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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

2台めのバスは発車するのか!? コンテVSモウリーニョ、早くも訪れたサバイバルマッチの展望

リヴァプールにダブル、マンチェスター・ダービーは1勝1分と勝ち越し、アーセナルとトッテナムのノースロンドン勢には1勝1敗、レスターとチェルシーに2分。プレミアリーグ2015-16シーズン、ファン・ハール監督率いるマンチェスター・ユナイテッドは、上位と互角以上の戦績を残しています。このチームが最終的にチャンピオンズリーグ出場権に届かないプレミアリーグ5位に終わったのは、秋以降に顕著になった得点力不足から、下位に取りこぼしすぎたためでした。一時は首位だったチームは、ボーンマス、ノリッジ、ストークと3連敗を喫し、6戦連続で勝利がなかった年末に優勝争いから脱落。後半戦は3連勝すらなかった不安定なチームは、その後一度も3位にも上がれないまま、上位にまったく勝てなかったマンチェスター・シティの後塵を拝しました。

さて、今季はモウリーニョ監督です。ここまでのプレミアリーグ8試合を4勝2分2敗。8節のリヴァプール戦は、ポゼッション35%と引いて戦い、0-0のスコアレスドローでアウェイゲームを切り抜けました。この試合については、「バスどころか、ゴール前にトラックを止めた」と守備的な戦術を嘆く声と、「してやったり」「アウェイ戦でプラン通りに勝ち点1を持ち帰った」と評価する意見があり、まさに賛否両論。私は、「全体として守備的な戦術自体はOK、ただしゴールを奪いにいかなかった消極的すぎる戦い方にはがっかり」でした。7節までクリーンシートが1回もなかったレッズ守備陣は、合流して間もないGKロリス・カリウスがCBとの連携に不安があり、イブラヒモヴィッチとフェライニにハイボールを集められるのは相当嫌だったはずです。10分でも意志をもってアタックする時間がほしかったゲームではありましたが、過去ばかり見ていても仕方がありません。日曜日には、スタンフォード・ブリッジに乗り込んでチェルシーと戦うサバイバルゲームが待ち受けています。イブラヒモヴィッチ、フェライニ、バレンシアらを休ませながらポグバの2発で勝ったヨーロッパリーグの勢いを、大事な試合に持ち込んでいただければと思います。

一方のチェルシーですが、こちらもプレミアリーグの上位対決ではリヴァプールとアーセナルに連敗。3-0で完敗したロンドンダービーの後にはコンテ監督解任説まで飛び出しましたが、3バックにスイッチしたハル・シティ戦とレスター戦をいずれもクリーンシートで快勝。いい状態で、マンチェスター・ユナイテッドとの一戦を迎えることができそうです。プレシーズンに試していた4-2-4を諦めて4-1-4-1、さらには3-4-3に辿り着いたコンテ監督は、新しいシステムに手応えを感じているのではないでしょうか。この布陣の最大の長所は、ウイングバックのマルコス・アロンソとヴィクター・モーゼスが高い位置でサイドに張っているため、アザール、ウィリアンあるいはペドロが思い切って中央に入っていけることです。チェルシーの10番は、プレミアリーグMVPに輝いた2014-15シーズンのフォームを取り戻しており、8戦7発と絶好調のジエゴ・コスタの近くでプレイすることによって、対応する右SBとCBを混乱させています。岡崎慎司とアレクシス・サンチェスにかき回されたダヴィド・ルイスとケーヒルのコンビは、アスピリクエタが加わって3枚になり、安定感が上がりました。イブラヒモヴィッチがいるチームといえども、今のチェルシーからは簡単にゴールを奪えないでしょう。

さあ、日曜日のゲームを占ってみましょう。ポイントは、「モウリーニョ監督の戦い方」「アザール&ジエゴ・コスタとバイリー、バレンシアのマッチアップ」「ポグバVSカンテ」。マンチェスター・ユナイテッドの新指揮官は、熟成度の低いチームが攻め合いに巻き込まれることを避けて、セーフティに戦おうとするでしょう。ラインを低めに構えることで、アザールとジエゴ・コスタに速攻を喰らうという最悪の展開を排除し、ポジションを上げてきたマルコス・アロンソの裏のスペースをラシュフォードに突かせる戦術を選ぶのではないでしょうか。チェルシーの左サイドからの攻めを、バレンシアとバイリーがどうさばけるかが重要です。ボックスのなかでしかカットできないようならチェルシーの勝ち。インターセプトの回数が増えれば増えるほど、サイドにスペースができやすい3バックを攻め立てるマンチェスター・ユナイテッドのゴールの可能性が高まります。

さらにモウリーニョ監督のチョイスで注目したいのは、中盤の構成です。ポグバ、フェライニ、エレーラか、あるいはマタを投入するか。マティッチに自由にパスを出させたくないなら前者。ポグバをカンテの束縛から解放したいなら、マタが加わった厚みのあるアタックが必要です。監督の性格を考えると、守備的な布陣で先にゴールを奪われる展開を避け、リードされたらルーニーかマタを入れるという戦術を敷きそうですが、アウェイチームの目標が勝つことなのか負けないことなのかは、マンチェスター・ユナイテッドサポーターとしては気になるところです。レスターを含む上位6チームに5勝5分2敗と勝ち越していたファン・ハール監督のチームが、指揮官が代わった翌シーズンに「攻めない、だから勝てない」チームに後退して、上位との3戦で勝利なしでは絶望感が漂います。勝ち点3を奪えなかったとしても、マンチェスター・シティ戦の後半で見せたような怒涛のアタックを見せていただければと願っているのですが…。モウリーニョ監督は至って冷静。サポーターの一喜一憂をどこ吹く風と、平然と勝ち点1で終わらせるかもしれません。

「タイトル候補の2つのクラブとの対戦がある今週は、非常に厳しい。上位との差を詰めるタイミングはここではない。何よりも、離されないことが大事だ。そうすれば、いずれ3、4、5連勝できる時がきて、優勝を争える位置につけているだろう」(ジョゼ・モウリーニョ)

私は、プレミアリーグ7位というポジションゆえに近視眼的になりすぎているのでしょうか。しかし、ここで負けると、10試合も消化しないうちに最近2年のプレミアリーグ優勝チームの最終着地である3敗に並びます。そこから、昨季のレスターと同じ戦績でフィニッシュしようとすると、19勝10分というとんでもないハイペースが必要です。昨季は、9試合終了時点で6勝1分2敗でした。これはリヴァプール、トッテナム、アーセナルとの試合を消化したうえでの数字ですので、決して相手に恵まれていたわけではありません。チェルシー戦を引き分けたとすれば、4勝3分2敗で、昨季との差はマイナス4。ライバルが強化されているなかで、混戦だった昨季より勝ち点を大きく落としてトップとの差が8に広がれば、挽回するのは容易ではありません。難しいアウェイ戦であることは重々承知ながら、ここは何としても勝ってほしいところ。そうなれば私も、デ・ヘアのビッグセーブ2発とバレンシアの鬼気迫るスラインディングで何とかドローに辿り着いたレッズ戦とは違って、「してやったり」といえるでしょう。

「スカイスポーツ」のポール・マーソンさんは、1-0でチェルシーの勝ちと予想しており、「モウリーニョ監督はリヴァプール戦と同じ戦い方をチョイスするが、チェルシーはリヴァプールを上回るものを持っている」と語っています。なるほど、結構予想を外すマーソンさんにそう来ていただけるなら、俄然希望が高まります。最大の希望は、スタンフォード・ブリッジにおけるモウリーニョ監督の戦績でしょうか。本拠地だったとはいえ、106試合で79勝22分け5敗は秀逸。このうち4敗は、初めての大崩れを体験した昨季ですので、「平時」は98戦1敗です。フラットに予想すれば、1-1ドローでしょうか。今のチェルシーの3-4-3はよく機能しており、リードして5-1-3-1になれば、崩すのは大変だと思います。マンチェスター・ユナイテッドが先に点を奪えば試合はおもしろく…もとい、逆ですね。バスが発車しないよう前半はチェルシーの1-0で…うーん、それも困る…。

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“2台めのバスは発車するのか!? コンテVSモウリーニョ、早くも訪れたサバイバルマッチの展望” への2件のフィードバック

  1. MUFC.No.7 より:

    チームの成熟度からして負けない試合を選択するのではないでしょうか。リンガード・マルシャルの両翼にフェライニ・エレーラと最近、守備力の上がった選手とポグバを起用。私としては4141の底にシュナイデルランを置き、ポグバ・リンガードのセンター、ヤング・ムヒタリアン、FWラッシュにしてここぞとばかりに動き回れる選手を配置します笑。マタがいない時のユナイテッドの得点力は低く、彼がいないユナイテッドは攻撃のアイディアに乏しいので、スタメンにマタがいるのかいないのかで勝ちにいっているのか引き分け狙いなのか分かりますね。

  2. makoto より:

    MUFC.No.7さん>
    その可能性が濃厚ですね。アーセナルがアレクシス・サンチェスの活躍でチェルシーに勝ったのをみると、最前線ラシュフォード、左右にマルシアルとムヒタリアンがおもしろいのではないかと思いました。中央はポグバ、マタ(あるいはリンガード)、エレーラですね。モウリーニョ監督は、そうはしないと思われますが。

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