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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

信じる道は茨の道、極上のギャンブル…ミケル・アルテタのアーセナル指揮官就任は是か非か⁉

「BBC」のサイモン・ストーンさんが、「日曜日にエミレーツにおいてマン・シティが0-3で勝利した後、マネージングディレクターのヴィナイ・ヴェンカテシャム氏がアルテタの自宅の外で撮影された」と記しています。プレミアリーグ9位に沈むアーセナルは、ウナイ・エメリ前監督の後釜の候補をひとりに絞ったのでしょうか。ペップ・グアルディオラの下でコーチを務めるクラブOBを復帰させるというプランは、2020年の夏ならばテンションが上がるお話です。しかし…。

エメリの下で空中分解寸前となったチームは、トップがフレディ・リュングベリに代わっても厳しい戦いが続いています。プレミアリーグ4試合で1勝1分2敗。降格ゾーンにいるノリッジとのアウェイゲームは、常に先行される苦しい展開で2-2のドローに終わりました。ブライトン戦では、ホームにも関わらずシュート数で12対20と圧倒され、1-2の完敗。昨季プレミアリーグ王者との一戦では、ケヴィン・デブライネを抑えることができませんでした。本拠地エミレーツで6戦連続勝利なしは非常事態。課題山積のチームを早期に改善したければ、プレミアリーグで指揮を執った経験が豊富な人物を招聘するのが得策でしょう。

チェルシーで2度にわたって暫定監督の座に着いたフース・ヒディンクは、9月に中国オリンピック代表監督を解任されました。イギリスのラジオ放送「talkSPORT」に招かれたサム・アラダイスは、ガナーズの守備はすぐにでも改善できると豪語しています。「私がアーセナルに行けば、明日にでもディフェンスはよくなるね。問題ない。これまで、どのクラブでもやってきたことだ。ニューカッスル、ブラックバーン、ボルトン、ウェストハム、クリスタル・パレス、エヴァートン…すべてのクラブで」。どちらの監督も、グーナーにとっては抵抗感があるものと思われますが、これから半年に限れば、新人監督に託すよりも低リスクです。

ペップの哲学と戦術がインストールされたアルテタは、あまりにもぎこちないビルドアップの改善から着手するのではないでしょうか。広大なスペースが空いてしまう中盤の真ん中をケアさせるべきは誰なのか。ムスタフィやチャンバースがミスを連発する最終ラインは、誰をどう使うのが最適なのか。ビッグ・サムなら、後方に人数を割いてシュートコースを塞ぎ、オーバメヤン、ニコラ・ペペらのスピードを頼るシンプルなアタックを徹底させるでしょう。おそらくそれは、アルテタのドキュメントにはない戦い方です。37歳の若き指導者は、プレミアリーグを戦いながら、抜本的な改革を推進しなければなりません。

アルテタが妥協なき改革を断行すれば、解任ブーストが発動するか、勝ち点を落とし続けるかは丁半博打の世界です。後者の目が出たとき、エミレーツに集うグーナーたちは、もはや恒例行事となりつつあるブーイングを我慢できるでしょうか。クラブOBに長期的な成功を求めるという選択肢は、経営ボードやサポーターが腹を括るのとセット企画です。

1年前、マンチェスター・ユナイテッドにやってきたスールシャールは、「指揮官と選手の確執によって壊れかけたチームを短期的に立て直す暫定監督」という役割しか期待されておらず、火中の栗を拾ってくれたと好意的に受け止められました。これに対して、今回のアーセナルがOBを連れてくるとなれば、リュングベリがスールシャールの役割を全うできなかった後を受けて施される本筋の監督選びです。成功すれば英雄、しかし失敗すればオーバメヤンら主力がクラブを見限るかもしれません。「暫定監督を挟んで、長期的な強化を託す人物は夏に招聘する」としたほうがリスクは低いなかで、古巣の救世主となることを期待されるアルテタには相当なプレッシャーがのしかかってくるはずです。

経験豊富な監督に今季を預けて、夏にアルテタやナーゲルスマンなどの若い才能を招聘する…CL出場権を諦めるのはまだ早いガナーズのベストチョイスは、このプロセスだと思いますが、アルテタが難易度の高いプロジェクトを引き受けたら全力でリスペクトします。グーナーが最も喜び、納得し、プレミアリーグが最高に盛り上がるのは、彼が漢気を見せるというストーリーであることだけは絶対間違いないと信じられるからです。ペップは、気持ちよく送り出すと約束してくれています。ステージは目の前にあります。どうする、ミケル・アルテタ…⁉ 週末のプレミアリーグが、「イニシャルA」の2人の初陣対決となったら激アツです。

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“信じる道は茨の道、極上のギャンブル…ミケル・アルテタのアーセナル指揮官就任は是か非か⁉” への26件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    アーセナルがアルテタに拘るのはわりと謎。
    実績ないやん。それくらい迷走中なのかな

  2. ペップの街 より:

    ペップもアルテタの将来のアーセナル監督就任を予想し適任だと言ってますが、今のタイミングだと酷過ぎませんか?
    戦術やコーチングの能力は十分としても、モチベーターとしてはどうなのか。
    ランパードのようにステップを踏んだ方がいいと思うんですけどね。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    今季CL権獲得できて次のシーズンは他の監督に譲ってくれる有能で都合の良い監督なんていますかね?
    今季CL権獲得できるなら来季も任せるでしょう

  4. リバプール大好き! より:

    監督がアルテタになってCBの繋ぎが上手くなって失点が減るでしょうか?
    ペップが監督になってオタメンディの繋ぎが上手くなったでしょうか?ハートの足元は上手くなりましたか?
    繋ぎにこだわってより悲惨なことになりそう。
    サムアラダイスが1番相手チームからしたらイヤですね。

  5. だしまる より:

    私は、アルテタ大歓迎!。

    今季後半だけを考えれば、アラダイスでもいいかもしれません。
    ただし、アラダイスで、4位以内&EL優勝は現実的に難しいのではとないかと。

    7位前後の監督というイメージです。
    そうなれば、過去2年、CL出場を見越して作ったチームの維持は難しい。

    ならば、エメリ&CL出場というポジションは、潔く損切り。
    うまく立て直して5位や6位を得ても、オバやラカを売らざるを得なくなるでしょう。

    それなら、少しでも早く、新たな旅を始める方法を選びたいものです。
    アルテタが、すぐに立て直すような奇跡は期待しません。

    賛否両論あるでしょうけど、売れる選手は売却。若手中心に三年かけて、
    チーム立て直しをしてもらえればと思っています。

    ベンゲル監督のサンチェス&エジル
    オバメヤン&エジル&ラカゼット
    今年のぺぺ・ティアニー・ルイス達を分割払い

    アーセナルのギャンブルはハズレ続きで、もう、オケラ街道まっしぐら。
    最後の電車賃は、大事に使ってもらいたい!

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    アラダイス嫌だ→わかる
    だったらアルテタ→わからない

    何の実績もないしただのギャンブルで草。

  7. エミリー より:

    アラダイスの豪語は心地良いですね(笑)
    アラダイスかー、考えた事もなかったな。
    でも、今のアーセナルの守備崩壊っぷりを見くびんなよ!(ブラマヨ吉田っぽく)

    アルテタには来て欲しいけど、今のタイミングはあまりにも過酷だと思いますね。
    シティを円満退社してからでいいと思います。

    そして、アラダイスさんを信じて任せられるなら、やってもらいたいですね。
    なんかガラが悪そうな所も、今のアーセナルには必要なのかも。
    守備の安定と規律があれぱ、ポン!と強くなるものはあると思うんですよね。
    強くっつっても、トップ4とかじゃないですが(笑)
    去年レベルに戻るとこから始めましょ。

  8. プレミアリーグ大好き! より:

    改善すべき事項
    ①強欲オーナー
    ②すぐやめるクラブ幹部
    ③未来が期待できる優秀な監督の招聘
    ④キャプテン
    ⑤センターバック
    ⑥二十年以上もクラブを支えたヴェンゲルを追い出したサポーター
    (他から見たらヴェンゲルの長期政権が羨ましいと思っていた)

    これだけ実績を残したクラブで、OBで優秀な監督候補が、実質エバートンレジェンドのアルテタ一人なのかな?アルテタにしても、ペップがコーチにしているぐらいだから、優秀に違いない!というような安易な発想では?監督したくてたまらなかった、アンリはどこ行った?

    —–
    アルテタはシティでアーセナル戦、リヨン戦で実質的な指揮を取った経験があり、その他のエピソードを探っても戦術は言わずもがなモチベーターとしても問題はなさそうです。
    ただ果たして選手とサポーターからリスペクトと忍耐を引き出せるか…そればかりが心配ですね

  9. プレミアリーグ大好き! より:

    >他から見たらヴェンゲルの長期政権が羨ましいと思っていた

    さっそく美化している人も多く見かけますが、最後のシーズンは13敗、対ビッグ6に限れば1勝3分6敗ですから、さすがにあれはやめどきだったでしょう。
    今季エメリのままならそれ以下だった可能性もあったわけですが…。
    当時の選択肢として悪くなかったように思いますが、プレミア経験がなく、カリスマ性が最大の長所のヴェンゲルとは正反対でエメリにカリスマ性が最も欠けていたというのは、失敗要因だったかなと。

    アンチェロッティは混乱をうまく整理して収められるこれ以上にないベストな選択肢だったように思いますが、もしエジルにでも気を使って見送ったなら末期ですね。

  10. グナザウ より:

    正直今シーズンの結果は諦めています。なのでオーバやラカ、エジル辺りは出ていくのもやむなしと思ってます。トレイラ、ゲンドゥージはまだ若いのでいて欲しいですが。新たなアーセナルをきちんと作っていくためにアルテタに期待したいです。

  11. ガナユ より:

    エバートンがアンチェロッティ取りに行くなら本気でビッグ6を崩しに行ってますね

    アンチェロッティ、、、最適やと思いましたけどアーセナルの経営陣は腰が重たいですねら

  12. セオ より:

    アルテタ監督でアラダイスをコーチで呼んだらいいんじゃないですかね。
    今いる選手も勝てるチームになれば残るだろうし勝てなければいろいろあるのはどこも一緒だと思います。
    建て直しだけのために半年だけ監督させるってのもありなのかもしれませんが、そっちの方(残留請負人みたいな監督)が選手もなえるのではないかと。
    そもそも出ていくかもしれないとか言ってる場合じゃないし、出ていくかもとゆう選手だって責任が少なからずあるのに自分のために出るのならそこはビジネスと割りきってレアルあたりに売って新監督の好みのDF資金にしてほしいですね。
    アルテタが来てくれたとして、すぐに結果が出るなんて誰も思ってなくて、それでもアーセナルのためならって思える選手たちを引き連れて前を向いてタタカッてくれるならおれたちはついていくだけです。

  13. プレミアリーグ大好き! より:

    監督未経験のアルテタの下に入ってコーチをさせるってのは、いくらなんでも齢65のアラダイスに失礼でしょうし、受けてくれるわけもないかと思いますが。

  14. プレミアリーグ大好き! より:

    いまだにCL圏云々言っているのは笑えますね。
    もはやそういうチーム状態ではないんですよ。
    サポーターは自覚を持たないといけませんよ。
    来シーズン以降に結果を出せるような監督でなくてはならない。
    今シーズンは自分たちを見つめ直す時です。

  15. ひとっちゃん より:

    誰が指揮官になろうと、あのCB4枚のうち誰かは使わざるを得ないのが悲しすぎます。
    だから、今シーズン後半は選手の見極めとチームの再構築に当て、結果は目を瞑るしかないかな、と。

    正直、誰が来てもギャンブルだから、結果は寝て待つしかないですね。

  16. プレミアリーグ大好き! より:

    いつも楽しく読ませて頂いております。
    今回はアルテタの監督就任には賛成です。
    ただ、私が一番懸念している事は選手との関係性よりもファンの対応だと感じてます。
    ベンガルの晩年もそうでしたが試合がまだ終わってもないのに足早にスタジアムを去るサポーターの態度に私は不快に感じています。
    クラブの経営陣や選手の批判をする前にまずサポート自身の考えを改めないといけないと感じています。
    サポートの態度が変わらない限りチーム決していい方向には進まないと思います。

  17. プレミアリーグ大好き! より:

    アッレグリに大金払って来てもらえば良かったのにな。

  18. プレミアリーグ大好き! より:

    アッレグリはまだ英語を少々苦手としてるのでいくら積まれたところで来たがるわけがないんですよね。アーセナルFCの監督をやる人間は何をおいてもまず全く訛りのない完璧な英語を話さなければなりません。プレミアリーグの常識です。

  19. プレミアリーグ大好き! より:

    足早に帰るサポーターに不快を感じるのですか!?高い金払って現地まで行って楽しいひと時を過ごそうと思ってた人がひどいサッカー見せられたあげく、満員電車なかなか帰れないとなるとしょうがないと思います、、、もちろん過度なブーイングをする人は別と考えていますが。

  20. プレミアリーグ大好き! より:

    正直この状態でCLに入ってアルテタを招聘したところで、チーム再建とCL権の2つのタスクが生まれてエメリの二の舞だと思います。フロントに中長期計画があれば、アルテタの招聘は賛成です。監督リストを見る限り、1番そこが疑わしいのですが。ポジティブグーナーからすると未経験で未知数であろうと、ヴェンゲルも最初は周囲からそう思われていたのですからワクワクしか無いです。

  21. ペップの街 より:

    なんか、本当にアルテタ監督で決まりそうですね。
    火中の栗をひろうが如くの状況、サポーターは結果を求め、負けが続けば強烈に批判するでしょう。
    それでもミケルが就任するのは?やはりアーセナルという大看板の監督をする機会なんて滅多にない、オファーに躊躇してる間に他の候補者が引き受けて、成功して長期政権を築きあげたら・・・アルテタが決断するなら彼の成功を願うだけです。

  22. プレミアリーグ大好き! より:

    リュングベリの暫定指揮に期待した結果、まったく解任ブーストが起こらない状況なのに同じく新米のアルテタに期待するのは無理でしょう。
    アルテタがいくらペップの下で学んでいたとはいえ、経験がなさすぎる劣化ペップにしかなれないと思いますね。
    ウルブスやレスターが年々実力を上げている一方でガナーズが今年もCL出場権を取れなければまた一歩中堅クラブに近づいてしまうはずです。

  23. davinci より:

    リュングベリは暫定のためコーチ陣も臨時の状態で結果を出せというのは酷でしょう。
    彼は役割を全うしただけ。
    こんな状況で来てくれるアルテタには感謝しかありません。
    移籍したい選手はすればいい。残った選手とチームを応援するだけ。

  24. アン より:

    安い。
    ただそれだけだと思います。
    アルテタが悪いわけではないですけど、この状況でこの選択は理解できないですね。

  25. davinci より:

    リュングベリは暫定のためコーチ陣も臨時の状態で結果を出せというのは酷でしょう。
    彼は役割を全うしただけ。
    こんな状況で来てくれるアルテタには感謝しかありません。
    移籍したい選手はすればいい。残った選手とチームを応援するだけ。

  26. ガナユ より:

    アルテタ賛成派ですね

    アルテタがもしペップの元で学んだことを実践するとなるとCBの繋ぐ能力が絶望過ぎて上手くいかない気はしますね。ペップもディフェンス陣コンパニ以外ほぼ全員変えましたし。

    ただ今いる選手に合わせてバランス取る器用を持ち合わせているならディフェンスから中盤にかけてのビルドアップは改善されるかもしれませんね。ていうか改善してもらわないと困ります。

    ペップの元で学んだ事を実践に落とし込めるなら、アーセナルのパスを回すというチームカラーを取り戻してくれる良い人選だと思います。

    あとは経営陣とファンの忍耐次第かなと

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