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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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レジェンド解任は正解だった…アブラモヴィッチの慧眼がもたらしたチェルシーの快挙を振り返る。

フランク・ランパードが率いた前半戦はプレミアリーグ8勝5分6敗、33得点23失点で9位。カラバオカップは4回戦のトッテナムとのPK戦で敗れ、チャンピオンズリーグは4勝2分でグループステージを突破したものの、ロシアのクラスノダールに引き分ける凡庸な戦績でした。前年の大会でバイエルン・ミュンヘンに2試合トータル7-1と惨敗しており、楽観的なブルーズサポーターでもビッグイヤー獲得までは視野に入れていなかったはずです。

12節のエヴァートン戦から2勝1分4敗という不振に陥り、前半戦の最後のゲームとなるレスター戦を2-0で落としたところで、フランク・ランパードは解任。年末にパリ・サンジェルマンに切られたばかりだったトーマス・トゥヘルに、当初はさほど高い期待感があったわけではありませんでした。ウルヴスとの初戦はスコアレスドロー。バーンリーとのホームゲームを2-0で畳んでプレミアリーグ初勝利。新監督が持ち込んだ3-4-1-2が変革をもたらすかもしれないと注目度が高まったのは、トッテナムとのアウェイゲームを0-1で制してからでした。

後半戦のプレミアリーグは11勝5分3敗、25得点13失点。リュディガーとマルコス・アロンソの出場機会を増やしてクリーンシート11回という堅守を構築したものの、得点力不足という新たな悩みを抱えた5ヵ月でもありました。プレミアリーグ19試合のトップスコアラーは、PKを4つ決めたジョルジーニョと18試合4ゴールのメイソン・マウント。最終節のアストン・ヴィラ戦を落としながらも、レスターの敗戦に救われるというぎりぎりのTOP4フィニッシュでした。

ヴェルナー、カイ・ハヴェルツ、タミー・アブラハム、ツィエク、ハドソン=オドイ、ジルー、プリシッチという面々がなかなか決められず、苦しいシーズンでしたが、トゥヘルが築き上げた守備力はトーナメント戦で威力を発揮しました。FAカップではマンチェスター・シティの4冠の野望を打ち砕き、準優勝。前年の惨敗で遠き夢と化していたチャンピオンズリーグでも、アトレティコ・マドリード戦を2試合トータルで3-0、ポルトは2-1、レアル・マドリード相手に3-1と着実に勝ち上がりました。

ファイナルでマンチェスター・シティを1-0で下し、まさかのCL制覇。ペップ・グアルディオラに3連勝した指揮官は、ユルゲン・クロップとトゥヘルのみです。ノックアウトラウンド以降の7試合で2失点。ジルー、ツィエク、エメルソン、メイソン・マウント、プリシッチ、ヴェルナー、カイ・ハヴェルツがゴールを決めていますが、2発叩き込んだのはメイソン・マウントだけでした。CLで勝つためには守備が重要と考え、ルベン・ディアスを獲得して負けないチームを創ったペップは、自分たち以上に鉄壁のディフェンスを誇るチームに屈する結果となりました。

ランパードは13勝7分7敗、トゥヘルは21勝6分5敗。経営ボードもスポンサーもサポーターも、クラブのレジェンドがビッグタイトルを獲得するという夢を数年がかりで追うよりも、名将がもたらす就任初年度の欧州制覇のほうを取るでしょう。2年連続でプレミアリーグ8位のミケル・アルテタ続投がベストチョイスなのか。就任から2年半を無冠で過ごしているスールシャールに来季も任せていいのか。アーセナルとマンチェスター・ユナイテッドの経営ボードが、トゥヘルの快挙をどう捉えているのかが気になります。

直近の9シーズンで9人の指揮官を招聘して、チャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグ、プレミアリーグ、FAカップを2回ずつ制覇。ロマン・アブラモヴィッチとマリア・グラノフスカヤのドライな人事は、しばしば議論のテーマになりますが、彼らは既に「長期政権はあくまでも結果論であり、成果を挙げられない監督は早々に見切ったほうがトロフィーを増やせる」という答えを出しています。最適な後任を選ぶ目利きとビッグネームにイエスといわせる説得力・交渉力があればという但し書き付きではありますが。

18ヵ月の約束だったトーマス・トゥヘルは、チェルシーと長期契約を結ぶようです。今までの監督たちと同じように。


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“レジェンド解任は正解だった…アブラモヴィッチの慧眼がもたらしたチェルシーの快挙を振り返る。” への1件のコメント

  1. n より:

    国内では追う立場、欧州では追われる立場の来季、シーズン途中でトゥヘルが解任されることも充分あり得ます。その可能性を否定できないくらいチェルシーのサイクルは高速で、良いか悪いかは別としてファンとしては慣れて、受け入れてしまっています。結果としての長期政権、その為にはPLかCLでタイトルを取り続ける、、、ハードルが高すぎますね、、、

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