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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ドルトムントに完璧な4-0。リヴァプールの強さを支える、スタリッジとコウチーニョの成長

仕上がってます、リヴァプール。アメリカでインターナショナルチャンピオンズカップを戦っていたときから、今季の彼らが強いのはわかっていましたが、プレミアリーグの開幕を直前に控えた今、優勝を争うクラブのなかで、いちばんいい準備ができているのではないでしょうか。

10日のプレシーズンマッチで、ドルトムントを相手に4-0。「ドルトムントがベストメンバーじゃない」「プレミアリーグよりも開幕が1週間遅いから仕上がりに差があって当然」という声もあるかもしれませんが、相手がどういう状況であれ、リヴァプールのシャープな攻撃が有効かつ脅威であったという事実は揺るがないのだと思います。このところ、プレイを観ていて私がいちばん成長を感じるのは、ダニエル・スタリッジです。SASというワールドクラスとのコンビや、ワールドカップを体験した24歳のイングランド代表FWは、完全にひと皮むけ、アンリやファン・ペルシクラスへの階段を上り始めました。私は、彼とジエゴ・コスタが、今季プレミアリーグの得点王争いの最右翼ではないかとにらんでいます。

フェリペ・コウリーニョの最高のスルーパスに抜け出し、左足アウトサイドでGKの脇を抜いた10分の先制点と、クロスが流れたところを拾って(よく見るとゴールラインを割ってましたが)、DFを軽くかわしてヘンダーソンに合わせた4点めのラストパス。2つのシーンに共通するスタリッジの成長は、GKやDFの予測を外す動きにあると思います。昨季の「SAS全盛期」は、スアレスの狡猾なプレイに対して、直線的なスピードと強いキックでゴールを奪うことが多かったスタリッジですが、相手の動きを見ながら、より確実にゴールを陥れる術に磨きがかかったのではないでしょうか。

そしてこの日は、まさに「コウチーニョの日」でした。先制点のアシストに続き、圧巻だったのは後半開始直後の3点め。ドルトムントCBのミスパスを左サイドで奪ったスターリングのドリブルをみて、自分をマークするDFの裏に入ってフリーで決めた、角度のないところからの左足グラウンダーは完璧なコントロール。背番号10がよかったのはボールのもらい方で、得点に絡んだ2発以外にも、相手の嫌なスペースに入り込んでシュートやラストパスをリリースする場面が多々ありました。彼の欠点は、いい試合と悪い試合がはっきりしているところ。今季は「継続性」を示さないと、マルコヴィッチやララナ、スターリングのスーパーサブにまわされてしまう可能性があるという競争環境が、彼のなかでプラスに作用しているのではないかと思われます。

中盤より後ろを見渡すと、前線同様に光っていたのは、デヤン・ロブレンとマンキージョの新加入DFたち。デヤン・ロブレンは、セインツでも武器だったセットプレイからのヘッドでチームの2点めをゲット。昨季プレミアリーグで7ゴールを決めたシュクルテルとのコンビで、スアレスの穴を半分くらいは埋めてしまいそうな勢いです。守備面でも、ピンチになると必要以上にポジションを下げてしまうサコに比べて、ラインコントロールの意識が高く、彼がいればリヴァプールのミドルシュートからの失点は確実に減るでしょう。

マンキージョは、このままグレン・ジョンソンをベンチに押し下げ、フラナガンを左サイドに逆戻りさせてしまってもおかしくありません。先を見据えて獲得した選手のはずですが、このゲームでのプレイは、間違いなく即戦力。左SBの補強では、アルベルト・モレノ獲得交渉が難航しているリヴァプールですが、右をマンキージョにまかせて、ホセ・エンリケとフラナガンを左で競わせ、今季のプレミアリーグを乗り切るというプランもなくはないと思います。

戦力が充実して仕上がりもいいロジャース監督のチームに足りないパーツは、やはりストライカー。スタリッジの相棒、あるいは不在時に最前線で脅威となる超一流がもう1枚いれば、エースがケガで離脱してもクオリティを落とさずに戦えるようになります。リッキー・リー・ランバートが、「セインツコネクション」でララナの援軍を受けたとしても、スタリッジの代役というレベルまでは期待できないでしょう。

「スカイスポーツ」の先週の記事には、マルコ・ロイスやインテルのパラシオらと並んで、何と日本代表の岡崎慎司の名前までありました。「ロイク・レミーより決定率は上」「オフサイドをかいくぐって裏に走れる」と紹介されており、日本人としてはうれしい限りですが、岡崎なら、リッキー・リー・ランバートで充分ですよね。いずれにしても、ここが決まらないと、リヴァプールをプレミアリーグ優勝候補に並べることはできません。移籍市場が閉まるまで、3週間を切りました。ロジャース監督の最後の1枚は、どんなカードなのでしょうか。パリはディ・マリア獲得を諦めたようなので、カバーニの売り値を下げないでしょうね…。

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“ドルトムントに完璧な4-0。リヴァプールの強さを支える、スタリッジとコウチーニョの成長” への6件のフィードバック

  1. リバサポ より:

    PSMの最後にクリーンシートはお見事です。このタイミングでDFラインの新戦力がかなり期待でき、攻撃の形がかたまってきたので、開幕ダッシュ決めれるかもしれません。

  2. makoto より:

    リバサポさん>
    そうですね!鮮やかなダッシュをみせてくれるのではないかと思います。

  3. ルタレック より:

    個人的にはストライカーではなく、左SBのモレノが最重要だと思います。エンリケは問題ありませんがフラナガンはやはり少し心配です。なぜリヴァプールはロブレンに2000万£?払えて、最重要の左SBに2000万£?払わないのか疑問です。個人的にロブレンに2000万£は払いすぎだと思いました。いい選手だと思いますが。あと質問なのですが、もしモレノがUEFAスーパーカップに出場してもリヴァプールでCLには出場できるのでしょうか?まだ獲得が決まったわけではありませんけど。 長文すいません。

  4. makoto より:

    ルタレックさん>
    なるほど。私の周囲のレッズサポーターは、「ぜひストライカーを!」という方が多いので、「左SB重要」というご意見は新鮮でした。私は、ロブレンの評価が高く、逆にアッガーはそれほどでもなかったので、「2000ならいいじゃないですか!」といってアッガーが好きなレッズサポーターに叱られたりしていましたが、レッズサポーターの何割かは、ルタレックさんと同意見なのかもしれません。外から見ていると、わからないこともあって、こういったご意見はありがたいです。

    ご質問については、UEFAスーパーカップとCLやELの予選は、出場制限の対象外で、あくまで「本大会に出た選手は移籍後、他クラブに出られない」という「9月以降適用のルール」だったはずです。

  5. あああ より:

    ただのプレシーズンマッチですけど、プレミアリーグの2位がブンデスリーガの2位を蹂躙したってだけでプレミアファンとしては胸がすく思いですね笑

  6. makoto より:

    あああさん>
    まさに!

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