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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

祝・3周年!リヴァプールを熱くするユルゲン・クロップの足跡と魅力。

「ファンタスティックなFK。とても素晴らしいサッカー」。21歳のウェールズ人、ハリー・ウィルソンは、将来は彼の下でプレイしたいと思っていた人物からのメッセージに熱狂しました。マンチェスター・ユナイテッドとぶつかったラムズ・カラバオカップ。ロングレンジのセットピースを直接決める活躍で、2-2のドローに持ち込み、PK戦を制した直後の思いもよらないインセンティブでした。発信者は、ユルゲン・クロップ。マインツで7年、ドルトムントで7年を過ごした後、プレミアリーグに参入したマネージャーが長くクラブに留まれるのは、多くの人がその人柄と言葉に心を動かされるからでしょう。「彼がマインツでパン屋を始めたら、他のパン屋は店じまいだ」「望めば大統領にもなれるだろう。人々をまとめて、幸せに導いてくれるはずだ」。母国ドイツのジャーナリストやファンは、諸手を挙げて彼のパーソナリティを称賛しています。

2018年10月7日、プレミアリーグ8節、リヴァプール0-0マンチェスター・シティ。今季の優勝クラブを占うシックスポインターの翌日は、リヴァプールの指揮官が就任3周年を迎える日でした。記念すべき節目に、クラブの公式サイトがさまざまな数字をピックアップして名将の足跡を紹介しています。公式戦166試合88勝。プレミアリーグ、欧州、国内カップの14940分で333ゴールは、45分で1ゴールを決めてきた計算になります。最初のゴールは、ヨーロッパリーグのルビン・カザン戦のエムレ・ジャン。プレミアリーグにおける総ポイントは219で、1試合平均1.92です。最も多くの試合に出場しているのは、142試合のロベルト・フィルミーノ。クロップサッカーになくてはならないアンタッチャブルなストライカーは、「彼が来てからすべてが変わった。素晴らしい監督。一緒に働けることを誇りに思う」と、ともに戦う指揮官に心酔しています。

クロップ監督を称賛しているのは、ドイツ人とフィルミーノだけではありません。多くの選手が、難しい状況に陥ったときに監督に助けられたと語っています。ジェイミー・キャラガーが、入団したばかりのファン・ダイクに「体重を減らすべき」というと、サラーとマネが仕掛けるカウンター並みのスピードで即反論。「キャラガ―こそ痩せるべきだ」というコメントには、コドモか⁉とツッコミを入れてしまいましたが、こういう姿勢が選手たちからの信頼につながっているのだと思います。

「僕らは友人だ。クロップが好きだ。ピッチの内外で助けてもらった。彼に感謝しているし、とても尊敬している」(モー・サラー)
「僕をハグして、リラックスさせてくれた。お互いの過去を語り合ったとき、僕の話に興味を示してくれたことに、とても助けられた」(アンディ・ロバートソン)
「われわれの関係はいつも良好だった。リヴァプールを退団するといったときも、幸運を祈ってくれた。契約の最終年度なのに、多くの試合で起用してくれた。そんなふうにする監督は多くない。彼は、僕がベストを尽くすのを見て、信頼をキープしてくれたんだ」(エムレ・ジャン)
「インテリジェンス溢れる男だ。レスター戦でミスをしたとき、彼は笑顔で冗談をいいながらロッカールームに入ってきた。最高の対応だったね。自分がやらかしたことはわかってたよ。彼は、自信をもって今のプレイを続けろといってくれたんだ」(アリソン・ベッカー)

常に「選手ファースト」の指揮官が、野次を飛ばすサポーターを叱りつけたり、必死で反撃する選手たちをサポートしてくれと煽るのは、アンフィールドの日常風景。リヴァプールは、3年がかりでプレミアリーグと欧州で頂点をめざせるクラブになりました。余談ですが、ニューカッスル戦で勝ったわが指揮官が、「Brexitの合意を得られなければ、それも私のせい」と久しぶりにモウリーニョ節を炸裂させておりましたが、こんな言葉を聞くと、対照的に明るいリヴァプールの指揮官を思い出し、「Brexitの合意を得られなければ、それも私のせい。合意が得られればクロップのおかげ」と付け加えてみたくなるのであります。最後に、私が最も好きな「クロップコレクション・2018スプリング」を紹介させていただきます。どうぞ。

「みんなでモー(・サラー)に対する過剰な注目を楽しんでるよ。チャンピオンズリーグのマンチェスター・シティ戦の試合前には『裸で練習しようぜ。みんなモーしか見てないから、誰も気づかないさ』といったんだ」

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“祝・3周年!リヴァプールを熱くするユルゲン・クロップの足跡と魅力。” への7件のフィードバック

  1. リバポファン より:

    裸で練習しようぜは最高ですね!大笑いしてしまった。
    監督である前に、男として優秀なんですね。
    才能豊かな選手が、優秀な監督を信頼し、一丸となってる、強いわけだよな。

    リバプール攻撃陣の復調は、我がアーセナルとの対戦の後からにしてほしいものです(笑)

    —–
    すいません!ハリーウィルソンは男性ですよー!
    ラムジーやベイルと一緒にウェールズ代表に選ばれてます!

  2. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ラファ以降長きにわたりレッズは苦しい時を過ごしていました。ロジャーズ時代が決して悪いわけではないのですが、クロップになってから一段毎にチームが積み上がっている感じがします。何よりも明るいですね。時には失敗もありますが、自然とついて行こうと思わせる監督です。

  3. makoto より:

    リバポファンさん>
    失礼しました!どこをどう読み違えたのか記憶が定かではないのですが、誤読してしまっていたようです。訂正させていただきました。ご指摘ありがとうございました。

    エミリーさん>
    ピンチをチャンスに変えるセンスがあり、器が大きいですね。エピソードを知れば知るほど、素晴らしい方だと思います。

  4. makoto より:

    Mackiさん>
    選手と個別に話す時間をしっかり取っているようですね。同じように、選手たちから「話す時間が多い」という声が挙がっているエメリ監督も、クラブに革命を起こすかもしれません。

  5. アイク より:

    今日も素晴らしい記事をありがとうございます。
    クロップ監督が香川のゴールに熱狂して脚を負傷した辺りから、その一挙手一投足に注目しています。
    ご紹介いただいたアリソンの話には感銘を受けました。
    彼がプレミアに来てくれて本当に良かったです。

  6. サンドバッグ より:

    私が集団チームの監督を評価する時に、最もバイアスを掛けて見るのは『その人を自分の上司にしたいかどうか?』なのですが。
    そんな偏見的な見方に於いて、現状ではクロップさんが私の世界いちぃぃーです。

    素晴らしいパーソナリティを感じさせる上に、自己への評価よりも遥か上にチーム自体の成長を大切にしているような、個を超えた器の大きさを感じさせる特異種かと思います。
    何だか、このご時世「俺が! 俺がぁぁー!!」ばかりを主張する利己主義に満ちたクソ悪臭に溢れておりますが、彼のような存在は一服の清涼剤を飲んだかのような、秋の木漏れ日すら思わせる清々しさを与えてくれます。

    あ、これはちょっと誉め過ぎか??

  7. 一介のグーナー より:

    数年前、「プレミアリーグ監督上司にしたいランキング」でモウリーニョが一位になっていたのを思い出しました。
    あの時から自分はクロップが一位になるべきだと思っていて、いま同じ調査をしたらクロップになるのではないでしょうか。
    彼はモチベーターとして素晴らしく、選手と一体となって戦える男だと思います。
    まぁ自分はデルボスケのような一日引いたところから選手を見守るおじいちゃんタイプもすきです。

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