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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

損失額500億円以上!マンチェスター・ユナイテッドが「6位以下」で失うもの

もはや、プレミアリーグの順位がどうこう、というだけでは収まらない話になりつつあります。マンチェスター・ユナイテッドの凋落。イギリス紙「テレグラフ」の報道によると、本拠地オールド・トラフォードで6戦4敗というこのところの不振を受けて、株価が大暴落。ニューヨーク証券取引所におけるマンチェスター・ユナイテッドの株価は、2013年12月6日には約10.7ポンド(1821円)だったのですが、2014年になって9.4ポンド(1596円)までその額を落としています。これを織り込むと、時価総額は約17億5000万ポンド(約2984億円)から約15億3000万ポンド(2609億円)まで下落したことになり、たった1ヵ月で375億円の損失です。

そして、来季のチャンピオンズリーグの出場権を失うと、さらに最低でも2000万ポンド(約34億円)を取り逃がすことになり、トータルで400億円を超えるマイナス。「チャンピオンズリーグ出場なし」が確定すれば、株価の下落がもう一段進んでしまうでしょう。そうすると、少なく見積もっても損失は500億円に及びます。いや、恐ろしい。

500億円失っても、まだ下げ止まらないのがこの話の怖いところで、プレミアリーグを勝てる見込みがなく、チャンピオンズリーグにも出られないクラブとなると、2014-15シーズンを前に、大量の離脱者が出ると思われます。まずは、チャンピオンズリーグで活躍したいという思いだけで、苦境に耐えている香川真司。「タイトルを獲れるチームでキャリアを終えたい」と考えているロビン・ファン・ペルシ。現在、自らに対する扱いに不満を募らせているナニ、アンデルソン。キャリアも終盤となり、出身国のクラブへの移籍を画策するであろうエヴラ、ヴィディッチ。引退のタイミングを模索しているギグスとリオ・ファーディナンド。移籍金を積まれれば、ウエイン・ルーニーも国外への脱出を検討するかもしれません。

もし、これだけの選手がいなくなり、チャンピオンズリーグ出場(最悪でも5位でヨーロッパリーグ)の魅力で新しい戦力を引っ張れないとなると、その戦力減をどこまでリカバーできるのでしょうか。しかも、離脱候補者の顔ぶれを見れば、見返りにまとまったお金が入ってきそうなのはルーニーぐらいで、その他の選手はごくわずかな移籍金にとどまるか、もしくは買った時よりも安いお値段での商談となりそうです。ここでも、経済的損失は多大な額となります。

脅迫めいた話はこのくらいにして、結論をいえば、傷が浅いうちにモイーズ監督を解任したほうがよいと思います。マンチェスター・ユナイテッドは、20年以上にわたって監督交代を経験しなかったクラブなので、「結果が出なければ即、解任」というような考え方はしにくいのかもしれませんが、他クラブならもう既に決断がなされているでしょう。バルセロナのマルティーノ、マンチェスター・シティのペジェグリーニ、レアル・マドリードのアンチェロッティ、パリ・サンジェルマンのブラン、ナポリのベニテス。今季、新しく有力チームの監督に就任した面々は、急激な選手の入れ替えや、主力選手の離脱、老朽化といった課題を抱えながらも、さほど成績を落とすことなく、ここまでチーム改革を進めています。引き継いだとき戦力が充実しており、比較的に課題が少なかったバイエルンのグアルディオラ、チェルシーのモウリーニョは、その分高いミッションを求められつつ、現在はそれを果たせるポジションにつけています。「引き継いだばかりだからしょうがない」というモイーズ監督に対する情状酌量は、2013年いっぱいで期限終了ではないでしょうか。

私が「モイーズ監督解任」と考えるのは、単純にプレミアリーグにおいて不振だからではなく、「このまま続けてもチャンピオンズリーグを勝てるチームは創れない」からです。サー・アレックス・ファーガソンの、サイド攻撃を徹底しやすい中盤がフラットな4-4-2ならまだしも、ふたりのセンターMFが深すぎて、4人プラスどちらかのSBでしか攻撃できないモイーズの戦術では、欧州の強豪から継続的に得点を重ねることはできないとみます。このタイミングで一流の監督は呼べないでしょうから、今シーズンは「ピンチヒッター、サー・アレックスで立て直し」とするよりほかはありませんが、それだけでも自分を評価して連れてきてくれたと感じているファン・ペルシと香川真司のモチベーションは上がり、DFラインの面々は気を引き締めるでしょう。昨季終盤に揉めたルーニーは微妙ですが、ちゃんとFWで起用さえすれば、特段トラブルになることもないかと思われます。

次期監督の条件は「欧州でタイトル争いをして、ベスト4以上を経験したことがある」「プレミアリーグ、もしくはスペイン、ドイツ、イタリアでリーグ制覇を果たしたことがある」「戦略・戦術がしっかりしており、チームを仕切れる」監督です。これはなかなか条件が厳しいですが、ドルトムントのユルゲン・クロップ、ユヴェントスのアントニオ・コンテルイス・ファン・ハールあたりでいかがでしょうか。クロップ監督がいちばん厳しそうですが、交渉次第でいずれもチャンスはありだと思います。私は結果主義者で、そんなにプライドがないので、ガラタサライのロベルト・マンチーニでもOKですね。アスレチック・ビルバオを革命的に変えたビエルサ監督にも興味はあるのですが、何しろ変わり者で、代表監督経験はあってもトップクラブの経験がなく、リスキーかもしれません。

とはいえ仮に、クラブが「どんなに苦しい状況に陥っても、モイーズ監督を支持する」という意志決定をするならば、その選択と心中しようと思っています。ただし、ときどき疑義をはさむくらいはさせてもらいつつ、ですが。いずれにしても、プレミアリーグで毎試合もがいている今の状況を指をくわえてみてるのは、さすがにしんどいですね。ふう。

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“損失額500億円以上!マンチェスター・ユナイテッドが「6位以下」で失うもの” への4件のフィードバック

  1. バッジョ より:

    ユナイテッドはどっかのクラブみたいに解任とかせず、どんと構えて見守りそう。ファギーの推薦もあるし。
    CL出場権の4位以内もここ最近は68~75ポイントなんでまだ十分狙えますからね!

  2. makoto より:

    バッジョさん>
    数字上はそうなのですが、とても狙えるサッカーをしてないですね…。

  3. トーレス下さい。あ、赤い方ね より:

    管理人さんの気持ちは分かりますね。サポーターをやっていて辛いのは、クラブが正しい方向に進んでない時です。特に監督が信頼に足る人でないと、無駄に時間と金を浪費して暗黒期へ向かっているようでなりません。リバプール目線ではホジソン期がまさにそうでした。
    モイーズのやり方・戦術もホジソンと似てますよね。突き抜けた特徴・独創性がなく、非常に穏当。フラム・WBAで成功したものの、インテル・リバポで大失敗したホジソンは「良い監督だけど、ビッグクラブを率いて常勝軍団を築くことはできない監督」ですが、モイーズもホジソン側の監督に見えます。僕がユナイテッドサポでもクビ希望でしょう。
    ただ今のユナイテッドフロントにクビを切る度胸はまだないと思います。首になるのは一番早くてオリンピアコスに敗退したとこじゃないでしょうかね。

  4. makoto より:

    トーレス下さい。あ、赤い方ね さん>
    的をえたご指摘・ご理解をいただき、ありがたいです。私は、本日と次回のキャピタルワンカップ、サンダーランド戦の結果と内容次第では、クビもあるんじゃないかとにらんでいます。ホーム&アウェイで2回戦って、最下位チームに競り負けるようではさすがに未来は真っ暗です。

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