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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ハリー・ケインに続け!プレミアリーグ2015-16でブレイクが期待される若手15人【後篇】

「ハリー・ケインに続け!プレミアリーグ2015-16でブレイクが期待される若手15人【前篇】より続きます。前回は、バンフォード以外はマンチェスター勢とストークといった北のクラブ中心でしたが、いよいよロンドン勢、アーセナルやチェルシー、トッテナムの選手を紹介させていただきたいと思います。では、さっそく。

■ゲディオン・ゼラレム、ダン・クローリー、ジェフ・レーヌ=アデレード(アーセナル)

ニャブリやビエリク、先般レンタルに出されることが決まったアクポムやヘイデンなど、素晴らしい才能が揃うガナーズにおいて、私が推したいのはこの3名。ひとりに絞れといわれればゼラレム。理由は「プレイが美しいから」でしょうか。2年前に浦和で公開練習を観て、ゼラレムの柔らかいボールタッチと落ち着いた物腰に魅了されました。父がエチオピア人、母はドイツ人で、育ちはアメリカ、現在はイギリスでプレイ、ユース代表はドイツ国籍。さまざまな可能性を秘めた選手でしたが、最終的にはアメリカ国籍を選び、U-20ワールドカップにはアメリカの選手として出場しています。ポジション的にはエジルの後釜となるのかもしれませんが、私はモドリッチのような「何でもできるセントラルMF」になればおもしろいのではないかと期待しています。

大器と評判のアデレードは、プレシーズンは「チェンバレンとラムジーを足して、球離れを悪くしました」というようなプレイでしたが、ヴェンゲル監督が「オールラウンドに才能があり、セントラルMFとしても成長できるだろう」と語っており、スケールの大きい選手になっていただければと思います。ポグバがいるフランス代表ではサイドのほうがレギュラーポジションを取りやすいのかもしれませんが、切れ味のいいスルーパスが出せる選手は、中に置いたほうが持てる力を発揮しやすいでしょう。ドリブルで中央を上がってくる印象からか、若き日のセスクやジャック・ウィルシャーと比べられやすいダン・クロウリーともども、中盤を変幻自在に動ける選手が複数出てくればおもしろいですね。ピレス、リュングベリ、ヴィエラといった、プレイの引き出しが多い選手がポジションをスイッチして攻めてくるのが、私にとっての「怖いアーセナル」だったので。

何しろ中盤の層が厚いチームですので、彼らがプレミアリーグに顔を出すかどうかはわかりません。とはいえ、昨季はベジェリン、コクランが急成長を遂げたチームです。経験を積むチャンスはあるでしょう。まずはキャピタルワンカップあたりからとなりそうですが、アーセナルが「中盤は外から獲らなくても充分じゃないか!」といえるぐらいになれればいいですね。彼らが順調に成長すれば、プレミアリーグ制覇と欧州のダブルに手が届くクラブになれるのではないかと思います。

■アレックス・プリチャード(トッテナム)

私の印象は「キックが多彩で柔らかいスコールズ」ですが、スパーズサポーターのみなさんはいかがでしょうか。イングランドU-21代表にも選ばれていた小柄な22歳MFは、中盤を仕切れて自らもゴールが決められるゲームメーカー。昨季はチャンピオンシップのブレントフォードにレンタルされて12ゴールをゲットしており、若手の登用に積極的なポチェッティーノ監督ならチャンスは充分にあるのではないでしょうか。昨季、ハリー・ケインやライアン・メイソン、ベンタレブ、エリック・ダイアーを我慢もしながら使い続けてリヴァプールの上にいったチームが、中盤から前に大きな補強を入れずにさらなる若手抜擢で順位を上げたら驚異的です。ファン・ハール監督やロジャース監督は、手がちぎれんばかりの拍手でトッテナムの指揮官をリスペクトしなくてはなりません。もとい、早く観たいです、プリチャード。

■ルベン・ロフタス=チーク(チェルシー)

バンフォードですら修業に出され続け、ナタン・アケも満足に試合に出られないほどのクオリティを誇るのがプレミアリーグ王者です。昨季のチェルシーでプレミアリーグデビューを果たした19歳のロフタス=チークは、少ないチャンスを活かせなければ、もう2~3年は同じような立ち位置で過ごすことになるのではないでしょうか。判断の速さ、パスの正確さには素晴らしいものがあるので、加えるべきはモウリーニョ監督に激しくツッコミを入れられた運動量、的確なプレッシング、フィジカルの強さでしょう。トップクラブのなかでは少数精鋭のチームなので、カップ戦などではチャンスもあると思われます。数少ない「ワールドクラスの指揮官の手元に置いてもらえる若手」が、順調に成長することを祈りましょう。

■マット・ターゲット(サウサンプトン)

さすがはイングランドの有望選手ファクトリーのサウサンプトン。ルーク・ショーを失った左SBに、チェルシーから来たバートランドに加えて自前の選手を輩出してきました。イングランドU-21代表のマット・ターゲットは、昨季のクラブの年間最優秀若手プレイヤーに選ばれた19歳。6試合に出場したプレミアリーグではまだまだ粗削りなプレイが目立っていたものの、層が厚いとはいえないセインツでは、今季も重宝される選手だと思われます。しかしまあ、イングランドはこのポジションだけは、異常に人材豊富ですね。レイトン・ベインズ、ルーク・ショー、ライアン・バートランド、クレスウェルがおり、ダニー・ローズですら4番手~5番手ですので、ターゲットの登る道は相当険しそうです。

■リース・バーク(ウェストハム)、タイロン・ミングス(ボーンマス)

最後に、CBを2人紹介しましょう。18歳のリース・バークは、こちらもクラブの年間若手最優秀選手。昨季プレミアリーグでは、ウェストハムの最終ラインを5試合守っており、今季もヨーロッパリーグ予選1回戦のルシターノス戦で2試合出場。ウェストハムの将来をまかせられるCBと期待されています。イプスウィッチに所属していた22歳のタイロン・ミングスは、左SBとして戦っていた選手ですが、191センチと上背がありボーンマスではCBとして活躍する可能性もあります。アーセナルやチェルシーに注目されていたタイロン・ミングスは、プレミアリーグでそのポテンシャルの高さをアピールできるでしょうか。昇格クラブがどこまでやれるのかも含めて、チェックしていきたいと思います。

ニューカッスルのロランド・アーロンズはなぜいないのか、リヴァプールが抜けてるぞ、マンチェスター・ユナイテッドにはツアンゼベもいる、ジャック・グリーリッシュは今季本格ブレイクだろう、ウォード=プラウズも若い選手のひとりで…などなど、みなさま、言い分なり推したい選手なり、いろいろあろうかと思われますが「昨季までの実績が乏しいのに対して、今季出場機会がありそうな選手」に特化させていただきました。有望な若手選手について語り出すと、あれもこれもお伝えしたくなって大変です。これが唯一無二の機会でもなく、今後も折に触れて若手の紹介をさせていただきたいと考えておりますので、今回は、このへんで締めさせていただきます。(ゲディオン・ゼラレム 写真著作者/Kieran Clarke)

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“ハリー・ケインに続け!プレミアリーグ2015-16でブレイクが期待される若手15人【後篇】” への8件のフィードバック

  1. にわかスパーズファン より:

    更新おつかれさまです。
    若手が台頭してくると、まだいるのか!と驚かされます。日本もこんな風にワクワクしたいなと感じてしまうここ最近の2連戦です。

    さてスパーズのお話ですが、なかなか補強が進んでおらずモヤモヤしております。なんせ若手ばかりで勢いは期待できるものの安定感や継続性などは不安で仕方ありません。これがスパーズなんだと言われれば間違いありませんが(笑)
    今年は開幕が少し早いので焦りすぎなのかもしれませんが、FWケインだけだと怖いなと思います。それにアウディカップから中2日でユナイテッド戦という日程にも喝を入れたい!

  2. トリッピー より:

    スパーズはCMが選手層的に相当やばいですよね。
    若手で言えば、プリチャードもそうですがデレアリには注目です。

  3. ぜれ より:

    多くのアーセナルファンはプレシーズンのアデレードのプレーにディアビを思い出したと思います

  4. タカシ より:

    更新お疲れ様です。
    僕個人としては昨季活躍したグリーリッシュやベラヒノがまた活躍できるかも楽しみです。
    中堅や下位のチームがとんでもない補強を繰り返している今季のプレミアリーグですが若手達にもきっとチャンスはあるので期待したいですね。

  5. makoto より:

    にわかスパーズファンさん>
    「失点を減らせれば4位争いに食い込めるから、攻撃陣はステイでOK」ということなのかもしれません。ハリー・ケインのサブはソルダード、2人ともいなければラメラをまわす、みたいな感じなのでしょうか。もしそうだとすれば、ポチェッティーノさんは男らしすぎます!

    トリッピーさん>
    デレアリは名前はちょいちょい聞いていたのですが、プレイをチェックできてませんでした。見てみますね。

    ぜれさん>
    いいときのディアビですよね?ぐいぐい上がる感じの。アデレードは、失敗を恐れない感じがいいですね。

    タカシさん>
    グリーリッシュはおもしろいですよね。ヴァイマンが出場機会を失ったのも納得です。

  6. ゆうま より:

    私も2年前の日本遠征でゼラレムのファンになりましたが、残念ながらゼラレム
    (とビエリク)はファーストチームからからU-21へ降格になったようです。

    いくら才能豊かな選手でも紆余曲折が当たり前の世界ですが、この記事の中で
    名前が上がった選手が一人でも多く5年後のプレミアリーグでピッチを疾走している
    姿が見られたら嬉しいですね。

  7. りばさぽ より:

    ゴメスやアイブはもちろんレギュラー争いに食い込むと思いますが個人的にはテイシェイラに期待したいです

  8. makoto より:

    スパーズサポです。
    いつも楽しく拝見させていただいてます。
    プリチャードはユースでは早くから天才と言われて来たので、やっとここまで来たかという感じで、今シーズンは非常に楽しみです。
    デレアリは先日のアウディカップではモドリッチを股抜きで抜き去ったりしてました。
    19歳にしてはかなり完成度の高い選手だと思うので、ぜひ注目してみてください!

    —–
    ゆうまさん>
    出場機会が期待できないなかでトップに帯同させるのではなく、下で試合に出しましょうという判断でしょうか。活躍して、1月にでも上がってこられたらいいですね。

    りばさぽさん>
    昨季の骨折は残念でしたね。気になる選手のひとりです。

    noriさん>
    プリチャードのアウトにかけたクロスなど、ぞくぞくします。なるほど、デレアリはアウディカップのレアル・マドリード戦に出ていたのですね。この試合、見逃してました。情報ありがとうございます!

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