イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ファン・ハール続投か、解任か?マンチェスター・ユナイテッドのジャッジに必要な5つの視点

9月30日、チャンピオンズリーググループステージ第2節、VSヴォルフスブルク、前半34分ファン・マタ。オールド・トラフォードにおけるハーフタイムのスコアボードに0以外の数字が掲示されていたのは、4ヵ月前のこの試合が最後です。ホームでは、11試合連続で前半のゴールなし。プレミアリーグ23試合でわずか28ゴールという貧攻は、改善する兆しがありません。それでも開幕からの貯金があったために、プレミアリーグ5位に留まってはいるものの、直近10試合は2勝4分4敗と負け越し。この間は、1試合1ゴールにも満たない9ゴールです。課題明確、しかし打つ手なし。これではさすがに、ファン・ハール監督を擁護する声は挙がらないでしょう。

負傷者が多く、年明けはSBの人選に苦しんでいるのは確かですが、12月にはフィル・ジョーンズ、アシュリー・ヤングを両サイドに置いて戦えていたわけで、ルーニー、マルシアル、デパイ、マタ、エレーラ、フェライニといった前の選手はいずれも健在。ルーク・ショー、ロホらを欠いた守備が崩壊したならまだしも、得点力不足が招いた屈辱の4連敗を許容する理由にはなりません。スタリッジやコウチーニョという攻撃の要を失い、さらにCBが全滅と、より厳しい状況に追い込まれたクロップ監督のチームは、直近のプレミアリーグ10試合を4勝2分4敗のイーブンで切り抜けており、キャピタルワンカップでは準決勝に歩を進めています。片や、もうひとつの赤いチームは、10試合のうち上位との対決はレスター戦のみにも関わらずたった2勝、勝ったひとつは枠内シュートが決勝ゴールしかなかったリヴァプール戦という状態は、どこからどう見ても重症です。

こうなると、タブロイド紙は黙っていません。悪名高き「ザ・サン」は、ファン・ハール監督がウッドワードCEOに弱音を吐いたと報じています。「ファンは、私に大きな期待を抱いている。あるいは、抱いていたかもしれない。しかし、私が彼らの要求を満たすことはできない。そのことに失望している」。続いて「デイリー・メール」も、ウッドワードCEOが選手たちに聞き取り調査を行い、彼らが指揮官の意向に応えられなくなっていることをキャッチアップしたという怪しい情報を掲載しておりました。いずれも真偽のほどはわかりませんが、勝てなくなったチームの選手が監督のやり方に疑問を持ち始め、その指示とは異なる動き方をするというのはよくある話。「確執」「衝突」というほどのネガティブな状況がなくても、「自分たちが何とかしなきゃ」と前向きに思い詰めて、約束ごととは違うプレイに走ってしまうこともあります。3バックが自発的にオフサイドトラップを捨ててラインを下げた、2002年のトルシェ・ジャパンを思い出します。

マンチェスター・ユナイテッドが沈んだ最大の理由は、ファン・ハール監督の忍耐力のなさだと見ています。ルーニーが不振をかこつなか、攻撃陣では最もクオリティの高いマタを中心から動かさず、デパイを我慢して使ってプレミアリーグに慣れさせていれば、今のような深刻な状況に陥ることはなかったのではないかと思います。デパイを獲得し、8月のプレイをチェックして「いける」と判断したからファン・ペルシを出し、マルシアルの才能をみてチチャリートに使う機会なしというハンコを捺したのではなかったのでしょうか。「不満がある者は追わず」でチームをソリッドにしすぎると、スランプに陥った際に選択肢を失いバーンアウトすることもあると今季のモウリーニョ監督が示しており、選手を簡単に手離さずに活きる場所を見出してあげれば蘇生するということは、デンベレのポチェッティーノ監督と、ジョエル・キャンベルでエミレーツを沸かせたヴェンゲル監督が教えてくれています。選手を出し過ぎ、アザールやマタという軸となる選手に持てる力を発揮させられなかった…ファン・ハール監督は、スペインでともに働いた後輩の指揮官と同じ道を歩いているようにみえます。

チャンピオンズリーグからの敗退が決まったアウェイのヴォルフスブルク戦で、グループリーグ突破まで2ゴールが必要だった指揮官が、直前にイージーなパスミスを2回重ねたマタをニック・パウエルに代えるという暴挙に出たのが、チームを迷わせるトリガーとなったのではないでしょうか。当のマタと、ベンチにいたアシュリー・ヤングは「なぜ…」と呆然としたことでしょう。そこから始まった、プレミアリーグ3連敗。年末年始以降は、昨季はよく当たっていた選手交代やフォーメーション変更にも冴えがなくなりました。もし、ファンハール監督が、課題を改善できず、未来を提示できず、選手の信頼も得られず、冷静な采配ができずと解任指揮官のフォーカードを揃えてしまったのだとすれば、私がクラブに望むのはこの1点です。「現状を改善できると思われる最適な後任候補をピックアップしておいてください」。解任すべきか否かを検討するのは、後釜を並べてからのお話でしょう。プレミアリーグ4位まで勝ち点5差なら、まだ間に合います。カードが5枚になれば、ゴーです。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“ファン・ハール続投か、解任か?マンチェスター・ユナイテッドのジャッジに必要な5つの視点” への8件のフィードバック

  1. queen より:

    監督の話とは少しずれますが、ルーニーの調子もユナイテッドの成否にかかわっていると思います。
    私の感覚では、ルーニーは「良き相棒がいると、互いに輝ける選手」という感じです。ロナウドやペルシのような相棒がいたころはとてもやりやすそうでしたが、彼一人にエールの重責がかかると苦労するみたいです。ですので、彼の相棒を見つけることが一つの解決策になるかな、と。
    おもえば、ラウールも似ていたと思います。彼もグティ、モリエンテスやブラジルのロナウドとコンビを組んだらすごく良かったですよね。
    自分で輝いてやるぞ!という選手が多いトップクラブですが、ルーニーのように活かし、活かされる選手を(補強も含め)上手く使えれば、RVGのチームも改善されると思うのですが。

  2. nyonsuke より:

    更新おつかれさまです。

    レッズサポですが、レッズと同様にマン・ユナイテッドが強くなくてはプレミアはおもしろくありません。
    レッズはクロップ監督就任に目処がついたからこそのロジャース前監督の解任でした。
    もしクロップ監督招聘に失敗していたらロジャース監督解任はなかったでしょう。
    だからこそ、現在レッズは成績が振るわずとも前を向くことができているのだと思います。
    ユナイテッドも後任人事ありきでなければファン・ハール監督の解任は危険だと思います。
    今度こそ、御大ファーガソンに代わるマンチェスター・ユナイテッドの象徴となりうる監督を招聘しなければ、レッズのように暗黒時代に突入してしまうかもしれません。
    レアルのように英雄ギグスが一番就任しやすく今季は乗り切れるかもしれませんが、暫定では本人もファンももう納得できず、さらに火種が増える可能性があると思います。
    実績ある監督を招聘する場合は、時間をかけて人事を行い、その間はファン・ハールに託すべきかと思います。
    仰るとおり、成績は悪くはありません。
    チェルシーのように老将に建て直しを依頼するか、レッズのように未来へ向けた人事を行うか、ユナイテッドは重要な分岐点にあるような気がします。

    ちなみに、実績ある監督の就任だとして現在の報道ではモウかベップが有力かとされていますが、管理人様はどなたがご希望ですか?
    現実的にではなく、完全なる願望としてマン・ユナイテッドにふさわしい監督はどなたなのでしょうか。

  3. より:

    ブランでいいでしょ

  4. Uボマー より:

    上のほうに書いている方もいるようにパリのブランはあり、じゃないですかね。ユナイテッドのOBだし。

    それはともかくモイーズを解任した時点でファーガソンの目論見は崩れたのですから、経営陣は計画を練り直すべきじゃないでしょうか。ファンハールは周囲からも繋ぎの監督と目されていたわけで、本来後任がある程度決まっていなければおかしいはず。ギグスをいずれ監督に据えるにしても通年でトップチームでの監督経験は必要でしょう。現在の成績はファンハールに責任がありますが、長期的なチーム強化は経営陣が責任を持つべきです。ファンハール就任当初からどうも場当たり的な対応をしているようにしか思えないのですが…。

  5. K より:

    個人的にはモイーズ政権の混乱下でルーニーの長期の高額契約が行われ、売ることが出来なくなったルーニーを中心にせざるを得ないチーム=2トップでポストプレーもゴールも決められるストライカー頼みのファーガソンサッカーに対して堅い守りと前線のスピードを活かしたカウンターサッカーが得意なLVGとの適正ミスマッチが1番大きいんではないかと思います。守備は1年で劇的に改善しましたけど、LVGの攻撃の形は王者であるマンチェスターユナイテッドのサッカーには合わないと思います。LVGを呼んだフロントの失敗のような…

    誰がやってもそれなりにしか出来ない戦力で勝ててしまっていた偉大なる巨匠と比べられるユナイテッドの監督を務められる人間っているんですかね。今のメンバーでは申し訳ないですがトップ4が精一杯だと思うんですが…ルーニーのパートナーとしてレヴァンドフスキまたはスアレス+ベイルかディ・マリアのようなスーパーなサイドの選手を買ってもらえないと、とてもとても世界からの期待を実現させられない、と私なら断ってしまいますねぇ。スペシャルワンは凄いなぁって思わされました。報道が事実なら、ですけど

  6. makoto より:

    queenさん>
    ルーニー自身に迷いがあるようにみえます。おっしゃるような相棒の問題なのか、チームの戦い方の問題なのかは定かではありませんが、マルシアルとの連携がいいとはいえないのは確かですね。

    nyonsukeさん>
    おっしゃるとおり、後任を明確にしてジャッジしてもらえればと思います。私の希望は、ペップです。マンチェスター・ユナイテッドは攻撃的であってほしいということと、サー・アレックスが香川真司を獲得して新しいサッカーを導入しようとしたその先には、モウリーニョさんではなくペップのサッカーがあったように思えるので。明るい監督がいいですね。今のムードはむむむですので。そういう意味では、リヴァプールにいっちゃった方は魅力的だったんですけどね…。

    あ さん>
    パリから今、ですか?

    Uボマーさん>
    ファーガソンの後釜問題より、ギル問題のほうが大きそうですね。おっしゃるとおり、ギグスに監督経験が必要であれば、ファン・ハールの下につけずに一度クラブを離れてもらったほうがよかったのではないかと思いますし、モウリーニョやペップにいくならギグスはどうするの?となります。ブランに関しては、「OBだから」という理由なら微妙です。1シーズンですしね…。

    Kさん>
    ゴールを積み上げることだけでいえばスーパーではなくなったルーニーに、将来的な投資のマルシアルと、ややギャンブルだったデパイだけでは確かに厳しいですね(マタはいいとして)。Kさん同様の認識がクラブにもあり、ちょいちょいアクションを起こしている(オファーではないにしても)ので、移籍市場が開くたびにクリスティアーノやベイルの名前が出るのだと推測しています。

  7. nyonsuke より:

    管理人様>
    ベップ、いいですね!
    密かに私もベップがいいと思っていました。
    リバプールとマン・ユナイテッドでクロップ対ベップは、とても夢があります。
    ぜひみたいですね!(シティファンの方すいません)
    ベップが招聘できればオールド・トラフォードの閉塞感は霧散すると思いますが、現実的には難しい問題も多々あると思います。
    政権交代となるなら、どなたになっても明るくスマートな形でできるといいですね。
    ちょっとテンションあがって返信してしまいました。失礼しました。

  8. makoto より:

    nyonsukeさん>
    そうなんです。攻撃的なサッカーがみたいんですよね。

へ返信するコメントをキャンセル