イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

私にとってのウェイン・ルーニー…マンチェスター・ユナイテッドを離れる今、心に留めておきたい10の言葉。

真の天才です。そして世界最高のチームプレーヤー。彼がエゴイストだったら、どれだけゴールを決めていただろうと想像すると同時に、彼がセルフィッシュな選手ではなかったがゆえにどれだけ勝たせてもらっただろうとも思います。ウェイン・ルーニー、31歳。エヴァートン移籍が発表されると、現地メディアの大半が続々と特集を組んで15年のキャリアを称えました。そのすべてを網羅することはできなかったのですが、私が目を通したなかで最も素晴らしかった記事は、「Wayne Rooney: Everton re-sign striker after 13 years at Manchester United」と題された「BBC」のレポートです。10000字を超える情熱的かつ多角的なアナライズには、9歳でエヴァートンの門を叩いてからのすべてのキャリアと、プレミアリーグやチャンピオンズリーグを戦った同僚、ライバル、チーム関係者の敬意に満ちたコメントが紹介されています。

559試合で重ねた253ゴールは、マンチェスター・ユナイテッド史上最高のゴール数。プレミアリーグで11年連続の2ケタゴールは、一流のストライカーの証。ピーター・シルトンの国内最多出場記録に6試合足りないイングランド代表119試合は、長きにわたってトップレベルをキープしてきたからこそ成しえた記録です。数字を並べると、類まれなるストライカーという言葉がぴったりですが、彼の魅力を語る言葉はそれだけではないでしょう。「BBC」がまとめてくれた、ルーニーの素晴らしさを語るワールドクラスの選手たちとOBの言葉に耳を傾けてみましょう。

「彼の身に起こったこともクレイジーだと思うね。私も彼も直情的な男だ。フットボールでは完璧な人間などいない。失敗から学ぶ。私が彼からそうしたようにね。彼は彼だ。それが重要だ。誰よりも好きなイングランドの選手だね」(ズラタン・イブラヒモヴィッチ:2013年)
「ルーニーとプレイする場を失ってしまったわけだけど、いつかまた一緒にやれるかもね。とにかくパワフルで、彼のことを”ピットブル”と呼んでたよ。彼のパワーは体力とメンタリティに根ざしており、決して止まろうとしない」(クリスティアーノ・ロナウド:2015年)
「われわれの世代の偉大なるイングランド人プレーヤー。彼がフィールドでできることはスペシャルで、ヨーロッパのどのスカッドもよくしてしまえる数少ない選手のひとりだ」(リオネル・メッシ:2016年)
「クリスティアーノ・ロナウドは、個人として世界一になることを絶対的に望んでいた。ウェインはいうだろう。”世界最高になりたい。ただし自分はチームプレーヤーとしてめざす”とね。そうでなければ、シーズン40ゴールを決めたとしても彼は納得しない」(リオ・ファーディナンド:2017年)

直情的、パワフル、どんなチームも改善できるチームプレーヤー。私は、リオのコメントから、ルーニー自身の言葉を思い出しました。2013年11月、スポンサーイベントで囲み取材に応じていた香川真司の横に割り込んだウェイン・ルーニーは、自らとシンジについてこんなふうに説明していました。「僕らは2人ともvery, very unselfish playersだ。パスを交換しながらチームをサポートする」。一緒にプレイしていて楽しいと続けたルーニーは、これからも僕らのリンクアップを見せられるはずと力強く語りました。自分が決めるとも、彼が決めるともいわずに。この8ヵ月前、ノリッジ戦で香川真司にプレミアリーグ唯一のハットトリックを決めさせた2本のラストパスは、ウェイン・ルーニーの真骨頂でした。切り返しから左足で打つと見せて中に転がした2点めのシーンは、セルヒオ・アグエロやジエゴ・コスタなら間違いなくシュートで終わっていたでしょう。

プレミアリーグで通算100アシストを超えている選手は4人いますが、ギグス、セスク、ランパードと中盤の選手が上位を占めており、ストライカーで唯一達成したのがルーニーです。あまりにも眩しいプレミアリーグ198ゴールという数字に目を奪われがちですが、101アシストこそ他のストライカーと一線を画すルーニーの勲章なのではないでしょうか。マンチェスターダービーでプレミアリーグ史上ベストといわれるオーバーヘッドを決めた稀有なフィニッシャーであるとともに、さりげなく通すラストパスで味方を活かすコンダクターであり、ピンチになるとゴールライン際まで戻るファイターでもありました。2トップで輝いた現代の10番。私にとってのウェイン・ルーニーは、そんな選手でした。

ゴールデンボーイと手離しで称賛した元イングランド代表監督のズベン・ゴラン・エリクセン、20歳のときに「疑いの余地がない最高のヤングプレイヤーだ」と驚嘆したサー・アレックス・ファーガソン、私がずっとファンだったことは秘密でも何でもないと語ったジョゼ・モウリーニョ。マネージャーたちのリスペクトの言葉を連ねた「BBC」は、オールド・トラフォードで昨日までともに戦った選手たちの惜別のコメントも紹介しています。

「あなたの素晴らしいキャリアの次章でも、最高のスキッパーでいてください。絶対的な歓喜と多大なる学びをもたらしてくれました」(ジェシー・リンガード)
「いつか、あなたとプレイしたことを孫に誇る日がくるでしょう。うまくいきますように。ありがとう」(アンデル・エレーラ)

そしてもうひとり、この方からのメッセージも。
The time has come to leave Man Utd …. 13 great years at the club! Thank you all for making our family so welcome and treating us so well.(マンチェスター・ユナイテッドを離れるときが来た。13年の素晴らしい年月!ありがとう、私たち家族を歓迎し、とてもよくしてくれて/コリーン・ルーニー)」

5回のプレミアリーグとチャンピオンズリーグ、FAカップ、ヨーロッパリーグをありがとうございました。愛する街で過ごす時間が、幸せでありますように。そして次の夏、ロシアで開催されるワールドカップで、出会うことができますように。(ウェイン・ルーニー 写真著作者/Станислав Ведмидь)

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“私にとってのウェイン・ルーニー…マンチェスター・ユナイテッドを離れる今、心に留めておきたい10の言葉。” への6件のフィードバック

  1. yuto より:

    マンUファンではないですが感慨深いです。特にリオの言葉はグッと来ます
    給料のことで揉め事があったり悪い方面でもいろいろありましたがワールドレコードのルカク以上の騒ぎになることからなんだかんだ多くのプレミアファンが彼を愛していた証拠なのでしょう。
    しかし、彼はMLSに移籍したわけでも引退したわけでもなくプレミアリーグのエバートンに移籍したのです!感傷に浸っている場合ではなく一泡ふかされないよう準備しなくては…(ルーニーが復活してくれることに関してはとても喜ばしいですけどね)

    —–
    私がユナイテッドの試合を見るようになる前からずっとルーニーはユナイテッドを牽引していました。
    パワフルにゴールを奪いに行くイメージが強く、10-11シーズンのオーバーヘッドはいつでも思い出せるほどです。
    しかし、それよりもモイーズ監督が就任した以降のキャプテンとしてチームのために守備に奔走する姿の方が強く印象に残っています。
    カウンターで守備陣が全く戻らない中でひとり最前線から全力で自陣に戻り、ゴール前で体を張る姿は何度見たことでしょう。
    チームの黄金期に輝き、低迷しているときには鼓舞する大好き選手の一人です。

  2. makoto より:

    プレスパさん>
    ルカクが日曜日にFIXしなかったので、余計にルーニー一色になりましたね。復活に期待してます。

    yutoさん>
    勝利のために、泥臭い仕事をいとわない選手でした。後継者が出てきてくれればと思います。

  3. アイク より:

    香川のハットトリックのシーンは、私もよく思い出します。打てば十分入る可能性がありましたね。
    現地の実況が、なんというアンセルフィッシュプレイヤーだと絶叫して、ルーニーを称えていました。
    私の中でルーニーが好きな選手から偉大な選手に変わったのはあの時です。

  4. COYG より:

    いつも楽しく拝見させて頂いております。
    私はグーナーですが、ルーニーは好きな選手でした。 悲しくはないのですが、なんでしょうね、泣けて泣けて・・・

  5. デリック より:

    なんか一つの時代が終わった気がしますね。
    僕がプレミアみはじめたときからすでにユナイテッドの柱でしたが、こんなにも長くチームをけん引する選手がいるというのはファンとしては嬉しいですよね。僕はウィルシャーに同じようにけん引して欲しかったのですが、、、

  6. makoto より:

    アイクさん>
    ルーニーらしいプレイでしたね。巧みに右に持ち替えてのラストパス。

    COYGさん>
    長くチームの顔だった選手がチームを変わるときは、心が動かされますよね。キャプテンで、さぼらない選手となるとなおさら。

    デリックさん>
    これからはこういう選手がさらに出にくくなりそうですね。感懐深いです。

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