イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグに異変⁉「なぜ、今季は監督解任がゼロなのか?」を考察!

秋のインターナショナルマッチウィークは、プレミアリーグの監督にとって憂鬱な季節です。別名「sacking season」。降格ゾーンに転落したクラブが、新監督に準備する時間をあげられるこのタイミングを狙って、指揮官の解任を発表をするのを何度見てきたことか。昨季プレミアリーグでは、11月のブレイクまでに1/4のチームが監督交代に踏み切っています。就任から4戦4敗、ゴールセレブレーションを1度も見ずにクリスタル・パレスを追われたフランク・デブール。降格ゾーンにタッチした瞬間にシャッターが降りたのは、レスターのクレイグ・シェイクスピアとエヴァートンのロナルド・クーマン。解任の噂が絶えなかったスラヴェン・ビリッチは11月上旬にXデーを迎え、インターナショナルマッチウィークにはWBAのトニー・ピューリスが不振の責任を取らされました。

新監督として迎えられたマルコ・シウヴァ、フランク・デブール、マウリシオ・ぺジェグリーノが、全員1年持たなかった2017-18シーズンは、のべ13人の監督が解任されています。全日程を終了した後に解任となったデヴィッド・モイーズ、アントニオ・コンテとサム・アラダイス、22年の長い歴史にピリオドを打ったアーセン・ヴェンゲルまで入れれば17人。最も長く続いている監督はボーンマスで6年1ヵ月のエディ・ハウで、過去10シーズンで指揮官交代が10人未満だったのは2009-10シーズンのみというという激動激務です。ところが…。

2018-19シーズンは、12節を終えた時点で上位3チームが無敗、2勝以下が7チームもある格差社会が形成されています。いつもなら、4~5人のクビが飛んでもおかしくない状況ですが、任を解かれた指揮官はここまでゼロ!ジョゼ・モウリーニョを筆頭に、解任ゴシップの賑やかさは例年通りながら、実際にボタンを押したクラブはひとつもありません。「BBC」は、この珍現象(?)について、「Premier League: Is it unusual that no manager has been sacked yet?(プレミアリーグ:監督が未だ解任されていないのは普通じゃない?)」と題した記事を掲載しています。過去5年間で、最終順位が17位の「ぎりぎりセーフ」が挙げた1試合あたりの平均ポイントは0.94だったとのこと。14位ニューカッスル以下は全員アウトですが、このペースで最後までいけば、勝ち点25がボーダーラインという未曽有のシーズンになるそうです。

こんな記事を読むと、2つの疑問が浮かびます。「sack or stay、どちらがいいのか?」「今季はなぜ、どのクラブも動かないのか?」。前者は「BBC」が事例を紹介しているのですが、これがまたおもしろい!過去10年で、10月~11月に監督解任となった14のケースは「9勝4分1敗」。9つのクラブが順位を上げて降格を免れ、変わらなかったのは4クラブ。唯一順位を下げたのは、トニー・ピューリスをアラン・パーデューに代えて17位から最下位に落ちた昨季のWBAです。順位が変わらなかった4つのうち、3つまでが「最下位ステイ」で、残るひとつは「3位なのにディ・マッテオがクビを斬られ、ベニテスが後を継いだ2012-13シーズンのチェルシー」という特殊事例。最下位以外のクラブが秋に監督を代えれば8勝1敗で、「残留させた場合の結果は定かではないが、少なくとも劇薬は効果あり」という結論です。

解任がない理由については「BBC」の考察がないので、私の見立てを紹介させていただきます。「勝ち点4差のなかに7クラブというダンゴレースなので、どのクラブもまだいけると考えており、危機感が薄い」「現在の下位クラブは実績豊富なベテラン監督揃いで、残留・昇格の功労者が多い」。ラファエル・ベニテスはマグパイズのサポーターのヒーロー、バーンリーのショーン・ダイクはクラブをEL予選に導いたベストマネージャー。クリスタル・パレスのロイ・ホジソンはフランク・デブールの失敗をフォローしており、ハダースフィールドのデヴィッド・ワグナーはクラブからの信望が厚い監督です。

緊縮財政でろくに補強していないカーディフは、ニール・ワーノックを代えても大きく変わるとは思えず、最下位フラムのスラヴィシャ・ヨカノヴィッチはクラブ改革の功労者。セリ、モーソンなど11人の獲得に1億ポンド以上を投じたクラブは、チーム内の交通整理に時間が必要と腹をくくっているのではないでしょうか。最も危ういのは、監督に対する評価が厳しいセインツを17位に停滞させているマーク・ヒューズで、8戦連続勝利なしのチームを降格ゾーンに落とした瞬間、今季最初のブザーが鳴るのではないかと思われます。果たして、クリスマスまで全員持つのか?ブックメーカー「ウイリアム・ヒル」のオッズは、ヨカノヴィッチが1.50倍、マーク・ヒューズが3.25倍。マドリード行きの噂があったマウリシオ・ポチェッティーノが11倍で続いており、ジョゼ・モウリーニョは13倍、「シーズン中の解任なし」はユルゲン・クロップ解任と同率の101倍ですが…!

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“プレミアリーグに異変⁉「なぜ、今季は監督解任がゼロなのか?」を考察!” への3件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ヒューズは危ういですね、、、。今のセインツにはかつて相対する時の嫌な感じが全くなく、Big6からすると、むしろ勝ち点3が計算できるチームになってしまった感が満載です、、、。仮にヒューズアウトになったとしても、パーデューとピューリスなんて御免ですね、、、苦笑

  2. SP より:

    早速フラムの監督が解任されましたね。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    と思ったらヨカノビッチが解任されちゃいましたね。まぁこれは妥当な結果ですけど
    後任がラニエリとはこれまた楽しみ。チームのバランスを整えることが出来れば年明け以降にフラムの躍進もあるんじゃないかと密かに思っています。まぁあの守備陣を整備するのは大変でしょうけど
    しかも次節がヒューズのセインツとはなかなかにいやらしい日程ですね…笑

Macki へ返信するコメントをキャンセル