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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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挑発ファン・ハールVS若干弱気⁉のペジェグリーニ。ダービー直前、舌戦の真の勝者は…!

先ほど、マンチェスター・シティがクリスタル・パレスに敗れて4位に転落しましたが、それでも状況を見れば、プレミアリーグ2位の最有力候補はマンチェスター・シティです。アーセナルとマンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグ首位をひた走る「負けないチェルシー」との対戦を残しており、シーズン最終盤には直接対決が控えています。あくまでも「2位を確保するには」という前提ですが、来週のダービーで上位対決をすべて終えるマンチェスター・シティは、オールド・トラフォードではドローでOK。負けなければいいのです。いくら赤い2チームが好調とはいえ、チェルシーの連敗は考えにくいでしょう。普通に戦えば、勝たなければいけないマンチェスター・ユナイテッドにより強いプレッシャーがかかるところです。

おそらく、ファン・ハール監督はそれをわかっているのでしょう。この話は、クリスタル・パレスVSマンチェスター・シティが始まる前というのがミソです。マンチェスター・ユナイテッドの指揮官は、フライング気味にダービーキックオフの笛を高らかに鳴らしました。

「マンチェスター・シティはまだ今節を終えていない。ゆえに立場はまだ同等ではない。しかし、もし彼らが月曜日の試合(クリスタル・パレス戦)を落とすようなことがあれば、そのときお互いのポジションがはっきりする。マンチェスター・シティより上で着地するためには、相手に負けてもらわなければいけないが、われわれは彼らよりも優れている。次節の直接対決が決定的な試合になるだろう」

捨て身です。自身の発言にどんなツッコミを入れられてもびくともしないファン・ハールさんらしい挑発です。「われわれは彼らよりも優れている」。”声に出して読みたいプレミアリーグのコメント録”があれば、ちゃんと残しておきたい言葉です。サポーターとしては、心強さよりも動悸の激しさが先にきてしまいます。しかしこの発言は、自分たちの強さを主張したいわけではなく、ペジェグリーニさんの動揺を誘えればOKということでしょう。この勝手なキックオフに対して、時を同じくしたクリスタル・パレスとの試合前、ペジェグリーニさんのほうは微妙なコメントを残していました。

「ビッグクラブはビッグネームと契約しなければならない。毎年は難しいとしても、2年に一度は獲得することが必要だ」

もしかして、ここに来て苦しいのはビッグネームを獲れなかったからだとおっしゃってます?確かに、マンガラとフェルナンドは冬に取り損ねた選手のリトライ。ランパードやサニャはライバルクラブからこぼれてきた選手で、ボニーは1月。FFPペナルティがあった昨夏は、いわゆる大物は獲っていません。とはいえ、年末はあんなに強かったじゃないですか。年明けからのスランプが長期化しなければ、年始にはチェルシーと肩を並べていたマン・シティは、今もプレミアリーグ首位争いの真っただ中だったと思われますが…。

しかしこれは、あくまでも一般論だそうです。「私はマンチェスター・シティの話をしているわけではない。レアル・マドリード、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッド、バルセロナ、バイエルン。すべてのビッグクラブがそうしているように、ビッグネームを獲得するのは重要なことだ」

一般論だとしても、大事な試合前のトップの言葉としてはノイズですね。自クラブの選手をリスペクトしながら当日を迎えるモウリーニョ監督や、選手のコンディションを淡々と語った後、「チェルシーが停滞しなければ優勝はない」と、最近お決まりとなった「そりゃそうだとしかいえないアタリマエコメント」で締めるヴェンゲルさんのように、泰然としていればいいのにと思いました。これを聞いたマスコミは、当然、2位が危ない現状や監督解任説と紐づけて紹介します。おもしろおかしく取り上げられることはあっても、「なるほど。いい一般論ですね」とはなりません。今のクラブにはいい選手が足りないといっているように受け取れてしまう発言は、選手のモチベーションを下げることはあっても、チームが奮起することにはつながらないでしょう。

ましてやその後、「来季に向けた計画については話したくない。われわれはシーズンを戦い終えなければならないからだ。今は来季について話すべきときではない」とかぶせるなら、なおのこといわなければよかったですね。クリスタル・パレスの奮闘で思い通りの展開となり、いわば第1ラウンドを取った格好となったファン・ハール監督は、してやったりと思っているのではないでしょうか。とはいえ、監督、もうこのへんでやめておきましょう。あまりやり過ぎると、あなたの言葉で相手が団結してしまいます。よのなかでいちばん強い集団は、明確な共通の敵がいる集団ですから。

いま一度繰り返しますが、チーム状態を加味しなければ、プレミアリーグ2位の最有力候補はマンチェスター・シティです。彼らの敵はルーニーでもデ・ヘアでもなく、自分たち自身なのだと思われます。最近いいサッカーをするようになったマンチェスター・ユナイテッドといえども、ヤヤ・トゥレやダヴィド・シルヴァ、アグエロ、コンパニに90点のプレイをされたら、マンチェスター・シティに勝ち切れるイメージはまだありません。

さて、最後に、一連のトークに素晴らしいオチをつけた、真の勝者を紹介しましょう。さすがベテラン、35歳のピーター・クラウチ。「ビッグクラブにはビッグプレーヤーが必要」「イングランド人の選手がほしい」というペジェグリーニさんの言葉が報道されると、201センチの長身ストライカーはツイッターでひとこと、

「俺はストークで幸せだよ」

いやー、お見事。以前から「クラウチは、見た目も物腰もアンガールズの田中さんにどうも似ている」と思っていたのですが、そちらの才能も確かなようで、私の眼に狂いはなかったようです。これに対して「ジェコより上だ!」とすかさず切り返したサポーターも秀逸。この分野においてはイギリスは素晴らしく、地方のパブで飲んでいても周囲はビッグプレイヤー揃い。お笑いチャンピオンズリーグなら、欧州のライバルたちよりも上ではないかと思った次第であります。いいですね、クラウチ。

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“挑発ファン・ハールVS若干弱気⁉のペジェグリーニ。ダービー直前、舌戦の真の勝者は…!” への2件のフィードバック

  1. 熊サポ より:

    いつも更新お疲れ様です。
    ペジェグリーニさんとシティはどちらもすっかり自信を失ったように感じます。
    昨年の優勝チームですし、実際昨年はすごく強かったのですからもっと強気でいて欲しいです。

    あとペジェグリーニ監督は戦力が十分とは言えないマラガやビジャレアルであんなに良いサッカーをしていたんですからビッグネームがいないとか言い出すのはやめてほしい…

  2. makoto より:

    熊サポさん>
    バルセロナショックでしょうか。チャンピオンズリーグラウンド16の緒戦に負けてから、プレミアリーグで2勝3敗ですので。ビッグネーム云々などといわず、今のいいメンバーで立て直してほしいですね。

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