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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

もっとやれるはず!プレミアリーグ後半戦の奮起を期待したい戸惑いのアタッカーたち

早いもので、プレミアリーグの残り試合は16となってしまいました。レスターの躍進、チェルシーの混乱、マンチェスター・ユナイテッドの沈黙が重なり、近年稀にみる波乱が続く2015-16シーズンですが、この状況について、みなさまはどう受け止めてらっしゃるでしょうか。ストークやクリスタル・パレスがしぶとくTOP10にいるのは予想できたとしても、レスターの2位、マージ―サイド勢の苦戦、ウェストハムがチャンピオンズリーグ出場権を狙える位置につけていることなどには、驚いた方も多いのではないでしょうか。エヴァートンのサッカーを観ていると、なぜこのチームがTOP10にすら入れないのかと、頭のなかがクエスチョンマークでいっぱいになります。

ひとついえそうなのは、上位にいるクラブにも、振るわないクラブにもそのシンボルとなる選手がいるということ。好調クラブでいえば、メスト・エジル、ジェイミー・ヴァーディ、トビー・アルデルヴァイレルト、ディミトリ・パイェ、ヨアン・キャバイェでしょう。ちなみに私のなかでは、あれだけ質の高い選手を揃えたにも関わらず、3位におさまってしまっているマンチェスター・シティは不調クラブですので、彼らについてはヴァンサン・コンパニという名前を挙げさせていただきます。3位マン・シティと4位トッテナムは、「CBがひとりいるかいないかで、これだけ変わる」ということを、ポジティブ・ネガティブ両面からあらためて教えてくれたチームだと思います。

さて、本稿では、大いなる期待を受けて今季から新しいチームに加わったアタッカーと、躍進が期待されたチームのキーマンのなかで、くすぶり気味の選手をピックアップ。ラスト16戦の巻き返しを期待して、エールを送らせていただこうと考えております。彼らの活躍に、所属するクラブのチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの出場権獲得がかかっているといっても過言ではないでしょう。まずは、それなりにゴールを挙げているのも関わらず、サポーターやOBからケツを叩かれまくっている期待のストライカーから紹介しましょう。

■クリスティアン・ベンテケ(リヴァプール/プレミアリーグ19試合6ゴール)
ベルギー代表ストライカーがアストン・ヴィラからリヴァプールに移籍すると聞いたこの夏、彼のヴィラ時代の全ゴールシーンをチェックし、リヴァプールで決めたすべてのゴールも見届けているのですが、あらためて「ベンテケはレッズのサッカーに合わないなどということはなく、クロップ監督のスタイルにもフィットできるはず」と申し上げたいと思います。一部には、ハイクロスを頭で合わせるだけの選手などという誤解があるようですが、ポストプレーに長け、周囲を使うこともできるオールラウンダーというのが私の評価で、特に素晴らしいのはヘッドよりもボレーのうまさだと思います。カウンターでも威力を発揮する選手なのは、アグボンラホル、ヴァイマンといった縦に速い選手と形成した3トップ時代のプレイを見れば、ご理解いただけるでしょう。曲がりなりにもここまで6ゴールを挙げているストライカーに、マイケル・オーウェンなど評論家やファンの批判は厳しすぎるのではないかと思うこともあるのですが、それは裏返すと期待の大きさの表れなのでしょうか。

彼の最大の課題は、メンタルの弱さなのではないかと思います。ヴィラ時代にもまったく決められなかった時期があったベルギー代表FWは、最近は明らかに自信を失っており、ゴルフでいう「イップス状態(パットなど決めるべきショットで、思うように手が動かなくなる症状)」に陥っている感があります。後半戦は、フィルミーノにポジションを譲ってジョーカーとして価値を発揮することになるのかもしれませんが、ここぞという大事なシーンでゴールを決め、10発の大台に乗せていただければと期待しております。シーズンオフを有意義に過ごせれば、クロップサッカーのなかでの彼らしさを見出せるのではないでしょうか。おそらくピークはまだ先、見限るのは早いと思います。

■ペドロ・ロドリゲス(チェルシー/プレミアリーグ18試合2ゴール)
スペインメディア「ムンド・デポルティボ」に母国復帰を模索していると書かれ、アレシャンドレ・パトのチェルシー入りが実現すれば割を食うのではないかといわれているペドロは、報じられているように「プレミアリーグに合わない」のでしょうか。入団してからたった4ヵ月半、プレミアリーグ18試合1417分という短い時間のなかでその判断を下すのは時期尚早でしょう。アーセナルのジルーのように、チームに適応するのに時間が必要だった選手も多く、本人がモチベーションを失っていなければ、勝負はこれからなのではないかと思います。

気になるのは、求められている役割が曖昧で、周囲の理解を得られていないようにみえることです。ジエゴ・コスタがサイドに流れたときや、ウィリアンが右に出た際には中に入る、などのベーシックな約束ごとが徹底され、カウンターに入ったときにセスクから質の高いボールが出てくるようになれば、バルサ時代に左右を選ばず裏に抜ける動きが魅力だったペドロのゴールシーンは増えるでしょう。ベンテケ同様まだまだ真価を発揮しておらず、しばらく観続けたい選手です。

■メンフィス・デパイ(マンチェスター・ユナイテッド/プレミアリーグ17試合2ゴール)
「守備が拙い」「周囲が見えていない」「セルフィッシュなプレイが目立つ」「ペルーの笛吹きみたいなファッションは控えろ」…何かと批判が絶えないデパイですが、クロスやプレースキックの正確さと、1対1で勝負を仕掛けにいくアグレッシブさは、今のマンチェスター・ユナイテッドには必要な力だと信じています。即戦力という前評判だったために風当たりが強いという面もあるのだと思われますが、来月22歳になる若い選手ですので、焦りは禁物。同じく2月生まれで21歳になるアドナン・ヤヌザイ、23歳のリンガード、20歳のアンドレアス・ペレイラと一緒にしっかり成長していただければと思います。3年後には、トップにマルシアル、その下にペレイラ、両脇にリンガードとデパイ、ときどきヤヌザイという布陣でチャンピオンズリーグの上位にいっていただければ、私は感無量です。すでに隠居されているであろうファン・ハール監督は、そのときあらためてリスペクトされるのではないでしょうか。

■岡崎慎司(レスター・シティ/プレミアリーグ20試合4ゴール)
リヴァプールとレスターの順位が逆であれば、バロテッリよりははるかに貢献度が高いベンテケの評価はまあまあで、岡崎慎司はゴールが少なくもの足りないという色がより強くなっていたのではないでしょうか。現地では、オフザボールの動きの質の高さや、プレスとインターセプトが一定の評価を受けているものの、4ゴールという数字としばしばスタメンから外される使われ方に、ご本人はまったく満足していないのではないかと思われます。ヴァーディとマフレズが脇目も振らずにシュート打っちゃうチームで、しかもそれがうまくいっていたために欲しいボールがもらえなかった前半戦ではありましたが、これからは少人数のカウンターは警戒されるはずで、岡崎のシュートシーンが増えることがチームとしてもより重要になります。日本代表FWのプレミアリーグ10ゴールと、レスターの欧州挑戦権獲得はセットなのではないかと、半ば妄想気味に期待を高めている次第であります。

■ケヴィン・ミララス(エヴァートン/プレミアリーグ11試合2ゴール)
ここからは新戦力ではなく、昨シーズンの輝きを失ってしまった選手を2人ほど。プレミアリーグ開幕戦の対ワトフォードが前半戦唯一のスタメン。6節のスウォンジー戦では、92分に投入されてその2分後に退場と、ミララスの2015年は踏んだり蹴ったりという言葉がぴったりでした。デウロフェウやコネにポジションを譲っていたベルギー代表サイドアタッカーは、前節のチェルシー戦で見事な左足シュートを決め、復活の兆しがみえてきました。正確なキックとアグレッシブな突破が魅力のサイドアタッカーは、ロベルト・マルティネス監督に出場機会を増やそうと決断させたのではないでしょうか。ネイスミスの放出は、ミララスは手離さないというチームの意志表示のようにもみえます。後半戦で暴れていただき、余勢をかってユーロにも顔を見せてもらえればと思います。

■グラツィアーノ・ペッレ(サウサンプトン/プレミアリーグ17試合6ゴール)
セインツは、エヴァートンともどもボトム10すれすれで停滞しているチームではないでしょう。チャーリー・オースティンの加入で尻に火が付いたグラツィアーノ・ペッレは、11月1日のボーンマス戦を最後にゴールがなく、負傷から復帰した直近2試合はベンチスタートです。困ったらペッレに出しておけば、DFを背負ってキープして時間を創ってくれるというぐらいにボールが集まっていたストライカーは、昨季同様の停滞期を迎えた今が正念場。ヨーロッパリーグ出場権がまわってきそうな6位まで勝ち点5差は射程圏内で、クーマン監督にとってペッレの復活は必須条件でしょう。ミララスやベンテケ同様、ユーロで活躍するためにも、ここからの4ヵ月は重要です。

以上、6選手を紹介させていただきましたが、最近は全体的に選手の見切りが速くなっている感があり、ポテンシャルを発揮しないまま転売のような形で去っていく選手が多いのが気になっています。強盗事件というアクシデントもあったので、やむなしとは思いつつも、ディ・マリアはもっと観たかったんですけどね…。紹介したみなさんには後半戦でご活躍いただき、ファンが思い残すようなことがなければと願っています。本日から、23節ですね。がんばってください!(クリスティアン・ベンテケ 写真著作者/Erik Drost)

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“もっとやれるはず!プレミアリーグ後半戦の奮起を期待したい戸惑いのアタッカーたち” への2件のフィードバック

  1. K より:

    マンシティだけは絶対にトップ4当確、独走優勝もあると思ってましたが、本当にプレミアは難しいですね。アーセナルは唯一危惧していたコクランの替えがいない所もフラミニの健闘と冬の補強でトップ4当確でしょうね。ユナイテッドは仰る通りディ・マリアが大きかったですね。いれば勝ちきれないスパーズに遅れを取ることはなかったと思います。あとレスターが普通に強いですね。停滞はしても落ちることはないと思います。
    レッズの苦戦はまあ予想通りなんですが、レッズは移籍の話がまともになってきたので来年に期待しています。ベンテケはポストプレイヤーとして判断力が足りてないですが、周りもサポート距離が遠い印象です。4-3-3と4-2-3-1の違いに早く馴染んで欲しいです。ジルーもそうですが、シュートしかない!って場面での決定力はあるのに選択肢がある状況ほど判断が下手で致命的なミスをするのでヘディングだけという人もいるのかもしれませんね。何をするべきかの状況に応じたチームの約束事が分かってくれば劇的に改善しうると思ってるので、今年は温かい目で見ます。売買だけしてもチームは強くならないので、「チームとして上手くならないといけない」というクロップの言葉を噛み締めて編成して欲しいですね。

  2. makoto より:

    プレミアも折り返して後半戦ですね。特に他リーグからの今シーズンプレミア初参戦のデパイとペドロについて同感です。ディフェンスの当たりが激しく、下位チームでもワールドクラスの選手がいるプレミアにすぐにフィットするのは難しいと思います。言葉の壁、チームスタイル等、アジャストメントには時間がかかります。

    ペドロは同じスペイン代表のセスクとの絡みが増えれば、後半戦、実力発揮できると期待してます。やんちゃ系デパイにはブレークするゲームできっかけさえつかめば、これから怖い存在になるのでは。

    別の記事で書かれているように移籍金の高騰も移籍した選手のプレッシャーになり、フロントもファンも即の活躍を求めてしまっているのかも知れませんね。それにプレミア周辺のマスコミやOBも口うるさいですし。

    ガナーズのジルーは今シーズン、周囲の批判に耐え、見事にブレークしつつある典型例かと。ファンは移籍選手のポジティブ面を探し、アジャストメントの難しさも踏まえ、長い目で応援したいですね!

    —–
    Kさん>
    アーセナルTOP4当確(優勝⁉)、レスターが上位に残るというお話は、私もそう思います。レッズは来季勝負ですね。テイシェイラを獲れるなら、GKとCBのみの補強でも強くなるのではないかと思います。

    ヤンガナ大好きさん>
    賛成です。エジルも本来の力を発揮できるようになるまで時間がかかりましたしね。そう考えると、岡崎慎司の来季も、俄然楽しみになってきますね。

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