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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「戦うのが最後になるのが寂しい」…モウリーニョ監督がライバル・ジェラードに贈った惜別の言葉

年が明けてから始まったカウントダウンも、「3」まで数え終わりました。プレミアリーグに別れを告げるスティーブン・ジェラード。 一昨日は、チェルシーというリーグのトップクラブとのラストマッチでした。大事な試合で相対することもなくなるライバルクラブのレジェンドに対して、「スリップに注意」のバナーはひどいんじゃないかと思いましたが、いや、本気で野次ることこそ、最高のリスペクトなのかもしれないと気持ちを新たにして、感慨深い試合を楽しませていただきました。

正直に申し上げます。昨季のあの試合は、あの試合だけは、リヴァプールに勝ってほしかった。マンチェスター・シティサポーターのみなさんには申し訳ありませんが、戦力の足し算では間違いなくプレミアリーグ最強で、今後も毎年優勝争いを続けるであろうクラブよりも、このチャンスを逃せば次がいつになるかわからない危うさを秘めたクラブが、最高の時を迎えた2人のコンビネーションによって優勝の歓喜に浸る瞬間が観たかったのです。昨季のスアレス&スタリッジ、すなわちSASの破壊力は、今季欧州を席巻しているバルセロナのサッカーのエポックメイキングなのではないかとすら思います。そしてまた、一度でいいから、スティーブン・ジェラードがプレミアリーグのトロフィーを高々と掲げるシーンを観たかったのです。

しかし、大事な試合でリヴァプールは敗れ、今となってはSASも昔話です。私にとって、SASとジェラードのプレミアリーグ優勝が、強く願いながら実現しえなかった夢だったとすれば、モウリーニョ監督にとってのそれは、ジェラードとともに獲得するタイトルだったのでしょう。2000年のベンフィカ以降、青と白のユニフォームしか指揮したことのないモウリーニョ監督は、赤に身を纏ったジェラードを見つめ続けて、ついに別れの日を迎えることになりました。試合前に、イギリス紙「デイリー・ミラー」に掲載された優勝監督の惜別のメッセージには、心が揺さぶられます。

「私は、数多くのプレイヤーと最高の対戦相手から学んできた。スティーヴン・ジェラードは私のお気に入りの対戦相手のひとりで、親愛なるライバルであり、私を監督として成長させてくれた選手だった。彼をストップする、あるいはストップしようとするのは、とてもとても難しいことだ。私は彼に負け、彼に勝利し、彼と引き分けた。ジェラードと対戦するのが最後になるのがすごく寂しいよ。私には、自分を成長させてくれる彼のような選手が必要なんだ。

フランク・ランパードもそうだが、ジェラードがプレミアリーグに別れを告げるのは悲しいことだ。しかし、フランクはチェルシーのレジェンドであり、スティーブンとは事情が違う。彼は、いつも対戦相手だった。…私は以前から、ジェラードをチェルシーに、インテルに、レアル・マドリードに連れてこようとした。ところが、彼はその都度私の前に立ちはだかる存在であることを選んだ。私は彼をリスペクトしており、スタンフォード・ブリッジが同じ気持ちであることを望んでいる。

最初のチェルシーでジェラード獲得を目論んだときは、合意寸前までいった。しかし、結局彼は私に『僕は赤いハートを持っているんだ』といった。そうなると、難しい。彼は移籍を望みながら、その決断ができなかったんだ。それはとても素晴らしいことだね。

ジェラードは仲間たちと素晴らしいキャリアを過ごした。ビッグクラブや他のリーグを選ばず、リヴァプールのためだけにプレイした。今日のこの感情を、お互いに忘れないだろう。いつの日か、スティーヴンがリヴァプールの指揮官として私と戦うことを誰が知るだろうか」(ジョゼ・モウリーニョ)

1994年5月1日、34歳の若さで亡くなったアイルトン・セナが、既に引退して解説者となっていた元ライバルのアラン・プロストに、事故当日のフリー走行中に無線で送ったメッセージを思い出しました。「親愛なるアラン、元気かい?君がいなくなって、すごくさみしいよ」。お互いを認め合ったライバルの一方が戦いの場を去ったときは、残された者のほうがぽっかりと空いた穴の大きさを感じるものなのかもしれません。チェルシーの指揮官からのメッセージを知ったジェラードの言葉は、非常に彼らしいものでした。

「私はモウリーニョ監督をとてもリスペクトしている。彼は世界で最高の監督だと思う。もし僕がリヴァプールサポーターじゃなければ、何度もサインをしていただろうね」
「チェルシーサポーターは、(ピッチを去る)一瞬だけ僕にリスペクトを示してくれたね。それを除けば、試合中はひどい扱いだったよ。スタンディング・オベーションされるのはいつでも素晴らしいことだと思うけど、いちばん大事なのはリヴァプールサポーターの応援だよ。彼らは、最初からずっと支えてくれていたのだから」(スティーブン・ジェラード)

5月16日、最後のアンフィールドは対クリスタル・パレス。そして5月24日にブリタニアで行われるストーク戦が、モウリーニョ監督をはじめプレミアリーグを愛するすべての人々が、リヴァプールのキャプテン・ジェラードに別れを告げるラストゲームとなります。

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“「戦うのが最後になるのが寂しい」…モウリーニョ監督がライバル・ジェラードに贈った惜別の言葉” への4件のフィードバック

  1. Macki より:

    いよいよその時がくると思うと「喪失」という感情で一杯です。赤いクラブで、そして代表で彼が積み重ねてきたプレーはまさにリーグの、国の財産と言えるものです。遂に最後まで届かなかったプレミアリーグのトロフィーに次に何時近づけるかは偉大なるキャプテンを失った後どれだけかかるか分かりませんが、彼が指導者として帰ってきた時には、一足先に解説の道へ進んだキャラガーと共に次の時代を作り上げて欲しいものです。

    —–
    更新ご苦労様です。
    アンフィールドでの最後のゲームが訪れようとしてますね。長く彼を追い続けてきたものとしては、寂しい気持ちで一杯になります。モウのコメントは敵将ながら泣けますね。それだけ素晴らしい選手だったと思います。

  2. あああ より:

    生まれついてのキャプテンですね彼は。
    スアレスの人種差別騒動の時にオールドトラッフォードでブーイングされる彼にかけた言葉が僕はよく覚えています。
    「周りが何を言おうと、俺にとってお前は世界最高のストライカーなんだ。お前はそれをピッチの上で証明するんだ。それが重要なんだ。」スアレスはこの言葉を生涯忘れないと言っていました。
    選手から尊敬されるのもよくわかります。
    世界最高の監督やクラブから誘われようと価値を落とし続けていたリバプールに残り続けたというのは全てのサッカー選手に見て欲しいところです。

  3. プレミアリーグ大好き! より:

    すみません。管理人さん。
    モウリーニョ監督に限りませんが、前所属の時の画像使うの辞めてくれませんか?
    特に私はチェルシーサポーターなので、レアルマドリーの時の監督の画像使われると少し不愉快です。
    モウリーニョ監督が再びチェルシーの監督に就任してからも結構使ってますよね、この画像。
    彼は現在レアルマドリーの監督ではなくチェルシーの監督なのですから。
    お願いできますか?

  4. makoto より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    「ジェラード監督がプレミアリーグ優勝」…ぜひ、観たいですね。

    Mackiさん>
    モウリーニョ監督がエモーショナルな感じなのが、よけいに心を動かされますね。

    あああさん>
    生涯をひとつのクラブに捧げる選手は、今後はなかなか出てこないでしょうね。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    できるだけ今の画像をと心がけてはいるのですが、著作権フリーの画像しか使えないので限界があります。お約束はしかねますが、留意します。

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