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ゲーゲン・プレッシングは機能するのか…クロップさんがリヴァプール監督就任間近⁉

イギリス紙「デイリー・テレグラフ」が、リヴァプールの新監督はドルトムントで指揮を執っていたユルゲン・クロップさんで決まりと伝えています。この報道が事実であれば、現在、クロップさんは3年契約の詳細を詰めるためにリヴァプールに足を運んでいることになり、今週末には正式発表となるわけですが、交渉は順調に進んでいるのでしょうか。ロジャース監督を日曜日に解任したのは、「整いました」という合図だったのかもしれません。

プレミアリーグでも欧州でも格下に勝てず、ゴール欠乏症に陥っていたチームではあるものの、ロジャース監督は毎年必ず中盤戦以降で調子を上げ、ここ2年は欧州へのチケットを確保していました。彼を切ると発表したということは、後任の目処が立ったと考えるのが自然です。契約は生ものなので、頓挫する可能性もなきにしもあらずですが、決まってくれればプレミアリーグはよりエキサイティングになるはずです。

現地のサポーターは既にその気になっており、「ロイス、オーバメヤン、フンメルスを連れてきてくれ」という過激な声まであるようです。ロジャース監督のチームが昨季終盤戦のプレミアリーグで失速し、ストークに6-1という屈辱的な敗戦を喫したときから監督の交代を主張していたサポーターも少なくありませんでした。ドルトムントでリーグ2連覇を達成し、チャンピオンズリーグのファイナリストとなった指揮官なら、彼らも文句なしでしょう。クラブのOBであるジェイミー・キャラガー氏も、クロップこそがリヴァプールの監督にふさわしいと賛成の意を示しています。「リヴァプールの次期監督に必要なのは、監督としての力量を世界に向かって証明したいという意欲だ」というのが彼の主張です。

「クロップは、ドルトムントで実現したことを、プレミアリーグでも成し遂げられると証明したがっていると思う。バイエルンを抑えてドイツでリーグを制覇し、ヨーロッパではレアル・マドリードのようなチームを抑えた実績をさらに積み上げたい、と。リバプールは、今でこそジャイアント・クラブではなくなっているが、しかし本来はそうあるべきクラブ。クロップにとっては、チャレンジする意欲が湧くようなクラブだと思う」(ジェイミー・キャラガー)

クラブとの共感性が高い、とおっしゃっているわけですね。納得です。何しろまだ48歳、監督歴はマインツとドルトムントを足して14年で、指導者としてはこれからの人物です。リヴァプールは、「プロジェクトとして魅力的なことが重要。ビッグクラブにはこだわらない」というご本人の言葉にはぴったりはまるはずです。非常に楽しみではあるのですが、「ゲーゲン・プレッシング」で名を馳せた監督は、あの走り回る戦術をプレミアリーグに持ち込むのでしょうか。

プレミアリーグしか観ないので、クロップ監督のサッカーはよく知らないという方のために、ゲーゲン・プレッシングについて簡単に紹介しましょう。思い切りかいつまむと、「ボールを速く前に運び」「敵陣で奪われたらすぐにプレスをかけて奪取しにいき」「奪った勢いで素早く攻める」「ということを延々繰り返す」戦術です。結論からいえば、国内カップが2つあり、ウインターブレイクがないプレミアリーグでは体力が持たない戦い方だと思われます。同じ水準の選手を25人揃えられればいいのですが、それはマンチェスター・シティでも難しいでしょう。今回の契約がまとまったとしても、時は10月、シーズンの最中では、全員に理解がないと機能しない壮大な戦術を浸透させる時間もありません。初年度は、部分的にエッセンスを導入するに終わり、2年め以降は「ヨーロッパとプレミアリーグ上位に対してはゲーゲン・プレッシングを使うが、それ以外の試合では引き気味に構えて速攻狙い」などとするのではないでしょうか。ゲーゲンという言葉は、英語でいえばカウンター。クロップ監督は、相手によってボールを奪いにいく位置の高低を変えつつ、カウンターを効かせたサッカーを展開するのではないかとみておりますが、いかがでしょうか。

すべては就任が決まってからのお話で、若干フライング気味ではありますが、とにもかくにもクロップさんの渡英を心待ちにしております。プレミアリーグに合う・合わないといった二元論で考えるより、「自らの持つ知見を、リヴァプールにどう活かすのか」「プレミアリーグで何を変え、何を熟成させていくのか」というように、クロップさん自身の変化に注目してリヴァプールの新しいサッカーを観るほうがおもしろいのではないかと思っております。楽しみです。報道によれば、あさってです。タブロイド紙の報道ではありますが。

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“ゲーゲン・プレッシングは機能するのか…クロップさんがリヴァプール監督就任間近⁉” への6件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    Tiwitterや各種メディアをチェックするとある種のお祭り騒ぎですね(笑)
    まあ私もその一人ですが、それだけ状況の打開を渇望しているのだと思います。が、仮にクロップが就任しても魔法の如く変わるわけでもありませんが、どこまで行けるのか楽しみでもあります。

  2. nyonsuke より:

    更新ご苦労様です。
    報道をみているとクロップでほぼ決まりそうですね。
    ロジャースを切ってしまった今クロップほどの大物でないとワクワクできません。
    もし招聘できればリバプールには間違いなく新しい風が吹くと思います。
    私は昨シーズンにクロップが辞任してから密かにリバプールにきてくれないかと夢想してましたがまさか具体化するとは思っていませんでした。
    たしかにゲーゲン・プレスをドルトムントのようにプレミアでフィットさせることは難しいと思いますが、クロップもドイツでしてきたことをそのままリバプールに持ち込むだけではないはずです。
    きっと新しい戦術をリバプールで披露する野心を抱いて渡英するでしょう。
    ここ数日はレッズにとって眠れない日が続きそうです。

  3. MUFC-7 より:

    私はむしろまったく違う戦術を見せてくれるのではないかと思います。彼にはユナイテッドにきてほしかったです。残念です。

  4. デリック より:

    クロップリバプールですかぁ、、、また手強いチームになりそうですね。
    私はヴェンゲルの後任にクロップかアンチェロッティが良かったので、これで片方潰れちゃいました笑

  5. シティズン より:

    いくらなんでも早すぎませんかね
    ドルトムントでどのチームにも同じ対策を打たれて降格争いまで低迷した上に最後まで明確な戦術変更もなく首を切られたような…
    プレミアではああいうチームが少ない上に大半の監督が戦術に乏しいので機能すれば通用するとは思いますが 機能するまでリバプールのフロントが我慢できるんでしょうか
    楽しみではあるんですけど

  6. makoto より:

    Mackiさん>
    いい監督ですし、長期的におまかせしたら結果を出してくれそうですが、今季は難しいかもしれませんね。

    nyonsukeさん>
    同じ意見です。ハーフラインの手前ぐらいで囲んで奪って速攻…などとイメトレしています。ちょっと早いですかね。

    MUFC-7さん>
    ポゼッション方面や、ひたすらサイド攻撃などという形になったらびっくりです。ちなみにクロップサッカーでは、後ろから前線にいいボールを入れられるCBやセントラルMFと、前でボールをキープできて守備がうまい選手が重宝されていたのですが、ブリント、ルーニー、キャリック、バスティがいるチームはぴったりなんですけどね…。

    デリックさん>
    アーセナルにクロップさんは、インヴィンシブルズの頃のようなスピーディーなサッカーをやれればおもしろいですね。

    シティズンさん>
    昨季のドルトムントは、あまりにもショッキングな低迷をしてしまいましたが、負傷者が多くて苦労していたところもあり、後半は巻き返してEL出場権という格好はついた、という認識でした。解任ではなく、クロップさんご本人から申し出たようです。リヴァプールは、我慢するでしょう。ロジャースさんは、成績が悪いから解任されたのではなく、長期的にみて改善は難しいと判断されたのだと思います。

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