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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

クラブのために、母国のために。行動力と一貫性の男、素晴らしきダニエル・アッガー。

「Qoly」が紹介していた、いいお話です。この夏プレミアリーグを離れ、故郷デンマークのブロンビーに戻った元リヴァプールDFダニエル・アッガーが、「ホームレス・ワールドカップ」に参加する母国代表のために、2万デンマーク・クローネ(約36万円)を二つ返事で出したのだそうです。ホームレス・ワールドカップというイベントは、貧困、ドラッグ、アルコール依存など、さまざまな事情で家を失った人々に、生きがいや人とのつながりを取り戻してもらうためのサッカー大会。通常のサッカーとは違い、GKを含む4人制で行われ、控え選手を4人まで登録することができます。今回のアッガーの話ではじめて知ったのですが、「野武士ジャパン」と命名された日本代表チームもあり、2003年から始まったこの大会に、過去3回、チームを派遣しているそうです。

何の躊躇もなく「俺が出す」といった、というあたりが、彼らしいですね。アッガーという選手は、知れば知るほど、器の大きさやお人柄の素晴らしさを感じます。リヴァプールを去るときも、プレミアリーグのライバルクラブに移籍することをよしとせず、プロとしてのキャリアをスタートさせたブロンビーに恩返しするか、リヴァプールに残るかの二択を検討していたとのこと。以下は、ブロンビー復帰が決まったときの、彼のコメントです。

「他の場所へ行くためにリヴァプールを去ることはない。その可能性がないことは、過去の僕のアクションで証明されていると思う。今まで、プレミアリーグのクラブや、ヨーロッパからのオファーを何度も断ってきたからね。信じられないほどの素晴らしいサポートをしてくれたリヴァプールのサポーターたちに感謝している。ここは僕と家族にとって、家だった。リヴァプールというクラブは特別なもの。これから先の人生で、ずっとサポーターでいようと思う」

…こんなことをいわれたら、サポーターは大ファンになっちゃいますよね。リヴァプールに入って、7年半。2~3年前に、最終ラインで簡単にかわされるなど、出来がよくなかったシーズンがあり、自分のなかでアッガーの評価を下げたことがありました。当時、「リヴァプールにアッガーはもう必要ないのではないか」といって、熱狂的なレッズサポーターによく叱られたのですが、それでもしばらくの間は、「アッガーはチームにいてほしい」という彼らの気持ちがわかりませんでした。単純に、私がアッガーを知らな過ぎたのですね。その後、キャラガーやジェラードに負けず劣らずリヴァプールへの強い愛情を持った選手であることを知り、統率力とクレバーなプレイぶりが戻ったこともあって、私の評価は変わりました。できればリヴァプールでキャリアを全うさせてあげたいと誰もが思うような、素晴らしい選手だと思いました。

副キャプテンに任命されてからたった1年というタイミングの移籍に、大半のファンが「寂しい」と口にしていました。私も今では、レッズサポーターのみなさんの気持ちが理解できるようになりました。ファン・ペルシや今季からプレミアリーグに復帰したセスクなど、自らのキャリアアップやタイトル獲得のために、所属していたクラブのライバルチームへ移籍するのもひとつの生き方だとは思いますが、報酬や目先の成功をなげうってでもクラブを大事にしてくれる選手は、サポーターにとっては特別な存在ですよね。

アッガーの話を聞いて、自分が応援しているクラブを振り返ると、ギグスやスコールズが引退してから、マンチェスター・ユナイテッドにはクラブ愛の強い選手がほとんどいなくなってしまったように思います。長く活躍している選手でいえば9年めのマイケル・キャリック、生え抜きのベテランではダレン・フレッチャーぐらいでしょうか。クラブには、あらためてチームの核となる選手を育てていただいて、10年後、サポーターの誰もがリスペクトするような存在が出てくればいいなと思います。

ところで、香川真司は、この夏ドルトムントから声がかからず、シャルケ04から話があったとしたら移籍していたでしょうか?おそらく彼は、赤いユニフォームのままでいたでしょう。たとえ、試合に出る機会は激減するとわかっていたとしても。

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“クラブのために、母国のために。行動力と一貫性の男、素晴らしきダニエル・アッガー。” への8件のフィードバック

  1. あああ より:

    リバプールと当たる可能性のあるヨーロッパの強豪クラブやプレミアリーグのクラブには移籍せず、母国の古巣への恩返しを選ぶ。
    トーレスへの肘鉄やYNWAのタトゥーなどサポーターに愛される選手だったのでしょうね。
    こういう選手はもっと出てきて欲しいですねー。
    ルーニーも素晴らしい選手ですけど、週給アップのためには移籍をちらつかせたりと忠誠心はそんなに高くないですし・・・

  2. リバファン より:

    また一人レッズが去ってしまい寂しい限りです。以前からクラブへのロイヤリティを口にしていたアッガーらしい選択だとファンなら皆思ったと思います。YNWA。
    最近は成立してしまう、本来ならあり得ない移籍をした選手達にクラブ愛とは何かを問うてみたいですね。

  3. ko より:

    アーセナルでは最近聞かない良いお話でした(涙)
    ラムジー、ウィルシャー。ギプスなどに期待します。

  4. makoto より:

    あああさん リバファンさん>
    まったくです。こういう選手が、もっともっといてほしいです。リヴァプールにこういう選手が多いように感じるのは、クラブとアンフィールドの素晴らしいサポーターたちが、選手を大事に思っているからかもしれませんね。

    koさん>
    自前の若い選手がピッチにいるだけでもうらやましいです(涙)。ウィルシャー、いいですよね。彼のツイッターなど、熱狂的なグーナーが書いてるみたいです。

  5. より:

    アッガーは本当に残念でした。
    スランプあったり、怪我で出場機会減ったりしましたが、今でも一番好きなDFです。
    まだまだやれると思うので、母国でも頑張って欲しいです。
    そして引退後は何らかの形で戻ってきてくれたらなと思います。

  6. ちくちく より:

    ジェラードもそうですが、レッズはこういうレッズ一筋の選手が出てきますね。個人的には最強のクラックよりも、こういう男気のある選手が格好良いなと憧れますね。他のチームのサポーターですが、こういう選手には最大限敬意を示したいですね。

  7. E より:

    リバプールでの思い出があるから、とプレミアのクラブからのオファーを断ったといわれるシャビ・アロンソもいますし、素直にうらやましいです。
    アッガーの移籍金が5億っていうのも信じられないですが、そこまで下げてでも彼の想いにこたえたリバプールも粋というか、選手とクラブの関係も良いのでしょうね。

  8. makoto より:

    ご さん>
    引退後、戻ってきてくれたら盛り上がりますね!

    ちくちくさん>
    ホントですよね。こういう選手がいるからスタジアムが盛り上がり、選手もそれをみてクラブ愛が高まるという好循環です。

    Eさん>
    アッガーの給与を確保するために、移籍金を抑えたのでしょうね。クラブも素晴らしいです。

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