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ルーニーが隣で絶賛!…日本にいるとわからない、現在、香川真司のいる場所の凄さ。

「フットボールチャンネル」の最新記事で、イギリス在住のサッカージャーナリストの森昌利さんが、マンチェスター・ユナイテッドの選手としては珍しい「ウエイン・ルーニーの囲み取材」について紹介しています。マンチェスター・ユナイテッドは、ファーガソン政権時には選手が個別取材に応えないことで有名で、ましてやチャンピオンズリーグやプレミアリーグなどでチームに指示された記者会見でもなく、アポイントをとったわけでもない取材など皆無といってもいいくらいでした。この取材も、チームのスポンサーお披露目の席で、香川真司を日本人記者が囲んで取材しているなかに、ルーニーが自ら参加するという稀にみる場だったそうです。

この記事によると、ルーニーは香川真司を絶賛していたそうで、「明らかにシンジは素晴らしい選手。連携するのはとても簡単だ。一緒にプレイした時にはいつもいいパートナーシップを作れるサインがある。できれば、これからもっとシンジとの連携を見せたい」「僕らはふたりとも、わがままなプレイをしない選手。チームを第一に考えてプレイし、互いにパスをやりとりする。だから一緒にやるのが楽しいんだと思う」と語っています。

これは、凄いことですね。世界の5本の指に入るようなトッププレイヤーが香川真司の姿を見つけて、自ら彼のよさを語りにきた、という事実。

今季になってから特に思うのですが、「香川真司がマンチェスター・ユナイテッドという世界有数のトップクラブで1シーズンを過ごし、ヨーロッパ全土にその実力が認められている」ことの意味や大きさが、日本に伝わっていないのではないでしょうか。今季は序盤からプレミアリーグでの出場機会が少なかったために、「モイーズ監督に信頼されていない」「移籍話がある」などとさまざまな報道がありましたが、過去、日本人選手で、シーズン中に移籍が話題になった選手はいませんでした。ペルージャで活躍し、1月移籍でイタリアの有力クラブであるASローマに移籍した中田英寿でさえ、ニュースになったのは話がかなり現実的になってからです。シーズン中に、イギリスのタブロイド紙が「カガワがドルトムントへ」「アトレティコ・マドリード移籍の話がある」などと飛ばすのは、香川真司とマンチェスター・ユナイテッドそれぞれに、ニュースバリューがあるからに他なりません。言葉は悪いですが、レギュラー奪取の見込みもなく、放出寸前の三流選手の去就にバリューなどないので、そんな記事を書いても新聞は売れないわけです。

ところが日本では、「香川真司の移籍話」、すなわち現地報道と、他の日本人選手についての「試合に出ていないから移籍したほうがいい」といった国内メディア記者の主観に近い記事が、フラットに流れてきます。このふたつの意味は、全く違います。日本のプロ野球ファンは、田中将大の記事と自由契約になりそうな一軍半の選手の記事が、同じ大きさで見出しになっていたら違和感を覚えるでしょう。しかし、メディアによっては、「同じ日本代表の選手だから」と、欧州における評価や価値ではなく、こちら側の基準で並べてしまうケースもあります。これでは、現地の体温は伝わらないでしょう。

以前に本ブログで、「香川真司も吉田麻也も、簡単に移籍するという判断をせず、今の環境でふんばって、結果を出していいキャリアを築いてほしい」と書いたことがあります。プレミアリーグの昨季王者であるマンチェスター・ユナイテッドでルーニーやファン・ペルシと一緒にプレイする香川真司。欧州3大リーグといわれるプレミアリーグで3位につけているサウサンプトンで、バリバリのクロアチア代表DF、デヤン・ロブレンとスタメンの椅子を争う吉田麻也。選手やクラブを機械的に比較するつもりはありませんが、ふたりのいる位置は、ブンデスリーガの下位チームよりも遥かに高く、ましてやオランダやフランスなどの中堅クラブが絶対に及ばないところにあります。私自身、その凄さや高さをしっかり測れているのかは甚だ疑問ですが、少なくとも簡単に「香川はダメ」「吉田麻也はセインツを出たほうがいい」などと言わないようにしないと、と肝に銘じています。

今季の香川真司は、昨季のプレミアリーグでの得点シーンを思い出せば、まだまだです。特に気になるのは、ペナルティエリア内でのいいトラップがなく、未だゴールもないことです。それでも間違いなく、彼を探してパスを出すチームメイトは増えており、チームの絶対的なエース、ルーニーが香川とのいいコンビネーションを熱望しているのです。出場機会を得たゲームで献身的なプレイを続け、信頼と評価を積み上げている日本代表のエースを信じて、引き続きその活躍を期待します。

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“ルーニーが隣で絶賛!…日本にいるとわからない、現在、香川真司のいる場所の凄さ。” への2件のフィードバック

  1. スパーズ推し より:

    吉田が出た方がいい、という意見は
    ある意味日本人だからこそ出る意見ではないかと、ふと思いました

    要するに、吉田が
    キャリアのステップアップをとるか目先のW杯をとるか
    ということです

    長期的に見れば、チームやリーグのレベルを落とすことがキャリアに+となることは
    まず、ありません

    ただ、短期的に見ればW杯に向けて調子を取り戻すために
    レベルを落としてでも出場機会を取りに行く
    という理論は成り立ちます

    自己犠牲が正義で独断は罪という風潮のあるに日本において
    前者が否定され、後者の意見が噴出するのは
    ある意味仕方ないことなのかもしれません

    前者は見方を変えれば、自分のキャリアのためにW杯を"独断で"放棄する
    という風に見られているのでは?

    日本でストライカーが育たないのもエゴイストは悪とされる風潮があるため
    ドリブラーが育たないのも個人技は避けるべきという考え

    難しいですね……

    ちなみに、僕個人としてはこのまま頑張ってもらいたいです

    日本代表は今後、長期的な目線で見れば
    もっと面白くなるのですから

  2. makoto より:

    スパーズ推しさん>
    おっしゃる通りだと思います。そうなると、問題はふたつで、まずは「出場機会がないとワールドカップが厳しくなる」という状況なのかどうか。2002年に、稲本はほぼ試合に出ていない状態で、本番で2得点を挙げました。ザッケローニが「試合出てないヤツ外すぞ」といってるならともかく、メンバー固定して熟成させる方向で動いているなか、吉田麻也は拙速に動いても意味がないという可能性もあります。
    そしてもうひとつは、「レギュラー確約してくれるチームなどあるのか?」ということ。岡崎や長谷部も、本来のポジションをやりたいと移籍して、マインツやニュールンベルクで競争にさらされており、レギュラーだった乾も今は控えに甘んじています。結局、本人のクオリティが上がらなければ試合には出られないんですよね。スポーツマスコミには、そのあたりのことを理解しないまま「移籍=レギュラー=幸せ」などと安易にいってほしくない、という思いもあります。
    私も、吉田麻也はプレミアリーグに残るべし、と思っています。フラムやスウォンジーあたりに、「どうしても来てくれ!キミが必要だ!」と熱望されたりしたら、移ってもいいと思いますが。欲しがられて移籍するのはOKです。

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