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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「僕の仕事はアシスト」と語るポール・ポグバ。1年めの数字は納得?足りない?

ヨーロッパリーグのアンデルレヒト戦を前に、マンチェスター・ユナイテッドのポール・ポグバが記者会見に臨みました。「既に2つのトロフィー(コミュニティシールドとEFLカップ)を獲得したけど、僕たちは常に上を見ている」「ヨーロッパリーグ制覇とプレミアリーグのTOP4入りをめざしている。チームも自分も好調だ」と語ったセントラルMFは、周囲からの期待や批判に対して異議を唱えました。「あまりゴールを決めていないという見方をされているみたいだけど、ゴールを期待されるのは移籍金が法外だったからだろう。でも僕の仕事はMFで、ゴールをアシストすることだ」。

9200万ポンド(当時のレートで約130億円)といわれた移籍金を忘れてほしいと願う彼の言い分もわからなくはないものの、われわれマンチェスター・ユナイテッドサポーターは、プレミアリーグ8位の46ゴールという数字に満足していないのです。15位のボーンマスとひとつしか差がない得点力では、優勝は望むべくもありません。いや、もちろんポグバひとりの責任ではないのですが、類まれなるボールタッチの巧みさと正確なキック、フィジカルの強さを備えたセントラルMFは、もっとやれたはずです。ここからは、今季のポグバについて、他クラブの中盤の選手と比べながらチームへの貢献度を測ってみたいと思います。

まずはポグバの主張を尊重して、いいとこ探しをしてみましょう。最も秀でた数字はパス本数です。プレミアリーグTOPに立つリヴァプールの主将ジョーダン・ヘンダーソンの2057本に次ぐ2010本は、堂々の2位。ただつなぐだけでなく、逆サイドにいるバレンシアやリンガードにピタリと合わせるロングフィードや、ズラタンを走らせる浮き球はリーグ屈指の正確さです。前線の選手を一瞬でフリーにするスルーパスも秀逸で、アレクシス・サンチェスの39本に次ぐ26本は、こちらも2位。ボールタッチ数2625回はジェームズ・ミルナーの2758回を追っており、すべて2位なのは気になるものの、24歳のMFがマンチェスター・ユナイテッドの攻守をつなぐ重要な役割を果たしているのは間違いありません。

一方で、もの足りなさを感じるのは、守備とフィニッシュです。タックル数が多いセントラルMFを順に並べると、グイェ、カンテ、ロメウ、ヘンダーソン、ジョー・アレン、ドリンクウォーター、ヤコブ、ワニャマ。中盤の底を掃除するタイプが多く、彼らの上にいけとはいいませんが、同僚のエレーラやデンベレ、キャバイェを下回るMF部門の34位は貢献度が高いとはいえません。アンデル・エレーラはインターセプト71回でクヤテと並んで全体の4位、MFではTOPなのですが、ポグバは31本で中盤の選手の36位。出場試合数が半分のキャリックと同じ数字に留まっており、守備面ではピックアップできるほどの数字を残していません。

こうなると、攻撃における数字に期待してしまいますが、27試合で4ゴール3アシストは、やはり足りないといわざるをえません。より前でプレイするデル・アリの16ゴールに並ぶのは難しいとしても、ほぼ同じポジションのワイナルドゥムは6ゴール6アシスト。ジョー・アレンも6ゴールを挙げており、セスク・ファブレガスは先発出場9試合ながら7アシストです。運動量が豊富なワイナルドゥムがしばしばボックス内に顔を出すのに対して、ポグバのシュートはバイタルエリアからのミドルとセットピースが多く、プレミアリーグ最多ゴールのリヴァプールとマンチェスター・ユナイテッドが攻撃の厚みにおいて差があるのは、試合を観続けているとわかります。クロスの本数38本はセントラルMFのなかでも少なく、プレミアリーグ8試合出場でシーズンを終えたサンティ・カソルラを下回っています。

…わかります。数字では表せない仕事があるのはわかります。しかし、ポグバには数字でも凄いMFだといわれてほしい。「僕の仕事はチームを助けること」などといわず、ジェラードやランパードのようになってほしいのです。自分はアシストといいながらも、エリクセン、シグルズソンに次ぐMF3位の88本のシュートを打っているではありませんか。フィニッシュの精度は、来季に向けた課題のひとつです。ポグバがプレミアリーグ2位につけている、4つめの数字を紹介しましょう。「Hit Woodwork」、すなわちクロスバーやポストにはね返されたシュート数です。TOPはデブライネの8本、ポグバは6本。これらを決め、ゴール数を2ケタに乗せていれば、決めていないと指摘したみなさんの評価は変わっていたはずです。115本のシュートを放ち17ゴールを決めている兄貴のズラタンは決定率15%、ポグバは5%。マン・ユナイテッドのエースがポストに嫌われたシュートは1本だけです。

ヨーロッパリーグのアンデルレヒト戦で、83分にズラタンの完璧なパスをもらいながらGKルベンにぶつけてしまったシュートは、その直後に同点ゴールを決められるという最悪の展開を呼び、高くつく失敗でした。マンチェスター・ユナイテッドがベスト4にも届かずに敗退となれば、サポーターのなかには「あれを決めていれば…」という悔しさが残るでしょう。とはいえポグバは、苦しいシーズンを過ごしたチームのなかで、よくやってくれていると思います。しかし、ポテンシャルの高さを考えればまだまだ足りないとも思うのです。明日のチェルシー戦と、木曜日のアンデルレヒトとのセカンドレグでは、直接ゴールに絡む活躍を期待しています。

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“「僕の仕事はアシスト」と語るポール・ポグバ。1年めの数字は納得?足りない?” への2件のフィードバック

  1. ユナイテッド より:

    彼の存在がユナイテッドの攻撃を飛躍的に向上させ、チーム全体のゴールチャンスが昨シーズンより多いのは間違いないです。
    ポグバのゴール数が少ないのは最近だけで一対一を3、4本外していますし、ヘディングシュートやミドルシュートもポストに当て過ぎだからでしょう。
    アシストは前線の選手達が外しまくっているのに加えて、ゴールの起点になっていることが多いこともあるので仕方がないかなと思います。
    彼は数字に表れないところで貢献してくれてるとは思いますが、数字でももっと改善できるはずなので頑張って欲しいです。

  2. ルニキ より:

    ポグバの移籍金に関しては、個人的には高いとは思っていません。ポクバ一人で、中盤の柱となる実力、長く活躍できる年齢、マーケティングも含めたチームの顔としての役割、ホームグロウンなど、チーム運営で必要となる多くの要件を満たせました。他チームにとっては高いかもしれませんが、少なくともマンチェスターユナイテッドには高すぎるということはないと思っています。

    ただ、ピッチでの純粋なパフォーマンスでは、ユベントスでの活躍をみても、もう少しできるのではと思ってしまいます。監督も一年目で新加入の選手も多く、既存の選手は前監督との違いに戸惑っている中での初年度としてみれば、及第点かなと思いつつ、もっと上のレベルを期待しています。

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