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ユルゲン・クロップ2周年!「スカイ・スポーツ」がレッズを率いる名将の強みと課題を徹底分析!

ユルゲン・クロップ監督がプレミアリーグにやってきてから、この週末で2周年になります。ここまでは、うまくいっているといえるのでしょうか。イギリスメディア「スカイスポーツ」は、リヴァプールの指揮官について、「Jurgen Klopp at Liverpool: His first two years at Anfield assessed(リヴァプールのユルゲン・クロップ:アンフィールドにおける彼の最初の2年を評価)」という記事を掲載。プレミアリーグのさまざまなデータやジェイミー・キャラガーのコメントを紹介しながら、ドイツ人指揮官が挙げた成果と今後の課題を整理しています。

最初に目につくのが、プレミアリーグのTOP6との直接対決における強さです。「スカイスポーツ」は、疲れ知らずのオフ・ザ・ボール・プレッシングと激しいカウンターアタックは爽快であり、クロップの哲学がリヴァプールに欠けていたアイデンティティと方向性をもたらしたと評価。上位対決で9勝9分2敗という圧倒的な戦績は、同期間で2位のチェルシーの7勝7分7敗に勝ち点8差をつけていると伝えています。35ゴール22失点は圧巻のひとこと。5勝7分5敗のマンチェスター・ユナイテッドは17試合で13ゴールしか挙げておらず、3勝8分8敗で最下位のアーセナルは、27ゴールを決めながらも35失点を喫しています。

ジェイミー・キャラガーは、敵地エティハドで1-4で圧勝した2015年11月のマンチェスター・シティ戦の前半を、プレミアリーグにおけるクロップサッカーのベストパフォーマンスだと主張しています。クロップ監督が就任してから5試合めだったこの試合は、マンガラのオウンゴールの後、コウチーニョとフィルミーノが畳みかけてあっという間に0-3。4-2-3-1でポゼッションを重視するスタイルが主流だったリーグに、前で奪って速くゴールに迫るのが効果的なのだとアピールする最高の自己紹介でした。クロップ監督は、上位に対して3ゴール以上を9回も記録しており、ゲーゲン・プレッシングがフットボールの母国でもトップレベルにあることを証明しています。

2016-17シーズンのトータル78ゴールは、SASが猛威を振るった2013-14シーズンの101発には遠く及びませんが、プレミアリーグ創設以来、レッズにとって2番めに多いゴール数でした。ホジソン、ダルグリッシュ、ロジャースの3人が6年の間に1回しかチャンピオンズリーグ出場権に届かなかったなかで、フルシーズン働いた最初のシーズンで4位をゲットした指揮官の功績はリスペクトされるべきでしょう。ブレンダン・ロジャースの最後の14ヵ月が21勝11分14敗で勝率46.2%だったのに対して、ユルゲン・クロップは25勝13分7敗で56%。「スカイスポーツ」は、「これらのデータが彼らが正しい方向に進んでいることを示唆している」と高く評価しています。

一方、メディアが問題点として指摘しているのは、下位に対する勝率の低さです。1位トッテナムが71.4%、2位アーセナルが69.6%と10回に7回は勝利を飾っているのに対して、TOP6では最下位のレッズは52.7%。「相手が立ち向かってくれば、コンビネーションと速攻で叩くことができるのだが、ホームで小さなクラブを打ち負かすことができないのが彼らのアキレス腱だ」と語るのはガリー・ネビル。深く守るチームを崩そうとやっきになっても、無為なフィニッシュに終始してしまうのが課題です。「スカイスポーツ」は、9番の不在に着目しています。スアレスがいなくなった後のトップスコアラーを並べると、2014-15はジェラードの9ゴール、2015-16はフィルミーノが10ゴール、昨季は両サイドにいたコウチーニョとマネが13ゴール。クロップ監督のスカッドにオーバメヤンがいないのが、下位相手に苦しむ最大の理由なのかもしれません。

そしてもうひとつの問題は、守備力です。前線と中盤の補強に1億5000万ポンドを費やしたクロップ監督は、後ろには1780万ポンドしかかけておらず、就任以来のプレミアリーグ93失点はTOP6で最多です。2015年10月以降、クロップ監督のチームが喫した28発以上にセットピースからゴールを許しているのは、ワトフォード、ストーク、クリスタル・パレスの3クラブのみ。ゴールにつながる致命的なエラーが18回あり、彼らを上回るのはクリスタル・パレスとウェストハムだけです。

「スカイスポーツ」は、レッズの次なる課題を3つ挙げています。最優先は、次の週末のマンチェスター・ユナイテッド戦で勝ち点3をゲットすること。さらにマンチェスター・シティ(リーグカップ)とセヴィージャ(EL)に敗れたカップ戦ファイナルを次こそ制してクラブにトロフィーをもたらすこと。長期的には、前線の充実ぶりに対して弱い後方を補強すべく、ナビ・ケイタに加えて新たな戦力を獲得することです。おもしろいレポートでした。上位に対する数字を見せつけられると、来週のアンフィールドでマンチェスター・ユナイテッドは3~4発喰らうのではないかと戦々恐々です。

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“ユルゲン・クロップ2周年!「スカイ・スポーツ」がレッズを率いる名将の強みと課題を徹底分析!” への6件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    クロップのサッカーは見ていておもしろいですが今期のレッズを見ているとクロップが解任された年のドルトムントと被って見えます。

    守備の弱さとドン引かれされたときの相手を崩すアイデアの少なさを改善できなければ今季のレッズはCL圏内には入れないと思っています。

  2. プレミアリーグ大好き! より:

    リーグ戦においてのユナイテッドは、クロップ唯一の負け越しチームであることをお忘れなく…
    リバプールとしては上位陣にあれだけよい成績を出しながら4位に甘んじたことを、もっと真剣に受け止めるべきと思います
    上位チームのほとんどが完成度を高めている中、今までどおり上位に勝てる補償もありませんしね

  3. トーレス より:

    更新ご苦労です。
    心配しなくても撃ち合いにさえしなければ
    レッズか

  4. グッチ より:

    ハマれば強い、じゃリーグは取れないです。その問題をクロップが埋められるか、その時間や手段を経営陣やファンが与えられるか。このサッカーを前に進めることに未来を見出しているかどうかが全てです。
    引き出しの少ない監督だからこそピタリとハマるパーツを集めて徹底的に磨くべきだと私は思います。やっぱ爽快なので。

  5. Motsuki909 より:

    課題があるのは良い事ですが、やはり問題なのは同じ課題を突き付けられ続けているという事。厳しい言い方をすれば、進歩がない。あくまで課題に関しては、ですが。

    補強でどうにかなる部分も限度があります。これもずっと言われている事ですが、必要なのはプランB。攻めてくる相手に強いのはよく分かったので、バスを停めるチームへの施策を用意しなければ、プレミアは獲れないです。プランBが無いのなら、相手のスタンスに関わらず、攻撃で押し切れるチームとして極めていくしかないと思います。

  6. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    攻撃面の課題のほうは、ララナが戻ってくれば改善するのではないかと思います。守備は補強が必要ですね。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    昨季のアウェイでずっとビビりながら試合を見守っていたことを思い出します。勢いに乗せたらボコボコにされるのではないか、と…。

    トーレスさん>
    サラーやマネをハーフライン付近に押し込めるかどうかですね。

    グッチさん>
    9割方は望むタイプを獲得できているのではないか、強いCBが入るだけでも相当変わるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

    Motsuki909さん>
    プランBがないなら相手に引かせない、つまり序盤でショートカウンターを決めて逃げ切る展開に持ち込む回数を増やさないといけませんね。今季は、プレスがかからない時間が目立つのが気になっています。

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