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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

結構似ているユルゲン・クロップとアーセン・ヴェンゲル。この夏はぜひ、大物CB獲りませんか…!?

最近のユルゲン・クロップ監督のインタビューを聞くと、アーセン・ヴェンゲル監督と共通項が多いことに気づかされます。手元にいる選手をとことん信じるタイプ。マーケットでは大物獲得に走らず、納得価格の選手を育てようとします。それでも中盤にはそれぞれエジル、アレクシス・サンチェス、コウチーニョ、マネなどタレントを揃えていますが、ストライカーと最終ラインに本職のワールドクラスを獲ろうとしないのも同じ。プレミアリーグ22年めのヴェンゲル監督に対してクロップ監督はまだ1年半ですが、マインツとドルトムントをそれぞれ7年率いたドイツ人監督は、選手からの厚い信頼と打ち出しのうまさを武器に長期政権を築くところもフランス人監督とそっくりです。

プレミアリーグの最初の2年は、アーセナルと同様に負傷者続出に悩まされたクロップ監督ですが、新シーズンも主力を2人欠いた不安な状態で開幕に突入することになります。ナサニエル・クラインはハムストリングと腰を痛めてプレシーズンマッチを見送り、太腿を負傷したアダム・ララナは復帰まで2ヵ月を要するとのこと。クロップ監督は、右サイドを任せられる選手として3人の名前を挙げました。ジョー・ゴメス、アレクサンダー・アーノルド、フラナガン。先ほど、モンレアルとホールディングをCBに据えたヴェンゲル監督のチームを観たばかりの私は、「プレミアリーグの開幕戦までに彼らを起用し、最終的に誰でいくか決める」「アルベルト・モレノは100%のSB。難しいシーズンを過ごした後なのに、素晴らしい仕上がりだね」などという指揮官の言葉に、アーセナルと同じ匂いを感じたのであります。ケーヒル、リュディガー、クリステンセン、ダヴィド・ルイス、アスピリクエタと手駒は揃っているのに、ファン・ダイク獲得が噂になっているチームのマネージャーとは明らかに違う、と。次の言葉も、アーセン・ヴェンゲルとオーバーラップします。

「誰もがフィリペ・コウチーニョは退団すると思っただろう。しかし、現状はそうはなっていない。 選手が全員残れば、難しい判断を迫られることもある。みんながスタメンというわけにはいかないからね。どのように動かすか、見極めなければならない」
「昨季のベースの上に構築していく。進化させるためには2つ、やるべきことがある。補強、そして練習。われわれはその両方を手がけてきたが、新契約には満足している」

アーセナルの御大なら、「われわれには既に強力なスカッドがある」と締めそうなコメントです。起用に関して語った「選手が私に怒りを覚えるのであれば、それも問題ない」といういい回しこそクロップ節ですが、継続性重視で、何とかして手持ちの選手たちを試合に出そうといい方法を摸索しているようなニュアンスが、21年間聴き続けてきた言葉がサラウンドしている感覚を増幅させるのです。

私がなぜ、こんな話を長々と続けているかといえば、いかにもありそうな結末を怖れているからです。「アーセナルもリヴァプールもファン・ダイクのような大物CBを獲らず、セインツの大黒柱はチェルシーがゲット」。ガナーズのパスサッカーにもレッズのゲーゲンプレッシングにも魅了されるのですが、「受け身になれば、われわれはそのツケを払うことになる」「守るためにベストな方法は、ボールをキープすること」という思想には、美しさとセットで危うさがついてまわります。

敵を見てください。ジョン・ストーンズ、オタメンディ、コンパニ、デナイエル、マンガラに加えて3バックならフェルナンジーニョを下げられるペップは、CBがほしいとこぼしています。ロホが負傷したにも関わらず、モウリーニョ監督のリストには6人のCBが控えています。市場を歩き回っているチェルシーはいうに及ばず。守備陣を充実させてプレミアリーグを制覇しようとしているライバルに対して、マティプ、クラヴァン、デヤン・ロブレン、ジョー・ゴメスで勝とうとしているチームが争う場所は、チャンピオンズリーグでプレーオフを戦わなければならない4番めの椅子になりはしないかと思うのです。同じことを、ノースロンドンの頑固なマネージャーにも進言したいのですが…。

Until the 31st of August we run through the world with open eyes(8月31まで、目を見開いて世界を駆け抜けようじゃないか)」。クロップ監督は、1~2名を補強しようとしているといわれていますが、そのポジションがアダム・ララナの抜けた穴だけではないことを祈っています。「ミリー(ミルナー)はMFでプレイすると自由になるね。移籍市場に参入しなくても、われわれには新しい中盤の選手がいるということだ。ナイスだね」…こんな言葉を聞くと、やはり不安です。もしかしてこのまま…!(ユルゲン・クロップ 写真著作者/Ruaraidh Gillies)

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“結構似ているユルゲン・クロップとアーセン・ヴェンゲル。この夏はぜひ、大物CB獲りませんか…!?” への7件のフィードバック

  1. グッチ より:

    ヴェンゲルさんはともかくクロップはドイツで長年育成と販売を意識したクラブでやっていましたし、リヴァプールが何とも絶妙なクラブ規模なので難しいところではあると思います。現有の選手を信じて育て切る姿勢はファンや首脳部、何より野心的な選手から「タイトル取る気ないんだな。」と思われるリスクもあるので怖いですね。個人的には好きですが(笑)

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    獲得が噂されているファンダイクは80億が必要と言われておりリヴァプールが獲る確率はとても低いのではないかと思っています。

    しかし、最近の移籍市場では少しでも名の売れたCBやSBに平気で50億以上の値がついていますね。
    昔では考えられないことです。

    シティのように資金が潤沢なクラブはともかく普通のクラブはこの値段の選手を2人以上買うのは簡単なことではありません。
    こういった背景がチーム作りを難しくしているのだろうなと思います。

    まあヴェンゲルやクロップのチームの守備が固かったことなんて稀なので監督の意識の問題もあるのかもしれませんが笑

    —–
    本当に全く同じ恐怖を感じています。
    まさかCBはこれ以上いらないと言う発言がでるとは思いもしませんでした。
    しかも、最近はモレノやスタリッジの存在、ミルナーの中盤復帰は新たな補強のようなものだという、どっかで聞いたような発言を連発しててホントにショックです。

    しかもこの夏はビッグサマーになるとか言っといて、ダイクへの茶番劇、獲得の見込みのないケイタへの時間の浪費などで、現時点でまともな戦力の上積みはサラーのみという体たらくで、完全に某クラブのデジャブになってるのが悲しいです。しかもプランBがなさそうという・・・
    なぜダイクやケイタにこだわり続ける理由がわかりません。別に市場には他に選手はいるでしょうに。オーバメヤン、マノラス、チェンバレンなど獲得の可能性のある代替案はたくさんあったはず。
    相変わらず怪我人は多発してますし、試合数は増えるのに、これではどう考えてもマンチェスター勢やチェルシーやスパーズと競えるとは思えません。

  3. 新参 より:

    アーセナルは売却を先に進めたいというのが、現状ではないでしょうかね。サンチェス、エジル、チェンバレンを揃って(今のところ)残留させることに成功していますが、契約延長をするにはサラリーアップが必須なので、余剰戦力を売却し、サラリーを浮かす必要があるのではないかと思います。

    ルーカス、ギブス、チェンバース、ウィルシェア、ジェンキンソン、ドビュッシーの売り手(レンタルを含めた)がある程度決まってくれると、CBの補強に手を出せそうです。ほしいです、ファン・ダイク。

  4. nyonsuke より:

    グッチさん>
    生え抜きのスターと大物選手を使って優勝してほしいと、どこのサポーターもよくばりですので、監督は大変ですよね。クロップさんのスタイルは私も好きです。

    runさん>
    サコやマルコヴィッチをうまく売り抜ければ資金は捻出できるのだと思われますので、ぜひ獲ってほしいです。CLでどこまでいくのか見てみたいな、と。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    オーバメヤンとマノラスが獲れれば、相当ワクワクしますよね。このうえは初志貫徹でファン・ダイクをと思いつつ。

    新参さん>
    売らないと、プレミアリーグのルールに抵触しちゃいそうですからね。ルーカス・ペレスとギブスは早期に売れそうな気がしますが、他は移籍金をよくばると頓挫しそうです。

    —–
    更新お疲れさまです。

    最近頻繁に語ってしまっているのに恐縮ですが、私のネガティブ思考は開幕が近づくとともに加速するばかりです…泣
    モレノ残留、ミルナー中盤起用は私もアリかと思いますが、これはあくまでダイクを獲得した時の場合です。
    マティプはともかくロヴレンは対人に強いものの不用意にスペースを空ける場面が多く、またクラインが長期離脱となれば、アーノルドとモレノの両翼はリスクが高すぎます。
    ロバートソン、ゴメス、フラノがどれだけやれるかも未知数なので、今回のクロップ監督の発言は結局若手の伸び次第としか聞こえません。
    攻撃的な戦力としてはソランケやオリギ、グルイッチが控えでも十分できると思いますが、問題はアンカーより後、ヘンド、マティプ、クライン以外に安心して任せられる人材が乏しいのが最大の問題であるはずです。
    私はスタイルとしてクロップ、ヴェンゲルが好きなのですが、やはり適材適所の補強はしてほしい、でないと皆様の仰るとおり、マンチェスター勢とチェルシーには試合で勝てても順位で勝てません。
    殿、何卒ご再考を…、と直訴せざるおえない状態かと思います。
    ケイタ、オーバメヤン級FWはしょうがないです、ダイクだけでも…、お願いします。
    あと、コウチ問題は早く解決してください、心臓に悪すぎます。

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    今朝あの発言を知り驚きましたが、ここ最近チェルシーとファンダイクの話が再燃していましたしそういうことなのかと…。
    元々今夏のCBの補強はファンダイクが来るか誰も来ないかって話でしたし。
    ここ最近全く補強の噂がありませんが純粋に動いていないのか若しくはCLが確定しないと来てくれないような選手に動いているのか…。
    後者であることを願うばかりです。

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    そもそもお金はあるんですよね。ナビケイタは金の問題でなく断られ、ファンダイクはやらかした。他の候補のブラントやセセニョンもスタメンで確実に出れる現在のクラブに留まった。結局取りたかった選手はサラーしか取れなかったんでしょうね。
    ファンダイクのチェルシー行きがほぼ決まって半分ヤケクソになってるのではないかと思います笑笑 シーズン終了後に取る選手は決まって、あとは交渉だと言ってたので、その交渉がほぼ失敗したのでしょうね、残念。監督の魅力とお金だけあってもダメだと学習した今夏でしょう。肝心の交渉能力が新移籍担当グループにはほぼ皆無でした。

    —–
    リバプールの補強に関してはCL本戦に出れるのが確定できないとあとは動けないのでは?と思ってます。
    本戦出場が決まって残りの期間(わずかですが)で狙ってた選手に最終オファーを出すのではないかと・・・

  7. makoto より:

    nyonsukeさん>
    ファン・ダイクはまだ獲れるポジションにいますので、万力込めていきたいですよね。

    プレミアリーグ大好き!さん NA23さん>
    チェルシーがどこまで迫っているのかがわかりかねるので、今のところは引き続き期待!ということだと思ってました。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    他の補強はそうかもしれませんが、ファン・ダイクはチェルシーに負けないように動かないといけません。

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