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2014.09.16 香川真司

プレミアリーグを離れた日本人2人が初登場!香川真司はなぜゴールを奪えたのか…プレイをチェック!

香川真司と宮市亮。片や完全移籍、片やレンタルと立場は違いますが、この夏、2人の日本人プレイヤーがプレミアリーグを離れ、それぞれのクラブで先週末のゲームに初出場しました。チームに合流してから2日しか練習する機会がなかったという宮市は、途中出場となったゴー・アヘッド・イーグルズ戦で、なかなかいいボールがもらえず悪戦苦闘の20分でしたが、ドルトムントの香川真司はいきなりゴールをゲット。シグナル・イドゥナ・パークを埋め尽くしたドルトムントサポーターは、日の丸を振り、香川真司の似顔絵を頭上に掲げて復帰したトップ下の854日ぶりのゴールを祝福しました。

香川真司は、なぜプレミアリーグでは思うようにプレイできず、ドルトムントでは決定的なパスやゴールを決められるのか。フライブルク戦を観ていて、2つのことに気がつきました。ひとつは、香川真司とチームメイトの関係の問題。そしてもうひとつは、マンチェスター・ユナイテッドとドルトムントのサッカーの違いにまつわるお話です。

香川真司とチームメイトの関係を端的に表現しているのは、香川真司のスルーパスを受けて先制ゴールのアシストを決めたグロスクロイツのこの言葉です。「彼は技術的に素晴らしい選手で、2~3人の相手につかれてもマークを簡単にかわしてしまえる」マンチェスター・ユナイテッドでは、スペースを見つけて入り込んでもなかなかパスをもらえなかった香川は、ドルトムントのピッチに立つと、2人のDFを背負った状態でも速いパスがどんどん入ってきます。

ボールを受けた香川真司のプレイはシンプル。前を向けない状況であれば、ダイレクトもしくはワンタッチでボールを戻してポジションを変えてリトライ。チャンスを創れると判断すれば、素早いターンで前を向き、クロスやショートパスを前方の味方に展開するか、自らドリブルで突破を始めます。プレミアリーグとブンデスリーガの違い以前に、「アイツに入れれば何とかしてくれる」という信頼感の有無が、ボールタッチの回数を左右していたのだと思います。

加えて、モイーズ監督時代のマンチェスター・ユナイテッドと、クロップ監督が指揮するドルトムントのスタイルの違いも大きいでしょう。サー・アレックス・ファーガソン監督時代のマンチェスター・ユナイテッドは、相手ボールになるとハーフラインまで最前線を下げて、ボールを奪った瞬間、手数をかけずにサイドに展開して中で勝負という速攻が多いチーム。3点以上を奪って快勝したゲームで、ボールポゼッションが40%台ということも少なくありませんでした。しかし、モイーズ監督のサッカーでは、ファン・ペルシやルーニーなどのトップの選手があらかじめ前に張るシーンが多く、ペナルティエリア手前のシュートレンジに相手CBが待ち構えています。ただでさえ、ゴールまで遠いサイドのポジションから、DFが既にいるエリアに突入していくのですから、香川真司がフリーになるシーンはシーズンを通じても数えるほどしかありませんでした。

一方、ドルトムントのサッカーでは、ハーフライン付近でボールを奪い、3~4人の選手がシンプルなパス出しから一気に上がっていくのが攻撃におけるひとつの形です。フライブルク戦の前半41分の復帰初ゴールは、右からの速攻でFWアドリアン・ラモスがグラウンダーのクロスを入れたとき、フライブルクのDF陣がファーサイドの香川真司をチェックできていませんでした。待っているDF相手にフリーになるのは難しくても、並走しているDFを一瞬外したり、味方のおとりの動きをみて空いたスペースに入ったりすれば、ノーマークでシュートを打てる確率は格段に上がります。

ゴールシーンだけでなく、後半にも、ここというタイミングでボールをもらえていれば一気にGKと1対1になれるチャンスがありました。むやみに前線を上げず、相手のDFラインの裏のスペースを使おうとするサッカーが徹底しているドルトムントは、空間認識力が高い香川真司との相性が抜群だと思います。クロップ監督は、こういったことも含めて「マンチェスター・ユナイテッドは香川真司の使い方をわかっていない」と指摘していたのでしょう。ドルトムントの指揮官は、9月3日からスイスのニヨンで開催された「UEFAエリートクラブ監督フォーラム」でサー・アレックス・ファーガソンと話した時、香川真司について彼が語っていた言葉をイギリス紙のインタビューで明かしています。

「香川真司が活躍できるように導けなかったのは残念だ。私は1年目については満足していた。2年目は次のステップへと進む必要があるが、シンジはそれができずに終わった。(香川を)成功させるべきだった。もったいなかった」(サー・アレックス・ファーガソン)

やはり、サー・アレックス・ファーガソンがもう1年、クラブを率いていれば、香川真司の運命は間違いなく変わっていたでしょうね。マルコ・ロイスが離脱していることもあり、おそらく香川は今後も次々とゴールを決めていくでしょう。今夜、ドルトムントはチャンピオンズリーグの緒戦をアーセナルと戦います。この試合は、プレミアリーグファンとして、アーセナルを応援すると決めておりますが、ヴェンゲル監督、背番号7は多分トップ下でスタメンだと思われますので、くれぐれも注意してください。危険エリアは、メルテザッカーの裏です。

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“プレミアリーグを離れた日本人2人が初登場!香川真司はなぜゴールを奪えたのか…プレイをチェック!” への2件のフィードバック

  1. londres nord より:

    香川が活躍して、逆に試合はアーセナルが勝てば最高です。
    メルティの裏も穴ですが、コンデション無視のエジルとラムジー、ウィルシャーの3人同時起用があったら、プレスの餌食になりそうな気がします。

  2. makoto より:

    londres nordさん>
    なってしまいましたね…。素晴らしい予測でした。

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