偏愛的プレミアリーグ見聞録

「ペップ・グアルディオラの情熱と聡明なアプローチが、フットボールの構造とクラブの文化に織り込まれており、われわれのクオリティを証明している。その影響は、彼の在職期間中におけるわれわれの成功の中心である。フィールドの内外で達成すべきことがまだまだ数多く存在するという見解を共有していることをうれしく感じている」
「ペップの契約延長は、長年にわたって進化させてきた旅における自然なネクストステップだ。彼とクラブの間に存在する相互の信頼と尊敬の産物でもある。それは、われわれのサッカー事業の安定と創造にもつながる」（カルドゥーン・アル・ムバラク会長）

「マンチェスター・シティに到着してから、選手、スタッフ、サポーター、街の人々、チェアマンとオーナーからとても歓迎されている。われわれはともに多くのことを達成した。ゴールを決め、ゲームやトロフィーを獲得した。みんな、その成功を誇りに思っている。これは、マネージャーが受けることができる最高のサポートだ。私は、自分の仕事をうまくやり遂げるために必要なすべてをもらった。そしてオーナー、会長、フェラン（・ソリアーノ）とチキ（・ベギリスタイン）が、さらに2年続けるために示してくれた信頼を謙虚に受け止めている」（ペップ・グアルディオラ）

今季限りでマンチェスターを離れるという噂もあったペップ・グアルディオラが、2023年までの2年契約を締結しました。2016年7月の就任以来、公式戦245試合181勝で勝率73.9％、プレミアリーグ159試合116勝は73.0%。バルセロナで4シーズン、バイエルンで3シーズンにわたって指揮を執ったスペイン人指揮官にとって、5年を超える長期政権は初のチャレンジです。7年めのシーズンを終えると、マンチェスター・シティにおいては1950年から1963年まで13シーズンを過ごしたレス・マクドウェルに続く史上2位となります。

2017-18シーズンよりプレミアリーグを連覇し、FAカップ1回、カラバオカップ3回、コミュニティシールド2回を制した名将の最大のミッションは、クラブの悲願であるチャンピオンズリーグ制覇でしょう。就任初年度の2016-17シーズンは、ラウンド16でモナコに敗れ、プレミアリーグで圧倒的な強さを見せた2シーズンは、リヴァプールとトッテナムにベスト4進出を阻まれています。昨季はオリンピック・リヨンに足を取られて、3年連続の8強止まり。バルセロナ時代に2度の欧州戴冠を果たしてから、10年もビッグタイトルから遠ざかっています。

ペップ契約延長の報を聞いて、最初に思い出したのは、7月のスポーツ仲介裁判所（CAS）の裁定でした。FFP違反を咎められ、2年間のCL出場処分を受けたマン・シティが「逆転勝訴」に至らなければ、指揮官だけでなくケヴィン・デブライネら何人かの主力が新天地に旅立っていたのではないでしょうか。CL出場権を得ることができたため、ペップもエースもクラブに留まり、次の夏にはリオネル・メッシが合流するかもしれません。彼らにとって、証拠不十分とされたあのジャッジは、クラブの運命を変えるビッグイベントでした。

プレミアリーグ2020-21シーズンは3勝3分1敗と、ペップらしくない数字に留まっていますが、アグエロ、フェルナンジーニョ、バンジャマン・メンディらのケガが癒えれば、例年の強さを取り戻すのではないかと思われます。シティズンのみなさん、史上最高のマネージャーの残留決定、おめでとうございます！