イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ヒディンク新監督決定!…いや、交渉中。モウリーニョパニックでプレミアリーグは大騒ぎ!

全米が泣いた!いや、全世界を興奮の渦に巻き込んだ「スター・ウォーズ」の新作を、「全英が泣いた⁉」モウリーニョ解任が瞬間風速で上回ったようです。 スペイン紙「アス」が、Google検索の数字をレポート。今さらモウリーニョさんとは関係ない(これからは関係あるといえばありそうな)スペインからも、衝撃の大きさが伝えられています。こういうときは、うっかり八兵衛的フライングが跋扈するのも常で、「チェルシーの新監督はヒディンクで決定」というニュースが世界を駆け巡りました。

ひとりめの八兵衛は、2006年ワールドカップでベスト16入りとヒディンクさんにいい思いをさせてもらったオーストラリアサッカー協会。公式ツイッターが、「われわれの元監督がチェルシーで指揮を執ることになった。グッドラック、フース!」とやってしまい、その後やばいと思ったのか、削除、沈黙。ふたりめはPSV時代に監督と選手という関係だったマテヤ・ケジュマン氏で、この方はチェルシーOBでもあるだけに妙に信ぴょう性がありました。「クラブが発表したかどうかは知らないけど、フースからは聞いてるよ」というコメントは、どこまで信じていいのやら。「これでチェルシーは、チャンピオンズリーグの優勝候補のひとつだ」と続けた言葉を聞けば、疑ってかかったほうがよさそうです。

これらの報道の後、イギリス紙「テレグラフ」がヒディンク監督の言葉を伝えており、「コンタクトはあったが交渉中」というのが正しいようです。「できるだけ多くの情報を集めたい。チェルシーのひどい状況には理由がある。決断する前に考えたいんだ」「サンダーランド戦の采配は、コーチ陣が執るだろう。クラブとの話次第では、試合を観戦するかもしれない。それによって、さらに深い話をするためにロンドンに滞在するかを決める」。なるほど。わかりました。早くても、プレミアリーグ18節のワトフォード戦ということですね。逆にいえば、ボクシングデーからの1週間でプレミアリーグは3試合もあるので、クリスマスまでに決まっていないとまずいというスケジュールでもあります。チェルシーサポーターのみなさん、ヒディンクさんはいかがでしょうか。私は、現状を考えると適任なのではないかと思います。

モウリーニョさんに確執があったと伝えられた選手たちを率いるとなると、ゼロからというよりはマイナススタートというべきで、経験豊富な監督じゃないと務まらないでしょう。そしてもうひとつ、モウリーニョ監督とは違うタイプであることも重要で、攻撃的なサッカー信奉者であったり、柔軟性がありポジティブにマネジメントができるモチベーターがいいのではないかと思います。

ヒディンクさんは、これらの条件にぴったりでしょう。アヤックスのフランク・デ・ブール監督が、昨年こんなコメントを残しています。「サッカーの指導者としてはルイ(・ファン・ハール)から、マネージャーとしてはヒディンクから学んだ。ルイのほうがはるかに優秀な監督で、98年のワールドカップでオランダ代表を率いたヒディンクから戦術について指導された記憶はない。しかし私たちは、ヒディンクのためなら火の中も進んだ」。2008-09シーズンのプレミアリーグで、ヒディンク監督がフェリペ・スコラーリ解任後のチェルシーを率いたとき、アシスタントコーチを務めたレイ・ウィルキンス氏も、「彼は喜んで挑戦するだろう。事態を落ち着かせるには最高の人選だ」と語っています。

トルコとロシアで失敗し、オランダ代表をユーロに連れて行けなかった戦犯じゃないかと「過去の名将」扱いをされる方もいらっしゃるかもしれませんが、ギリシャでコケた後のラニエリ監督がレスターでどんな仕事をしているのかを思い出せば、直近の業績だけでネガティブに考えるべきではないと冷静になっていただけるのではないでしょうか。他に候補に挙がっているファンデ・ラモスさんは、トッテナム時代にカーリングカップ(現キャピタルワンカップ)を優勝したものの、プレミアリーグでは11位と今ひとつ。カペッロ監督の守備的なサッカーと勝利至上主義はモウリーニョさんとかぶり感があり、こちらも微妙です。ヒディンクさんは、前回のチェルシー監督就任時にFAカップで優勝しており、タイプ、実績とも申し分ないのではないかと思います。

いっそ、ヒディンクさんで攻撃的なサッカーにモデルチェンジ、というのはいかがでしょうか。昨年秋のチェルシーの強さは、欧州制覇に手が届く勢いだったのではないかと思います。シャフタル・ドネツクのアレックス・ティシェイラ、WBAのサイド・ベラヒーノあたりを獲って、攻めまくるサッカーをされたら、かなり怖いです。スペイン代表のセンターフォワードはともかく、くすぶっている10番は復活するのではないかと期待してしまいます。

チェルシーは、シーズン中に監督を解任したときはカップ戦の成績がよく、ヒディンクさんのFAカップに始まり、ビラス=ボアス解任後のディ・マッテオ監督はチャンピオンズリーグ制覇。そのディ・マッテオが翌年クラブを追われると、代わったベニテス「暫定監督」がヨーロッパリーグ優勝と、ことごとく成功しています。そういえば、前回のモウリーニョ解任の際も、アブラム・グラント監督が「前任者の遺産」と揶揄されながらもチャンピオンズリーグでマンチェスター・ユナイテッドとのファイナルを戦っています。

そうすると、今季はFAカップかチャンピオンズリーグを勝って、来季の欧州へのチケットを手に入れることになります。アブラモヴィッチさんが「これだから監督交代はやめられないぜ!」となってしまうと困りますが、「5月15日のプレミアリーグ最終戦で、既に優勝を決めていたレスター相手にジャイアントキリングを達成してプレミアリーグ残留に成功し、2週間後のチャンピオンズリーグで欧州制覇」といった前代未聞の離れ業を見てみたい気がします。…すみません。妄想が過ぎました。とってつけたようですが、新しいチェルシーに期待しつつ、この稿を締めたいと思います。(フース・ヒディンク 写真著作者/Новикова Юлия)

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“ヒディンク新監督決定!…いや、交渉中。モウリーニョパニックでプレミアリーグは大騒ぎ!” への3件のフィードバック

  1. chelさぽ より:

    最後はちょっと余計ではないですかね。アブラモビッチも監督解任を望んだ事は1度もなかった。そうせざるえなかった、とコメントも残していますし。
    モウリーニョも違約金の殆どを受け取らず、放棄するようです。両者にとって悲しい別れではあったと私は思います。

    後任のヒディンクについては私はあまり良く知りませんが、来夏からグアルディオラが就任する可能性は低いのではないかと思います。今のチェルシーを変えるには新しい選手が10人必要と発言したみたいですので、世代交代等の必要性は感じるものの現有戦力を大幅に変更するのは監督の手腕としてどうかと思います。
    アンチェロッティはバイエルンで決まりそうですし、私はやっぱりシメオネを推しますね。可能性は低そうですが。

  2. ペドロ より:

    chelさぽさん>
    すみません。悪ノリが過ぎました。アブラモヴィッチさんが、ぎりぎりまでモウリーニョ監督を残したがっていたのは理解しております。単なる不振、成績の悪化だけであれば、解任はなかったでしょうね。モウリーニョさんも、好きだったプレミアリーグに復帰させてくれたオーナーには恩義を感じているでしょう。

    —–
    ジョゼ解任のショックは前回よりはマシですが、やっぱり長年のチェルシーサポからすればキツイ出来事です。さて本題のヒディンクですが、管理人さんのおっしゃる通り現状今シーズンのみで考えるなら最適かと思います。前回もペップバルサとCLで互角の勝負出来ましたし。私の一番の衝撃はエッシェンをウイングの位置に配置してそれまで機能していなかったチェルシーの前プレを蘇らせた事を覚えてます。来夏ですが、正直ペップチェルシー見てみたい気持ちは有りますが、chelサポさん同様シメオネが一番しっくり来ます。2番手でコンテでしょうか。アンチェロッティが無さそうなのでこの3名以外なら個人的希望ですがロジャーシュミット式ゲーゲンプレスも見てみたいです。

  3. makoto より:

    ペドロさん>
    今日の試合で既に選手の気持ちがリフレッシュされている感があり、これからに期待が持てますね。シメオネさんはいいと思います。

chelさぽ へ返信するコメントをキャンセル