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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「クラブは意志をもってCB獲得を見送った」…3年めのモウリーニョ監督に、今求めたいこと。

「BBC」のサイモン・ストーン記者と、「ガーディアン」のジェイミー・ジャクソン記者。マンチェスター・ユナイテッドの内部事情に明るい2人のジャーナリストが、「ヴァイスチェアマンのウッドワードさんとボードメンバーは、モウリーニョ監督のリクエストに対して難色を示していた」と語っています。昨季プレミアリーグで、ペップのマン・シティと1点差の28失点に抑えたチームのマネージャーは、さらなる堅守をめざしてCBの獲得を要求していました。プレミアリーグなら、トビー・アルデルヴァイレルトとハリー・マグワイア。欧州の強豪クラブから選ぶなら、レアル・マドリードのヴァラン、バイエルンのボアテング、アトレティコ・マドリードのゴディン、バルセロナでうまくいっていなかったジェリー・ミナ。サイモン・ストーン氏によると、マンチェスター・ユナイテッドの経営陣はそれぞれについてこう評価していたそうです。

「ヴァランは、レアル・マドリードが出す気がないのが明らか」
「マグワイアはCLの経験がなく、プレミアリーグでも経験が浅い。ファン・ダイクのようなレベルの金額を払うのは賢明ではない」
「32歳のゴディンはアトレティコ・マドリードからの契約延長オファーを受けようとしている」
「負傷が多いボアテングは、2シーズンで33試合に欠場しており、獲るとしてもローン」
「ミナと契約合意に至れば、ワールドクラスではない選手に対して危険な前例を残してしまう」
「アルデルヴァイレルトに関する憶測は不確かで、オファーするべきではない」

ジェイニー・ジャクソン氏は、これらの判断について「彼らは、CBに莫大な金額を投資しても、見合う改善はないと結論付けた」と表現しています。昨季プレミアリーグで16ゴールをゲットしたロメウ・ルカクに対するサポートを厚くし、より多くのゴールを決められるようになれば、マンチェスター・シティとの19ポイントのギャップは埋まる…。経営陣はモウリーニョ監督に対して、ポグバ、ラシュフォード、アレクシス・サンチェスの改善を要請し、プレッシャーをかけているとのこと。サポーターのなかには、CBの質を高めるべきと主張する方もいらっしゃるかもしれませんが、マン・シティより38点も少なかった攻撃陣を変えなければならないという見解には、うなずく方が多いのではないでしょうか。

希望する選手を獲れず、「難しいシーズンになる」と不満を隠さなかったモウリーニョ監督は、開幕戦でレスターに勝った後も、ぼやきが止まりませんでした。「何ヵ月もプランを練っていたのに、自分が考えていた状況とは違う形でプレミアリーグの開幕を迎えることになった。移籍市場の話は、もうおしまいだ」「マネージャーではなく、ヘッドコーチと呼ぶべきだろう」「われわれ以上に投資したチームとの対戦だった。これからのプレミアリーグでは、自分たちと同じクオリティの選手を揃えたチームばかりと戦うことに慣れないといけない」。…ボス、不満をこぼすのは、もうやめませんか。初戦のあなたは、素晴らしいマネージャーだったと思います。

アンカーに抜擢したアンドレアス・ペレイラが安定していたのは、戦術と役割を理解していたからでしょう。シュート8本は、ホームで戦う強豪クラブとしてはもの足りない数字ですが、サイドチェンジやダイレクトパスを織り込んだ速いアタックには進化の可能性が感じられました。アレクシス・サンチェスが中に斬り込んで2トップのようになる形が定着すれば、ポグバやフレッジからのキラーパスが増えるでしょう。ポグバのキャプテン指名とルーク・ショーの先発も、チームのムードを盛り上げる秀逸なチョイス。試合後、2人を激賞されてましたが、それこそがサポーターが待ち望んでいた姿です。シーズンが終わったとき、こんなふうにいえたら最高です。「CBを獲れなかったけど、バイリーとリンデロフがいたから問題なかった。アレクシス、ラシュフォード、ルーク・ショー、ポグバの才能を目いっぱい引き出してくれた指揮官の采配こそが、優勝の最大の理由であり、今季最高の”補強”だった」と。

最後に、モウリーニョ監督の最近の言動をたしなめる2人の言葉を紹介して、この稿を締めたいと思います。「スペシャルワン」「ハッピーワン」と自らを称していた稀代の名将に、選手層の厚さと個々のポテンシャルの高さでは、ライバルに決して負けていないと信じてほしいという願いを込めて。

「ジョゼはカメラの前で、選手たちに『君たちを信じている。今季はマンチェスター・シティに迫れる』とメッセージを送るべきだ。メディアの前で、クラブの幹部に話しかけるのは今すぐやめないといけない。トランスファーマーケットは終わった。できることは何もない」(ティム・シャーウッド)
「チェルシーやレアル・マドリードにいたときのように、多くの選手と揉めれば、彼に訪れる未来はひとつだ。このまま選手たちを困らせ続ければ、彼が仕事を失うことになる。今は選手が勝つからね」(アラン・シアラー)

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“「クラブは意志をもってCB獲得を見送った」…3年めのモウリーニョ監督に、今求めたいこと。” への5件のフィードバック

  1. Scholes より:

    ルーク・ショーの大きなダメ押し点の後、喜びを爆発させた監督の姿は「偽りのように見えた」と、ある解説者に言われたそうですが、偽りであってもなくてもあれこそ選手とサポーターが欲している姿だとおもいます。試合への準備では冷静に、歓喜の瞬間では熱い姿を、プレスカンファレンスは試合の熱のままさらりとかわしてもらって。ピッチ外の振る舞いで悲しい結末になるのだけは避けてほしいです。頑張って!

  2. ペップの街 より:

    「三年目の浮気」じゃなくて「三年目の揉め事」はモウさんの定番になりつつありますね。
    CF欲しい欲しいの発言は駄々っ子のように見えますが、モウさんなりの周到な計算があっての発言かもしれません。
    プレミアリーグ取れなくても、CL取れなくても、それはフロントの責任と言いたいのかも。もし、どっちか取れたらそれは自分の手腕だと言えるし・・・
    でも、そんなモウさんが大好きです。もっと悪態をついて、優勝できなかったら、それはMI6の陰謀だとか、マスコミのせいだとか、トリックスター振りを存分に発揮して欲しいです。
    この饒舌にして、宇宙のように混沌とした複雑な人が大好きです。
    翻弄されるプレーヤーがちょっと可哀想ですけど。
    Makotoさん、おちょくってゴメンなさい!

  3. ペップの街 より:

    前出の訂正
    CF欲しい欲しいではなく、CB欲しい欲しいでした。
    ごめんなさい。

  4. マンユナイテッド より:

    モウリーニョがCBを欲しがる気持ちはよくわかるんですよね。
    ただバイリーがフル稼働できるなら昨シーズン序盤をみてても分かる通りユナイテッドは相当強いですし、そこから更にサンチェスやフレッジ、帰ってきたアンドレアスペレイラがいるので、3人がフィットし、攻撃面の連携をモウリーニョに改善していただければタイトルも見えると思います。
    個人的には一点、二点取った後に自陣に一旦引いてしっかり守り、カウンターでトドメをさすモウリーニョの戦い方は好きなのでカウンターのクオリティを上げることに注力してほしいなぁと思います。
    リバプールの大型補強にビビってはいますが、ユナイテッドにはそもそもポグバ、サンチェス、ルカクの怪物達を活かしきれてないので彼らを活かし切れれば大型補強になりますし、開幕戦見てても少なくともポグバを活かす道筋は見えたと思います

  5. フラッペ より:

    確かに周りの強豪より補強ができず、欠点が改善できなかったと言えるかもしれないです。
    それでも若手からベテランまで幅広くいて、個性派も多いですが、良いピースは揃ってるとおもうんですよ。
    "special once"ではなく"special one"であるところの証明、三年目のジンクスをぶっとばして欲しいです。

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