのカウンターが発動し、ハリー・ケインが自分で持ち込んだ左足シュートはシュマイケルがブロックします。残り15分、ネイサン・ダイアーに代わったヴァーディの姿に、サポーターは拍手喝采。2点めの直前にカウンターから素晴らしいサイドチェンジのボールをもらったダイアーは、岡崎慎司へのクロスがずれたのを悔やんでいることでしょう。

84分、ソン・フンミンがお役御免でデル・アリ。今日のトッテナムの守備は素晴らしい出来でした。フリーのシュートを許したのは、89分にクロスをボレーで合わせたオルブライトンのみ。カウンターのクオリティでも相手を凌駕したチームが勝つのは自明です。1週間前のプレミアリーグでは、ワンチャンスを活かしてトッテナムを0-1と沈黙させたレスターは、2回の決定機をきっちり決められる「アウェイ戦倍返し」を受け、FAカップから去ることになりました。

アンフィールドの一戦は、今回も若手主体で戦ったリヴァプールがリーグ2（4部相当）のエクセターに順当勝ちです。10分に左から走ったブラッド・スミスをフリーにしたベンテケの縦パスは完璧。中で待っていたジョー・アレンは、軽くタッチしてGKの脇を抜くだけでした。ティシェイラのクロスに競り勝ったベンテケのヘッドや、ブラナガンのミドルがバーすれすれを襲うも決まらず、前半は1-0。54分にはジョーダン・アイブの強烈な左足シュートがゴールラインテクノロジーによって却下されるきわどいシーンがあったものの、レッズが勝負を決めたのは残り15分、右からペナルティエリアに入って左隅を狙ったオジョの見事なコントロールショットでした。82分、ベンテケが3人かわして左に出したスルーパスをティシェイラが冷静に流し込んで3-0。レッズ、2戦めは完勝です。

息をつく暇もなく週末はプレミアリーグ、ミッドウィークにはキャピタルワンカップの準決勝セカンドレグがあり、直後にFAカップ4回戦が控えています。プレミアリーグ23節の後、1週間休めるトッテナムのコルチェスター戦は問題なしだと思われますが、過密スケジュールの末にウェストハムと当たるリヴァプールは、どうなるかわかりません。負傷者だらけのなか、クロップ監督の3連勝はあるのでしょうか。そうこうしているうちに、2月に入るとヨーロッパリーグが始まります。うーん、早く戻ってきてくれ、コウチーニョ！

【FAカップ3回戦再試合結果】
■1月18日
ニューポート・カウンティ 1-2 ブラックバーン

■1月19日
ミルトン・キーズ・ドンズ 3-0 ノーサンプトン
アストン・ヴィラ 2-0 ウィカム
ブラッドフォード 0-0(PK2-4) バリー
ブリストル 0-1 WBA
ボルトン 3-2 イーストレイ
ポーツマス 2-1 イプスウィッチ
ヨービル 1-1(PK5-4) カーライル
レディング 5-2 ハダースフィールド

■1月20日
レスター 0-2 トッテナム
リヴァプール 3-0 エクセター

【1/29～2/1　FAカップ4回戦組み合わせ】
WBA VS ピーターバラ
ボルトン VS リーズ
アーセナル VS バーンリー
ダービー・カウンティ VS マンチェスター・ユナイテッド
レディング VS ウォルソール
リヴァプール VS ウェストハム
アストン・ヴィラ VS マンチェスター・シティ
シュルーズベリー VS シェフィールド・ウエンズデー
ノッティンガム・フォレスト VS ワトフォード
ヨービル VS エヴァートン
クリスタル・パレス VS ストーク
オックスフォード VS ブラックバーン
ポーツマス VS ボーンマス
コルチェスター VS トッテナム
バリー VS ハル・シティ
ミルトン・キーンズ・ドンズ VS チェルシー